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【村上春樹氏、尖閣列島をめぐる日中両国の『ヒステリー』を批判】[ガーディアン]

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「日中両国は、安酒の酔いから覚めよ」

ジャスティン・マッカリー / ザ・ガーディアン(英国) 10月1日


国際的にも評価の高い文学者である村上春樹氏は、尖閣諸島をめぐる紛争について、日中両国の態度はヒステリックであり、国家主義的立場に立って世論を煽り立て、状況を悪化させていると批判しました。
尖閣諸島(中国名は釣魚島)をめぐる両国の紛争は長年続いていますが、9月初頭日本が尖閣諸島の国有化に踏み切り、中国国内数十の都市で激しい反日デモを引き起こしました。

村上氏は中国国内にも多数の愛読者を持っています。
そして中国当局が彼の著作も含め、日本関連書籍の販売を禁止したことについて、非難すべき行動に出ることは予測していたと語りました。

村上氏は互いに譲ろうとしない日中両国に対し、国家主義という「安酒を飲みくらう」ような行為をやめるよう、呼びかけました。
「領土問題が現実問題では無く、『国民感情』の問題になってしまうと、出口の無い危険な領域に入ってしまうことになります。」
村上氏は朝日新聞の第一面の意見欄にこう記しました。
「それは安酒に酔うようなものです。二、三杯呷っただけで酔いが回ってヒステリックになります。大声でわめき、乱暴に振る舞う…しかし翌朝、酔いがさめた後に残るのは激しい頭痛だけなのです。」

「私たちはこの安酒に酔わせ、事態を手がつけられない状況に陥れようとするとする政治家、そして評論家などを、充分警戒しなければなりません。」

世界40カ国語に翻訳され、現存する作家の中で最も高名な村上氏は、ニューヨークで開かれた国連総会で、日本と中国が非難の応酬を繰り返した後、このようにコメントしました。

中国の楊外相は問題の島々について、中国は「犯すべかさざる領域」とみなしており、常に挑発的言動を行う右翼的な石原東京都知事の動きが発端となって、日本政府が日本人の個人所有者から買い上げて国有化したことについて、「盗み取った」と非難しました。

今回の紛争により世界第2、第3の規模を持つ経済圏同士の外交関係、貿易関係が脅かされることになりました。
日本製品のボイコットは懸念されたほど大規模なものにはなりませんでしたが、当局による日本製品の通関手続きの意図的な遅延が、日系企業により報告されています。


より高い賃金の支払いを求め、日本企業の中国人従業員によるストライキも発生しました。トヨタ、日産などの自動車メーカーはこの秋の需要の減少を見越し、減産に踏み切りました。

「投資家も含め、日本の企業経営者が『もうたくさんだ』と音を上げるだろうことは、避けられないでしょう。」
元外務省の報道官で、現在は慶応大学で教鞭をとる谷口智彦氏がこう語りました。
「中国人労働者の賃金は上昇を続け、その結果、たとえばビルマなどの地域の方が魅力的に見えてきています。今回の紛争により、中国から他の地区への産業基盤の移動が加速されることになるでしょう。」

10月いっぱい、中国から日本への何万件もの飛行予約が取り消されました。
この事態に、5月以降尖閣問題が深刻化するまでの間、中国人旅行客に対し記録的な数のビザを発給してきた日本の当局には、劇的な転換が訪れました

これまでも日本の極右の国家主義者にとって、中国は目の敵でしたが、つい最近、数百名のこの類の人々が、中国艦船を沈め、北京の『テロリスト』に決して屈服しないよう求める横断幕を掲げ、東京都内をデモ行進しました。


日本への渡航が禁止されているわけではありませんが、中国の各報道機関は西日本で起きた中国領事館への発煙筒投げ込み事件の報道などにより、今回の紛争を際立たせ、中国国内の反日デモの気分を煽っています。
日本国内で行われた世論調査で、好きな国として中国を挙げた人が3%しかいなかったのに、中国を嫌いだと言った日本人が38%に上ったことなども、こうした気分を煽ることになりました。

