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事故前も隠ぺいを繰り返し、事故後も隠ぺいを続ける!それが日本の原発 – 100年災害!福島第一原発の崩壊《1》

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所要時間 約 17分

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福島第一原発・福島第二原発の10基の原子炉が全てメルトダウンしていれば、北半球全体が『帰宅困難地域』になっていた
莫大な費用を要しながら死にゆく宿命を背負いこんだ原子力産業に固執し続ける日本
1950年代に計算尺を使って設計された古くて時代遅れの20世紀の方法論、それが原子力発電

                    

                      

アーニー・ガンダーセン / フェアウィンズ 2021年3月10日

                 

福島第一原子力発電所事故の発生からちょうど10年が経過した今日という日も、私たちの心と思いは、日本全体で進行している放射能汚染の影響を受けている人々、そして2011年3月11日を境に半永久的避難を強いられることになってしまった人々と共にあり続けています。

                    

ご紹介したことがありますが、作家でジャーナリストのトーマス・バス氏がかつて彼の著作のために福島第一原発の事故をどう分析しているのか、フェアウィンズにインタビューしたことがありました。
私たちフェアウィンズのメンバーは彼の研究方向が的を得たものであり、原子力科学者会報(BAS)に掲載された彼の最新記事においてもその傾向が変わっていないことを確認しました。

                     

福島第一原子力発電所の3基の原子炉のメルトダウンしてから10年が経過したことに関するトーマスのBASの記事を読んだとき、フェアウィンズが2011年の段階で提唱していた先駆的な分析と解説が、ついに福島第一原発事故の一連のストーリーの核心の部分として公認のものになったことに感銘を受けました。

                      

                    

フェアウィンズを核としたコミュニティの長年のメンバーは、福島第一原発の廃炉に必要な本当の金額、ホットパーティクル(高温微粒子)による汚染、デトネーション(超音速衝撃波爆発)、女性と子供たちを優先して避難させるべき必要性、その他様々な事実についてフェアウィンズが先駆的な分析を行ってきたことを覚えておられるに違いありません。

                   

私たち、そして世界にとって幸いなことに、福島第一原子力発電所におけるメルトダウンはそれ以上の破壊は行いませんでした。
そして現実になれば地球の北半球全体に人間が住めなくなる福島第一原発・福島第二原発の10基の原子炉が全てメルトダウンするような事態も起きませんでした。

                    

私たちが使命感に燃えて提示した先駆的な見解と考察については、数百本という単位のビデオ、著作『福島第一原発 / 真相と展望』、そして数百回に及んだメディア・インタビュー(CNN、ワシントンポスト、ニューヨークタイムズ、その他多くの新聞各紙、テレビ、ラジオ、インターネットメディア)に記録されています。

                     

その結果としてフェアウィンズが注視すべきであると指摘した数々の問題、先駆的な言語、および原子力工学に関する評価について、2011年3月から今日に至るまで世界が福島第一原発事故をどうとらえるか評価する際の基準の一つとなっていることを誇りに思います。

                 

                   

そして改めてここに妻のマギー・ガンダーセンと彼女が設立した組織、コンセプト、タスクモデルに敬意を表します。
そのおかげで私たちは、福島第一原発の事故が進行している間、常にリアルタイムで的確な対応をすることが可能になりました。
さらに何より、フェアウィンズに寄付をしてくださっている皆さん、私たちの仕事を支援し続けている財団、そして私たちと協力しながら大切な研究を続けてくれている科学者の同僚のみなさんに特別な感謝を捧げます。

                    

私たち単独ではここまでの仕事をすることはできませんでしたし、成果もあげられなかったでしょう!
世界を見渡した時、原子力発電、核廃棄物の貯蔵、廃坑になったウラン鉱山からの放射能の漏出、そして実験用原子炉の著しい危険性を軽視する傾向を変えるため、私たち全員が協力し続ける必要があります。

                     

莫大な費用を要しながら死にゆく宿命を背負いこんだ原子力産業に固執し続けることは、世界に進むべき道を誤らせることになります。
私たちが進むべき方向には地球環境と地球上の生命にとって安全で、完全に持続可能で、数十億ドルの費用を節約することができ、新しい雇用を生み出し健全な経済を形成できる発電技術があるべきです。

                   

1950年代に計算尺を使って設計された、古くて時代遅れの20世紀の方法論から脱出すべき時が来ています。
早く21世紀にふさわしい場面に移りましょう。
私たちはすでに20年以上の時間を失ってしまっているのです!

