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【 高すぎる日本の選挙コスト 】

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野党の弱体ぶりに満足している自民党、選挙制度改革への意欲無し

高額な供託金制度は、新たに政治の世界に進出しようとする新しい政党や個人にとって大きな障害

 

エコノミスト 2017年7月1日

 


昨年、しばしの間日本の政治に直接進出したことについて、小林節氏はいまだに内心忸怩たる思いでいます。

小林氏は高名な憲法学者ですが、2016年中道を標榜する政治団体「国民怒りの声」設立しました。

しかし一般国民は小林氏が考えたほど怒ってはおらず、この点小林氏の目論見は的を外す結果となったのです。

第24回参議院議員通常選挙に自らを筆頭に全国比例代表区に候補者10人を送り込んだ小林氏でしたが、ひとつも議席を獲得することはできませんでした。

候補者は一人当たり600万円の供託金を預けなければなりませんが、それぞれ一定数以上の得票が無ければ没収されることになります。

結果は全員分全額没収でした。

このお金は全額ポケットマネーであり、小林氏は東京都内に所有していた素敵なマンションの一部屋を手放しました。

「もう二度としない…」

小林氏がこう語りました。

 

小選挙区の候補者が預けなければならない供託金の額は300万円ですが、それでも国際的基準からすると法外に高いことが下のグラフから見てとれます。

高額な供託金制度は、新たに政治の世界に進出しようとする新しい政党や個人にとって大きな障害となっています。

 

話題となった東京都議会選挙に立候補するためにも供託金が必要です。

1人当たり60万円を帰宅しなければならず、このため都民ファーストの会を立ち上げ、多数の新人候補者を擁立した東京都知事の小池百合子氏は、数百万円の金策をしなければなりませんでした。

 

緑の党の宮部明氏はこうした制度は組合や特定の業界ロビーに支えられた大政党の候補者に有利な制度であり、弱小政党が議席にたどり着けない状況を作りだす原因を作っていると語りました。

「こうした制度は明らかに不公平であり、違憲です。」

 

日本では1925年に英国の影響を受け、普通選挙が実現しました。

この当時、ヨーロッパの各国政府は実際には下層階級の人間たちが政治の世界に入ってこないように、きわめて高額な供託金を設定しました。

しかし英国の議会候補者の供託金の額は1918年から1985年にかけてまで150ポンドに固定されたままでした(現在は500ポンドです)。

日本は供託金の料率インフレに合わせて増額しましたが、英国は供託金を没収する得票率を12.5%から5%に引き下げました。

他の国々は、供託金の制度そのものを撤廃しました。

現在アメリカの選挙では、供託金を預ける必要はありません。

 

日本の中にもこうした世界の流れに沿って制度を変えるべきだと考えている人々がいます。

東京都知事選挙(供託金300万円)で2度の落選を経験した宇都宮賢治氏が率いる弁護士グループは、供託金制度の廃止を求める3度目の法廷闘争を行っています。

日本の国会は2008年、供託金の額を引き下げることを審議しましたが、何も実現しませんでした。

 

緑の党の宮部氏によれば皮肉なことに供託金の額の引き下げを提案したのは、日本の政治を支配し、最も資金力の豊富な自民党でした。

この制度変更を提案した自民党の本当の意図は政治を一般市民に開放することなどではなく、自民党よりはやや左派寄りのライバルである日本の民主党が立場に関係なくメンバーを寄せ集め、結果的に内部分裂するよう仕組むことが目的だったと皮肉る人もいます。

しかしそこまでしなくとも民主党が内部から崩壊し、弱体化してしまった今、自民党はいかなる制度変更にも関心を失っているようです。

 

https://www.economist.com/news/asia/21724437-deposit-required-run-some-seats-diet-more-50000-price-admission

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