ホーム » エッセイ » 【 70周年首相声明文、原案を起草するための委員会が初会合 】
戦争終結50周年村山声明、60周年小泉声明、そして70周年、日本の姿勢はどう変化するのか
日本は過去の経験から何を学んだのか?戦後の国際平和にどのように貢献をしてきたのか?
AP通信 / ガーディアン 2月26日
今年8月、安倍首相は第二次世界大戦(太平洋戦争)終結(敗戦)70周年の節目を記念する演説を行うことになっています。
戦争中の日本の行為について日本政府として謝罪を行った50周年の村山首相、60周年の小泉首相が行なった演説と比較し、安倍首相が行う演説は謝罪については形ばかりのものになってしまうだろうという憶測が広がっています。
そんな中70周年演説の内容をどうすべきかを検討するため、安倍首相が任命した委員による初会合が開催されました。
戦争終結50周年を迎えた1995年、村山富市首相が当時の国際社会において画期的と評価されることになる、日本政府として初めて戦争中の日本の植民地支配と侵略について認め謝罪する声明を発表しました。
2005年当時の小泉純一郎首相もこの姿勢を引き継ぎ、政府としての謝罪を行いました。
鍵となる疑問は、安倍首相は自身の声明の中で果たして「植民地支配」と「侵略」という言葉を使うかどうかという点にあります。
安倍首相は8月15日の終戦記念日に行うべき演説の内容について助言を行う委員会のメンバーとして、学識経験者10名、財界の指導的立場にある3名、ジャーナリスト2名、そして海外援助の活動家1名を選びました。
安倍首相はこれらの委員に対し、日本が過去の経験から何を学んだのか、戦後国際平和にどのように貢献をしてきたのか、そしてこれからアジア地区、そして国際社会においてどのような貢献を果たしていくべきかの意見を求めました。
安倍首相は謝罪については言及せず、委員会のメンバーは過去に村山内閣、小泉内閣が用いた特定の言葉に縛られることは無いと語りました。
2012年末に首相に就任した安倍首相は始め、1995年の声明、すなわち村山談話を政府として修正する意向を明らかにし、中国と韓国の反発を招きました。
情勢を見て安倍内閣は謝罪するという姿勢に変わりは無いとしながらも、『前向き』の声明に内容を改めたいという意向を明らかにし、これがために安倍首相は声明において、謝罪姿勢について曖昧なものにするつもりであるという観測が広がっているのです。
安倍首相お気に入りの学者のひとりで、員会の委員会の副委員長を務める国際政治学が専門の北岡伸一教授は次のように語りました。
「首相が発表する70周年記念日の声明は、政治的にも外交上もきわめての重要な意味を持っています。私たちはまずその事を念頭に置かなければなりません。」
北岡教授は委員会は安倍首相の声明について部分的な提案を行うのであって、全文の決定を行う訳ではないと語りました。
委員会のメンバーの約3分の1は北岡教授のように通常も安倍首相の顧問的な立場にある人々ですが、極端に右寄りの思想を持つ安倍氏従来の支持基盤の人間は含まれていません。
中道的立場を取るアジアの専門学者である白石隆氏と川島真氏、そして中立報道・自由主義報道の立場を取る毎日新聞のジャーナリストが選ばれたことは委員会に多少はバランス感を持たせています。
しかし一部のメンバーには歴史の修正主義者としての言動が目立ちます。
国家安全保障問題を専門とするシンクタンクの幹部である西原正氏は、第二次世界大戦中の従軍慰安婦問題について、「韓国内でねつ造されたものだ。」
との記述があります。
実業家の堀義人氏は、太平洋戦争は侵略戦争ではなく防衛戦争の一種であったと語ったことがあり、中国、韓国両政府から抗議文を受け取ったことがあります。
中国の外相は国連で開催された市民討論会の場で、「過去の侵略戦争を美化するような行為」はあってはならないと警告しました。
韓国外務省は、安倍首相の声明が過去の謝罪を否定するべきではないとの声明を発しました。
アメリカ政府は、中国、韓国の反発を招く結果となっている日本政府内の戦時史に関する論調に懸念を表明しました。
首相声明を巡る議論は、戦後70年の節目を迎える日本国内で対立する国内世論を反映しています。
一方は日本の戦争犯罪に関する報告は虚偽である、あるいは誇張されたものであるとし、これを機会に国家としての誇りを取り戻すべきであると主張しています。
他方は今後も平和憲法を守り通したいと願う自由主義者の人びとです。
彼らは韓国の植民地支配、中国や東南アジアに対する侵略と、その地で犯した犯罪行為を闇に葬ってはならないと主張しています。
ベテランの与党議員である高村正彦氏は2月25日会合の前に、日本政府が過去の声明の謝罪についてはっきりとそれを踏襲していくという事を表明すれば、これまで以上に前向きだとする姿勢も受け入れられるだろうと語りました。
http://www.theguardian.com/world/2015/feb/26/japanese-experts-meet-to-decide-statement-over-countrys-wartime-past
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自民党の党三役だとかのチーム・アベの女性議員が、70周年の声明について、
「首相声明なのだから、外野がああだこうだ言う必要など無く、首相の思い通りにしてもらえばよい」
という趣旨の発言をしたことに、唖然としました。
各国とも外交官の登用試験は、国家公務員採用試験の中の最難関であると言われています。
極めて複雑な外交事情を理解し、国家にとって最良の施策を考え出す必要がある以上、当然ともいえます。
早い話が今や日本の仮想敵国扱いの中国にしても、人口13億の国の政府が一枚岩であるはずがなく、外交は彼らを決して対日本で結束させないようにする攻略ルートを見つけ出し、巧みにそこを突いていくものでなければ無いはずです。
韓国に至っては大統領への支持についてはその国内ですら?であるのに、わざわざ日本への敵意を煽るような議論・報道を行い、かえって相手をまとめるようなことを繰り返しています。
冒頭の発言などもそのひとつで、こんな発言が外交に影響するとしたら、それこそが日本という先進国と日本人に対する侮辱ではないかと思ってしまいます。