星の金貨 new

星の金貨 東日本大震災や音楽、語学、ゴルフについて語るブログです。

ホーム » エッセイ » アメリカのガン多発地区の住民 日本の化学会社と対決

アメリカのガン多発地区の住民 日本の化学会社と対決

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

所要時間 約 10分

広告
広告

                 

ミシシッピ川流域大気汚染問題 / 周辺住民の運動が一気に激化・住民代表が来日
がん発症リスクが50倍・衝撃のデータ公開直前、米国巨大化学企業デュポンが日本企業デンカに売却

                

ギャビン・ブレア(東京)、オリバー・ラフランド(ニューヨーク)/ ガーディアン 2019年6月26日

                 

ルイジアナ州リザーブ(バトンルージュ南西)の住民の代表が、癌その他の一連の重篤な病気が多発している原因であると言われる化学工場を運営している日本企業の幹部や株主と対決するため、東京を訪れました。
米国環境保護庁(EPA)によると、ルイジアナ州リザーブはアメリカ国内で大気汚染による癌発症の危険性が最も高い場所です。

               

住民たちは今回の訪日でリザーブのポンチャートレイン・ワークス・ファシリティ(工場)を運営する化学企業大手デンカの法人株主と環境保護団体とのパブリック・ミーティング、そして非公開の場での会合が含まれています。
この工場は大気汚染問題の解決を求める周辺住民の運動を一気に激化させることになりました。

                  

ガーディアンが長年取り組んできた企画『ガン多発地区』シリーズは大気汚染の問題と戦うキャンペーンの検証を行ってきました。
ニューオリンズとバトンルージュ間は『ガン多発』地区が帯状につながっていることで知られる場所ですが、中でもルイジアナ州リザーブは状況が深刻です。

               

ポンチャートレイン工場は化学品大手デュポンによって1968年に開設され、2015年に日本企業のデンカに売却されました。
合成クロロプレンから合成ゴムのネオプレンを製造するアメリカ国内で唯一の製造施設です。
合成クロロプレンは発がん性が疑われる物質としてアメリカ政府がレストアップしています。

              

2015年に米国環境保護庁(EPA)はこの工場から排出される化学物質により大気が汚染され、住民は米国内のいかなる場所と比較しても高いガン発症リスクにさらされている判断しました。

                 

今回来日した住民の一人であるロバート・テイラー氏はこの工場が操業を開始した1968年に若い家族とともに家を新築しました。
彼はミシシッピ川に沿って林立する他の石油化学プラント工場同様、問題の工場が主に黒人と労働者階級のコミュニティであるバプテティスト聖ヨハネ教区の真ん中に位置していることを指摘しました。

                 

「私たちは未だに差別されています。そうしたことはアメリカ社会の変わらぬ一断面の一つににすぎません。」
テイラー氏は東京のパシフィックアジア・リソースセンターで開かれたパブリックイベントでこう語りました。

                  

先週、テイラー氏とその同僚で1年前にガンで死亡したウォルターを夫に持つリディア・ジェラードさんは、東京中心部で開催されたデンカの年次株主総会で直接この事実について証拠を挙げて抗議しようとしました。
しかし会場の外で『デンカの企業人との全面対決』を行ったために会場内に入ることを拒否され、 外での抗議活動を行うことなった、こう説明したのは今回の訪日を企画したアメリカの市民活動グループ、人権のための大学ネットワーク(UNHR)のルハン・ナグラさんです。
「私たちは英語と日本語で書かれた『デンカよ、黒人を中毒させることを中止せよ』との巨大なバナーを掲示し、同趣旨のチラシを配李ました。」
ナグラさんがこう語りました。

                   

地元住民は健康の悪化について工場から排出される汚染物質との関連性を長い間疑ってきましたが、何十年もの間、クロロプレン特有の健康リスクについては知識がなかったと、テイラー氏が6月24日に東京で開催された公開会議の場で語りました。

              

