ホーム » エッセイ » 日本の給与所得が低下、消費者支出に悪影響 – 日銀のインフレターゲットに暗雲
「アベノミクス」は企業の整備投資を増やすことには成功したが、労働者の賃金を引き上げるという課題には成功していない
消費者物価と賃金の低迷は、持続的成長によってインフレが進行するというシナリオが実現しなかったことを証明した
スタンリーホワイト / ロイター 2018年2月7日
2017年12月、日本の賃金水準が5カ月ぶりに低下しました。
給与所得の減少は消費支出の削減につながる可能性があり、日本銀行が設定している2%のインフレ目標の達成が増々危ういものになっています。
低迷したままの賃金はまた、毎年行われる春の労使交渉で企業側に3%の賃上げを求めている日本政府があらためて難しい課題に直面していることを示唆しています。
安倍晋三首相の経済政策「アベノミクス」は、企業の整備投資を増やし、女性を労働市場に引き入れることには成功しましたが、依然として企業に賃上げを促すという課題には成功していません。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券のシニア・マーケット・エコノミスト、藤内修二氏はつぎのように語りました。
「名目賃金の上昇率は価格にまったく追いついていません。」
「これはアベノミクスの開始以来、ずっと問題になっていることです。政府の3%の賃上げ目標を達成することには相当な困難が伴います。」
インフレ調整後の実質賃金は昨年の12月、前年同期と比較して0.5%下落したと労働省のデータが示しています。
前の月の11月は0.1%とわずかな上昇を示していしまたが、2017年7月に1.1%の年間最大の減少以来、最大の減少となったを記録しました。
2017年の年間の実質賃金はマイナス0.2%となり、0.7%の増加を記録した2016年と比較して対照的な結果となりました。
12月の名目上の現金収入は前年同期比0.7%増加しましたが、前月の0.9%に比べ増加のペースが遅くなったというデータが公開されました。
同じ統計によれば12月の名目上の現金収入は前年同期比0.7%増加になりましたが、前月の11月が0.9%の増加だったのに対し、増加の幅が縮小しています。
賞与を含む臨時収入は12月には0.7%増加、前月の11月には年率換算で7.8%増加しました。
これは多くの企業が12月からひと月前倒しして11月に年末賞与を支払ったためだと見られています。
企業活動の強さのバロメーターである時間外手当の支給額は12月に0.9%上昇しましたが、11月の年率換算1.9%に比べるとこちらも低下傾向にあります。
一方日本銀行の統計によると、昨年の4〜6月の日本の出力ギャップは需要が生産を上回る幅がこの9年間で最大になりました。
日銀の関係者と外部のエコノミストなどはこの結果を見て、価格の下落傾向が年末に向けて終息し、
インフレが加速する肯定的な兆候と捉えていました。
しかし明らかになった消費者物価と賃金のデータは、持続的成長によってインフレが進行するというシナリオが実現しなかったことを示すことになりました。
企業側は製品価格の引き上げにより価格動向に敏感な消費者離れが進むことを警戒していますが、日銀の当局者は好調な経済成長率によりインフレ局面への転換が進むことを期待しています。
日本政府による正式な発表は次週になりますが、ロイター通信社の独自調査では日本経済は2017年10月から12月にかけての第4四半期まで8期連続の成長を遂げる見通しであり、約30年ぶりの連続経済成長が見込まれています。
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【 ビットコイン : これから先の運命と時系列ごとの評価 】
代表的仮想通貨について何か大きな動きがあったのはいつ?そして何があったのか?
アーサー・サリバン / ドイチェ・ヴェレ 2018年2月6日
上がったものは必ず下がる
古(いにしえ)の知恵はこう語りました。
それはビットコインにも当てはまるのでしょうか?
