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【 原子力産業界の崩壊が始まった!西側先進各国 】《後篇》

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次々に問題が発生、遅れに遅れる原子力発電所建設の完成時期、巨額に膨らむ現場の維持・建設費用
フランスの巨大原子力発電企業、アレバの債券の格付けは今や『ジャンク』!

デイヴィッド・ジョリー、スタンレー・リード / ニューヨークタイムズ 2月23日

フランス・アレバ
2月2日、アレバ社は今期の年間売上総額が前年比が8パーセント減の83億ユーロに減少すると公表しました。
その理由について同社は23日いくつかの理由を明らかにしましたが、その中でも保有株式の評価額の低下、フィンランドで建設中のオルキルオト原子力発電所の著しい工期の遅れによる事業収入の実現の遅れ、計画外の経費の増大が原因だと語っています。
※営業運転開始は2013年を予定していたが、2016年以降に延期されている。[訳者注]

アレバはこの後3月4日に2014年の決算報告を行う予定ですが、
「競争力強化のための体質強化に取り組むとともに、戦略的・財政的なロードマップの作成に注力する」ことを表明する予定になっています。
アレバ社広報担当のキャサリン・ベレゾウスキーは23日、公式にコメントした以上のことは現時点では明らかにできないが、3月には計画の詳細について明らかにできるだろうと語りました。

一方のEDFは、コメントの要請に応じませんでした。

仏・フラマンヴィル
EDFの英国ヒンクリー・ポイント原子力発電所の建設計画はアレバ以上に世界の注目を集めていますが、246億ドルをかけてのこのプロジェクトは、フランスの原子力技術の優劣を明らかにする絶好の機会になりそうです。
EDFは今月、1990年以降英国として最大規模の原子力発電所建設が、今後も続けられるべきかどうかの決定が、近いうちに行われる可能性があると語りました。

アレバもヒンクリー・ポイント・プロジェクトの共同参画企業のひとつされていますが、直近の巨額の損失計上により、今後はこの巨大プロジェクトに参加し続ける体力を維持できるかどうか疑問が持ち上がっています。
アレバは2018年までにはヒンクリー・ポイント原発の稼働を規定していましたが、今や2023年の稼働開始さえ危ぶまれています。

アレバあるいはEDFはヨーロッパにおけるすべての原子力発電所建設に関わっていますが、特徴的なことは建設されるのは1990年代にフランスが開発し世界的にも大きなシェアを持つEPR原子炉であることです。
しかしEPR原子炉は構造が極めて複雑で、建設費用が莫大な額に昇ることが解っています。

再稼働反対2106
23日に行った会見で、1週間ほど前からル・フィガロを含むフランスのメディアが、アレバが決算発表で巨額の損失を計上する見込みであると伝えている点に特に言及しました。
アレバはこうした情報の根拠が曖昧であり、正確な財務情報については3月4日の正式な発表において明らかになるはずであるとコメントしました。

会見の合った23日月曜日、アレバの株価は2.1%下落したまま取引終了となりました。

パリに本社を置くアレバは、前々から経営状態の悪化が指摘されていました。
昨年11月同社は2015年と2016年のフィナンシャル・ガイダンス※作成の延期を発表しました。
※企業の内部者である経営者自らが公表する利益予想であるアーニングス・ガイダンスに、財務ガイダンスおよび非財務ガイダンスを含めたガイダンスの総称。
アメリカ、ヨーロッパの株式や債券市場においては、企業の業績予想の重要な材料の一つとされている。[訳者注]

083016
その直後、スタンダード&プアーズはアレバの債券の格付けを『ジャンク』に引き下げました。
その理由についてスタンダード&プアーズは、アレバの「経営資源が底を尽きかけている」点に言及しました。

〈 完 〉


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日本の原子力問題を的確に把握し、最も理性的な結論を導き出すためにはどうすればよいのでしょうか?
これまでも何度かご紹介しましたが、大いに参考にして良いのが下記の『神話の果てに・東北から問う原子力』という新聞記事のシリーズだと思います。
特に第16部『私の視座』の記事はぜひ皆さんにも一度、お目を通していただきたいと思います。
http://www.kahoku.co.jp/special/spe1098/
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【 恐怖と栄光 : ロイター写真報道の30年 】《6》