                   

では2020年5月に発行された原子力科学者会報(BAS)に掲載された、トーマス・バス氏の手による『メイド・イン・ジャパン』という題名の記事をお読みください。
トーマス・バス氏の記事はみずみずしい筆致の挿絵、そして福島の犠牲者が毎日直面しなければならない現実を鮮やかに描き出し、読み手を魅了していきます。

                   

                      

福島は今、森に覆われた丘陵地帯と深い緑色の水を湛えた川が流れる谷間に潜むすべての死に対して奇妙な静けさを保っています。

                  

これからの2か月間、フェアウィンズ・エナジー・エデュケーションは日本の福島第一原子力発電所、米国ペンシルベニア州スリーマイル島原子力発電所、ウクライナのチェルノブイリ原子力発電所、それぞれにおいて発生したメルトダウンとそれによって引き起こされた人災のフォローアップを継続していきます。

                  

さらに原子力発電は世界の緊急課題である気候変動の解決策のひとつであるという考え方が明確な誤りであるということを指摘し、議論していきます。

                   

私たち人類は、何百万人もの雇用を生み出し、環境を汚染したり極めて毒性の高い核廃棄物で地域社会を汚染したりしない、再生可能で持続可能なエネルギーに焦点を当てるべきです。

                     

放射線に国境など関係ないということを、どうか忘れずにいてください!
  + - + - + - + - + - + - + - + 

                     

福島の現在(いま):「生きているうちに自分の過ちに気づいて良かった…」
トーマス・A・バス/ 原子力科学者会報 2021年3月10日

                   

                      

福島の原発事故の後、周辺から避難した人々は一時的な仮住まいをするのだと思っていた仮設住宅に収容されました。
仮設住宅は福島県の内陸部の市町村の郊外にある駐車場や畑に建てられました。

                   

薄っぺらな鉄板を使って造られた仮設住宅は、日本の伝統的な畳数を基準に設計されました。
福島県の場合、畳1枚の大きさは通常は182cm×91cmです。
しかし結局小林武則さんと朋子さん夫妻は8畳の部屋しかない仮設住宅でその後5年間暮らす羽目になりました。
原発事故から避難した人々は一様に広さ12平方メートル程の居住空間で暮らすことになったのです。

                   

2016年、小林夫妻は福島第一原発の周囲20 km圏の立入禁止区域の端にある小高地区の、朋子さんが3代目の女将を務める旅館を営む自宅に戻ることを許されました。
小林さん夫婦が営む小さな旅館は共同浴場、そして家族連れその他の宿泊客が一緒に食事を摂る長いテーブルを備えた食堂のある伝統的旅館でした。

                    

朋子さんはボランティアを募って旅館を掃除したり、道端に花を植えたり、ギフトショップをオープンさせたり、この地区を特徴づける『サムライ馬』の救助に努めました。
しかし現在、この地域の有名な「侍馬」の何頭かの馬体には放射線を浴びたことを示す白いマークがつけられています。

                   

                  

昨年の9月、小林さん夫妻が経営する旅館は私の研究助手を務める阿部勇樹さんなどの宿泊客で賑わいを取り戻しました。
(現在は新型コロナウイルスCOVID-19の感染拡大のため、日本国籍を持っていない人は、たとえ長期ビザ保有者であっても日本への入国は許可されていません。)

                    

彼らは、アブラナ科アブラナ属の菜の花の秋の植え付けを記念する毎年恒例の祭りに来ていました。
セシウムに汚染されている土壌で菜の花を栽培することには2重のメリットがあります。
一つは土壌中のセシウムを吸収して土地を浄化してくれること。
さらにセシウムは油には溶けない性質を持つため、セシウムに汚染されている土壌で育った菜の花から採取された菜種油はセシウムには汚染されていないのです。

                    

