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【 降って湧いた年内の解散総選挙、その本当の狙いとは?】

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所要時間 約 9分

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解散総選挙は、政策転換の責任を国民に転嫁することが目的?
多数派一般国民の生活改善は実現されないまま、アベノミクスの成果をうやむやにする
烏合の衆と化した野党、今ならこの機に乗じて議席の上積みすら期待できる

エコノミスト 11月15日

安倍首相01
安倍首相は衆議院を解散し総選挙を行うかどうかについては、まだ明確に決めてはいないと語っています。
しかしなぜ今安倍首相は解散総選挙を行う必要があるのでしょうか。
近年の内閣の中ではもっとも支持率が高く、党首を務める自民党が主導的立場にある連立政権は衆参両院において過半数を制しています。
安倍首相は本来であれば2016年末まで選挙によって信を問う必要はありません。
それでも安倍首相が年内に解散総選挙を行うという観測は急速に広まっています。

安倍首相の顧問は11月17日に日本の第3四半期のGDPの数値が公表された直後、解散総選挙に関する決定がなされるだろうと語っています。
安倍政権への支持率は歴代内閣の中で高い数値を示していますが、その支持率が下がり続けているという世論調査の結果が、解散の動機付けとなった可能性があります。
しかし最も大きな理由は、一般国民に人気の無い来年10月に予定されている消費税8%から10%への引き上げ、それを見送るという措置に国民の支持を取り付けることが目的である可能性が高いと見られます。

経産省前風船
今年4月に実施され消費税の5%から8%への引き上げは、日本経済を横ざまの打撃を与えました。
長く停滞が続く日本経済のデフレーションに終止符を打つと宣言した安倍政権の経済政策は、その実現がすっかり遠のいた観があります。
消費税の引き上げを見送るという措置について、安倍首相は制度的には解散総選挙を必要とはしません。
解散総選挙の実施は飽くまで安倍首相個人の判断にゆだねられることになります。
日本経済が2度の増税に耐えられないだろうという事実は各所に現れ始めていますが、消費税の引き上げを見送るという決断は極めて慎重を要するものです。

そのためには自民党は新たな法律を可決制定する必要があります。
2012年、当時政権を担っていた民主党は、国の借金が限度を超えて膨らみ続け、いずれは国家経済の破たんにつながりかねない問題に正面から取り組むため、消費税引き上げなどの法律を制定しました。

大企業や高級官僚も制定された法律通りの政策実行を求め、消費税増税の延期に反対の立場を取っています。
このような状況の中で、最も難しい立場に追い込まれているのが日本銀行です。

japan01
2016年までにインフレ率を2%代にまで引き上げるという目標の達成が危うくなった日銀は、10月31日突如思い切った金融緩和策の拡大を開始しました。
黒田日銀総裁は、かつては日本の国家財政再建のため消費税の引き上げは絶対条件だとする財務省の出身です。
黒田総裁は今回の思い切った金融緩和により、安倍首相が消費税引き上げの決断をしやすくなるだろうと計算したものと思われます。
黒田総裁と考え方を同じくする高官のひとりが、安倍首相が消費税の引き上げを見送るようなことになれば、GDPの240%という巨額の財政赤字を陰で支えている日本の国債に対する信用が、一気に崩壊してしまう危険性があるとの懸念を示しました。

バラバラで無秩序の日本の野党勢力の状況も、連立与党にとっては好材料です。
連立与党は2012年の選挙で480議席中325議席を獲得しましたが、野党の分立により今回さらなる上積みを実現する可能性すらあるのです。

民主党を始めとする野党議員は、ここのところ続いていた安倍政権の閣僚のスキャンダルを追及することに熱心なあまり、降ってわいたような解散総選挙には準備が整いません。

特定秘密 5
しかし安倍首相が看板に掲げてきた、賃金も含めた労働者の環境改善と自由主義市場経済の発展、その結果はどうなのでしょうか?
今や抜き打ち解散選挙に全力を注がなければならなくなった野党などは、こうした構造改革の行方を見守る余裕がなくなったかもしれません。

改めて国民の信を問うことになる安倍首相にとっては、選挙後の新たな現実の方に魅力があるのかもしれません。
選挙結果によっては、安倍首相の政策実施が容易になる可能性があります。

しかしリスクもあります。
安倍首相が長期にわたって日本経済を押し上げるために必要だとしたいくつかの公約は、未だに実現のめども立たないまま放置されているからです。

http://www.economist.com/news/asia/21632601-will-prime-minister-mandate-really-seek-another-one-snapping-attention?zid=306&ah=1b164dbd43b0cb27ba0d4c3b12a5e227
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いつも報道記事&写真報道の組み合わせで掲載していますが、本日は変則ですが報道記事の2本立てにさせていただきます。
これまで翻訳紹介してきたエコノミストを始めとする海外の論調は、安倍政権が日本の経済復興を公約に掲げる割には不熱心で、国家主義的政策にばかり熱心であり、このままでは日本経済の復活は失敗に終わる危険性があると繰り返し指摘してきました。
それが現実になってしまい、国民は大迷惑です。
その政権に今年12月、日本は再び選挙の勝利を進呈するつもりなのでしょうか?

明日19日は掲載をお休み致します。

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【 アベノミクス無惨!日本、再び景気後退局面へ 】
予想を大きく下回った日本の第3四半期GDP、解散総選挙、消費税増税の見送り確実に

AFP通信 / ガーディアン 11月17日

GRD日本の景気
安倍晋三首相にとって大きな打撃が現実のものになりました。
今回、小幅ながら成長を見込んでいた市場にとって今日発表された日本の第3四半期のGDPの速報値は驚きの数字であり、これで12月に総選挙が実施されることが確実となりました。

日本経済は2014年第1四半期、第2四半期と収縮が続いた後、景気後退局面に落ちこみ、長期にわたる経済の低迷が続いた日本経済をふたたび成長局面に向かわせるとした安倍首相にとって大きな打撃となりました。

内閣府が発表した日本の国際総生産GDPの7~9月期の第3四半期の実績はマイナス0.4%、年率換算でマイナス1.6%となりました。
この数値は世界第三位の規模を持つ日本経済について、今年4月に実施された消費税の増税がその腰を折ってしまったこと、そして来年10月に予定されているさらなる消費税の引き上げがどれ程の重荷であるかを強調することになりました。

これまで第3四半期については、日本経済新聞ほか民間の経済予測は0.5%、年率換算で2.0%の成長というものでしたが、住宅関連の数値が大幅に落ち込んだこと、個人消費が回復しないことなどから逆に落ち込む結果になりました。
この数値を受け、来月12月の抜き打ちの衆議院解散総選挙の実施、そして来年10月の消費税の再増税の見送りが確実なものになりました。

今年4月に実施された消費税5%から8%への引き上げは、弱いながらも成長局面に入ったとされていた日本経済に急ブレーキをかけることになりました。
消費税増税後の第2四半期の4月~6月期は個人消費、企業の支出がともに落ち込み、マイナス1.9%、年率換算でマイナス7.3%となりました。
2014年の第1四半期、GDPがプラス1.6%を記録し、安倍政権の経済政策、いわゆる『アベノミクス』の先行きは明るいものと見られていた時と状況は全く逆になりました。

10月に日本銀行は経済が後退局面に入りつつあるとの判断から追加の大幅な金融緩和策を実施しましたが、今回発表された数値はその日銀の予測をはるかに超える悪いものとなってしまいました。

http://www.theguardian.com/world/2014/nov/17/japan-drops-into-recession

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