二国間の紛争が今後どれだけ長引くかは、意見が分かれるところです。
両国の貿易額は昨年3,450億ドル(約2兆7千億円)を記録しました。
しかし今回の紛争により、日中国交正常化40周年の祝賀行事がすべて中止されました。

中国は北京市内で開催を予定して板祝賀行事をすべて取りやめ、中国の温家宝首相と日本の野田首相が祝辞を交換することも無くなりました。
共同通信によれば日本国内で開催予定だった祝賀行事もその4割が中止に追い込まれましたが、そのほとんどは中国側の要請によるものでした。

相次ぐキャンセルは今回の紛争が、両国の人々の結びつきに打撃を与えた証拠であると、日本で中国人向けの雑誌の編集長を務める段躍中氏が語りました。
「私たちは民間レベルで日中間の友好のため、一生懸命努力してきました。しかしその努力も水泡に帰してしまいました。私たちは今、どうしようもない無力感に苛まれています。」
共同通信の取材に、彼がこう応じました。


当局の命令により、中国国内の書店から日本人作家の著作に加え、中国人作家による日本関連書籍の撤去が命じられたという報道に、村上氏は失望を隠しえないと語りました。
北京の報道・出版監督局は、そのような命令は出していないと否定しましたが、村上氏の作品『1Q84』を含め、日本関連書籍が書店の棚から姿を消したことは、幅広く報道されています。

影響は、中国の音楽と芸術の世界にも及びました。
ピアニストのユンディ・リは9月から日本でリサイタル・ツアーを行うことになっていましたが、当局の圧力により中止せざるを得なくなったと伝えられました。
東京国際映画祭に招待されていた香港中国フイルムの作品『フローティング・シティ』も、出品を辞退しました。

村上氏は日本も中国の書籍の販売を止める等の、報復行為を行わないよう呼びかけました。
「声を大にして言いたいことがあります。」
「中国に対し、そのような短絡的な報復を行わないようにしましょう。もしそんなことをすれば、私たち自身に問題があることになってしまい、そのつけがいずれ自分に回って来ることになります。」

http://www.guardian.co.uk/world/2012/oct/01/haruki-murakami-hysteria-islands-row
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【障害を持った若者たちの、見事な舞台】

アメリカNBCニュース 10月4日
(写真をクリックして拡大画像をご覧ください)

9月21日、エクアドル・キトのカーサデラ・カルチュラでの『夢』の公演で、出番を待つ女性出演者。


つい最近、エクアドルでは出演者のほとんどが20代に満たない若い出演者によるミュージカルが大当たりしましたが、その出演者の多くは目が見えない、耳が聞こえない人たちでした。
かれらは盲目、自閉症、ダウン症などの障害を持つ人々でした。

しかし彼らは『夢』と題されたこのステージの上で、役者、歌手、そしてダンサーとして自分たちの限界を超えることができたのです。

「この取り組みの最も大切な部分、それは障害者に人間としての誇りを取り戻してくれることなのです。とりわけ障害者の知性に対する偏見、そして多くの差別的感情に対して。」
舞台の上の演技と歌が観客を魅了した若い盲目の女性、マリソル・ヌーニェスがこう語りました。
彼女は幼い時に先天性の疾患により視力を奪われましたが、舞台の上では最も経験豊かな役者であり、そして歌手です。

盲目の少女、マリソル・ヌーニェスがステージに向かう。


この舞台の初演は3年前ですが、生涯を持ちつつも前向きに生きようとする若い障害者たちと、非営利組織の『エル・トリアングロ(スペイン語でザ・トライアングルの意味)』が支えてきました。

