ホーム » エッセイ » 世界の富裕層 : 上位1%の人間が独占する富はどのくらい?
1%の最富裕層が握る富の割合は、世界的には低下傾向
富裕層上位1%のメンバー、約40パーセントはアメリカの住人
エコノミスト 2018年10月25日
中国共産党が国の支配権を手にする直前の1948年、李兆基(リー・シャオキー)氏は中国本土から香港に逃れました。
1976年、彼は後にエドワード・スノーデンがアメリカの国家安全保障の秘密を暴露する舞台となるホテルが入る香港で一番高い高層ビルを開発した不動産開発会社、ヘンダーソン・ランド・デベロップメントを設立しました。
ビジネス雑誌のフォーブスによると、李氏は世界で27番目の富豪ということになっています。
李氏、そして彼を上回る世界の富豪と26人が握る資産は合計で1.39兆ドル(約157兆円)になります。
これは現在の世界で資産額が下半分の人々の資産をすべて足した金額を上回っています。
このような驚くべき結果を広く世界に知らせることになった比較を行っているのは、慈善団体であるOxfam(オックスファム)です。
オックスファム・インターナショナルは世界90カ国以上で、貧困と不正を根絶するための持続的な支援・活動を展開している団体です。
彼らが計算の根拠として用いるのがアメリカの経済誌フォーブスが公表する世界の億万長者ランキングとクレディスイス研究所が公開している世帯ごとの資産に関する年次報告書です。
しかしこうした資料に基づくデータの精度には問題があります。
世界規模で集計された資産(個人の正味金融資産と保有財産を含みます)に関するデータによって世界の億万長者の資産内容を明らかにしようとしても、その資産内容は香流のばらつきがあるためです。
クレディ・スイス・レポートの発行責任者であるトニー・ショロックス氏は、世界で資産額が下半分の人々の資産をすべて足した金額は地球上のすべての資産合計額の1パーセント以下でしかないと確信していますが、それ以上に正確な数値を明らかにすることは不可能に近いことです。
しかしデータの信頼性は改善が進んでいます。
昨年のクレディ・スイスの報告書によれば、最も富裕な上位1%以内の人々が世界の富の半分以上を握っているという事実には間違いがないようです。(上のグラフを参照)。
しかしさらに改良された資産方法によれば、上位1パーセントのシェアは現在が頂点である、あるいは今後水平に推移するものとみられています。
2016年から2018年の間、ブラジル、イギリス、フランス、ドイツ、インド、ロシアの富裕な上位1%以内の人々の占有割合は低下傾向にあります。
一方、アメリカ、カナダ、中国、イタリア、日本では増えも減りもしませんでした。
上位1%のメンバーになるためには、現在、87万ドル(約1億円)以上の純資産が必要です。
この幸せな人々の約40パーセントがアメリカの住人たちです。
そして過去には2番目に多かったのが日本でした。
しかし今年は8.4%が住む中国が第2位に上がりました(このほか、香港に0.4%が在住)。
中国における富の急速な蓄積は急速な産業の発展と李氏のような人々の野心のたまものです。
1970年代、李氏は新しい会社に賢明にもスコットランド風の名前をつけました。
おそらくスコットランド人が富を築き管理する能力が高いという世評に基づく命名であったでしょう。
しかし中国は今や、英国全土に比べて百万人以上も多い富裕層が暮らす場所になっているのてす。
https://www.economist.com/finance-and-economics/2018/10/27/the-wealth-of-the-top-1-may-have-peaked
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先日、まさに中国の富裕層の友人が自宅を訪ねてきました。
彼は中国北西部の医科大学を卒業後、日本に来てまず日本語を2年間学んだ後、東北大学医学部に留学しました。
このタイミングで彼と知り合ったのですが、友人といっても20歳ほど歳下です。
東日本大震災の際、結婚して間もない中国南東部出身の奥さんと3週間ほど我が家で避難生活を送ったのがきっかけで、家族ぐるみ生涯の付き合い(おそらく)になりました。
家はもともと富裕で父親は大学教授、母親は学校経営。
奥さんも父親は中国共産党の地方の幹部、母親が国語教師という家庭でした。
2012年に二人が日本に戻って来た際、一緒に来日した奥さんのご両親が我が家を訪ねてきて、私たち家族が事故収束の見通しの立たない福島第一原発の近くで生活しているのは忍びない。
ついては北西部の大都市にマンションを一戸無償で提供すべく用意したので、そこに来て暮らさないか、と言われました。
ご好意はありがたかったのですが、家族4人とも中国に渡ってどう生きていけば良いのか算段のつけようもなく、丁重にご辞退申し上げました。
一旦4人で中国に戻った後友人は再び来日し、日本の医療機関で検査技師として働き(中国の医師免許は日本では医師として働けないため、そして彼自身は中国の苛烈な競争社会で生きるのを嫌っていたため)、奥さんとその後生まれた2人の息子さんは日本と中国を行ったり来たりとい生活を送っていました。
ところが学校(短大と専門学校)経営をしていた母親の心労著しく体調を崩し、なんとか中国に戻って家業を手伝って欲しい、という懇請で今年夏、家族全員で中国に帰りました。
日本では普通の勤め人だった彼が中国に戻って学校経営を引き継ぐと、たちまちこの記事の『世界の上位1パーセント』の仲間入りをしました。
ところがその生活は目の回る忙しさだそうです。
学園の経営に加え、資産1奥円以上の事業家のグループでの研修やセミナーもあり、毎日時間に追われていると語っていました。
実は母親が体調を崩したのは、中国の地方政府当局者への賄賂、これを一つ残らず完璧にこなさなければならない、それが最大の原因だと言っていました。
ものすごく気を使っていたにもかかわらず、結局は地方政府の要人に難癖をつけられ、2つの学校のうち短大の方を理不尽にも実質無償で取り上げられてしまい、この時はさすがに心神耗弱で入院を余儀なくされたそうです。
今は友人が母親に代わり残った専門学校の経営に専念していますが、その日常は『大変』の一言に尽きる、とこぼしていました。
翻って退職後1年目の私の日常といえば、毎日庭にやってくるスズメ、キジバト、シジュウカラが一日3回、迷い猫からそのまま野良になったニャンコが一日2〜3回、そして家の中にいる2種類のインコ、6種類の生き物全員と自分の食糧確保が至上命題です。
それと薬剤師として現役で働く妻に代わって食事以外の家事一般。
そして『星の金貨』
結構時間に追われる毎日ですが、『心労』というほどものはありません。
その代わり『世界の上位1パーセント』とは無縁の暮らし。
どちらが幸せかは私にはわかりませんし、わかる必要もないと思っています。