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第二次世界大戦時代の賠償問題で混乱する日本と韓国《前編》

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所要時間 約 10分

日韓関係を脅かし続けてきた怨恨感情に再び火をつけた韓国最高裁判決

大日本帝国が始めた戦争によって家族が殺されたり虐待を受けたりした、アジア数百万人の人々の思いとは

多くの日本企業が自社の業績等への影響を最小限に抑えるため、韓国国内の事業を縮小する可能性

チェ・サンフン、リック・グラッドストーン / ニューヨークタイムズ 2018年10月30日

 

韓国の最高裁判所は日本の大手製鉄会社に対し、第二次世界大戦中に徴用工として働くよう強制された韓国人男性に対する賠償を命じる判決を下し、日韓関係を脅かし続けてきた数十年にわたる怨恨感情に再び火をつけました。

 

日本政府がすぐさま非難声明を発表したこの判決は、日本が連合国に降伏してから73年が経った今も、大日本帝国の支配によって近隣諸国の国民が受けた苦しみや憎しみが容易には消えないという事実を証明するものとなりました。

 

以後日本側に植民地支配に関する賠償責任は発生しないとした1965年に成立した日韓両政府の合意にも関わらず - 少なくとも日本政府の見解においては - 謝罪と賠償の議論は沈静化していません。

 

「政府間の合意が存在していても、強制労働を課した企業には責任があり、賠償金の支払いを命じる判決が現実のものになったのです。」
ロンドンSOAS大学の史学部の専門家であるクリストファー・ガーティズ准教授がこう語りました。
大日本帝国が始めた戦争によって家族が殺されたり虐待を受けたりしたアジアの数百万人の遺族に、今回の判決は改めてその事実をはっきりと思い出させることになったと語りました。

「彼らにとって太平洋戦争はホロコーストだったのです。」

 

韓国の最高裁判所が今回の判決を下した背景、そして事態は今後どのように展開することになるか、いくつかのテーマに沿って以下に解説します。

 

▽ 韓国の最高裁判所を決定内容とは?

 

今回韓国の最高裁判所が支持したのは2013年に下級裁判所が新日鐵住金に対し、1941年から1943年の間に日本で強制労働を強いられたとする4人の韓国人男性それぞれに、1億ウォンの賠償金の支払い命令じた判決です。
日本は1910年に韓国を併合した後、1945年に太平洋戦争に敗戦するまで統治を続けましたが、この間他の日本企業も朝鮮人に強制労働を課したとして複数の訴訟が係争中です。

韓国の裁判所は1965年の政府間の合意も国際法も、個々の被害者が救済を求めることを妨げることは一切できないと述べました。

新日鐵住金の案件では訴訟が起こされたのが20年以上前ということもあり、補償を受けられたはずの原告のほとんどが判決前に死亡しました。
唯一生存する原告である李春植(イ・チュンシク)さんは、裁判所の外にいた記者団に対し、こう語りました。
「この日を生きて見ることができたのは唯一私だけになってしまいました。」

▽ 日韓関係全体への影響

 

今回の判決は、朝鮮半島を植民地化していた時代に強制労働を課したとして訴えられている日本企業300社に対し、これまで訴訟に踏み切らずにいた当時の被害者やその親族が一斉に損害賠償を求める訴訟に踏み切るきっかけを作る可能性があります。

韓国の歴史研究者たちは、数十万人の韓国朝鮮人が日本国内や中国大陸などで、日本の戦争遂行のため労働を強制されたと報告しています。
生存する人々は2~3千人程度とみられていますが、彼らの家族が代わって訴訟を起こすことが可能です。

 

▽ 日本側の主張

 

日本政府は韓国朝鮮人の強制労働に関しては1965年に日本と韓国が正式に国交を回復した際に成立した合意の下、すべての問題は解決済みであると主張すしています。

新日鉄住金は裁判所の決定について「極めて遺憾」であるとコメントし、「戦争中に起きた問題については」以後異議を唱えないとした1965年の合意に反するものだとコメントしました。
同社は声明で「この件に関する日韓両政府の対応等を考慮し、次の取るべき対応について韓国の最高裁判所の決定を詳細に検証する」と述べました。

日本の安倍晋三首相は、この判決について「国際法に照らしてありえない判決だ」と語りました。

▽ 被告である日本企業が裁判所の命令に従わなかった場合はどうなりますか?

