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[モンゴルの法の不備を衝いて、核廃棄物持ち込みを狙う米国、そして日本]
発展途上国でのビジネスチャンス、そして外交上の影響力、その両方を手に入れたい
スヴェンドリニ・カクチ / IPSニュース 2012年1月18日
日本は一方では昨年3月11日に発生した地震と津波により破壊された、福島第一原発からの放射能漏れが続いていることに怒る国民を何とかなだめようとしながら、民間レベルでは原子力発電の輸出を促進しようとしています。
「日本がこうした危険な行動(原発輸出)に出るのは、発展途上国でのビジネスチャンス、そして外交上の影響力、その両方を手に入れたいためなのです。」
日本の「環境・持続社会」研究センター(JACSES[ http://www.jacses.org/index.html ]) の専門家である田辺ユキさんがこう説明しました。
〈モンゴル高原〉
昨年12月、二国間協力の一環として、ベトナム、ヨルダンに原子力発電所の輸出を可能にするための法案が、衆議院の外務委員会によって承認されました。
日本の総理大臣野田佳彦は、これらの国々が「日本の高水準の技術を切実に必要としている」として取引を正当化しました。
野田首相はさらに「これらの国々の原子力発電所の安全性を高める」ために日本が助力する必要がある、とも述べました。
日本企業による原子力発電所建設、運営、そして経営を行うことまで含めたこうした協定は、他のいくつかの国々 - インド、バングラデシュ、トルコでは現在決定を待つ状態にあります。
輸出先として予定されている国々と日本の環境活動家は、互いに協力しながらこの計画に対する反対キャンペーンを展開していますが、福島での放射能漏れにより、勢いを得てきました。
放射能汚染によってもたらされる非常に大きな健康上のリスクに加え、活動家たちは過去数か月にわたる日本での事故が暴き出した、原子力発電の法外とも言えるそのコストについても糾弾しています。
福島第一原発のメルトダウンにより発生した大規模汚染は、近隣の150,000を超える人々に避難を余儀なくさせました。
さらに数万ヘクタールの農地が、ここで食料生産を行うことは危険である、と宣告されてしまいました。
周辺の海域で今月実施された調査は、海洋資源が汚染されもはや食用にはできないと結論付けたのです。
福島第一原発の運営を行ってきた東京電力は、60億ドルを超える賠償責任に直面し、公的資金による援助を求めざるを得なくなっています。
こうしたいくつもの困難な問題は1月14、15の2日間横浜で開催された、核・原子力の無い世界を目指す世界の市民運動家たちが企画した会議の席上、明らかになりました。
韓国、カナダ、そしてEUなどから参加した講演者たちは、各国において強まる反核・反原子力の世論について、様々な事例を紹介しまし た。
安全なエネルギー・再生可能エネルギー分野で国際的にも知られるインドの活動家プラフル・ビドウィ氏は、満員の聴衆に向け日常的な抵抗運動と、原子力発電所近くに暮らす地方の人々がデモなどを行う事の重要性について、説明を行いました。
インドでは今、総電力需要の3パーセントを原子力発電によりまかなっていますが、成長する経済とそれに伴う電力需要の増大から、2020年にはこの割合を20%にまで引き上げることが計画されています。
ビドウィ氏によれば、インドは核不拡散条約に調印せず、粗末な設備が原因の火災、爆発、汚染水漏出などの事故を数多く引き起こし、作業員が被ばくしたり、一般市民が放射能汚染の被害を受けています。