そして彼らの『夢』はこれまで何万人もの人々を魅了し、エクアドル国内はもちろん、ついにアメリカ合衆国やヨーロッパでの公演も実現したのです。

列を作って出番を待つ出演者たち。カーサデラ・カルチュラ。


出演者の一人、ジェニファー・アビラはすでにプロ顔負けの出演回数をこなしている。再び『夢』の実現のため、父と出番を待つ。カーサデラ・カルチュラにて


出演者による『夢』のカーテンコール。カーサデラ・カルチュラにて。

【日本は一刻も早く、原子力発電の廃止を実現すべき】[米国CBS]

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所要時間 約 16分

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国内に積み上がった高放射性核廃棄物の問題、もうどうにもならないレベルに
核燃サイクルの継続は、処理不能の高放射性核廃棄物の行き場が無い、それが本当の理由

アメリカCBSニュース 9月29日


日本の経済産業大臣が、日本は世界で最も地震が多い国の一つであるため、一刻も早く原子力発電の廃止を実現させるべきだと語りました。

枝野幸男経済産業大臣は、昨年発生した福島第一原発の事故処理費用があまりに巨額であると明らかにしました。同大臣は9月29日に書店の店頭に並んだ、今後の政権について述べた新しい著作の中でこう語っています。

枝野大臣は昨年福島第一原発の事故が最も危険な状態が続いている間、日本政府の広報官を務めていましたが、
「現代科学の粋を集めて作ったと信じていたものが、自然災害の前にはこれほど脆いものなのか」
という事を思い知らされた上で、こうした結論にたどり着いたと語りました。
「ここに到って私は、原子力発電の一刻も早い廃止を願うようになりました。」
そして続けてこう記しました。
「たとえ攻撃を受けるようなことになっても、私はこれだけは言わなければなりません。」

1億2,800万の人口を持つ日本の国土は、カリフォルニア州程の面積を持っていますが、
「原子力発電がもたらす危険を、持ちこたえることはできません。」
彼はこのように記しました。


福島第一原発からの大規模な放射性物質の漏出は、周辺の土地、木々や植物、そして作物を汚染しました。100,000を超える人々が住んでいた土地を捨てなければならなくなり、いくつかの地域は今後何年も、何十年も人が済めない場所になってしまいました。
福島第一原発を運営していた東京電力は巨額に上る賠償責任、そして汚染を取り除くための作業負担により、国有化されたのです、

一方で枝野氏は原子力発電の廃止は、一朝一夕には実現しないと語りました。
数々の『妨害』と戦いつつ、原子力発電が生み出した『負の遺産』を一つ一つ解決していくという難しい仕事をこなしていかなければならないと語りました。

最も深刻なのは、各々の発電所に積み上げられた使用済み核燃料、そして北日本にある青森県内の再処理施設に貯めこまれている放射性核廃棄物の問題です。

日本には高放射性核廃棄物の処理について、何も具体的方策が無いのです。


日本政府は、2040年までに原子力発電を段階的に廃止する計画を『検討しています』。
しかしこの計画は、積み上がる一方の放射性核廃棄物をどう処分するのか、グリーン・エネルギーをどうやって生産するのかなどの具体的なプランに欠け、財界や原子力発電所に依存する自治体の圧力に日本政府は屈してしまったとの批判を集めることになりました。

原子力発電を廃止するのであれば、青森県六ケ所村の再処理施設は必要なくなります。

同施設が高放射性核廃棄物の最終処分場になってしまう事への恐れから、青森県では今保管されている何千トンもの放射性核廃棄物を、六ケ所村からそれぞれ排出された場所に送り返す、と官民合わせて日本政府に迫りました。
もしそれが現実になれば、日本国内に17か所ある原子力発電所のほとんどは、放射性核廃棄物で一杯になってしまい、これ以上の稼働が不可能になってしまう、と枝野氏が指摘しました。
彼は大都市の大口の電力需要家は、この高放射性核廃棄物の処理方法とその費用負担について、真剣に検討すべきであると訴えています。


枝野氏はさらに、再生可能エネルギーの開発スピードを上げ、原子力発電の廃止を実現するためには、電力会社による電気事業の独占状態を解消する必要があると強調しました。

この点に関する具体的政策については、10月初めに予定されている内閣改造の後任命される、新任の経済産業大臣の手に委ねられることになるだろう、と記者たちに語りました。

