ホーム » エッセイ » 沖縄県民投票 : 圧倒的多数が辺野古への米軍基地建設を拒否、安倍首相は結果を尊重せず
安倍政権にとって、辺野古の新基地建設は日米同盟の鍵となる事業
沖縄県民投票に対する安倍政権の対応は、民主主義が果たして日本で機能しているかどうかを判断する試金石になる
ジャスティン・マッカリー / ガーディアン 2019年2月24日
国内外で批判が噴出している沖縄県内での米軍基地移転問題、有権者が国民投票で圧倒的に拒絶した数時間後、安倍首相はあくまで推進すると誓いました。
有権者の7割強、すなわち43万4,000人が、沖縄の北東部沿岸に新しい基地を建設することに反対の意思を明らかにしました。
この基地は約75km離れた場所にある既存の米海兵隊基地に代わるものとして建設が予定されています。
全体の投票率は52%、そのうち19%だけが一連の動きに賛成票を投じました。
25日の朝、記者団の質問に答えた安倍首相は、沖縄県民の反対感情の強さを認めたものの、建設工事はこれまでと変わりなく継続すると語りました。
「私たちは沖縄の人々と長い間対話を続けており、これからも県民の理解を得られるよう取り組み続けるつもりです。」
安倍首相がこう語りました。
基地建設に「反対する」票の数は、住民投票の結果が「尊重」されるようにするためにデニー玉城知事に必要とされる沖縄の有権者116万人の4分の1以上という目安を完全に超えました。
今回の県民投票では、サンゴ礁の生息地である島の北東沿岸の漁村であり、ジュゴンの数少ない生息地の1つである辺野古に軍事基地を建設することについて、反対、賛成、どちらでもないの3択の形で行われました。
新たに建設される予定の辺野古の基地は、人口密度の高い都市部の真ん中に位置する海兵隊普天間飛行場に代わるものと位置付けられています。
普天間基地は住宅や学校に近い場所にあり、基地関係者が犯した犯罪、騒音、および航空機事故の脅威についての苦情や反感が集中しています。
辺野古基地はこの地域のデリケートな海洋生態系を破壊し、基地周辺に住む約2,000人の住民の安全を脅かすことんなるだろうとの批判が相次いでいます。
沖縄での米軍の存在への反発感情は、1995年に3人のアメリカ軍兵士が地元の12歳の少女を連れ去り、強姦・監禁した後に激発しました。その1年後、日本政府・アメリカ政府は、普天間基地を閉鎖し、基地の要員と航空機を沖縄本島北東部沿岸の漁村である辺野古に移転させ、沖縄における米軍の基地占有面積を減らすことに合意しました。
しかしほとんどの沖縄県民は、新しい海兵隊の拠点を日本の他の場所に建設することを望んでいます。
玉城知事は投票結果について「極めて重要」だと称賛した後で、次のように付け加えました。
「日本政府は沖縄県民の断固たる決意にまっすぐ向き合い、直ちに現在の政策を見直し、建設を中止することを強く要求します。」
彼は、国民投票の結果を正式に伝え、交渉を再開するために、安倍首相の官邸と東京にある米国大使館を訪問する予定です。
沖縄の有権者の中には、安倍政権が米軍関係者や基地の存在に対する彼らの反対意見をまるで当たり前のように無視していると不満をあらわにした人々もいました。
「ここには非常に多くのアメリカ軍がいます。もちろん、その99パーセントは善人ですが、しかし残りの1パーセントが悪事を働くのです。それが私たちにとって耐えがたいことなのです。」
海沿いの宿泊施設を経営する島袋智道さんが、投票に先立ちこう語りました。
辺野古での建設作業に対する政治的および法的な問題提起は、外交的・軍事的緊張が高まる南シナ海、東シナ海、そして核武装化を進める北朝鮮という危機的状況に即時の対応を行うために、沖縄における海兵隊の存在が必要だと主張する米国当局をいらだたせました。
安倍首相は、普天間基地の周辺住民の負担を軽減しつつ、さらに米国との安全保障同盟に対する日本のコミットメントを維持する唯一の方法は代替基地建設しかないと主張してきました。
「反対」の票決は法的拘束力を持ちません。
しかし安倍政権がこのまま辺野古沖の埋め立て作業を続ければ、地元の感情を顧みようともせず無視し続けているという非難を受けるリスクを犯すことになります。
沖縄の琉球大学教授の島袋淳氏は、県民投票が沖縄の声を聞く重要な機会となったと述べた。
「民主主義が果たして日本で機能しているかどうか、そのことを判断するテストになる可能性がある。」
投票に先立ち、島袋教授はこう語りました。
在日アメリカ軍のスポークスマン、コル・ジョン・ハッチンソン氏は辺野古への移転計画により、米軍が普天間を閉鎖することが可能になる一方、東アジア地区の安全保障を可能にする「重要な能力」を保つことが可能になると述べた。
「我々は沖縄の地元市町村との良好な関係を維持することに尽力してきており、日米同盟のための米軍の取り組みを進んで支持してもらえるよう、沖縄県民の懸念を払拭する取り組みをバランスよく行えるよう日々最善を尽くしています。」