ホーム » エッセイ » 日本と韓国・何のため彼らは争うのか
報復の応酬を続け互いに傷口を広げ続ける日本と韓国
「慰安婦」の問題は依然として可燃性の高い状態のまま
英国BBC 2019年8月23日
外交・貿易関係のダメージが拡大している日本と韓国の報復の応酬が続く中、韓国は日本との軍事情報包括保護協定の破棄を決定しました。
日本が韓国に対し貿易優遇相手国の地位を剥奪した上、重要なエレクトロニクス部門に輸出規制を課した後のさらなる対抗措置とみられています。
日韓の緊張関係の始まりは歴史を100年以上遡ります。
韓国人は日本が朝鮮半島を占領していた時代に日本が犯した残虐行為に対する賠償を望んでいます。
一方、日本側はこの問題はすでに解決済みだという立場を取っています。
▽ 影響はどこまで及ぶのか?
ムン・ジェイン政権は、安倍政権が行った対韓国輸出規制強化の決定が両国間の安全保障協力関係に「重大な」変化をもたらしたため、情報共有協定を終わらせることに決めたと発表しました。
日本の河野太郎外相は韓国政府の決定について「現在の地域安全保障環境を完全に見誤った判断」と批判し、日本政府は韓国政府に「強く抗議する」と述べました。
北朝鮮のミサイル開発を追跡することを視野に含め3年前にこの協定の成立を推進したアメリカ政府は、この時点で反応を明らかにしていません。
8月上旬、安倍政権は韓国を貿易優遇対処国のリストから削除すると発表し、これを受けムン・ジェイン政権も日本に対し同様の措置をとりました。
7月、日本はメモリーチップとディスプレイ画面に使用される材料について、韓国に対し輸出規制を課しました。
これらの材料はサムスンのような韓国企業にとって不可欠です。
日韓の貿易上のいさかいが世界中の電子機器市場に悪影響を与える可能性があるという懸念から株式市況は下落しました。
今回の外交関係の急激な悪化は、昨年、韓国の最高裁判所が日本企業に対し第二次世界大戦中に強制労働を課された韓国人への補償を命じた判決が発端となりました。
関係する企業の1つである三菱重工業は韓国の裁判所命令の受け入れを拒否したと伝えられていますが、他の日本企業2社は韓国内の資産を差し押さえられました。
この問題については韓国の多数の人々が怒りを発し、日本製品のボイコットに発展しています。
一人の男性は自分が所有する日本製の車を叩きこわしました。
▽ 日本と韓国、いさかいの歴史
両国の関係は歴史的に見ても込み入っています。
記録が残っている分だけでも、両国は7世紀以降繰り返し戦い続けてきました。
それ以来、日本は朝鮮半島への侵入を繰り返し試みてきました。
1910年に日本は韓国を併合し、朝鮮半島全土を植民地に変えました。
第二次世界大戦が始まった時点でアジア各地から何万人もの女性が集められ、日本兵向けの売春婦として軍専用の売春宿に送りこまれました。
「慰安婦」の名称で知られるこれらの犠牲者の多くが韓国人女性でした。
さらに数百万人に上る韓国人男性も、戦争遂行のための強制労働者として「徴用」されたのです。
こうした日本の朝鮮支配は、第二次世界大戦に敗北した1945年に終了しました。
日本の敗北から20年後の1965年、韓国の朴正煕(パク・チョンヒ)大統領は、数億ドルの無償資金と借款と引き換えに日韓両国の関係正常化に同意しました。
しかし「慰安婦」の問題は依然として可燃性の高い状態のままです。
日本政府は外交関係を回復し日本が約11億ドルの無償資金と借款を提供した1965年の日韓基本条約の成立により問題を解決ずみだと主張しています。
しかし現実は解決にはほど遠い状況です。
▽ 日本と韓国、解決が見えない関係
最終的に2015年に日韓両政府により合意が形成されました。
日本は謝罪し、被害者に資金を提供するために10億円の資金提供を行うことを約束しました。
「日本と韓国は今、新しい時代に入っています」
日本の安倍首相は当時の記者会見でこ語りました。
「この問題を次世代に引き継ぐべきではありません。」
しかし韓国の活動家は韓国政府から何の相談もなかったと主張し受け入れを拒否しました。
2017年に大統領に選出されたムン・ジェイン大統領は、就任後この合意の見直しを提案しました。
歴史問題に関する議論が百出する状況の中、日韓両国ともに妥協する様子は見えません。
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【 日本で搾取労働を強いられる『外国人実習生』】
『技能実習制度』の美名の下、朝6時30分から夜中まで6か月間一日も休まず働かされた
5年間で157人の『技能実習生』が死亡、17人が自殺…実際の数はそれを上回る…
英国BBC 2019年8月25日
日本の海外からの労働者受け入れ制度は、多数の労働者が搾取の対象にされているという報告が行われ、厳しい批判にさらされています。
BBCは海外からの出稼ぎ労働者を取材しましたが、彼らは低賃金で酷使されている現状を訴え、その一部は国際的に世界的に有名なブランドの衣服の製作に従事していることを確認しました。
BBCの人口問題に詳しいレポーターであるステファニー・ヘガーティは他の業界の労働者も危険な労働環境やいじめなどの虐待などを受けていると報告しています。
https://www.bbc.com/news/av/world-asia-49448757/migrant-worker
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ここまでこじれてしまえば歴史問題には決着がつきそうにありませんが、70年前の日本で『徴用工』- 強制労働、従軍慰安婦 - 強制売春の問題があったのか、無かったのか、ということになれば、2段目の【日本で搾取労働を強いられる『外国人実習生』】の報道を見れば、世界の人々が出すであろう結論は見えてきます。
8月25日時点のBBCのサイトでは【日本で搾取労働を強いられる『外国人実習生』】は Video Top Stories のナンバー2、そして Must See でも2番目にランクされていました。
「最先進国」と言われる現代の日本においてこうした告発が後を絶たないのであれば、70年前の帝国主義国家・大日本帝国において強制労働、強制売春が行われていてもどんな不思議もない、世界中の人々がそう思うに違いありません。