ホーム » エッセイ » 【 3.11の予測は、どこまで可能だったのか?! 】
貞観大地震と東日本大震災
クリスタル・ガモン / 私たちの素晴らしい地球 12月13日
≪図≫2011年5月20日までに発生したマグニチュート5.5以上の地震の発生地点を示す。暖色になる程最近発生した地震であることを示し、地震の規模は○の大きさで示される。
『Hindsight is 20/20(起きた後なら、誰だってその事実を指摘できる。【直訳】過去を振り返る目は視力満点⇒未来や相手の人柄などを予測するのは難しいが、ひとたび事が起きた後では誰でもそれについて明確なイメージを持てる - Space ARC - http://www.alc.co.jp/ )』
そんな格言があります。
2011年に日本を襲った3.11の猛烈な地震と巨大津波の災害が、まさにその格言通りであることを、新たな研究結果が明らかにしました。
3.11が発生する以前、日本の地震予知マップは、日本海溝付近に沿った一帯には、巨大地震の脅威は存在しないとしていました。日本海溝は、大陸プレート同士がぶつかり合い、太平洋プレートがユーラシアプレートの下に急激に沈み込む部分で、東北太平洋沖地震の直接原因を作りました。
そして今、東北地方で調査を続けてきた地震学者たちが、西暦869年に3.11と同規模の巨大地震と巨大津波の影響が及んだ範囲の特定にこぎつけました。
東北太平洋沖地震発生以前に、研究者と当局者はこの事実を把握しており、これを基に緊急時のプランをもっと有効なものにすることが可能だったかもしれないと、調査を指揮している地質調査総合センター(2001年4月1日に独立行政法人・産業技術総合研究所に統合)の古代地震学者澤井祐紀氏が語りました。
「津波地質学には、東北地方における巨大地震の発生頻度と、津波が少なくともどの範囲まで及ぶ可能性があるかを推定することが出来るだけの、研究の蓄積があるのです」
澤井氏は11月9日に発行された地質調査総合センター月報に掲載した報告書の中に、こう記しました。
「津波に備える避難マップをより精度の高いものにし、周辺の自治体の防災組織に情報提供していれば、3.11の犠牲者の数をもっと減らすことが可能だったかもしれません。」
▽ 西暦869年 貞観大地震
澤井氏が率いる調査チームは、日本の本州の東北地方の太平洋岸沿いに、歴史に記録されている巨大津波の痕跡として残されている砂の層を調査しました。
層位学と放射性炭素年代測定法を活用し、調査チームは砂の層のひとつが西暦869年に東北地方を襲った貞観大地震津波のものであることを突き止めたのです。
貞観大地震の砂の堆積層は仙台市の地層の中にあり、その長さは少なくとも100㎞、幅は内陸部に向かって1.8㎞あることが解りました。
澤井氏のチームは貞観地震のパラメータ(はつめいぶつ物質や事象の性質や機能を示す数値)モデルを作るため、この数値を活用しました。
貞観地震は日本海溝での長さ約200㎞、幅約100㎞にわたる断裂によって、少なくともマグニチュード8.4以上の地震が引き起こされたと、澤井氏のチームは積算しています。
これに対し、3月11日の東北太平洋沖地震では長さ約300㎞にわたる断裂により、マグニチュード9.0の地震が引き起こされました。
新たな調査結果により、この地域での巨大地震の発生は500年~800年間隔で発生することが確認されましたが、これまで見積もられていた数値よりも高くなっています。
これまで、研究者は869年の地震の大きさを推定することができませんでした。
こんかい澤井氏のチームが最小でもマグニチュード8.4以上であったことを解明しましたが、最大値の解明は困難であると語りました。
その理由のひとつが、砂の堆積物だけから津波の規模を割り出すことは不可能であるという点です。
「地質学からだけでは津波による浸水の規模を再構築するのは不可能なため、私たちは津波による砂の堆積層と隣り合う洪水の痕跡についても、その規模に関する再構築を行なわなければなりませんでした。」
こうした条件のため、澤井氏のチームの積算結果は、実際の規模を下回っている可能性があります。
東日本大震災の津波は、貞観地震津波の痕跡の砂の堆積層を超えて広がったことから、その可能性が否定できません。
いずれにしても今回の研究結果が、今後の東北地方の地震対策に役立てられなければならないと、澤井氏が語りました。
「津波のスケールを予測することにより、確実に安全だと言える避難場所の設定、すなわち避難地図地図の作成が可能になります。」
澤井氏が『私たちの素晴らしい地球』の取材にこう答えました。
「そして地震の最大規模を予測することは、都市計画、重要施設の設計、そして災害後の復旧計画をシュミレーションする上で、重要なものとなるはずです。
http://www.ouramazingplanet.com/3886-ancient-japan-earthquake.html
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【 破壊された建物の真中で…2004年インド洋大津波 】
アメリカNBCニュース 12月26日
追悼式典の開始を待つ女性。
インドネシア、スマトラ島、バンダ・アチェ特別州行政区、2012年12月26日。
2012年12月26日は、2004年のインド洋大津波の発生から8年目の日です。スマトラ沖のマグニチュード9.3の地震によって引き起こされた巨大な津波は、インド洋沿岸13カ国の約230,000人の命を奪いました。
追悼式典の会場で泣き崩れる女性たち。
インドネシア、バンダ・アチェ特別州アチェ特別州行政区、2012年12月26日。
海岸で犠牲者のためにミルクを海に流す女性たち。インド、チェンナイ、2012年12月26日。
津波によって破壊された家の残骸の中で遊ぶ子供たち。
インドネシア、スマトラ島、バンダ・アチェ特別州行政区、2012年12月26日。