「再処理計画は実現不可能!」フランスは『核燃料サイクル計画の放棄』を発表、共同開発を希望していた日本を痛撃
福島第一原発の事故収束・廃炉には8兆円を超える費用、第二原発の廃炉の同時進行は可能なのか?
山口まり / AP 2019年9月2日
2018年11月28日静岡県御前崎市の中部電力浜岡原子力発電所の原子炉2号機を解体する作業員。
日本の原子力政策決定機関は、日本が大規模な原子力発電所の廃止措置の時代に入っており、安全対策の徹底と数十年の作業期間に加え数千億円という巨額の費用を必要とする作業について、予め計画を完備するよう各電力会社に促す内容の報告書を採択しました。
日本では現在24基のすべての商業用原子炉の40%にあたる24基の原子炉の廃炉が計画されています。
その中には2011年に東北地方を襲った巨大地震と巨大津波により深刻な被害を受けた福島第一原発の4基の原子炉が含まれています。
日本原子力委員会で今年採択された年次原子力白書は、電力事業者に米国と欧州の事例、特にドイツ、フランス、英国の事例から学ぶよう強く促しています。
日本はまだ原子炉の廃炉措置を完させた経験が無く、放射性核廃棄物の最終処分についての具体的な計画もありません。
「廃止される原子力施設が今後さらに増加することを考慮し、一連の作業を効率的かつ円滑に実行するために新しい技術とシステムを開発する必要がある。」
報告書にはこう記述されています。
「これは我々が前進させ取り組まなければならない、すべてがまったく新しい段階である。」
日本の電力会社は、福島第一原発の事故後に導入された安全基準をクリアするための改良作業に投資する代わり、老朽化した原子炉を廃棄する選択を行いました。
もっとも一般的な原子炉の場合、その廃炉措置には約600億円の費用と数十年の作業期間が必要です。
日本政府が運営する日本原子力研究開発機構が明らかにした79の原子力研究施設の約半分を廃棄する計画に言及し、報告書は原子力に関する基礎研究が弱体化することについての懸念を提起しました。
福島第一原発の事故以前、日本には60基の商業用原子炉があり、国内の電力需要の約25%を供給していました。
安倍政権は新しい原子力発電所の建設すら視野に入れた原子力発電の推進政策をとっていますが、原子力規制当局が時間をかけて検査を行っているため、原子炉の再起動はゆっくりとしか進んでいません。
一方、原子力発電の継続に反対する感情は日本国民の中に根強く、電力会社が原子力発電の継続のために施設の改良工事等を行う際に現地の同意を取り付けることが一層困難になっています。
中でも放射性核廃棄物の貯蔵に関連する計画はいかなるものであっても、強い抵抗を受ける傾向があります。
福島第一原発の事故以降、日本国内で再稼働した原子炉は9基にとどまり、安倍政権が目指す野心的20~22%の強引な目標と比較すると、その割合は全電力供給の約3%に過ぎません。
東京電力ホールディングスは2月、2011年の東日本大震災の際メルトダウン事故をかろうじて免れた福島第二原発の原子炉4基すべてを廃炉にする計画を発表しました。
地元の住民と自治体は福島第一原発の事故以降ずっと福島第二原発の廃止を求めてきましたが、8年が経ってやっと結論が出ました。
東京電力は福島第二原発の廃炉だけで4,100億円の費用と40年という時間がかかると語っています。
しかし専門家は、現在、廃墟と化した福島第一原発の現場で事故収束・廃炉のために絶えず数多くの難問を抱え込んでいる東京電力にとって、この数字が現実的なのかどうか懸念を表明しました。
福島第一原発の事故収束・廃炉には8兆円を超える費用がかかると見積もられています。
2001年から東海原子力発電所の廃炉作業を続けている日本原子力発電は、作業完了予定を5年間、2030年まで完了時期を延期すると発表しました。
これは同社が原子炉炉心から高放射性廃棄物を取り出すことができずにいる上、保管方法も見つかっていないためです。
この日本政府が運営していた東海核燃料再処理施設の廃止措置には70年かかり、費用は7,700億円に上ることが予想されています。
さらに日本については備蓄量が47トンに達しているプルトニウムについて国際社会の懸念が高まっているにもかかわらず、原子力白書は核燃料サイクル計画と高速増殖炉の開発計画を推進すると述べています。
これに対し原子力委員会はプルトニウムの備蓄量を減らし、事実をありのままに公にするべきであると述べています。
フランスは最近になって、理論的に燃料として使った以上のプルトニウムを生成する次世代高速増殖炉・ASTRID計画の放棄を公表しました。
再処理技術を共同開発することを望んでいた日本にとって、大きな痛手となる可能性があります。
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日本という国が原子力発電を止められないのは、科学的になにか根拠があるからではなく、そこに群がって汚れた利権を漁り続ける人間たちがいるからだということが、8年間福島第一原発事故に関する海外メディアの記事を翻訳し続けてきた結果、私の中に出来上がった答えです。