与党民主党の党首に再任された野田佳彦首相は、10月1日月曜日に彼の内閣の閣僚名簿を発表することになっています。

http://www.cbsnews.com/8301-501712_162-57522902/minister-japan-must-quickly-phase-out-nuke-energy/?tag=mncol;lst;2

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見ていて胸が苦しくなってくる、その記事が上、写真が下にあります。

結局はアメリカ同様、日本でも核廃棄物の押し付け合いが起きていました。
アメリカでは政府機関と自治体の裁判になりましたが、日本では政府が青森県に屈した形になりました。
極めて危険な高放射性核廃棄物を大量に抱え込んでいながら、なおも原発を動かそうとしている、そのことを私たちは一日でも忘れないようにしたいと思います。

そして下の写真。
領土問題に絡んで、日本でも軍備拡張や戦争に言及する政治家が増えてきました。
自分たちが前線に立つことは決して無い、その前提で話をしているのでしょうが、前線=戦地の悲惨さもまた、私たちがきちんと理解しておかなければならないことだと思っています。
そうした意味で、戦場カメラマンの方々の存在というものは、人類にとってきわめて大切なものだと考えます。

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【 戦地、耐え難い傷跡、過酷な現実 】
戦争など、たとえ間接的であっても、煽ることは許されない

アメリカNBCニュース 10月2日
(写真をクリックして、大きな画像をご覧ください)

パキスタンの難民キャンプにいるアフガニスタンの少女


セバスチャン・リッチはカメラマンとして、過去30年のあらゆる大きな戦争と紛争の場にいました。
何度も負傷し、写真家、そしてテレビカメラマンとして撮影中に、誘拐され人質にされたことも一度ならずあります。

今回ワシントンのナショナル・プレスクラブの展覧会で展示された紛争地帯の子供たちの写真は、彼が国連難民高等弁務官事務所から依頼を受け撮影されたものです。
最新の作品はパキスタンのジャロザイ難民キャンプにおけるアフガニスタン難民の窮状を撮影したものです。

2012年パキスタン。国連高等難民弁務官事務所が運営する、パキスタン・ジャロザイ難民キャンプのアフガニスタンの女性のための野外教室。女性の一人が連れてきた幼い息子が私をじっと見ていた。


セバスチャン・リッチ

私がフォトジャーナリストになった理由は、このリンカーンの言葉が代わって明らかにしてくれるかもしれません。

Better to remain silent and be thought a fool than to speak and to remove all doubt.
べらべらと弁解して疑いを晴らそうとするより、いっそ沈黙を守って馬鹿なのだと思われる方がマシである

無学に近く、文字の書いてある本を読むことなどめったにない私が、表現手段として写真をとるようになったのは、ごく自然な成り行きであったのかもしれません。一枚の絵は数千の言葉を語る、という古い格言にあるように。

ボスニア、1993年。地元の牧師が国連軍のイギリス戦車の乗員と話をしている。彼は、地元のボスニア民兵と重装備のクロアチア軍との間の一時的停戦について話し合いをしていた。10分間の停戦の間に、教会関係者と私は急いでその場から脱出した。


落ちこぼれで、あえて言うなら学校から逃げ出した私は、わずか15歳の時からカメラを抱えて戦場に赴き、正面から、時には別の面から戦争というものを見続けて来ました。

それゆえこれまでの数十年間、個人的な損失と苦痛は常について回りました。何人もの友人を戦場で喪い、その正確な数を覚えてはいない程です。

私はセルビアで高性能ライフルを持った狙撃手により、右耳のほとんどと右目の視力の30%を失いました。
この狙撃手はあまり腕が良くなかったのでしょう、でなければここでこうして皆さんに、語りかけることなどできるはずは無いのですから。

