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日本では政治は老人のためのビジネス
他の多くの国会議員同様、父親が政界を引退したタイミングで国政の議席を世襲
エコノミスト 2019年5月21日
日本の国会議員を一渡り見渡せば、すぐにわかることがあります。
日本では政治は老人のためのビジネスです。
国会議員の平均年齢は55歳前後のまま固定化しており、歴代首相の平均年齢ともなればさらにそれを上回っています。
だからこそ、次期首相の有力候補の一人に38歳の小泉進次郎氏(例によって男性です)がいると話題にすることは人々にとってゾクゾクすることなのです。
政権与党である自民党の規約によれば、現職の安倍首相の任期は2021年までです。
小泉氏は、著名な元首相(自民党党首)の息子であり、そして他の多くの国会議員同様、父親が政界を引退したタイミングでその議席を世襲しました。
しかしながら議員として選出されて以降の10年間、彼は自身の力によって政治家としての名声を高めてきました。
カリスマ性を持つ優れた雄弁家であり、非常に率直である進次郎氏が理想とするのはジョン・F・ケネディであり、その肖像写真が自分の部屋の壁に貼られています。
ケネディを敬愛するのは、彼が「メディアではなく人々に向かって語りかけた」理想的な政治家だからです。
進次郎氏は映画スターのような容貌に恵まれ(実際に彼の兄は俳優です)、高級雑誌の表紙にも登場することもあります。
進次郎氏は内閣の閣僚経験はありませんが、自らの人物についてスター性だけでなく、政治家としての実力を示そうとしてきました。
政府関係の仕事の中で彼が果たした最も重要な役割は、2011年に発生した東日本大震災の復興事業の取り組みについての監視業務ですが、周囲の評価は悪いものではありません。
彼はまた、医療改革や年金改革の熱心な支持者であり、日本が高齢化と人口減少問題を克服することができれば、困難な状況を克服できる可能性があると主張しています。
やり方の例として彼は働く期間を延長し、子育てをもっと楽にするための環境整備をすることなどによって、日本全体の社会資本を高齢世代から若い世代に移管すべきだと訴えています。
彼はコロンビア大学で修士号を取得し、流暢に英語を話せる、日本の国会議員の中では珍しい存在です。
しかし慣習を打ち壊してしまうほどではありません。
彼はほとんどの政治家同様、この国の人口現象が引き起こすこの国の様々な問題を解決するための移民の受け入れを拒否しています。
他の社会問題については態度が曖昧です。
しかし多様性は尊重すると語っています。
「もしアメリカに行っていなかったら、私は多様性とは何かということを本質的に理解できなかっただろうと思います。」
「日本に居てそのことを肌で感じとることは困難です。」
多くの日本人は進次郎氏が最終的に自民党総裁、すなわち日本の首相になることは時間の問題だと考えています。
問題はそれがいつなのかということです。
自民党の総裁は党の所属議員と一般党員の投票によって決まります。
一般国民の間では進次郎氏はもっとも人気が高い総裁候補であり、メディアは彼を日本のマクロンと呼んでいます。
こうした状況から彼のライバルとなり得る候補者は現れにくくなっています。
評論家などは進次郎氏に対する一般国民の支持は十分だと太鼓判を押していますが、党内で十分な支持を固めるための道のりはそれほど単純ではありません。
進次郎氏は安倍首相の政治方針を賞賛してはいますが、2012年と2018年の総裁選挙では安倍氏には投票しませんでした。
進次郎氏は2021年の総裁選に立候補するかどうかについては、「ええ、まあ…。」と言葉を濁し、一切語ろうとしません。
そして若い人々の政治離れが進む一方、他のどの政党よりも自民党が若い人々の支持を集めていると語りました。
「これから日本はもっと多くの若い政治家を歓迎するようになりつつあります。」
自分の利害を表に出さないよう、進次郎氏は上手な言い回しを使いました。
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日本では政治家を選ぶのに贔屓の役者か何かを決めるようなやり方をする人が多数いるようです。
それでは『知と正義』が司る政治の下で国民が平等に幸せになることなどあり得るはずもなく、現に安倍政権の下で経済的格差が拡大を続けています。
それでもなお選挙の際に『テレビの有名人』や『良家の後継者』に票を入れたがる国民性を見て、日本人が民主主義と言うものを全く大切にしていないということを痛感させられます。
これではジョン・F・ケネディもロバート・ケネディも登場しようがありません。
それはとりもなおさず、日本の民主主義は劣化を続けるということではないでしょうか?
参議院戦が始まりました。
日本は没落途上国という表現があるそうですが、これ以上自分たちも子供たちもその子供たちも不幸にならないために、選挙に行って明確な意思表示をしなければなりません。