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崩壊から10年 :『復興』の現実は無い / 福島第一原発《前編》

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所要時間 約 16分

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直接放射能汚染の被害を受けた場所は、何事もない穏やかな春を取り戻すため大変な苦労をする事になる

日本の放射線マップは、放射線被ばくの重要な要因を無視して作られている
被ばくすると健康に深刻な影響が及ぶアルファ線の存在の確認と線量を測定する必要がある

                    

2021年3月7日、福島県双葉町の集合住宅の前に置き並べられた放射性廃棄物の入った黒い袋

                 

マギー・ガンダーセン / フェアウィンズ 2021年3月30日

                     

日に日に空気が暖かくなり、いたるところから鳥たちのさえずりが聞こえ、太陽が明るさを増してきました。
皆さんと同様、私も春の訪れを感じています!
心も体も自分たちの庭でゆったりと時間を過ごす事を楽しみにしています。
サウスカロライナ州にある自宅で私は芝の手入れを始めました。
手入れされたばかりの芝生やクローバーから醸し出される空気は新鮮な香りに満ちています。

                        

しかし私を含めたフェアウィンズのメンバーにとって残念な事に、『原子力の春』は私たちの生活を永久に変えてしまいました。
私たちにとって『原子力の春』は、発生から何年も過ぎた過去の悲惨な原子力の悪夢の記憶を呼び覚まし、春が来る度、原子力 = 核エネルギーが私たちが住む地球の運命を永遠に変えてしまった事を改めて認識する季節になりました。

                       

                    

過去42年間、5回に渡り原子炉がメルトダウンを引き起こしましたが、発生はすべて春だったことはご存知ですか?

                      

3月は、それは2011年3月11日の福島第一原子力発電所での3基の原子炉のメルトダウンが発生した月です。
同じ3月、1979年3月28日はスリーマイル島でメルトダウンが発生しました。
そして史上最も悪名高いチェルノブイリ原子力発電所でのメルトダウン事故が発生したのは4月28日(1986年)の事でした。

                        

私たちの多くが福島、スリーマイル、チェルノブイリで原子炉のメルトダウンという悲劇がいつ始まったかを知っています。
しかしいずれの大惨事もどれも終わっていないので、いつ終わったかは誰にもわかりません。

                     

いずれのメルトダウンについても、その影響は今の今まで発生場所の周辺はもちろん世界的にも残っています。
大量の高レベル放射性物質が放出されたため、これらのメルトダウンの影響はわたしたちの大切な地球全体に何千年という単位で長く残る事になり、とりわけ直接放射能汚染の被害を受けた場所では、何事もない穏やかな春を取り戻すため大変な苦労をする事になります。

                   

                 

フェアウィンズのメンバーにとっては、春は報道機関の問い合わせに応え、原子力業界や各国政府が人為的に核反応を引き起こすときにもたらされる危険について、知っている限りの真実を話すという使命を果たすべき季節です。

                   

しかし1979年7月16日に米国ニューメキシコ州のナバホ・ネイションで発生したチャーチロック原発事故に言及しない事には、波のタイミングで5度にわたって発生したメルトダウンの忌むべき記録も不完全なものでしかないことにご注意ください。
チャーチロック原発事故が起きたのは1979年7月、スリーマイル島事故のわずか3ヶ月前の事です。

                         

しかし、どんな犠牲を払っても原子力の使用を続けるという典型的な近視眼的なやり方で、米国政府はまるで深刻なことなど何も起きなかったかのように行動しました。
各国の政府も原子力発電所によって生成された核物質をそのまま核兵器製造に転用する手法に磨きをかける中、どの国の政府も認めようとしない隠れた原子力災害とほとんど認識されていない大惨事が存在するのです。

                   

                        

この春、ご紹介した6度にわたる原子力災害を念頭に、フェアウィンズではあなたを含めた読者、サポーター、そして私たち自身が記憶を正確なものにするため、現在であると過去のものであるとを問わず、資料へのリンクを多数投稿していきます。

                     

気候変動の危機の解決策であるかのように喧伝される高度な新型原子炉については、それらは新しいものでも高度なものでもないことということを忘れないようにしてください!。
世界中に散らばる400以上の原子力発電所がすべて閉鎖された時はじめて、心穏やかに庭を手入れし、屋外の美しい景色を楽しみ、鳥のさえずりに耳を傾ける事ができるようになるのです。
私たち全員がこうして心から春を喜んで歓迎することができるようになるのです。

                   

今回は2011年3月11日に発生した日本の福島第一原子力発電所の3基の原子炉のメルトダウンの10周年に合わせ、Truthoutが公開した『福島メルトダウン・10年後の今も未解決』の記事をシリーズ掲載します。

                        

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【 発生から10年・未解決のままの福島第一原発・原子炉メルトダウンによる大崩壊 】

                     

                       

アーニー・ガンダーセン 2021年3月31日

                          

宮城県沖を震源とする巨大地震とそれによって引き起こされた巨大な津波が東北太平洋岸を文字通り壊滅させ、福島第一原子力発電所において3基の原子炉で炉心溶融を引き起こしました。
2020年の東京オリンピックが新型コロナウイルスの感染拡大を受けて1年間延期されるまで、日本政府はこのイベントを『復興オリンピック』と表現していました。
これは2011年に壊滅的な打撃を受けた東日本大震災の被災地の復興が実現した事を、オリンピックを利用して世界的に宣伝することを狙いとしたものでした。

                      

しかし、日本は本当に「復興」したのでしょうか?

