ホーム » エッセイ » 【『フクシマ』から2年、東京都内で大規模抗議デモ 】&【 巨大な規模の汚染除去作業 】
一生故郷に戻れなくなった人々の思いを、受け止めるつもりが無い日本政府
斎藤まり、ソフィー・ナイト(編集 : アーロン・シェルドリック)/ アメリカNBCニュース 3月10日
3月11日に襲った巨大地震と巨大津波がきっかけとなり、福島第一原発の3基の原子炉がメルトダウンを引き起こし、この25年間で最悪の原発事故を起こしてからちょうど2年目を迎える前日の3月10日日曜日、数万人規模の抗議者たちが日本政府に対し原子力発電所の廃止を求め、東京都内をデモ行進しました。
日本は2年前に東北地方太平洋側沿岸地区を徹底的に破壊した被害から立ち直るため、様々な取り組みを行っている真最中であり、数千人に上る人々が未だに行方不明のままです。
地震と津波による直接の死者は15,000人を上回りました。
「抗議の声を挙げることが、ますます重要になってきました。私は子供たちのため、そして未来の子供たちのため、講義の声を挙げています。原子力発電が生み出す数多くの負の遺産を、子供たちに押し付けることは許されません。」
2人の子供の母親である32歳の女性は、経済産業省の前をデモ行進しながら、
「原子力発電をやめよ!子供たちを守ろう!」
と声を挙げていました。
「日本の国民と報道機関は、フクシマ、そしてそこで起きた様々な出来事をもう忘れ始めています。」
この女性がこう語りました。
事故を起こした東京電力の福島第一原発は、160,000もの人々に避難を強い、この中にはおそらくは一生故郷に戻れなくなった人々もいます。
そして福島第一原発の事故は日本において、原子力発電に対する前例のない抗議運動を生むことになりました。
東京電力は1986年に発生した最悪の原子力発電所事故、チェルノブイリに次ぐ大規模な原子力発電所の廃炉作業、そして放射能汚染の除去に取り組まなければなくなりました。
この作業の完了には数十年の月日を要するものと見られています。
日本国内に50基ある原子炉は福島第一原発の事故の後段階的に停止して行き、現在は2基を除いてすべて停止しています。
しかし昨年12月の選挙において圧倒的な勝利を手にした安倍晋三首相、そして彼の所属政党である自由民主党(LDP)の存在は、原子力発電に反対する人々にとっての懸念材料です。
自由民主党こそはこれまで長い間、原子力発電政策を推進し、政治家、官僚、そして電力会社3者の結びつきを強めてきたのです
最近の世論調査では、日本人のおよそ70パーセントが最終的に原子力発電を廃止したいと考えています。
しかし新たな安全基準を満たした原子力発電所は随時再稼働させる考えの、安倍首相の支持率もまた70%近くあります。
現在は引退生活を送っている67歳の亀山のぶ子さんは、駅の近くで反原子力発電のパンフレットを手渡しながら、こう語りました。
「日本の人々は、民主党政権の下で進展があった原子力発電廃止のための道筋が、民主党が政権を失うとともに失われてしまったことよりも、停滞する経済の方により多くの関心があるのです。」
「自民党が政権の座に再び座ったことにより、私たちの取り組みも振り出しに戻ってしまいました。それに嫌気がさした人もいて、抗議活動もかつてほどの盛り上がりが無くなっているのが気がかりです。」
http://www.nbcnews.com/id/51122257/ns/world_news-asia_pacific/t/thousands-japan-anti-nuclear-protest-two-years-after-fukushima/#.UUEVCTf0cnU
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今週から休刊日を月曜日から土曜日に変更させていただいておりますので、3月11日の週の掲載は今日で終わります。
来週から福島第一原発による汚染を、アメリカが文字通り国を挙げて検証した結果を伝える記事を掲載します。
3月18日・月曜日からの掲載において、私たち日本人が知らなかった、福島第一原発による「真実の汚染状況」に迫る記事をご紹介します。
2011年、3.11発生直後からアメリカ軍によって展開された『トモダチ』作戦、作戦を展開している間、アメリカ軍は各地で詳細な放射線量の測定を行っていました。
その現場にいた将兵たちの証言と、測定を基にアメリカ国防総省が公開した、日本各地における累計被ばく線量の資料。
これらを取材・精査して作られた記事、「実録『トモダチ』作戦 - アメリカ軍の観測記録が暴く、福島第一原発の汚染の真相」の第一部を3回に分け、ご紹介して行きます。
第3回では、アメリカ国防総省が公開している資料を使って、関東・東北地区を中心とした、外部被ばく、甲状腺線被ばく線量を計算する方法もご紹介します。
尚、この実録『トモダチ』作戦 は2013年1月に第1部、2月に第2部、3月に第3部が掲載され、この後第4部が公開される予定です。
いずれも非常に長い、その分綿密な記事ですが、すべて翻訳の上、ご紹介するつもりでいます。
ご期待ください。
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【 巨大な規模の汚染除去作業 】
30~40年、この期間内に本当に廃炉は完了するのか?