この地域の伝統的な稲作農業を菜の花栽培に置き換えるというアイデアは、放射能で汚染された地域での生活方法を学ぶため、小林さんとその友人たちがチェルノブイリを訪れた際に手に入れたものです。

                      

小林さんたちは他にもチェルノブイリから重要な教訓を持ち帰りました。
妻の朋子さんが経営する旅館の周囲で忙しく飛び回っていた間、武則さんの方は南相馬市の郊外に放射線の検査施設を開設しました。
研究施設はテレビの特別番組を通して、資金、設備、そして人員の寄付が集まって出来上がった小林さんの検査施設は、土壌サンプルや栽培されたキノコ、さらには食料品店の店頭にある汚染された可能性のある食品などを持参してくる人々を誰でも受け入れました。

                   

                      

「チェルノブイリから得た教訓、それはすべてを測定し、測定作業を継続する必要があるということです。」
小林さんがこう語りました。

                  

チェルノブイリは福島第一原発の25年前に事故を起こしました。
しかし原発事故は数年で片がつく問題ではなく、チェルノブイリの周辺で暮らす人々にとって長期的な影響を抱えてどう生きていくかというのは、今まさに直面している問題なのです。
日本政府はすべてが正常に戻ったという公式見解を繰り返し表明し、2020年に開催予定だったオリンピックを「復興オリンピック」として宣伝してきました。

                    

しかし福島での生活は正常とはほど遠い状況にあります。

                      

新型コロナウイルスの感染拡大により開催は1年延期されましたが、現在もその名称は「オリンピック2020」ですが、オリンピックの聖火は、2021年3月25日に日本サッカー協会の所属選手の訓練施設であるJ-ヴィレッジで点灯される予定です。

                   

J-ヴィレッジは福島第一原発の南方約20kmの場所に位置しますが、2021年3月は別に大切な意味があります。
福島第一原子力発電所(F1)で6基の原子炉のうち3基がメルトダウンしてからちょうど10年の節目を迎えるのです。

                      

2011年3月11日、マグニチュード9.0の東北地方太平洋沖地震が時速800キロ(ジェット機と同じ速度)で日本の東北地方の太平洋岸に向け、最大で高さ40メートルの津波を殺到させました。
津波は18,000人以上の命を奪い、原子炉でメルトダウンが発生、爆発し始めたのです。

                             

津波到達以前、福島第一原発はすでに地震によって被害を受け、高レベルの放射線を放出していました。
そこに襲い掛かった津波はバックアップ発電機と冷却システムを破壊しました。
原子炉の爆発が始まった事を受け、風向きと雨量によって破壊された原子炉から放出されたセシウム、プルトニウム、ストロンチウム、ヨウ素131、およびその他の放射性物質の堆積量に応じて、日本政府当局は福島第一原発を中心とする最大半径100キロメートル以内を指定避難区域としました。
福島県内の指定避難区域からは合計16万人が避難することになりました。

                    

                      

それから10年後、避難した人々のほとんどは小林さん夫妻とは異なり、いまだに避難生活を続けており、かつての自宅は都市の廃墟に巣を作る野生のハクビシン、サル、その他の動物の住み処となり、捨てられた町や村独特の不気味な風景を作り出しています。

                      

※英文からの翻訳のため、個人のお名前、固有名詞等の漢字が間違っている場合があります。

《2》に続く
https://www.fairewinds.org/demystify/fukushimas-first-decade-in-a-100-year-long-catastrophe?ss_source=sscampaigns&ss_campaign_id=604974fba3438c548995b0b4&ss_email_id=60497ef445867a5842acaa5a&ss_campaign_name=Fukushima%E2%80%99s+First+Decade+in+a+100-year+Long+Catastrophe&ss_campaign_sent_date=2021-03-11T02%3A22%3A59Z
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この稿はもっと早くご紹介するつもりでしたが、みなさんもご存知の松山英樹選手のマスターズ優勝で翻訳の手が止まったりしたため、このタイミングでのご紹介になりました。

加えてフェアウィンズの記事は速訳では文章にしたくないという気持ちもあります。

そのため要所要所を検証しながら翻訳作業を行い、自分として満足できるクオリティに仕上げたいと常々考えています。

みなさんにとって読む価値のある翻訳であることを願うのみです。

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