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日本人が関わった2つの世界 : 第二次世界大戦の英語コミック2作品《後編》

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所要時間 約 6分

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売り飛ばされ、拉致され、最後は『慰安所』に送り込まれた韓国人少女
厳しい現実に直面させられていた女の子たちに、さらに過酷な運命が襲いかかる

                     

                 

ジョージ・タケイ / ニューヨークタイムズ 2019年9月9日

                 

「何よりも、ゴヤは私たちに対し、現実から目を背けることなく事実を見つめるよう求めています。」
私の共同コラムニストであるヒラリー・シュートは、19世紀のスペインの芸術家を取り上げたシリーズ「戦争の惨事」の中でこう記しています。

                     

200年を経た韓国で女性漫画家のクム・スク・ジェンドリー-キムさんはこの芸術的課題に挑戦し、私たちは朝鮮半島が日本に支配されていた時代(1910年 - 1945年)に日本軍が韓国人女性と少女に売春を強制した性の奴隷(従軍慰安婦)制度の目撃者になったのです。
彼女の作品、悲惨な物語を綴った『Grass』はジャネット・ホン、ジェンドリー・キムによって英訳されましたが、すでに80代になっているオク-スン・リーさんの証言を記録する作業は時間との戦いになっています。

                  

                   

「母親の子宮から出てきた瞬間から幸せを知らなかった」と、しわが寄った「おばあちゃん」になったさんがこう語りました。
そしてこの物語が終わる瞬間までこうした言葉は決して誇張などではなく、むしろ控えめに過ぎるのではないかと言う感じを抱かせられます。

                   

1928年貧困の中に生まれたオク-スンは、何よりも学校に行くことを楽しみにしていた元気な女の子でした。
彼女の両親は自分たちより裕福な夫婦のもとに養子に行くことを提案し、彼女は同意します。
「一生懸命勉強して、お父さんが元気になれるように手助けするからね。」
彼女は病気の父親にこう語りかけます。

                   

                  

しかしオク-スンは二度と家族に会うことはできませんでした。
彼女が教育を受けさせるために引き取られたのではないという痛々しい事実が間もなく明らかになりました。
彼女は居酒屋で働くために再び売り飛ばされました。
そして1942年、15歳で彼女は拉致され、日本の占領下にあった中国に送られたのです。

                  

全員が騙されたり誘拐された他の女の子と一緒に、彼女は戦場で苦しい労働を課されていましたが、そこに大日本帝国陸軍の兵士たちが到着しました。
この500ページ近い哀切な物語のうち約200ページを占めるのが慰安婦の部分です。
オク-スンは数百人の日本兵の最初の1人にレイプされました。
ジェンドリー-キムの力強い描画は、その力強い線と濃い黒で悪夢の世界を完全に再現しました。

                  

                  

そこに見えるのは男のシルエットです。
顔の一つ一つが野卑な目と悪魔のような歯を持っています。
2ページに及ぶほとんど真っ黒なページの最初、少女たちは部屋の半分に身を寄せ合っています。
男たちは床をつき破ったように立つ戸口にいます。
それはまるで地獄の入り口のように大きくねじれそして歪んでいます。

                  

すでに厳しい現実に直面させられていた女の子たちにさらに過酷な運命が襲いかかります。
次の2ページは、私がこれまで見たどの漫画よりも心臓が止まるほど残酷なシーンに満ちています。
彼女たちの魂が殺されてしまう、その描写にほかならないのです。

                  

《完》
https://www.nytimes.com//they-called-us-enemy

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カリフォルニア州で従軍慰安婦像の設置をめぐる公聴会が開催された時、「従軍慰安婦の事実は存在しない。」と主張した日本側『証人』が、アメリカの議員に「恥を知れ!」と罵声を浴びせられたという記事を読んだことがあります。

『GRASS』に綴られている物語がアメリカ国内の共通認識として定着しつつあるのなら、日本人のメンツしか考えない日本側『証人』が罵声を浴びせられても仕方がありません。

                

この物語の一部を紹介されただけで、この問題が日本人がどうこう韓国人がどうこうという話ではないことを痛感させられます。

サイコパスという異常犯罪者から、行動分析や多様な精神分析が科学として発達したように、従軍慰安婦問題は人道に対する犯罪として『人類』が向き合わなければならないほどの問題だと思います。

アウシュヴィッツやダッハウのように。

                     

被害者は何十回、場合によっては何百回、人権を踏みにじられたかわからないからです。

その点についてまるで無感覚としか言いようのない日本人が多すぎることに暗然とさせられます。

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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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