ホーム » エッセイ » 【 台頭する中国、増大する軍事的圧力を前に、日本は記録的金額の防衛費を計上 】
台頭する中国の力にはチカラで対抗する、財政事情が逼迫する中、それは果たして賢明な選択なのか?
大切なのは外交努力と軍事的圧力のバランスを取り続ける、その取り組みを忘れない事
ジャスティン・マッカリー / ガーディアン 1月14日
中国が東アジア地区における軍事的影響力を増大させるとともに、日本政府が実効支配している東シナ海の一群の島々に対し領有権を主張していることに対応するため、新年度予算の中で過去最大規模の防衛費を計上することを発表しました。
1月14日に閣議了承された4兆9800億円(420億ドル)の防衛予算は、昨年と比較して2%の上昇となり、民主党政権まで10年連続で減少を続けていた防衛予算は安倍内閣誕生とともに一転、3連続で増加を記録しました。
防衛費の増額は、戦後平和憲法の下で課されていた軍事面の様々な制約を取り払い、日本の軍事能力を高めて中国の圧力を跳ね返そうとしている、タカ派の安倍晋三首相の防衛方針と軌を一にするものです。
安倍首相は今年、日本が同盟国とともに第二次世界大戦の終了以来初めて他国の領土で戦闘行動を行う事を可能にするため、憲法第9条の解釈の変更に伴う新たな法律の制定を進めることになっています。
こうした一連の動きは、日米安保条約に基づく軍事面での日本側の貢献度合いの増大を求めるアメリカ政府の歓迎するところとなりました。
一方中国の今年度の軍事予算は1,122億ドルで、日本と比較すると2倍以上になります。
ロンドンにある国際戦略調査研究所によれば、中国の軍事予算は2013年に6,004億ドルを使ったアメリカ合衆国に次ぐ規模であり、日本の軍事費は世界で7番目の規模になります。
新年度の日本の防衛予算が主眼としているのは、東シナ海の尖閣諸島をはじめとする遠隔地域の島々に対するいかなる侵攻も跳ね返せるだけの兵器を装備することです。
この中にはP-1海上用哨戒機20機(国産)、F-35戦闘機6機、垂直離着陸が可能なオスプレイ5機、、グローバルホーク無人機、イージス(駆逐)艦2隻の購入費用、そしてアメリカと共同開発中のミサイル防衛システムの開発予算が含まれます。
防衛省はさらに日本の南方の領域で監視活動を行うための早期警戒機と水陸両用攻撃車両30両を購入する予定です。
中谷防衛大臣は中国の監視船による尖閣諸島周辺での度重なる領海侵犯にはっきりと言及し、国防費の支出額の増大が東アジア地区における『状況の変化』に対応するためのものであると述べました。
「国防支出のレベルは、日本の空域と海域、そして国土を守り、我が国の市民の命と財産を守るための必要量を反映するものです。」
中谷防衛大臣はこう語り、中国の戦闘機が日本の航空機に異常接近した事実を付け加えました。
「本当の問題は、日本の防衛予算を積み増すことが、中国の台頭に対応するための最も賢明な方法であるかどうかということです。」
昨年度の防衛予算が日本の歳出の12パーセントにまで膨れ上がった点について、上智大学の政治中野孝一教授はこう指摘しました。
「日本はすでに莫大な公的負債を抱え込んでいる上、高齢化が進行する、成熟した経済です。中国のGDPは日本の2倍に昇り、人口は日本の10倍以上なのです。」
中野教授がこう語りました。
「対等な軍事力を保持することは、全体の解決の中の一部分に過ぎません。緊張した外交関係を解くため可能な限りの外交的努力を積み重ねた上で、軍事的抑止力というものを考えるべきなのです。」
「ごく単純な事実があります。それは日本には中国と軍拡競争を続ける体力などは無いということです。」
今回の防衛予算については、その視線は明らかに尖閣諸島を含めた離島にへの侵攻の危険性に向けられており、日本は水陸両用車量の導入だけでなく、アメリカ海兵隊の日本版というべき部隊の整備にも努めてきました。
しかし一部のアナリストは、安倍首相の防衛計画は、東シナ海において増大し続ける中国の軍事的脅威にだけ対応したものではないと分析しています。
明治大学国際総合研究所の客員研究員の奥村準氏が次のように語りました。
「日本政府は北朝鮮の核兵器プログラムについても懸念を抱いています。そしてシーレーンの確保の問題、さらには冷戦時代には北方領土が最大の問題でしたが、現在ではずっと南に下がった海域に対する脅威が最重要課題に変わったのです。」
「中国の東シナ海とその空域における軍事的圧力の増大、そしてフィリピンやベトナムに対する明らかな軍事的敵対行動が日本の防衛予算の拡充、軍事政策、そして関係国との同盟強化の方向性に影響を与えていると言われています。」
「中国政府が国際法を守ろうとしない限り、緊張関係は続かざるを得ません。」
日本国際問題研究所の小谷哲男主任研究員がこのように語りました。
「他国の領海と領空を脅かすと同時に、中国は他国の軍隊に航行と領空飛行の自由を認めようとしません。
「中国が国際法や国際規則を守らない限り、これらの危機が続くことになるのです。」
http://www.theguardian.com/world/2015/jan/14/japan-reveals-record-defence-budget-as-tensions-with-china-grow
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防衛予算の記事を見ていつも思うことは、守るべき国の中身は大丈夫なのか?ということです。
無人島を守るために巨額の費用を惜しまない一方で、母子家庭や父子家庭の生活はしっかり守られているのでしょうか?
国民とその財産を「守る!」「守る!」と見栄を切りますが、一方では『反日』や『非国民』は許さんぞ!という態度も見え隠れしています。
それ、『守る』のではなく、脅しているのではないでしょうか?