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翁長知事の建設許可取り消しは、安部首相にとっても、アメリカ軍当局にとっても痛恨事
アメリカ軍の基地と26,000人の米軍兵士が、全面積のほぼ5分の1を占有している沖縄
過半数を超える日本国民が、沖縄の基地問題に対する安倍政権の姿勢を支持していない
2012年12月に政権の座に返り咲いて以来、長い間議論の的となって来た新しいアメリカ軍海兵隊基地の辺野古への移転建設問題について、安倍首相は嫌がる沖縄県の指導者たちを交渉の席に着かせ、抵抗を止めるよう懸命の説得を続けてきました。
辺野古は沖縄本島の中にあり、手つかずの自然が残された場所です。
翌年、当時の沖縄県知事が建設許可を出すと、安倍首相もアメリカ軍当局も事態が進展したものとして歓迎の意を表しました。
しかし2014年に選挙で選ばれた現在の沖縄県知事、翁長雄志氏は建設許可を取り消しました。
この展開は安部首相にとっても、アメリカ軍当局にとっても痛恨の事態です。
沖縄の人々の多くは、翁長知事がもともと安倍首相と同じ自民党の出身であったことから、基地建設に全面的に反対する強い姿勢を示すかどうか疑問を抱いていました。
しかし今や、彼は日本の政権与党である自由民主党の保守派のかつての仲間たちときっぱりと袂を分かち、特に安倍首相とは立場の違いを明確にしました。
安倍首相は国内に異論の多かった安全保障関連法案を強引に成立させ、自衛隊に課せられていた同盟国との軍事行動の制約を大幅に取り払うことに成功したばかりです。
翁長知事は自らの決断について、独立した法務委員会の見解を引用し、その正当性を強調しました。
前知事の建設承認許可には、環境保護の観点において重大な欠陥があったと指摘したのです。
沖縄の面積は日本全土の1%にも足りません。
しかしアメリカ軍の基地と26,000人の米軍兵士が、全面積のほぼ5分の1を占有しています。
安倍首相は沖縄のアメリカ軍の存在こそは日本の安全保障にとっての重要な土台であり、その安全保障を強化するために一連の安全保障関連法案を成立させたのだと語りました。
日本政府は翁長知事の決定を覆すために、法的措置を講じると宣言しました。
しかし中谷元防衛大臣は、防衛省による工事を一時的に延期すると語りました。
過疎の遠隔地に建設予定の辺野古の基地は、人口稠密な場所に位置し様々な問題を作りだしている普天間航空基地の代替の意味を持っています。
しかし辺野古に基地を建設するとなれば付近の海を埋め立てる必要があり、環境問題に加え、沖縄の古代伝説において神聖とされる場所を破壊してしまうことになります。
9月にスイスのジュネーヴで開催された国連人権委員会の場で翁長知事は、こうした沖縄の価値を否定する事について、日本政府が自由、平等、人権と民主主義の民主主義の価値を他の先進諸国と共有していると主張できるのかどうか、疑問を投げかけました。
しかし日本政府側は新基地の建設を受け入れる代わりに莫大な金額の補助金を交付し、問題の本質を別の形に変えてしまうことにより、反対運動を葬り去ろうとしています。
大方は日本政府側が法廷闘争において勝利するものと見ています。
それでも翁長知事の抵抗は安倍首相にとっては無視できるレベルのものではありません。
安倍首相は今年一度、すでに後じさりせざるを得ない局面に追い込まれました。
この夏安全保障関連法案を強引に可決成立させたことにより、タカ派的姿勢を取り続ける安倍首相の本当の目的について、日本国民の多くが大きな疑念を抱くようになりました。
夏の間安倍政権の支持率は下がり続け、これ以上安倍首相の印象が悪くならないようにするため、そして翁長知事との交渉を容易にするため日本政府は辺野古での基地建設工事をとりあえず一カ月間休止させることにしました。
しかし会談は、いずれの側にも譲歩する意思がないことを明らかにしました。
翁長知事は仮に建設工事が続けられることになっても、これを妨げる方法はいくらでもあると語っています。
翁長知事はつい最近、辺野古近くの名護市長が建設現場に土砂を運び込むためのコンベヤーベルトの設置に関し許可を出さなかったために、ダンプトラックを使わざるを得なくなった事態を、戦術例として引き合いに出しました。
翁長知事のこうした姿勢は日本各地で、かなりの支持を集めることになりました。
朝日新聞が行なった最近の世論調査は、過半数を超える日本国民が沖縄の基地問題に対する日本政府の姿勢を支持していないことを明らかにしました。
今後建設現場周辺で抗議活動を行う人々の数が増えることになりそうです。
これまでの抗議活動は平和な形で行われてきました。
しかし日本政府の一方的な姿勢に憤りを募らせている沖縄県民が、警察と衝突する場面が現実になることもあり得ます。
翁長知事は個人的な会話の中で、抗議活動がすべて平和的なものに留まるという保証はないという事をほのめかしたと日本国内で報道されたことがありました。
日本政府の側と沖縄県民が、ともに実力行使に踏み切れば、妥協を求める安倍首相に対する圧力と風当たりはより強いものとなるでしょう。
http://www.economist.com/news/asia/21674839-okinawa-takes-governments-japan-and-america-island-warrior?zid=306&ah=1b164dbd43b0cb27ba0d4c3b12a5e227
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【 バルカン諸国で足止めされる難民たちに降込める冷たい雨、つのるみじめさ… 】《1》
アメリカNBCニュース 10月19日
(写真をクリックして、大きな画像をご覧ください)
バルカン半島の各国の国境には、現在数多くの中東地区からの難民が足止めされています。
彼らの上には連日冷たい雨が降り、その境遇を一層惨めなものにしています。
10月19日クロアチアのオパトバクで、難民テントの中から外を眺める子供。(写真上)
ハンガリーが南側の国境を封鎖し、スロベニアが難民の流入に対し制限措置を講じた後、バルカン諸国は増え続ける難民対策に苦慮しています。
難民たちは各地で足止めされ、冷たい雨が降りこめる中、やりきれない境遇に絶望の思いを深めています。
10月19日スロベニアに入ろうとして、雨の中クロアチア側で許可を待つ難民。(写真下・以下同じ)
10月19日毛布にくるまりスロベニアへの入国許可を待つ難民。
ハンガリーが国境を封鎖したのに続き、スロベニアが難民の流入制限に踏み切り、その影響はバルカン半島内でドミノ効果を生みました。
現在セルビアがマケドニアとの国境に、何らかの制限措置の導入を検討しています。
10月19日雨の中スロベニアへの入国許可を待つ難民の少年。
ハンガリーの国境封鎖により、スロベニアは第二次世界大戦以降最大規模となった難民問題の真っただ中に入り込んだことに気づかされました。。
10月19日雨の中スロベニアへの入国許可を待つ難民の親子。
約200万人の難民がハンガリー、イタリア、オーストリア、クロアチアを通過して行きました。
スロベニア当局は確認・登録の手続きを踏んだ上でなければ、国内を通過してオーストリアへ入国することは認められないと発表しました。
http://www.nbcnews.com/storyline/europes-border-crisis/cold-wet-weather-increases-misery-migrants-stuck-balkans-bottl