山本あらた / アメリカNBCニュース 3月8日
2011年3月11日マグニチュード9.0の巨大地震と巨大津波により事故を起こし、徹底的に破壊されてしまった福島第一原発内部が報道関係者に公開されました。
報道人による視察は19,000人の犠牲者を生み、未だに160,000人に避難生活を強いている災害が発生した日、3月11日に先駆けて行われ、巨大な規模で行われている福島第一原発の廃炉作業の一端を明らかにしました。
福島第一原発の廃炉作業は、完了まで40年を要するとされています。
施設内には原子炉を冷却するために使用された汚染水を収容する巨大なタンクが、列をなして並んでいます。
各原子炉を摂氏59度から95度の間の安定した温度に保つためには、冷却水を絶えず注ぎ込む必要があるのです。
福島第一原発の東京電力職員によれば、タンク1個は1,100トンの容量を持っていますが、これがわずか2日半でいっぱいになります。
施設内には930個のタンクが設置されていますが、すでに75%は汚染水でいっぱいの状態です。
東京電力は新たに771,600トン分のタンクを建設する計画ですが、それ以上は敷地面積が限界を迎え、不可能です。
原子炉を再び暴走させないために1日440トンの水が使われていますが、この作業を続ける限り、使い終えて汚染された水をどう処理するかという問題が発生し続けます。
東京電力側は、この汚染水から放射性物質を取り除くために建設した装置の1日も早い稼働を願っています。
東京電力はこの処理さえ行えば、汚染レベルは直接海に配水できるほどまで下がるものと見ていますが、この措置に対して周辺住民を始めとする一般からの理解を得られるかどうかは不明のままです。
地元の漁業協同組合などは、この計画に強硬に反対しています。
2月には福島第一原発近くの海で獲れた魚から、政府が定めた安全基準の5,100倍の放射性物質が検出されました。
しかし一連の作業の中で最も重要なのは、今年の11月から開始されることになっている原子炉4号機の燃料棒の取り出し作業です。
現在、4号機建屋に隣接し、破壊された原子炉建屋を覆う設備の建設が進んでいます。
しかし、メルトダウンしてしまった1~3号機の核燃料の取り出しについては、まだどのようなプランもありません。
政府の狙いは、この廃炉作業を30~40年の間に終わらせることですが、そのためには新たな技術開発も実現される必要があります。
誰にとっても気が重い福島第一原発の事故、それを何とか収束させ、この大規模な廃炉への取り組みを順調に進めるためには、必要とされる技術開発が実現されなければならないのです。
[山本あらた記者による2013年3月8日付のリポート]
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[リチャード・エンゲル記者による、避難区域内についての2012年3月のリポート]
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http://worldnews.nbcnews.com/_news/2013/03/08/17234000-rare-tour-of-fukushima-reveals-colossal-decontamination-efforts?lite