全長6,211kmの揚子江(長江)源流から河口まで100キロメートル間隔の風景
このプロジェクトは高山病、オフロード運転、洪水、砂嵐、地震、地すべり、土砂崩れなどとの惨憺たる闘い
ガーディアン 2018年6月26日
長江(揚子江)Y7 水源から600km地点
『母なる大河』は、英国系中国人の写真家、ヤン・ワン・プレストンが、大型フィルムカメラを用いて、きっちり100km間隔で全長6,211kmの長江周辺に広がる風景を、4年をかけて撮影したプロジェクトです
長江(揚子江)Y8 水源から700km地点
揚子江(長江)は中国を象徴する大河としていつも理想的とも言える様子が紹介されています。
しかし『母なる大河』プロジェクトでヤン・ワン・プレストンは、これまでの長江に対する確立された既成概念と代表的景観とは異なる撮影結果を得ることを望んでいました。
100km間隔の撮影地点
きっちり100km間隔で写真撮影場所を選択した結果、撮影された写真は必ずしも美しいものばかりとはいきませんでした。
代わりにこのプロジェクトによって、これまであまり顧みられることのなかったランダムな風景で満ちています。
このプロジェクトは水源がある西部の高地から東部の海岸まで長江の全流域の物語を描写することが目的であり、衛星から撮影したデータ的に緻密な写真ならいくらでも手に入る時代に、あえて単純な設定をおこなうことにより新鮮な印象を作り出すことができることを示しています。
長江(揚子江)Y13 水源から1200km地点
『母なる大河』の撮影計画
「現代の中国にあって、長江は中国を象徴する重要な存在として中央政府によってプロモートされています。
これは中国の発展のため長江が重要な役割を担っているからです。
長江(揚子江)Y21 水源から2000km地点
長江は中国で最も豊かな地域における最も重要な貿易ルートでもあります。
そして長江は中国の近代化を物理的にも印象的にも内外に告知するための最前線であり、30基以上の水力発電ダムが計画中または建設中です。」
「チベットに始まり上海で海に入るまでその間にあるすべての地域を「つなぐ」中国で最も長い川である長江は、中国という広大な多民族国家の政治的統一の象徴でもあります。
長江(揚子江)Y22 水源から2100km地点
こうしたすべての理由から長江にはいやでも注目が集まることが、私が『母なる大河』の撮影に取り組んできた理由です。」
「今回の私の旅はチベット高原として知られる海抜5,400メートルの誰も住んでいない場所から始まりました。
その場所から長江は誰も近づくことができない雄大な山々を抜け、そして上海に近い工業地帯へと流れていくのです。
100キロごとに撮影するために時に私は肉体的な限界に挑戦し、知恵を振り絞り、ひるもうとする自分の心と戦わなければなりませんでした。」
「険しい自然と恐ろしく長大な距離は、このプロジェクトを高山病との闘い、オフロード運転、洪水、砂嵐、地震、地すべり、土砂崩れなど、いつ命に関わる危険に見舞われるかわからない現代の冒険物語にしたのです。」
長江(揚子江)Y49 水源から4800km地点
※大きな画像、ここに掲載した以外の写真は下記オリジナルサイトでご覧ください。
https://www.theguardian.com/world/2018/jun/26/yangtze-at-100km-intervals-a-photo-essay