ホーム » エッセイ » 「福島の事故を起こしてしまった以上、日本国内の原子炉は廃炉にしなければならない」新任の小泉環境大臣
「もう一度原発事故を起こしてしまったら、日本は破滅する」
難しくなった2030年までに30基の原子炉を再稼働させるという安倍政権の目標
ジャスティン・マッカリー / ガーディアン 2019年9月12日
新たに環境大臣に就任した小泉進次郎氏は、福島第一原発事故を繰り返さないためにすべきことは原子力発電所の再稼働ではなく、原子炉の廃炉であるべきだと語りました。
戦後日本で3番目に若い閣僚に任命された数時間後、小泉進次郎氏が明らかにしたコメントは、彼を原子力発電推進派の安倍首相との対決路線に
置く可能性があります。
「日本国内の原子炉をどのようにして保持するかではなく、それらをどうすれば廃炉にできるのか学んでいきたい。」
38歳の小泉氏はこう語りました。
「別の原子力発電所事故を起こしてしまったら、私たちは破滅することになるでしょう。この国ではいつ大地震が起きるかわからないのです。」
こう発言した小泉氏ですが、すぐに日本が原子力発電を全廃することは『非現実的』だと主張する新任の経済産業大臣から反論されることになりました。
「原子力にはリスクもあり懸念もあります。」
菅原一秀経済産業大臣は記者団にこう語りました。
「しかし『原発ゼロ』は、現時点においても将来においても現実的ではありません。」
日本政府は、原子力発電が2030年までに日本全体の気発電割合の20%から22%を構成することことを望んでいます。
しかし原子力発電に反対する人々は大地震や津波に見舞われる可能性の高い国土の特性を考えると、原子力発電所の存在は日本を常に危険にさらすことになると批判しています。
しかし安倍首相は原子力発電所の再稼働を要求し、原子力は日本が二酸化炭素排出目標を達成し、輸入に頼らざるをえない天然ガスや石油への依存割合を減らすのに貢献すると主張しています。
2011年3月巨大津波に襲われた福島第一原子力発電所で3基の原子炉がメルトダウンする事故を引き起こした後、日本国内にあつた54基の原子炉はすべて停止しました。
当時原子力発電は日本の総電力生産量の約30%を占めていました。
しかし現在は福島のメルトダウン事故後に導入された厳格化された安全性基準に適合した原子炉9基だけが再稼働しています。
しかも安倍政権が目指す2030年までに30基の原子炉を再稼働させるという目標は、地元の強い反対と法的課題を前に達成できる可能性は低くなっています。
小泉進次郎氏は自らの主張について閣内からの反対意見に直面するでしょうが、少なくとも父親であり反原発運動家として知れる元首相の小泉純一郎氏の支援を受けることになるでしょう。
日本の原子力の将来についての議論は続いていますが、将来の首相候補とも取りざたされる小泉進次郎氏は現在、福島第一原発内に貯蔵された100万トンを超える放射能汚染水をどうすべきかという論争の中心に立たなければなりません。
小泉氏の前任者である原田義昭環境相は9月10日の記者会見で、福島第一原発を管理運営する東京電力が放射能汚染水を無期限に貯蔵することは不可能であり、太平洋に放出して希釈する以外の選択肢はないと語りました。
放射能汚染水を海洋投棄するという見解に地元の漁業関係者は怒りの声をあげ、隣国である韓国も抗議を行いました。
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小泉進次郎氏個人について私自身は何か関心があるわけではありませんが、私の一般論(ちょっと変な言い方ですが)は【 政治の良心が死んでいく国・日本 】エコノミスト( https://kobajun.biz/?p=36138 )でご紹介した通りです。
それよりも今回驚いたのは、小泉氏を批判する菅原一秀経済産業大臣についてウィキペディアを参照していたときのことです。
『詐欺漢』や『食言』『欺瞞』『劣悪』『陰湿』という単語は、私にとっては安倍内閣という単語の連想句になっています。
またか!
というのがその感想です。
こうした政治屋一人一人も問題ですが、安倍政権を見ているとその周辺にはそうした人間が際限もなく登場してくる印象があります。
自分に身近な利害しか眼中にない政治屋を生む土壌というものがあるはずです。
平等で自由で、そして平和な日本を守るために戦わなければならない最大の敵とは何か?
私はそれを見失わないことが一番大切だと思っています。