ホーム » エッセイ » 【 日本の新たな危機 : 放射性廃棄物処理の見通し立たず 】
「 最高4,500万立方メートルの放射性廃棄物の処理に窮する日本 」
アメリカCBSニュース 11月4日
日本は津波によって制御不能となっている福島第一原子力発電所を安定させる方向へ一定の進歩をしましたが、今新たな危機に直面しています。
災害がつくりだしたすべての放射性の廃棄物をどうするか、という問題です。
11月4日金曜日、細野原子力問題担当大臣は、3月11日以来たまり続けている放射能で汚染されたがれきや焼却灰などの廃棄物の処理方法について、総合的な計画の見通しが立たないことを公表しました。
細野大臣は東京電力が破綻する事無く、巨額の事故処理費用を負担できるよう国が9,000億円の資金援助を行うことを発表した後、この見通しについて発表しました。
政府当局者は今回の資金供与が緊急援助であるという批判を否定し、今回の資金が電力会社と共同で設立した基金から拠出され、政府が金利ゼロで負担した分は全額返還される点を強調しました。
今回の災害は日本の東北太平洋側沿岸でほぼ20,000人にのぼる犠牲者を出し、東京の北東にある福島第一原子力発電所で、チェルノブイリ以来最悪となるメルトダウン、火災、そして放射能漏れ事故をひきおこすきっかけとなりました。
当局者は事故後約8カ月を経過した現在、原子炉は修理の結果安定した状態に向かい、以前に比べ放射線の漏出もはるかに低い状態に抑えられている、と発表しました。
政府は年内に原子炉の温度が摂氏100度以下になる、『冷温停止』を目指しています。
しかし同日、細野大臣はAPの質問に対し、大量の放射能に汚染された廃棄物を安全に処理することは現在の技術では不可能 – これまでには存在しない技術と処理方法を必要とする、という新たな危機が生まれてしまっていることを認めました。
「我々にはこれらの廃棄物を処理するための、総合的な見通しはありません。」
「数年間の研究・開発が必要となるでしょう。例として、その場から持ち出すことのできない大量の廃棄物を、圧縮する技術も開発する必要があります。」
環境省によると、日本は福島とその周辺の都道府県で、最高4,500万立方メートルの放射性廃棄物の処理に窮している可能性があります。
これらの処理を海外に持ち出して行うことは検討していない、と細野大臣は答えました。
福島第一原子力発電所から漏れ出した放射線の総量は未だにわかっていません。
そして福島周辺で低量放射線に長期間さらされることが、人体にどのような結果をもたらすかについて、科学的な結論は出ていません。
80,000人を超える人々が自宅からの避難を強いられ、福島第一原子力発電所の周囲20kmは未だに立ち入りが禁止されています。
汚染された地域を元に戻し、住民に補償するには何兆円もの資金が必要です。
局所的に放射線量の高いホットスポットは、数百マイル離れた場所でも報告されました。
これらの問題を調査するため、専門の委員会が組織されたと細野大臣が語りました。
9,000億円の資金供与が発表された後で、東京電力は今後10年間で2兆5000億円以上(320億ドル)の経費を削減し、7,000人以上の従業員のリストラに同意しました。
東京電力は今回の災害について、透明性の欠如と緩慢な対応につき、厳しい批判を受けてきました。
住民と企業が補償を求めるための手続きについても、きわめて煩雑であるとも指摘されています。
論争の的となっている基金は、東京電力が破綻することなくその責任を果たすことができるよう、設立されたものです。
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やっぱり、と言うべきか、果然と言わなければならないのか、「除染」が結局は「汚染の移動」に過ぎないことが
「大量の放射能に汚染された廃棄物を、安全に処理することは現在の技術では不可能」
という部分に、端的に表されているのではないでしょうか。
これは大変なことです。
「我々にはこれらの廃棄物を処理するための、総合的な見通しはありません。」と音をあげてしまっているのですから。
もしもう一度原発事故が起きてしまったら、日本国内には「処理できない」放射性廃棄物があふれ、大げさでもなんでもなく、日本は滅亡の縁へ追い込まれることになってしまうでしょう。
