ホーム » エッセイ » 【 広島・原子爆弾の展示施設、世界的に一層の注目を集める 】〈前篇〉
人類に警鐘を鳴らし、見る者の心をわしづかみにする「暗黒世界への旅」「苦悩の旅」「戦場紀行」の典型例
展示物すべてが、私たちの想像も及ばない出来事があったことを想像させる
リチャードS.エールリッヒ / アメリカCNNニュース 年6月1日
『第二次世界大戦の終結を早めた』とも言われる原子爆弾。
アメリカ軍が日本の広島市にその原爆を投下してからほぼ70年が過ぎましたが、その破壊を記録する場所が、最も人気の高い観光名所として地位を揺るぎないものとしているように見えます。
そしてその人気はさらに高まり続けているようです。
ジャパン・タイムズが最近報じたところでは、外国人観光客による広島平和記念資料館への訪問者数は2013年に200,086人と、史上最高を記録しました。
地元広島県の当局者の話では、焼けただれた原爆の破壊後の状況、苦痛に満ちた目撃者証言、そしてすさまじい破壊をもたらした白熱線が人々の生とその後の人生にどれ程の傷跡を残したのか、多くの参観者がその耳で聞き、その目で確かめるためにこの地へとやってきます。
そして途絶えることなく世界中から観光客が訪れる背景には、一連の要因があることが解りました。
一部の人々は広島を非常に興味深く、人類に警鐘を鳴らし、感情をわしづかみにされる「暗黒世界への旅」、「苦悩の旅」あるいは「戦場紀行」の典型例だと語りました。
それはヨーロッパ各地に残るナチス・ドイツの強制収容所跡、カンボジアの拷問収容所と大量の死体が埋められた虐殺現場跡、あるいは9.11同時多発テロの現場と同じ性格のものです。
多くの訪問者が広島に残る原爆ドームを畏怖の念とともに見上げます。
原爆ドームは1996年、ユネスコ世界遺産に登録されました。
広島原爆を象徴するこの建物は1915年チェコの建築家によって設計され、広島県物産陳列館として開館し、後に広島県産業奨励館となりました。
アメリカ合衆国が1945年8月6日に投下した原爆はこの建物の真上で爆発しましたが、爆風が到達する以前に熱線がドームの銅製の屋根を瞬時に溶かしてしまい、このため爆風が建物を通過、全壊を免れることになりました。
観光サイト『トリップアドバイザー( http://www.tripadvisor.jp/ )』は広島平和記念資料館を、日本最大の観光名所のひとつであると表現しました。
最新の資料によれば、2012年1年間で約363,000人の観光客が広島市を訪れました。
広島県とその周辺各県を訪れる観光客のうち、最大の割合を占めるのがアメリカ人、その後オーストラリア人、中国人の順で続きます。
もちろん無数の日本人も訪れます。
「『ヒロシマ』は、世界でたった2か所核爆弾が投下された場所として世界中にその名を知られてきました。そして今、口伝えの効果によりその名前に迫真性が加わることになったのです。」
公益財団法人広島観光コンベンションビューロー観光振興部の阿部たえ子部長がCNNの取材に対し、電子メールでこのように回答しました。
「近年では、インターネットやそれに類する伝達手段が、口コミ効果に強い影響力を発揮するようになりました。」
「たとえば、広島平和記念資料館は観光サイト『トリップアドバイザー』において、この2年連続で『外国人観光客にとって日本で最も人気がある観光地』の第1位に選ばれています。」
広島平和記念博物館と原爆ドームは2012年、日本を訪れる観光客が選ぶトップ20の旅行目的地の最上位を占めることになりました。
国内旅行者によるランキングにおいても、広島県内の観光施設として平和記念博物館は宮島に次いで『必見の観光スポット』の第2位にランキングされています。
▽ 数限りない悪夢を陳列
原子爆弾は、アメリカのB29爆撃機から広島市上空に投下されました。
その爆発は広島市の中心街10平方キロメートルの範囲内で、地上にあったほぼすべてのものを消滅させました。
この時の殺されたのは60,000~80,000人と見積もられています。
爆発による直接の死者に加え、放射能汚染によってさらに多くの人命が奪われることになりました。
これらを合わせた最終的な犠牲者の数は、135,000人に上るものと推計されています。
原爆ドームの前を流れる元安川を渡り、平和記念博物館の中に入ると原爆によって一瞬のうちに焼き殺された4歳の男の子が乗っていた、焼けただれ半分溶けてしまった三輪車が展示されています。
写真と記録映画、生存者が爆発直後の情景を描いた絵画、爆発に関する科学的開設、そして溶けたガラスや焼け焦げた衣類などの展示物すべてが、私たちの想像も及ばない出来事があったことを想像させます。
「この博物館は、世界に原子爆弾の投下の真実を伝え、核兵器の全面廃止と恒久的平和の実現に役立つよう、広島市によって設立運営されています。」
平和記念博物館の志賀健二館長が、CNNの取材に対し電子メールでこう回答しました。
そして博物館の来館者数が増え続けている理由について、志賀氏は次のように語りました。
「円安傾向が続き日本へ観光旅行がしやすくなっていること、そして日本政府や広島県などの地方自治体による観光キャンペーンなどが功を奏していることが考えられます。」
しかしさらに多くの海外の観光客が訪れるようになった理由については、
「観光サイト『トリップアドバイザー』で高い評価を得ていることが、海外の観光客の増加の最大の理由だと私たちも考えています。」
〈後篇に続く〉
http://edition.cnn.com/2014/06/01/travel/hiroshima-peace-museum/index.html?hpt=ias_t2
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集団的自衛権の行使容認が政府の一方的な判断で既成事実化されようとしていますが、そうなれば次は当然軍備強化の必要性が叫ばれることになるでしょう。
現在の装備では必要な対応をとれない、多分そんな理由を唱えて…
なぜこれ程軍備強化にこだわるのか?
