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【 沖縄はなぜ米軍基地建設に強硬に反対しているのか? 】

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60年間アメリカと日本の軍事同盟の重荷を、一身に背負わされてきた沖縄

多数の希少種を含む何百万もの動植物が暮らすサンゴの海が、ダンプトラック350万台分の土砂によって埋め立てられる

 

エコノミスト 2017年7月11日

 

7月7日金曜日、日本の最南端の沖縄県議会は沖縄本島でのアメリカ軍の新たな軍事基地の建設の中止を求めるため、改めて法廷での戦いを行うことを承認しました。

翁長雄志沖縄県知事は沖縄本島の静かな漁村であった辺野古の環境を台無しにするものだとして、「沖縄の人々の移行を無視して強引に突き進む」安倍政権の姿勢を非難しました。

この宣言は日本の議会と法廷を舞台に20年間続けられてきた沖縄県民の一斉蜂起の最新版とも言うべきものです。

この議会での決定は、東アジア地区で最大規模の軍事力の展開を可能にする沿岸基地の建設計画に打撃となる可能性があります。

 

東京から1,600km南西方向の太平洋に浮かぶ亜熱帯のこの島は60年の間、アメリカと日本の軍事同盟の重荷を担ってきました。

沖縄県民は30,000人のアメリカ軍兵士との同居を余儀なくされ、島内にはアメリカ海兵隊最古のジャングル戦を想定した訓練施設を始めとする数十か所の軍事施設が点在し、心休まる暇がありません。

沖縄は第二次世界大戦が終了したその日から、1970年初頭に日本に返還されるまでアメリカの支配の下に置かれていました。

1945年、島を奪取しようとするアメリカ軍と日本軍の戦いは世界史上有数の激戦となり、沖縄の一般住民100,000、日本軍兵士100,000、アメリカ軍兵士12,000という、太平洋戦争の戦いの中で最大の犠牲者を出しました。

 

本土決戦を覚悟していた日本人にアメリカ軍の侵攻がどのようなものであるかを思い知らせるため、沖縄が犠牲にされた、沖縄県民の多くはそう考えています。

沖縄のすべての世代は『二度と戦争をしない』という誓いのもとに成長してきたのです。

 

しかし、かつては激しく戦った敵同士であった日本とアメリカは、現在はひとつの懸念を共有しています - 中国の台頭です。

大浦湾を干拓し、さらには海上10メートルの高さに上に突き出した長さ1,800メートルの2本の滑走路を持つ計画中の基地は、中国の海上における権益拡大に対する監視の目を光らせ、アメリカ軍のアジア地区における軍事優位を保つことが目的です。

また沖縄でも人口が密集する場所のひとつである宜野湾市において、約5平方キロメートルを占有する海兵隊普天間飛行場に対して募り続ける沖縄県民の怒りを和らげることも併せて目的としています。

普天間飛行場については、騒音や米軍関係者による犯罪について何十年もの間苦情が絶えることがありませんでした。

 

1996年、3人のアメリカ軍兵士が12歳の女子生徒を拉致しレイプした事件が大規模な抗議行動を引き起こしたことを受け、日米両政府はそれを閉鎖し、人口の少ない北部に代替施設を建設することに合意しました。
しかし沖縄県のほとんどの自治体は、日本とアメリカの軍事同盟を維持するため、沖縄だけが本土と比べて極めて重い基地負担を強いられ続ける中、普天間基地の存続にも新たな基地建設にも反対しています。

沖縄で行われた世論調査では、辺野古に建設が予定されている新しい米軍基地に反対している人の割合が70%を超えていることを明らかにしました。

2014年11月、新しい基地の建設を阻止するというただひとつの公約を掲げた翁長雄志(おながたけし)氏が沖縄県知事に選出されました。

翁長知事は一連の法的手続きを開始しましたが、昨年12月に最高裁判所で敗北を喫しました。

 

アメリカのジェームズ・マーティス次期国防長官は、今年2月に辺野古での基地建設の代替案は存在しないと宣言することで、長期間に渡り泥沼化してしまっているこの問題に終止符を打とうとしました。

これらを受け、建設作業員たちは沿岸堤防の建設の第一プロセスである大浦湾にコンクリートブロックを投入する作業を再開しました。

最終的には、多数の希少種を含む何百万もの動植物が暮らすサンゴの海は、ダンプトラック350万台分の土砂によって埋め立てられることになっています。

 

翁長知事による最新の法的手続きが功を奏するかどうかは今のところ不明です。

「200年間その場所に存在し続ける米軍基地を作るために海に大量の土砂を流し込んだ挙句、沖縄県民がその場所に立ち入ることが許されなくなる事態は、到底容認できるものではありません。」

翁長知事は今年6月、県議会でこのように発言しました。

 

現在のところアメリカと日本の両政府は辺野古基地建設を巡る戦いには勝つ見込みですが、その足元には長い間苦しみ続けてきた沖縄の人々を精神的に追い詰めた挙句、その信頼を失うという本当の危険が迫っています。

 

https://www.economist.com/blogs/economist-explains/2017/07/economist-explains-5?zid=306&ah=1b164dbd43b0cb27ba0d4c3b12a5e227

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