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【 山積する緊急課題を放り出したまま勝利宣言した安倍自民党 】《後編》

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安倍首相の女性問題への取り組みは「見せかけだけの飾りもの」

多様な背景を持つ候補者を幅広く支援する新進気鋭の『れいわ新選組』に集まる期待

                                   

モトコ・リッチ / ニューヨークタイムズ 2019年7月21日

                

野党の中にはできるだけ多くの女性候補者を立候補させることにより、自分たちの個性を打ち出そうとした政党もありましたが、結果は女性が245の議席のうち56議席、ようやく4分の1を絞めることになりました。

              

昨年制定された法律の下で、日本の政党は男女平等の実現ために努力するよう奨励されています。
今回の参院選では候補者の28パーセントを女性が占め、日本の選挙として新記録を樹立しました。
立憲民主党の候補者名簿のほぼ半数が女性でした。

                 

安倍氏はことあるごとに「女性が輝く社会」という言葉を口にしますが、自民党の女性候補者は6人に1人にすぎず、安倍内閣の女性閣僚はたった1人しかいません。

                 

「家事のしすぎが日本を滅ぼす」の著作で知られる佐光紀子さんは安倍首相の女性問題への取り組みは「見せかけだけの飾りもの」だ、と語りました。
佐光さんは妻が働いていない男性への税の減額措置や、出生率が低いにもかかわらず公的支援が受けられる認可保育所の待機児童の数の多さを指摘しました。

                

佐光さんはシングルマザーと2人の身体障害者を含む、多様な背景を持つ候補者を幅広く支援している新進気鋭の『れいわ新選組』に魅了されたと述べました。
れいわ新選組は今回の選挙でALS(筋萎縮性側索硬化症)患者で車椅子に乗った候補者である船後靖彦(ふなごやすひこ)氏と、脳性麻痺で車椅子生活をしている木村英子氏が議席を獲得しました。

                    

人口の2割が70歳以上の日本では選挙期間中、すべての主要政党が国民年金制度に焦点を当てることになりました。

                   

選挙の2ヵ月前、日本政府の金融規制当局である金融庁は、国の社会保障制度はもはや年金生活者全員の生活水準を一定の条件のもとに支えることはできなくなると警告しました。
この金融庁の報告書には、日本の長寿命化を考えると平均的な夫婦が老後を問題なく暮らすために年金とは別に個人で約2,000万円貯蓄する必要があると書かれていました。

                   

安倍政権の担当閣僚はこの報告書を受け取ることを拒否し、選挙期間中安倍氏は低所得者の年金を約60,000円引き上げると公約したのです。

                

しかしそうした公約も投票日前日の土曜日安倍首相の最後の集会で「安倍やめろ!」「貧しい人々を虐めるな!」と叫んでいた抗議者たちの間ではむなしいものになりました。

                  

安倍首相は今以上に多くの女性や高齢者の就労を奨励することによって年金の財源は確保できると語り、当初の予定どおり、秋には消費税を10%に引き上げることを確約しました。

                 

主要野党は5党すべてが増税しないことを公約に掲げました。

                  

土曜日の安倍首相の集会に参加した支持者の一人は、自分は退職後政府の年金に頼るつもりはなかったと語りました。
「私は自分の面倒は自分で見ます。」
運送会社を退職した65歳の蓮見一郎氏は安倍首相が率いる自民党を支持すると語り、次のように続けました。
「安倍首相は国益を最大限に守る日本で初めての首相です。」

                

反対派にとっては、安倍氏を首相官邸に送り込んだ流れを変えることは決して簡単なことではありません。

               

ハノイ大学マノア校でアジア問題を研究するクリスティ・ガベラ準教授は次のように述べました。
「野党は往々にして反安倍、そして反体制という位置にその身を置く傾向があります。しかしその場所で新しい、人々を興奮させられるほどの政策アイディアの基盤を作り上げるのは難しいかもしません。」

                 

https://www.nytimes.com/Shinzo Abe Declares Victory in Japan Election but Without Mandate to Revise Constitution
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なるほど、と思える指摘が随所に見られる記事でした。

                        

まずは最後のハノイ大学ガベラ準教授の指摘について。
野党が『反対ばかりする』という批判から解放されるための、重大なヒントが隠されているのではないでしょうか?
安倍政権との対立軸を明確にし、今以上に幅広い国民の支持を得ていくためには、現在の日本国憲法、なかんずく第9条の下でこれだけ安心安全な国家が築けるのだという明快で理解しやすいビジョンが必要だということです。

私は日本共産党の政策や指摘が一番理論的かつ合理性が高いと思っていますが、日本人の多くは理論ではなく感情で動いてしまう傾向があります。

どころか今回の参議院選の結果を見て感じたのは、国政という一人一人にとって極めて重く切実な問題について、日本人というのはなぜこうも雑な考え方しかできないのだろうという嘆きです。

しかしそれが日本の厳しい現実である、というところでこれまでは終わっていました。

            

ところがれいわ新選組がこれまでの政党と全く違うやり方で現実を変え始めています。

参議院の議場がバリアフリーになるようですが、れいわ新選組は身障者の方お二人を比例代表で当選させ、議場に送り込むことにより参議院のバリアフリー化を実現させました。

私は目の覚めるようなやり方だと思っています。

山本太郎氏とれいわ新選組なら、『新しい、人々を興奮させられるほどの政策アイディアの基盤を作り上げる』ことができるかもしれません。

                 

彼らなら世襲議員たちが作り上げた、腐敗臭を放ちながら誰のために機能しているのかかまるでわからない権力基盤にひびを入れていくことができるかもしれません。

ベルリンの壁崩壊も、始まりは人の手に握られたノミとハンマーだったのですから。

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