ホーム » エッセイ » カルロス・ゴーン : かつての側近を後に残して脱出、今後焦点となるのは?
日産の元最高経営責任者の海外逃亡、批判が集まる日本の人質司法
『人質司法』制度の下で容疑者は長期間拘禁され、弁護士の立会いなしに尋問される
ジャスパー・ジョリー/ ガーディアン 2019年12月31日
レバノンへの海外逃亡が明らかになり、カルロス・ゴーン氏はもはや日本の司法の手の届かないところに行ってしまったようですが、一人取り残されたかつての側近グレッグ・ケリー氏の今後の運命も含め、ゴーン氏の脱出劇は多くの疑問を投げかけています。
63歳のケリー氏は日本国内で保釈中のまま、ゴーン氏と同じ容疑で裁判を待っています。
日産側はアメリカ人のケリー氏がかつての上司の不正行為に「深く関与していた」と非難しています。
不正行為の中にはゴーン氏の報酬の過少申告が含まれていますが、日本の検察当局の対応は行き過ぎだという批判に直面していました。
ゴーン氏もケリー氏もすべての容疑を否定しています。
弁護士としての実績を積み重ねていたケリー氏は1988年に日産に入社しましが、自動車メーカーの人事部門に所属し着実に昇進を重ねました。
ゴーン氏は苦境に立っていた日産の経営を立て直すために1999年に社長に就任、ケリー氏というに人材を高く評価した結果、ケリー氏は2012年6月に日産の取締役に就任した初のアメリカ人になりました。
米国証券取引委員会は9月、米国証券取引委員会はゴーン氏の約100億円を超える役員報酬を隠蔽するためにケリー氏が「実質的な支援」を提供し、さらに退職金として60億円以上を積み増す行為にも加担したと述べました。
これに対しケリー氏は罪状認否を行わないまま、米国証券取引委員会と10万ドルの課徴金を支払うことで和解し、5年間米国の会社の取締役に就任することを禁止されました。
ケリー氏は2018年のクリスマスの日に、ゴーン氏も長期にわたり収監されていた東京拘置所から保釈されました。
ゴーン氏の逃亡により、その元右腕であったケリー氏の裁判はいやが上でも注目を集めることになりそうです。
また日本の悪名高い過酷な司法制度に対しても、改めて厳しい視線が集まることになりそうです、
専門家は日本の司法制度は経済的にも豊かな世界の最先進国のものとしてふさわしいものではないと語っています。
さらに日本は犯罪で起訴された人間の有罪判決率が99.8%ということが広く知れ渡っていますが、裁判所は検察官に過度の信頼を与えすぎているとの批判も起きています。
さらに日本は重大犯罪の予防策として死刑制度を存続させていることでも知られています。
2019年4月には、ゴーンの弁護士である弘中惇一郎氏を含む1,000人以上の日本の学者と弁護士が、日本の『人質司法』制度を批判するヒューマン・ライツ・ウォッチが作成した書簡に署名しました。
『人質司法』制度の下で容疑者は長期間拘禁され、弁護士の立会いなしに尋問され、ゴーン氏の場合と同様に家族との面会も禁止されます。
非政府組織の事務局長であるケネス・ロス氏は次のように語りました。
「カルロス・ゴーン氏が逃亡という手段を選択した日本の司法制度の実態は、妻との面会すら許されませんでした。これは法の下での習慣鉄付きを逸脱してでも自白を強要する圧力をかけるための手段の一つだったのです。」
さらにゴーン事件は、23日間の拘留制限が濫用された可能性がある事実を際立たせることにもなりました。
検察官は尋問を続けるために、告発内容のわずかな変更を理由に容疑者を再三にわたり再逮捕していました。
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英国BBCの電子版にも今日づけで、弘中弁護士も「寝耳に水で驚いている」という記事が掲載されました。
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一方では『楽器のケースに隠れて自宅を脱出した』状況について、その様子が詳述されていますが、要はもうこれ以上日本の人質司法による『不正義と政治的迫害』(injustice and political persecution)、つまりは人権蹂躙に耐えられないということなのでしょう。
日本では戦前戦中の特高警察の拷問により多くの人が殺害されたり障害者にされましたが、現代の日本の検察もその体質を引き継いでいるのでしょうか?
PTSDを発症するほどに容疑者を精神的に追い詰めるのは、明らかに行き過ぎです。