2011年10月、野田首相とインドのソマナハリ・クリシュナ外相は、原子力の平和利用を促進する上で、日本とインドのパートナーシップを確立するための、条件を整えるための交渉を再開することで合意しました。
当局者や原子力産業界のこの件の関係者は、日本の原子力発電関連輸出は継続され、今後韓国企業との競争が焦点となるだろう、と話しています
しかし韓国の原子力発電に反対する環境運動家のキム・ヘユンは、韓国国民の間に原子力発電がもつ危険性について改めて啓蒙する効果があった、と横浜の会場で述べました。
実際10月に実施された世論調査では、韓国ではこれ以上原子力発電所を建設することに国民の68%が反対しており、政府が建設を進めようとしている6基の原子炉の建設については、もはや国民の支持が得られないことを示唆しました。
韓国は昨年、アラブ首長国連邦との間で新たな原子力発電技術輸出の協定を締結し、フィンランドでは受注獲得に向け日本と競争になっています。
モンゴル、豊かなウラン資源に恵まれたこの国は、昨年5月に日本とアメリカが、排出した核廃棄物の廃棄処分貯蔵施設をこの地に建設する計画を持っていることが明らかにされてから、反核・反原子力論議の焦点となっています。
モンゴルの緑の党のメンバーで、反核・反原子力運動に成果を上げつつあるセルンゲ・ルカハグヴァジャヴ氏は、モンゴルには核の専門家もいなければ、核廃棄物を適切に取り扱うことができる技術者すらいないのだ、と横浜で語りました。
「原子力発電を行っている国々は、モンゴルには核関連の法律が整備されていないことをいいことに、廃棄場所として目をつけたのです。私たちはこのような振る舞いには、断固として立ち向かっていくつもりです。」
彼女がIPSニュースに語りました。
総需要電力の30%を原子力に依存する日本は、福島が他の事故が発生しないよう、予防措置の実施基準をより厳格なものにする、と約束して来ました。
しかし、JACSESの 田辺さんは、そんなものは目先のごまかしに過ぎないと切って捨てました。
一方で、現在進行中の原子力発電所に対するストレステストは、日本における原子力発電量を大幅に低下させており、活動家の人々は今こそ日本がもっと安全な発電手段に向かうべきチャンスだと見ています。
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皆さんも高校の漢文の時間に習ったと思いますが、中国のこの格言。
『天網恢々疏にして漏らさず』(てんもうかいかいそにしてもらさず)
天が悪人を搦め取る網の目は大きく、一見するとその目の粗さでは誰も捕まえる事ができないようだ。
しかし、一旦天がこの網をうつと、不思議と悪人だけが搦めとられてしまう、ということです。
人の道に背く事をすれば、必ずその報いを受ける、という意味になります。
日本人の遺伝子を解析し、その先祖を辿るとシベリアのバイカル湖畔にたどり着くそうです。
もちろん、現在この日本に住む人々の祖先はそれだけではありません。
『海の道』を通ってやって来たポリネシア系の人々(わだつみ族?)、中国の春秋戦国で言う呉・越の方から来た人々、朝鮮半島経由、そしてモンゴル族・満州族(人種的違いは無いが、前者は放牧、後者は半農)、たぶんカムチャッカ半島経由でやって来た現在のアゼルバイジャン・トルクメニスタン辺りの人々、これ皆日本人の先祖だと言われています。
誠に多士済々、楽しいものがあります。
これだけいろんな所から「日本人」が集まって来た事を考えれば、日本に八百万の神々がいらせたまうのも納得が行こうというものです。
ついでに、ヨーロッパにも我々日本人と同族といわれている国があるのをご存知ですか?