                     

最近、フェアウィンズ共同研究者であるウースター工科大学のマルコ・カルトフェン博士、フェアウィンズ・エナジー・エデュケーションのマギー・ガンダーセンと私アーニー・ガンダーセンは、日本の科学者と一般市民のみなさんのを協力を得て主に東北地方で収集した数百点の放射性物質サンプルを分析した、2番目となる査読付きジャーナル記事を公表しました。
ほぼ10年間に5回のサンプリングを行いましたが、延べにすると合計70日間の地上でのサンプリングを行いました。

                      

以下は私たちが確認検証した4つの項目です。

                    

1. 既存の日本の放射線マップは、放射線被ばくの重要な要因を無視している

                       

                       

北日本の放射線マップのほとんどは、市民や科学者が携帯用機器を使って測定した外部放射線量に基づいています。
外部放射線量は、その測定結果を大規模なデータベースにダウンロードされてGPS座標にリンクしていきます。
直接的な外部放射線に関するこうした情報は確かに重要ですが、日本の場合は被災した市町村のどこを再び居住可能地域にするのかその政策を決定する人間が最終的なデータ作成を行っています。

                      

こうしたやり方ではどのような政策を採用すべきかについて限られた選択肢しか提供できず、しかも2つの理由から被曝をしている可能性のある人の人数について最小の値しか提示しないことがわかりました。

                   

第1に外部線量計の測定結果は人体とは無関係に単に地面の上の放射線量を測ったものであり、「ホットパーティクル」として人体に吸着あるいは吸入された場合の放射線量などは無視しています。

                   

第2に、東北地方で指標として主に使われている放射線量は、外部測定された放射性同位元素のひとつであるセシウム137(Cs-137)から放出された放射線、その1種類だけに基づくものです。

                     

                  

これに対し、私たち(マルコ・カルトフェン博士、マギー・ガンダーセン、アーニー・ガンダーセン共著)の論文は、携帯型ガイガーカウンターでは検出できない、あるいは外部計測では検出不可能な多種多様な放射性物質に関する検証に基づき作成されました。。
そして被災地の人びとが吸い込む、あるいは飲み込んだりして体内に入り込んだ放射性ダストの中に存在し得る、あらゆる種類の放射性物質についても検証しました。

                    

私たちの論文で指摘してる事ですが、問題の放射性ダスト粒子の中には放射能濃度の差は100万倍にまで広がっています。
そして放射性ダスト粒子の中に5パーセントの割合で含まれている『ホットパーティクル』は平均値の10,000倍の放射能を持っています。

                 

私たちが調査した中で最も放射性が高い放射性ダスト粒子は、メルトダウンした福島第一原発から約480km離れた場所で採集されたものです。

                 

さらに私たちの調査では福島第一原発が放出した放射線のアルファ線、ベータ線、ガンマ線の各汚染物質は、それぞれが異なる拡散パターンを持っていた事が確認されました。

                     

                 

これはすなわち、セシウム137のようにベータ線だけを放出する放射性物質、あるいはガイガーカウンターを使った場合のように総ガンマ値のみを測定するだけでは、すべての放射性物質がどのような拡散固着したのか結果を完全にマッピングするのには十分ではないということを証明するものです。

                     

市民の健康と安全を確保するためには、アルファ線の線量も測定する必要があります。
アルファ線に被ばくすると健康に深刻な影響が及ぶ可能性があり、このことは特に重要です。

                   

《後編》に続く
https://www.fairewinds.org/demystify/fairewinds-nuclear-spring-series-japan-hasnt-recovered-10-years-after-fukushima-meltdowns?ss_source=sscampaigns&ss_campaign_id=60635f5d4fab780f88c38da6&ss_email_id=6063713ec1bf7f39008bac2e&ss_campaign_name=Fairewinds+Introduces+New+%23NuclearSpringSeries&ss_campaign_sent_date=2021-03-30T18%3A43%3A37Z

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実を申し上げると私はフェアウィンズの原稿を翻訳するのを楽しみにしています。

海外メディアの報道記事を翻訳している時とは少し異なる愉悦感のようなものがあります。

フェアウィンズの記事は長文のものが多いのですが、一向に苦になりません。

『良心の科学』に接しているという実感があるのかもしれません。

                        

私は父親が数学者の端くれ、息子は工学博士で一見理系の家系ですが、私自身は高校2年の物理でつまづいて以降、そっちの方はさっぱりの頭です。そのかわり世界史人物辞典を読みだすと面白くてやめられなくなるという文系の典型のような人間です。

アインシュタインの相対性理論の公式 E = mc2 について、私は速度の二乗という概念がどうしても理解できず、当時東北大工学部の博士課程にいた息子に「この公式について説明できるのか?」と尋ねた事があります。

息子は「できるよ。」と即答しました。

そして、「説明しても良いけど、父、説明されて理解できるの?」と逆に尋ねられました。

私は少し考えて、「説明してくれなくていい。」と答えました。

あの時程、自分の理科的能力の限界を思い知った時はありませんでした。                       

                        

そんな私ですが、アーニー・ガンダーセン氏の『科学』はすいすい頭に入ってきます。

平易でわかりやすいという事は、ごまかしが無い、という事の証明では無いでしょうか?

だからこそ福島第一原子力発電所の崩壊が続いていたあの時、ニューヨークタイムズやCNNやAPなどの米国メディアはもちろん、英国メディアもガンダーセン氏の見解を真っ先に引用していたのだと思います。

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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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