その答えを探るため、仮想通貨(正しくは暗号化技術に基づく仮想通貨)の価値が下落を続ける現在に至るまでの経緯をグラフにしてみました。
その我々はこれまでの劇的な旅を描いています。
もしあなたが1年間俗世間とはかかわりのない世界に住んでいたのであれば、ビットコインの話は驚異的なはずです。
しかし現実世界で暮らし仮想通貨に関心を持ち、その可能性に大きな期待を抱いていた人々にとっても、今やその評価はかなり混乱したものになっているはずです。
仮想通貨全体の動きを象徴する何か指標のものは無いかと模索する人は、ビットコインのこれまでの動きに注目すべきかもしれません。
以下のグラフはビットコインの価格が2010年7月から現在までどのように変化したかを示すビットコインスペシャリスト、コインデスク(CoinDesk)のデータに基づくものです。
ほとんど素人に近いマーケットウォッチャーでさえ、そのパターンを見分けることは簡単なはずです。2014年まではほぼ横ばいの状態が続いた後、2017年初頭から突如起伏が急激に上がり始めます。
外見上これ程起伏が激しいのはニューヨークのマンハッタンの夜景以外ありません。
これまでビットコインに関連して何か大きな動きがあったのはいつ?そして何があったのでしょうか?
これまで転換点となった出来事のいくつかを振り返ってみましょう。
▽はじまり
2008年8月18日:
ドメイン名bitcoin.orgが登録されました。
何かが起こりそうな予感がありました。
3ヵ月後、中本哲名で「ピアツーピアの電子通貨システム」(Bitcoin:Peer-to-Peer Electronic Cash System)というタイトルの謎の論文がオンラインで公開されました。
2009年1月3日:
中本氏が本当のところどういう人物なのかは明らかにされていませんが、彼はビットコインの登場を効果的に演出することにより有望な鉱脈を掘り起こすことに成功しました。
恐らくは金融危機に対する憤りから、彼もしくは彼女は1年以上を費やして怒っていた彼は、31,000行に及ぶ複雑なソフトウェアを書きあげました。
その目的は、従来の銀行システムや金融政策の手が及ばない場所に金融市場を創り出すことでした。
2009年10月5日:
最初の米国でのビットコインの為替レートは、ニューリバティ・スタンダード(New Liberty Standard)というサイトから発行されました。
この時点で、1ビットコインは1USドルの約7%の価値しかありませんでした。
2010年5月22日:
ビットコインを使用した最初の商取引が行なわれました。
以前に以前ビットコイン・ソフトウェアの制作に関わったプログラマーが10,000ビットコインでの2枚のピザを購入したのです。
いわゆる「ビットコイン・コミュニティ」では、5月22日はビットコイン・ピザデイーとして知られています。
2010年8月15日:
ビットコインの脆弱性が悪用され、セキュリティをかいくぐって無制限にビットコインを作りだしました。
数時間以内に問題は解決され、バグによって生成されたビットコインはすべて削除されました。
▽上昇局面へ
2010年12月27日:
最初の1年をビットコインは1ビットコインあたり$ 0.29ドル(0.23ユーロ)という評価で終えました。ちょうど1年前の1セント未満のという価値と比べると大きな飛躍になりました。
2011年4月12日:
この年の2月に1ビットコインイコール1米ドルという水準を突破しましたが、一度下落したもののその後は1ドルを下回ることは無くなりました。
投資家、エコノミスト、ジャーナリストすべてがビットコインに対し継続的に関心を払うようになり、従来の支持層である一定の範囲を超えてますます注目を集めるようになりました。
2011年11月14日:
ビットコインの乱高下の初期の兆候は2011年にすでに明らかになっていました。
6月6日の22.59ドルという高値から11月14日までに2.26ドルになり、90%の値下がりとなりました。この崩壊は6月19日世界をリードするビットコインの交換所のひとつで東京に本拠を置くマウント・ゴックスがハッキングされた後発生しました。
最終的には対処されましたが、投資家を驚かせることになりました。
セキュリティ、不安定な価格、犯罪の対象になりやすいという性格に対する恐れから、ビットコインはデフレスパイラルに入りました。
2013年11月29日:
ビットコインは2012年を通じて着実に価値を回復し、2013年に入るときわめて早いペースで上昇し、年末に向けて大ブームを起こして10倍の値上がりを数週間のペースで達成しました。
背景にあったのは中国人投資家の急増だと考えられています。
11月下旬にピークを迎えますが、2014年に入ると少しずつ値下がりして行きました。
ビットコインの価値は今後3年の間は800〜200ドルの間で、荒い値動きを続けることになると見られています。
http://www.dw.com/en/bitcoin-charting-the-life-and-times-of-a-cryptocurrency/a-42470161