アメリカNBCニュース 2月13日
(写真をクリックして、大きな画像をご覧ください)

Reuter 25
数々の受賞経験のあるロイター通信のカメラマンたちが、写真提供事業開始30周年を祝い、これまでの業績を振り返りました。
ロイター通信のカメラマンたちは、天災や戦争、そして経済破綻の様子を象徴する出来ごとなど、世界で繰り広げられた人間の悲劇や劇的な出来ごとを撮影し続けました。
彼らはレンズを通して見えたスポーツ、文化、ショービジネスそして世界各国の政治指導者や経済界の大物の姿を世に伝え、その写真はその時々を象徴する画像として人々の記憶に刻まれることになったのです。

海岸に重油が流れてきたときに備え、海岸線に沿って干し草で作られた俵の向こう側で日光浴をする人。2010年5月11日アラバマ州ドーフィン島。
[カメラマン自身の解説]
BP社のメキシコ湾の重油流出事故の際、ミシシッピ河口に設けられた先端技術を用いたオイルフェンスを取材するためアラバマ軍国家警備隊のヘリコプターに乗り込み、取材を終えた帰り道撮影したものです。
ヘリコプターからの写真撮影は難しい仕事です。
その移動速度は想像以上に速く、一瞬のうちにピント合わせをしなければなりません。
私にとってこの写真は、石油流出事故の重要な一面を物語っています。
環境を破壊する巨大産業事故が居住者の日常生活を脅かしている様子、観光ビジネスを台無しにし地域経済にダメージを与える実態など。
そしてこの重油の流れ込みを防ぐため、干し草を束にして堤を作るという極めてローテクな方法は印象的でした。(写真上)

1989年11月11日、東ドイツの国境警備隊がベルリンのブランデンブルグ門の上から見つめる中、ベルリンの壁を破壊しようとするデモの参加者。(写真下・以下同じ)

Reuter 26
2005年8月18日、イスラエルとパレスチナの和平合意に基づき、ガザ地区のイスラエル人居住区で軍によるシナゴーグ(ユダヤ教会)の屋根の破壊が始まったことに激高し、警備の警官に詰め寄る和平反対派のイスラエル住民。
[カメラマン自身の解説]
ガザ地区への入植計画が中止され、それまで移住を住ませていたイスラエル人がガザ地区からの撤去を命じられた際、軍に対する抵抗運動の拠点となったのがこのシナゴーグでした。
特殊部隊がクレーンで反対派の入植者たちを専用コンテナーに取り込み、シナゴーグの屋根の上から反対派の入植者とその支持者を移動させました。
私が反対派の移民とともに屋根の上にのぼる許可を取るまで、1週間という時間がかかりました。
入植計画の継続を要求する人々の怒りは大きく、数ヶ月間にらみ合いが続き、いつ爆発してもおかしくない状況でした。
しかし結局、一切の暴力沙汰が起きること無く、入植者の強制撤収が終わりました。
結局は、イスラエル人という連帯意識が働いたのだと思われます。
Reuter 27
1990年2月11日、ケープタウン近くのビクター・ヴァースター刑務所から27年の服役の後、出所したネルソン・マンデラ。服役理由はアパルトヘイト。
reuter28
2004年9月2日、チェチェンの近くの北オセティアのベルサンの町で重装備の覆面をした武装集団に襲われた学校から、解放された赤ちゃんを運びだすロシア人の警官。
[カメラマン自身の解説]
事件の発生は9月1日、祝賀行事が行われていた学校が襲われ、約1,300人が捕虜になり、このうち331名が殺害されました。
半数が子供たちでした。
包囲2日目、武装集団は赤ちゃん連れの数人の女性を自由にすることに同意、特殊部隊の隊員が赤ちゃんたちを助け出しました。
子供たちは何とか無事に助け出したいという願いが、この写真が世界中の新聞雑誌のトップに掲載された理由だと思います。
reuter29
2001年9月11日、重傷を負ったニューヨーク市消防署所付き牧師を、ニューヨークの世界貿易センタービルから運び出す救助隊員。
reuter30
http://www.nbcnews.com/news/world/terror-triumph-30-years-reuters-photography-n305881

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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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