 

原告とその家族は韓国の地方裁判所に対し、新日鉄住金の韓国国内の資産を押収するよう求めることができます。
しかし原告側がこうした措置を取らなくとも、新日鉄住金だけでなく他の日本企業も自社の業績等への影響を最小限に抑えるため、韓国国内の事業を縮小する可能性があります。

日本の経団連や日本商工会議所などの日本の企業団体は、今回の裁判所の決定が
「今後の韓国に対する投資と事業に支障をきたす恐れがあり、両国の経済関係を損なう可能性がある」
と語っています。

 

《後編》に続く

https://www.nytimes.com/2018/10/30/world/asia/japan/How a World War II-Era Reparations Case Is Roiling Asia
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フェイスブックでお友達になっている方に
「昨今の日韓関係はどうとらえるべきなのだろう?」
というコメントをいただき、「新日鉄住金、韓国最高裁判決」というキーワードで検索をしてみました。

結果、いつもご紹介しているガーディアン、ドイチェ・ベレ、アルジャジーラ等すべてに記事の掲載がありましたが、その中から最もボリュームのあるニューヨークタイムズの記事を選んで翻訳、ご紹介することにしました。

 

今の日韓関係を見ていて思うのは、隣国関係を建設的に発展させるべきと言っている割には、両国ともに感情的意見ばかりが表に出てきているのではないか?ということです。

 

日本にはいくつか嫌韓、蔑韓組織があります。
第二次世界大戦が始まると、アメリカ国内の日本移民は大統領ルーズベルトの命令で強制収容所に収監されました。
当時日本国内にいた韓国朝鮮人とは異なり強制労働などはほとんどなかったようですが、それでも『非人間的扱い』を受けたという証言が相次いでいます。

 

戦後、1988年になってやっとロナルド・レーガン大統領の下で米国政府による謝罪と損害賠償が行われました。
しかし、もしこの時、
「日本人移民はアメリカ社会のゴキブリだ」
「勝手に移民してきて卑怯な真珠湾攻撃を仕掛けた日本人に賠償するなど、国家に対する反逆だ!」
と騒ぎ出し、ワシントンやニューヨークでデモや街宣車を繰り出して威嚇行動を行う『団体』が現れたら…
私たち日本人はどう思うでしょうか?
それが韓国朝鮮人の眼に映る日本の嫌韓、蔑韓組織だ、と私は思っています。

 

日本と韓国が太平洋戦争当時の『負の遺産』を清算するために何より必要なのは、冷静な検証と義論のはずです。
それを日本では上記のような団体の活動が野放しにされ現在の日本政府からは批判の声も聞こえてこないというのでは、外交を感情的にこじらせる原因を政府自ら作り出し、必要な検証と議論の土台を壊しているようなものです。

歴史を見つめるには冷徹な眼が必要です。
感情的になって自分たちの民族に誤謬などあるはずがないというのではお話になりません。

 

一方の韓国。
10年ほど前、東北大学医学部に留学していた中国人の友人があるフォーラムに参加した際のことについて、次のように私に話しました。
「韓国人留学生が朝鮮併合当時の日本の行為をかなりしつこく非難し、参加していた各国の留学生が皆『引いて』しまった…」
「60年も前(当時)の話に、なんであんなに感情的になるのだろう…」

 

時々韓国ドラマを見ている妻は、韓国には『報復の文化』とも言うべきものがあることを感じる、という意味のことを言っていました。

 

これらの側面を見る限り、日韓ともに外交には禁物の感情が事態を必要以上にこじらせているのではないでしょうか?

隣国同士がマイナスの方向にエネルギーを費やすことにどんな意味があるのでしょう?
そして、私たち市民はどうすればよいのでしょうか?

それは《後編》の後に…

 

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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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