ハンガリー(フン族)とフィンランド(フィン人の土地)の2カ国です。
人種的にも、『膠着語(てにをはで単語をくっつけて、文章を作る)』という言語を話す、という点でも共通項があるのです。
こうしてみれば、モンゴルの地もまた私たち日本人のルーツをたどると、たどり着く場所のひとつ。
その地に、セシウム137なら30年、プルトニウムに至っては2万5千年もの間、『有害』であり続ける核廃棄物を持ち込もうとする日本人がいる、という事になります。
生前、モンゴルの天と地と人々をこよなく愛した司馬遼太郎さんが、もしこの話をお聞きになったらどうだったでしょうか。
『天網恢々疏にして漏らさず』
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【 月内にもイスラエル・イランの武力衝突 】
[イスラエルは中東のがん細胞「取り除く」 - イラン最高指導者アヤトラ・ハメネイ]
アメリカNBCニュース 2月3日
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アメリカの国防長官レオン・パネッタから、今日イランへの強い警告が発せられました。
核兵器を開発することは許されない。もしあえてその道に踏み込むつもりなら、アメリカも黙ってはいない、というものです。
これはイスラエルが月内にも、イランの核施設を攻撃する可能性がある、という報告について、パネッタ国防長官が「信ずるに足る」と言う判断を下した結果によるものです。
あらゆる事態が、最悪の事態に陥る危険性が出て来ました。
NBCの主任海外特派員、リチャード・エンゲルがイスラエルの首都テルアヴィヴからお伝えします。
レポーター:今日、イランからも宣戦布告並みの警告が発せられました。イランの最高指導者は悪性のがん細胞を体から取り除くようにして、イスラエルをアラブの地から「取り除く」、そしてイランを攻撃したりすれば、アメリカはその10倍の代償を支払う事になる、と発言しました。
これは「核開発の即時停止、さもなければイスラエルによる攻撃」という、イスラエルの高官の口から異口同音に次々発せられた発言に対抗するものです。
イスラエル国防相「我々はイランが核兵器を手にする前に、それを妨害する決心を固めました。」
レポーター : それは単に武力を行使する、という威嚇である可能性もありますが、パネッタ国防長官はそうは考えてはいないようです。そして彼は今回のイスラエルの攻撃が、イランにおける核開発がもはや防ぎようのないものである事を、アメリカ合衆国政府に訴える意味もある、と捉えています。
しかしながら、こうした制裁はいつもの彼らのやり方であるとも見られています。
イスラエルはどのように厳重に防御されていようと、核施設は必ず破壊する、と述べ、ただし全面戦争にまで発展させるつもりはない、としています。
イスラエル副首相「私はイランの核施設については、考えうる限りの厳重な防御・防衛設備を備えてる、と考えています。しかし、人間の手によって作られたものである以上は、人間の手によって破壊できるはずです。
レポーター : しかしなぜ、そのように急ぐのでしょうか?
イスラエルはイランが、年内に核兵器の開発に成功するものと見ています。
イランは着々と核開発を前進させ、防御を固めており、このまま放置すれば部分的な空爆を実施しても、開発を遅らせたり後戻りさせたりする事はできない、それだけ事態は月ごとに難しくなっている、とイスラエルは確信を持っています。従ってこれ以上は待てない、とイスラエルは言いますが、攻撃が実施されれば、ここテルアヴィヴにミサイル攻撃などの報復が行われる事は間違いありません。
ロン・バルトさんは私達に彼の家族の防空壕を見せてくれました。
かれはイランの攻撃は避けられないと考え、その準備を怠りません。
ロン・バルト「我家ではこの部屋を防空壕にしなければならなくなるでしょう。」
レポーター : この20年間に建てられたすべてのイスラエルのアパートは、防空壕の設置を義務づけられています。
これはガスマスクでしょうか?すべてのイスラエル人にはガスマスクが支給されています。
このような準備は、イランを攻撃する事が最良の方法である、とすべてのイスラエル人が考えている事を意味するものではありません。
ロン・バルト「もしミサイルが米国にではなく、イスラエルに飛んで来たら…」
レポーター:米国政府は自制を呼びかけています。しかしイスラエルはそれ程時間は残されてはいない、と返答しています。
アメリカを攻撃するつもりはない、と語る一方で、今日イランは人工衛星を軌道に打ち上げ、そのロケット技術を披露しました。
イランは核開発が平和利用目的である事を改めて主張、核兵器開発に関するいかなる決定も行われていないと語り、これに対しイスラエルは間違いなく核兵器を装備している、と指摘しました。
テルアヴィヴのリチャード・エンゲル、ありがとう。
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