「私たちは聞いたこともない病気、ガン、呼吸器系の疾患、皮膚疾患、心臓の病気に蝕まれるようになりました。」
「私の娘は看護師ですが、彼女もまた病魔から逃れることはできませんでした。こうした人々の看護をするうち、自分自身も胃不全まひを発症してしまったのです。
こう語るテイラー氏自身も胃に不調を抱えています。

                 

「医師の判断ではこれらの疾患は工場による大気汚染が原因の、非常に珍しい免疫機能障害だということです。しかし公に記録されることはないでしょう。しかし私たちが住むコミュニティでは同じ症状を発症した女性が3人います。」

                

化学企業大手のデュポンは半世紀近くこのプラントを操業してきましたが、EPAの報告書の中でアメリカ国内のすべての工場周辺におけるがん発症リスクについて調査した結果、ポンチャートレイン・ワークス・ファシリティ周辺のがん発症リスクが全国平均の50倍に上るという報告が公表される直前、デンカに売却しました。

    

ルイジアナ州政府は環境行政の緩さで悪評を得ていますが、6月初旬この工場による大気汚染防止法違反容疑でデンカとデュポンの両社に対し訴訟を起こす意向であることを発表しました。

                   

人権のための大学ネットワーク(UNHR)は訪日前にデンカと連絡を取ろうとしましたが、同社は米国子会社の行為について責任はないと回答しました。
こうした主張にもかかわらず、デンカは株主総会の前日になってウェブサイト上で米国子会社の操業状況について弁護士、以下の声明文を公開しました。
「クロロプレンの発がんリスクレベルについては過大に見積もられている。」

               

「デンカは米国環境保護庁(EPA)の見解とクロロプレンには発ガン性があるという見解を持つ科学者全員に異議を唱えています。」
デンカが面会を拒否したにもかかわらず、ガンで夫を亡くしたジェラードさんは今回の訪日には一定の価値があると考えると語りました。
「私たちが問題から逃げ出すつもりもないし、泣き寝入りするつもりもないということをデンカには肝に銘じてもらいたいと思います。」

                    

                

一連の抗議は日本最大の報道機関である共同通信によって取り上げられ、その後、いくつかの地方紙によって取り上げられましたが、大手メディアは一切取り上げませんでした。
人権のための大学ネットワーク(UNHR)は、来月デンカの工場周辺の500世帯の健康健康状況について調査した報告書を公表する予定ですが、それによって状況が変わることを望んでいます。
報告書は工場に近づけば近づくほど健康問題が悪化し、ガンの発症率は統計的に正常とされる値をはるかに上回っています。

                

代表団は今週法人名を公表しないことを条件に東京都内の2社の法人株主と会談しました。
一方、UNHRはヨーロッパ、アメリカ国内の株主と連絡を取り、工場周辺に住む人々が危険な状況に置かれていることについて説明することを計画しています。

https://www.theguardian.com/us-news/2019/jun/26/cancer-town-denka-pontchartrain-works-reserve-louisiana

  + - + - + - + - + - + - + - + 

                 

日本国内なら企業が何をしても大概はアベ政治のような仕組みが地位保全に力を貸してくれるでしょうが、アメリカ国内でしかも州当局まで敵に回してしまって先行きどうなのでしょうか?

アメリカでの不良品製造販売が原因で結局は立ち行かなくなってしまったシートベルトの世界的企業タカタの倒産劇が脳裏をかすめます。

それにしても決定的に不利な問題が明るみに出る直前に、その工場を日本企業に買わせるアメリカ巨大企業の狡猾さには唖然とするばかりです。

そして日本企業の先見性の無さ、愚かさも際立ちます。

            

大量のF35の購入を迫られてただでさえ危機的状況の日本の国庫から巨額の税金をつぎ込む安倍政権、国も国なら企業も企業だというところでしょうか。

広告
広告

 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事に関連する記事一覧

このサイトについて
ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
最近の投稿
@idonochawanツィート
アーカイブ
広告
広告
カテゴリー
メタ情報