ホーム » エッセイ » [ 福島第一原子力発電所で事故を起こした原子炉の冷却ポンプ、ディーゼル発電機、温度制御弁は11年以上も適切な点検が行われていませんでした ]
昨日アップした原稿をツイッターでご案内したところ、たくさんの方にリツィートしていただきました。
それ程にこのドイチェ・ベレ(ドイツ国際放送)の記事は、これまでみなさんの胸につかえていたものを、下ろしてくれたのだと思います。
でももちろん、喜んではいられません。
それだけ私たち日本の国民は偽られ、だまされてきたわけですから。
そしてこの記事の最後にあるように、事故処理費用の大部分は私たちが『税金』という形で『徴収』される事になります。
いったい、この国はどうなっているのでしょうか?!
テレビなどで日本の国会の様子を見ていると、ともすれば「くだらなくて見てられない。」と思ってしまいます。
でもくだらないのは『政治』ではなく、『今の日本の政治家』のはず。
足の引っ張り合いではなく、いちばんいい答えを見つけるためにきちんと議論ができる人。
強い者の方ではなく、きちんと国民の方を見ている人。
そういう人々を、私たちが『日本の政治家』として選ばない限り、この国の『失敗も隠ぺいも終わらない』のではないでしょうか?
尚、解りやすいよう〈 ▽ スキャンダル、失望、そして失敗 〉の項は、昨日とだぶらせて掲載させていただきました。
また動画には春にCNNの番組に出演し、「日本の人々は3基の原子炉がメルトダウンしている、というこのきわめて異常で、危険な状況に、あまりに無感覚すぎます」と発言された、アメリカの物理学者カク・ミチオ博士が、フランスの核廃棄物処理施設の爆発事故のニュースを伝えるABCの番組に出演しています。
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【 東京電力のサクセス・ストーリーの、暗い側面を明らかにした福島の原子力発電所事故〈後編〉】
ドイチェ・ベレ(ドイツ国際放送)2011年9月5日
▽ スキャンダル、失望、そして失敗
日本の大衆は2002年8月、東京電力の成功の物語の闇の部分に遭遇しました。
20年以上にわたり、すべての事件、事故、そして設備の故障を隠していました。
そ して疑われそうなことはすべてカモフラージュしていたのです。
安全性報告書は改ざんされ、長期間懸案となっていたメンテナンスや修理作業は延期されたままでした。
スキャンダルが明らかとなった時、国民はショックを受け、東京電力の役員数名が辞任を余儀なくされました。
政府は17基の原子すべての停止を命じました。
しかし、1年後、国民の抗議の声が大きいにもかかわらず、原子炉は再稼働されました。
政府は新しい経営陣を信頼しましたが、実際には失敗も隠ぺいも続けられたのです。
津波が襲ったちょうど10日前、日本の原子力保安院は東京電力の点検とメンテナンス作業に相当な手抜きがあることを発見しました。
地 震と津波の後、福島第一原子力発電所で事故を起こした原子炉の冷却ポンプ、ディーゼル発電機、温度制御弁は11年以上も適切な点検が行われていませんでした。
福島の大事故の後、事故が終息するよう適切な制御を行い、事故を懸念する日本国民に正しい情報を伝えることが、東京電力にとってはどれほど難しいことであるか、世界中の知るところとなりました。
数日の間、なお悪いことには、青い色の作業服を着た東京電力の担当者は、公衆の面前に立ち、事故後適切な対応をとれたのかどうかさえ、説明することができなかったのです。
▽ 金融災害
災害は金融面での大きな被害を及ぼしました。東京電力は今年度75億ユーロ(7,900億円)の損失を計上しました。そして修理に必要な金額は12億ユーロ(1,260億円)に膨らみました。さらには福島第一原発から30キロ圏内に住み、一時的あるいは永久に、住んでいた場所を離れなければならなかった16万人の人々に賠償金を支払わなければなりません。
東京電力はその金額について、400億ユーロ(4兆4,000億円)に達するであろうと積算しています。
しかしながら政府は東京電力を倒産させるわけにはいかず、菅首相は一時同社の国有化さえ考えました。
国はすでに膨大な額に上る費用の大部分を支払っています。
巨額の損失を日本の納税者が負担させられているにもかかわらず、これまでの利益は東京電力の財源に繰り入れられました。
▽ 再び影響力を行使する原子力ロビー
悲惨な事故であっても日本の原子力ロビーが、謙虚な態度をとる事は一切ありませんでした。
今では知られていることですが、東京電力が安全記録を改ざんしたり、担当者がさらに厳しい安全基準の制定に抵抗した際、日本の原子力発電所の監視責任を持つ2つの国の機関がこれに加担、あるいは少なくとも黙認していました。
原子力安全保安院はさらに一般市民の世論を原発支持に振り向けるため、啓発イベントの際に原子力発電所の従業員を、市民の中に紛れ込ませることすらやっていたのです。
その結果、菅政権は経済産業省のエネルギー機関、原子力安全保安院の3人の高官を更迭し、独立した原子力監視機関の設立を呼びかけました。
菅首相はまた、更なる日本国内の再生可能エネルギーの活用を呼びかけ、原子力ロビーに宣戦布告しました。
しかし、日ならずして辞任に追い込まれたのです。
彼の後継者である野田首相は原子力勢力に対し、より攻撃的ではないスタンスをとっています。
http://www.dw.de/dw/article/0,,6611373,00.html
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動画【フランス原子力発電所事故で1人が死亡】
アメリカABCニュース 9月12日(日本時間13日)
「フランスで起きた核施設で起きたミステリアスで憂慮すべき爆発事件について、福島の『今』とあわせてお伝えします。
フランスの原子力施設での爆発は、一人を死亡させ、少なくとも4人を負傷させましたが、負傷者のうち1名は深刻な火傷を負い、近くの病院に収容さ れました。放射能漏れは起きてはいないようだ、とフランス当局は本日発表しました。
爆発は、南フランスでマルクール原子力施設における核廃棄物処理センターで発生しました。
フランスの原子力委員会の職員がABCニュースに語ったところによれば、爆発は低レベル放射性廃棄物を溶融するために使用される炉内で発生しまし た。爆発は完全に炉内でとどまっています。
フランス政府の原子力安全の中心分門、ASNは爆発事故の一時間後、いかなる放射能漏れも発生は確認されていない、と発表しました。
「これは、産業事故であり、原子力事故ではありません。」原子力施設を運営するエネルギー会社EDFのスポークスマンは語りました。
マルクール原子力施設では、稼働中の原子炉は所有していません。
事故の原因は人為的なものだと考えられています。
米国物理学者カク・ミチオ博士
「どうして、こうした施設のオペレーターが操作ミスを犯さない、なんてことが言えるでしょうか?! そして、あの施設にはきわめて膨大な量の核廃棄物が貯蔵されているのです。」
日本に目を転じてみましょう。
福島第一原子力発電所事故の危険性は、いまだ高い状態のままです。そして12マイル圏内に放射線を放出し続けています(ナレーションはspewで すから、『ぶちまける、吐き出す』というニュアンスなのですが、『煽ってる』なんて言われると業腹なので放出にしておきます)。
フランスでは全発電量の75%を原子力で発電しています。日本では福島第一原子力発電所の事故の後、多くの原子力発電所が停止中です。
しかし今、アメリカと日本では、原子力発電所の再稼働を求める声が上がっています。