ホーム » エッセイ » 終戦記念日の初めてのスピーチで『深い反省』という言葉を引き継いだ新しい天皇
安倍首相は日本の太平洋戦争中の残虐行為について謝罪することもせず触れようともしなかった
就任以来、一貫して日本の戦争責任と残虐行為について事実を歪曲する姿勢を強めてきた安倍首相
山口まり / AP / ワシントンポスト 2019年8月15日
太平洋戦争の終戦に合わせ毎年開催される追悼記念式典に、天皇として初めて参加した徳仁天皇は第二次世界大戦における日本の行為に対する『深い反省』を表明しました。
59歳の徳仁天皇は日本初の戦後生まれの天皇であり、15日の発言は5月に退位した父親の明仁天皇のスタンスに忠実に従うものでした。
「戦後の長きにわたる平和な歳月に思いを致しつつ、ここに過去を顧み、深い反省の上に立って、再び戦争の惨禍が繰り返されぬことを切に願う」
日本が無条件降伏した日から74周年を迎えたこの日、東京都内で開催された式典で短いスピーチを行った徳仁天皇はこう語りました。
見た目にも緊張していた徳仁天皇の声は少し震え気味でしたが、戦争中の出来事を決して忘れないことを誓い、悲劇が二度と繰り返されるべきではないという希望を表明しました
灰色のスーツと帽子をかぶった雅子皇后は静かに寄り添って立ち、頭をわずかに下げていました。
徳仁天皇の父である明仁天皇は、父親である裕仁天皇の名の下で太平洋戦争中に日本が行った数々の行為について、生涯を通じて償ってきましたが、徳仁天皇もまた父親の足跡をたどることを約束しました。
明仁天皇は直接謝罪することはしませんでしたが、過去数年にわたり太平洋戦争に関する発言において反省の表現を微妙ながら強めてきました。
それとは対照的に、安倍首相は、アジア各国や他の地域における日本の戦時中の残虐行為について謝罪することもせず、触れようともしませんでした。
代わりに安倍首相は広島と長崎に対する米国の原爆投下、東京大空襲、沖縄戦の激しい戦闘など、日本の国土と国民が大きな損害を被ったことのみ長々と列挙していました。
安倍氏は2012年12月の首相就任以来、一貫して日本の戦争責任と戦争中の日本軍の残虐行為について事実を歪曲する姿勢を強めてきただけに、今回の新天皇のスピーチの意義はいままで以上に重要なものにならざるをえず国内外の注目を集めまていました。
1995年当時の社民党の首村山富一首相による公式の謝罪以降、歴代の日本の首相は8月15日に行う演説においてその姿勢を引き継いできましたが、安倍首相はそれに終止符を打ち、日本の戦争中の行為についての認識すら示さなくなりました。
安倍首相は、1910年から1945年にかけての朝鮮半島の日本の植民地支配の時代の朝鮮半島の徴用工に対する残忍な扱いをめぐる補償要求、そして貿易問題をめぐって韓国との間で紛争が続いていることについても言及しませんでした。
安倍首相は日本が歴史から得た教訓を生かし、戦争の惨禍を二度と繰り返さないと誓いましたが、一方では世界各地の紛争を解決する有志連合への参加も表明しています。
一方、安倍首相は戦没者に加えて太平洋戦争終了後の軍事裁判で有罪判決を受けた戦争犯罪者を合祀したことで、中国や韓国から強い反発を受けている靖国神社への参拝は行わず、代理人を派遣して宗教的供物を贈りました。
諸外国において靖国神社は、日本の軍国主義の象徴的存在とみなされています。
ttps://www.washingtonpost.com/Japan’s new emperor remorseful in 1st war anniversary speech
+ - + - + - + - + - + - + - +
戦争は人間社会のモラルを一気に崩壊させます。
戦争に勝つことだけが最優先され、一般市民の生活の安定や家族愛などというものが全く無視される社会に変貌し、人の命の値が極端に低いものになります。
動物を愛する気持ちなどというものも完全に無視され、場合によっては当たり前のように大切なベットを殺処分しろと言われる、それが戦時社会です。
『戦争の惨禍』とは戦場で多数の人間が殺されたり、上官の無能によって一般兵士が餓死や困窮死したり、都市への無差別空爆によつて大量の市民が殺されたりということに加え、交戦国における人間社会のモラル崩壊ということも深刻に受け止めるべきなのではないでしょうか。
「戦争によって解決すべきことがある」
そんなものなど一切あり得ないということを、私たちはいつでもいつまでも強く訴え続けるべきだと思います。