ところが、日本国内で今、あちこちで停止中の原子炉再稼働への動きが始まっています。
これはもう常軌を逸していると言うべきだと思うのですが、そのように伝えるマスコミはありません(原発推進を訴えてはばからない某新聞社は論外)。
どころか「電力会社の事情を考えれば、まずまず仕方の無いこと」という、「情状酌量」すら垣間見えています。
「より一層安全に配慮すれば、原発は安全」という主張には、この記事があります。
「技術がどんなに進歩しても、原子力発電固有の危険性は決して無くならない - 米国CNN(http://kobajun.biz/?p=1083)」
福島第一原発の事故を見て、直ちに原子力発電から手を引くことを決めたドイツ、イタリア、スイスなどの国々の感覚の方が、きわめて健康的である、私はそう思います。
福島の事故から1年も経たないうちに、原発最稼働を「仕方ない」と容認する感覚は、明らかに病んでいます。
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【 路上強盗の子どもたちを、音楽で救った女性 】
[2011年 大統領市民勲章の授与]
アメリカNBCニュース 2011年10月20日
ホ イトハウスで10月20日「この国を良くするために貢献したアメリカ人」を称える儀式が開催され、大統領市民勲章メダルが授与されました。
受賞者の1人は、ロス・アンジェルスでストリート・ギャングをしている子どもたちを路上から救い出し、かわりに美しい音楽を演奏することを教える組織の設立者に贈られました。
NBCのジョージ・ルイスが今夜お伝えします。
「アメリカ大統領市民勲章、マーガレット・マーティン博士。」
レポーター:ジョージ・ルイス
「つらく厳しい境遇を、美しいハーモニーに変えた女性に大統領市民勲章が授与されました。」
マーガレット「2001年に36人の子供たちと一緒に始めたことなんです。現在のメンバーは1,500名です」。
>>レポーター:マーガレットマーティンは、これらの若者は、単に音楽を演奏することより、ずっと多くを学んだと語ります。
マーガレット「ここの子どもたちは自分の時間を費やして、持続すること、信頼、そして説明責任を学ぶのです。」
レポーター:ハーモニー・プロジェクトに受け入れられた子どもたちは、学校に在籍していれば、無料で楽器を与えられ、個別の音楽指導を受けることになります。
男子生徒「おかげで僕が本当にしたい、と思うことができるんだ。」
女子生徒「私という人間の質を高めてくれるし、悪いことをしようなんて気にはまったくならないわ。」
レポーター:マーガレット・マーティンはつらい時を知っています。
若い母親として、彼女は虐待を伴う結婚生活からのがれ、家具など何も無い空きビルで、子どもと2人で暮らしていた時期がありました。
マーガレット「これも貧困の一つの姿です。」
記者「しばらくして彼女は公衆衛生学の博士号を取得し、人生を転換させたのです。
そして彼女は社会に、何かを還元したいと考えるようになりました。」
マーガレット「私がハーモニープロジェクトを始めたのは、農民市場の前で一人の小さな子がブラームスのヴァイオリン曲を演奏しているのを、不良少年たちがじっと聴き入っているのを見かけたのがきっかけでした。」
記者「実はその子はマーガレットの息子のマックスでした。音楽にうっとりと聴き入っていた不良少年たちは、マックスのバイオリン・ケースにお金を入れ始めました。」
マーガレット「彼らのそうした姿は、本当はマックスがしているようなことをしたいのに、これまでそうしたチャンスすら与えられたことが無いのだ、ということを私に教えてくれました。」
記者「チャンスを提供するために、彼女のハーモニー・プロジェクトが始まりました。」
マーガレット「子供たちは、私たちが期待するレベルにまで到達することが可能です。私たちはそれを、楽しみに待っているだけでいいのです。」
記者「今、彼女は他の都市にも、この取り組みが広がっていくことを期待しています。」
レポーター:ジョージ・ルイス、NBCニュース、ロス・アンジェルス
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