私は現政権は、日本にもアメリカ同様の『軍産複合体』を誕生させようとしているのではないかと考えています。
軍産複合体はタカ派的政策の実現に、魔王のような力を発揮するからです。
私個人の憶測に過ぎませんが、ケネディ大統領を任期途中で暗殺したのも、ロバート・ケネディ上院議員を暗殺したのも、私はアメリカの軍産複合体だと思っています。
彼らはキューバ危機を『平和解決』してしまったケネディ大統領を憎悪していました。
そしてケネディ兄弟亡き後、アメリカはベトナム戦争で北爆を開始、海外紛争への軍事介入路線を強化して行きましたが、その後の事実はみなさんがご承知の通りです。
戦前日本の海外での軍事行動を泥沼化させた背後にも、やはり軍産複合体が居たのだと考えています。
軍産複合体は必要とあらば大統領すら葬り去り、時には国を亡びに導く。
そんなもがもしこの国に再び根を張ったら。
私たちが真剣に考えなければならない問題のひとつではないでしょうか。
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当時の人口の半分が消滅した都市、ヒロシマ
17人ものノーベル賞科学者が参加して完成した大殺戮〈再掲載〉
ミシェル・ホール / CNN・ライブラリー 2013年8月6日
▽ 80,000
第二次世界大戦中、史上初めて原子爆弾が戦争で使われた1945年8月6日、日本の広島市で即死した人々の数です。
ウランを主な材料として作られたこの爆弾のコード名は、「リトルボーイ」でした。
▽ 192,020
広島への原爆投下によって死亡した犠牲者の総数です。
即死した人々、放射線による影響、その他の後遺症によって死亡した人、それらすべてを合わせた数です。
1995年、50回目の犠牲者追悼式典の際、公表されました。
▽ 3
広島に原爆が投下されたわずか3日後の1945年8月9日に、コード名「ふとっちょ」と名づけられたプルトニウム爆弾が長崎上空で爆発しました。
広島に投下されたウラン原爆と異なり、プルトニウム原爆はインプロージョン方式で起爆します。
▽ 5
長崎に原爆投下の後、昭和裕仁(ひろひと)天皇がポツダム宣言と無条件降伏を受け入れると発表した、その日までの日数。
▽ 2
二度目の原爆投下目標の候補地、いずれも九州の長崎と小倉。 長崎が選ばれたのは、当日の天候のため。
▽ 20億ドル
アメリカ合衆国が行った原爆研究開発プログラム、「マンハッタン計画」に費やされた費用総額の概算。
▽3
原爆の開発に関わった研究施設の数
オークリッジ国立研究所(テネシー州)、ハンフォード・サイト(ワシントン州)、ロスアラモス国立研究所(ニューメキシコ州)。
▽ 17
マンハッタン計画参加時点ですでにノーベル賞を受賞していた、あるいは後にノーベル賞を受賞した科学者の人数。
▽ 18,000
1945年7月16日にニューメキシコの実験場で爆発した原爆は、TNT火薬18,000トン分の威力を持っていました。
▽1,800フィート以上
広島市上空で、爆撃機B-29「エノラ・ゲイ」が、広島原爆「リトルボーイ」を投下した高度は、地上約1,800フィート(600メートル)でした。
▽ 9,700ポンド(約4.40トン)
広島原爆「リトルボーイ」の重量。
▽60,000フィート(約18,000メートル)
長崎原爆「「ふとっちょ」」が生成したキノコ雲の高さ。
http://edition.cnn.com/2013/08/06/world/asia/btn-atomic-bombs/index.html?hpt=ias_t3