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民意を無視し、事実を捻じ曲げ、虚構を語る首相の改憲

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所要時間 約 8分

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選挙後にまた態度をひるがえし。改憲を強調し始めた安部首相
安倍首相の野心を阻止することはリベラル派の人々の共通の政治目標

              

山口まり / AP通信 / ワシントンポスト 2019年7月22日

              

安倍首相は7月22日月曜、前日に投票が行われた参議院議員選挙の結果について与党が過半数を制して勝利した結果は有権者が彼の方針に信任を与えたことを証明するものだと述べ、日本の平和主義憲法を改定するための国民的議論を開始すべきだとの持論を展開しました。

              

しかし現実には自民公明の与党連立政権は改選前より議席数を減らし、衆議院よりは権限が小さいとはいえ参議院における3分の2の圧倒的過半数から後退し、憲法改定の発議に必要な衆参両院における3分の2の議席の占有という状況からは後退することになりました。
その結果、安倍首相の憲法改定という長年の目標は遠のくことになりました。

                 

しかし安倍首相はあきらめていません。
彼は決意を新たにし、憲法改定に関する議論を開始するよう呼びかけ、野党の保守派からの支持を得るため改訂内容に柔軟性を持たせようとしています。

                 

「少なくとも議論を行なうべきであり、有権者もそう判断しました。」
安倍首相は記者会見でこう語りました。
「与党と野党の垣根を越えて3分の2の支持を得ることができる改訂案を作成したいと思っています。」

                

安倍首相は野党の憲法改定反対派から保守派や無所属議員を切り離し、その支持を得ることを期待しています。

            

しかし立憲民主党党首の枝野幸男氏は、日本の有権者は3分の2の議席の確保を阻むことにより安倍首相の改憲への取り組みにノーをつきつけたのだと語りました。
「安倍首相の選挙キャンペーンの中身は本当に独りよがりのものでした。憲法改定は有権者にとっては非常に優先度が低い問題です。」
枝野氏はこう続けました。
「我々が目にした結果は、有権者の3分の1以上が憲法を劣化させてしまう自民党の改憲案を許さないと言っているというものでした。それこそが民意であることは明らかです。」

            

憲法改定問題は日本の有権者を分断し、安倍首相の野心を阻止することはリベラルの立場に立つ人々の共通の政治目標になりました。

                 

               

安倍首相と右翼の支持者たちは、米国が起草した戦争放棄を宣言している日本国憲法を改定するために長い間キャンペーンを続けてきました。
彼らは日本国憲法を日本の第二次世界大戦の敗北と屈辱の遺産と見なしています。

                

2012年末に就任して以来、安倍首相は日本の戦時中の残虐行為を無かったもののように扱い、日本の防衛上の立場を拡大し軍事能力の増強をを推進してきました。
安倍首相はこれまでは憲法を書き換えるのではなく戦争の放棄をうたう第9条の解釈を変更し、自衛隊が国土の防衛だけでなく米国や他の同盟国が敵の攻撃を受けた際に日本が軍事力を行使することを可能だとしました。

           

一部の超保守強硬派の支持者に支えられた彼の憲法改定キャンペーンは、急速な高齢化と人口減少が進む中で雇用、経済、社会保障の問題が深刻化していることを懸念する多くの有権者の支持を集めることに四苦八苦しています。

                 

安倍首相は憲法改定に対する支持を拡大するための手段として、日本の自衛隊を合法的な正規軍として規定することを第9条に書き加える改定案を提案しています。

              

https://www.washingtonpost.com/Japan’s Abe pushes charter change despite election results
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小学校から中学にかけ残酷なシーンを繰り返し見せられたベトナム戦争が1975年に集結した当時、高校生だった私は単純に世界や日本の政治や社会というものは進歩していくものだと信じていました。
それが21世紀に入ってから日本やアメリカの政治がここまで劣化するとは思ってもいませんでした。

              

いうまでもなく安倍政権やトランプ政権の政治がそうさせているわけですが、これら政権はそれを支える私たち国民の質が投影されたものでもあるわけで、その点が悩ましいところです。

                      

参院選の前、ベトナム戦争と当時の田中角栄首相のエピソードが話題になりました。
「70年代、アメリカから日本に対してベトナム戦争派兵への圧力が強まった時、当時の田中角栄首相は『どんな要請があっても、日本は一兵卒たりとも戦場には派遣しない』と答えたというのです。

ベトナム戦争がアメリカ社会をどれほど荒廃させてしまったかを考えれば、田中角栄首相の判断は明らかに日本を救ったと言えるでしょう。
しかしその後田中角栄氏は、アメリカ側からもたらされた情報によって『巨悪事件』に発展したロッキード事件によった失脚してしまいました。

                  

米国にとって、同盟国は必ずしも民主主義国家である必要はないということをかつて書いたことがあります。
南米チリの選挙によって初めて誕生した社会主義政権・アジェンデ政権が軍部のクーデターで崩壊した際、『アメリカの支援を受けた反共主義を掲げる極右組織が次々に誕生し、CIAが右翼勢力に対する公然非公然の支援を行い政権打倒の動きを強めるなど次第に政情が不安定化』(ウィキペディア)していったことが念頭にありました。

                   

今アメリカが巨額の軍事費に苦しみ、イラクやアフガン派兵により社会の荒廃が進んでいることを考えると、海外での軍事オペレーションへの『同盟国日本に対する派兵圧力』が強まっていることは容易に想像できます。
しかし現在の首相は憲法第9条を盾にそれを頑として撥ねつけた田中角栄氏ではありません。
長年その第9条の廃止を主張し続けてきた人物なのです。
『CIAが右翼勢力に対する公然非公然の支援を行い、日本の平和主義打倒の動きを強め』てはいないでしょうか?

            

私たち市民が自分自身で危機感を持って、憲法第9条と日本の平和主義を守るのだという覚悟が必要です。

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