2003年イラク戦争、米国海兵隊によって連行される捕虜第一号となった男たち。


私の大腸のほとんどは、ロケットランチャーの攻撃により吹き飛ばされました。私は二人のレバノン人の兵士後ろに居たため、まだしも幸運だったのです。彼ら二人は私程は運がよくありませんでした。

その後私は再びセルビアの狙撃手により、胸の肋骨を割られ、その部分は変形してしまいました。
この時は銃弾が私が着ていた防弾チョッキを直撃し、中のセラミック・プレートを破壊し、肋骨をへし折りました。
引き続いて起きた災難はレバノン、そして子音続きで非常に発音しにくい(特に私のように無学な人間にとって)名前の旧ユーゴスラビアの町で誘拐されたことでした。

私はしばしばこう質問されることがあります。
この世界の最悪の側面を見続けているのに、どうしてそう客観的な態度で撮影を続けられるのか?

ソマリア、モガディシュ族の兵士たち。戦闘直前のため私にかまっている暇が無かったが、その燃えるような目は、いつでもこのカメラマンに襲いかかろうとしているかのようでした。


私は人間という生き物は、たとえどんなにささやかなものであっても、一人一人が生きていく上での課題というものを抱えていると考えています。
私の課題は、政治的な立場は右でも左でも無く、中立的な立場で事実を記録し続けることです。
目の前の出来事を出来るだけあるがままに、しかし心の中では、いつかこのような紛争が無くなる日がやって来ることを祈りながら。
それこそが私の課題なのです。

客観性はアメリカ人の戦場カメラマンであり、私の師であり、そして友人でもあったジョン・ホーグランドにより育まれました。

アフガニスタン・ヘラートのユニセフ治療施設内にいた、重度の栄養失調に陥ったアフガニスタンの男の赤ちゃん。
その後、この子がどうなったかは確認できませんでした。


エルサルバドルの内戦の際、ジョンと私はある時、兵士に撃たれないよう一頭の牛の後ろに隠れてじっとしていました。
私の左側には腹を撃たれ、胎児の一部が外に出てしまっている妊婦の死体がありました。

ひとしきり続いた銃撃の後に訪れた静寂の中、私は体を震わせながらジョンにこう尋ねたのです。
「こんな悲惨な光景の中で、よく平気でいられるもんだ。」
すると彼はこう答えたのです。
「簡単なことだよ、セバスチャン。誰かが何か良いことをする、その写真を私が撮る。誰かが何か悪いことをする、それも写真にとる。」

そのわずか数週間後、ジョンは『何か非常に悪いこと』をしていたエルサルバドルの軍隊を撮影中、銃撃によって命を落としました。
36歳でした。

2011年アフガニスタン。ブラックホーク救急ヘリ・ヘリコプターの機上で女の子の赤ちゃんに懸命の救命処置を施す衛生兵。
彼女は、タリバンが撃ったロケット弾の破片にやられました。
ヘリコプターの中は騒音がひどく、ものを考えることすらできない程ですが、その騒音の中から赤ちゃんの苦痛の叫びがはっきりと聞こえてきました。


※セバスチャン・リッチの写真展は国連難民高等弁務官事務所の後援で、10月2日から
12日まで、ワシントンD.C.のナショナル・プレスクラブで開催されます。

http://photoblog.nbcnews.com/#__utma=14933801.520676263.1342579093.1349151217.1349231325.77&__utmb=14933801.2.10.1349231325&__utmc=14933801&__utmx=-&__utmz=14933801.1347953721.58.4.utmcsr=kobajun.biz|utmccn=%28referral%29|utmcmd=referral|utmcct=/&__utmv=14933801.|8=Earned%20By=msnbc|cover=1^12=Landing%20Content=Mixed=1^13=Landing%20Hostname=www.nbcnews.com=1^30=Visit%20Type%20to%20Content=Earned%20to%20Mixed=1&__utmk=110260869&__utma=14933801.520676263.1342579093.1349151217.1349231325.77&__utmb=14933801.2.10.1349231325&__utmc=14933801&__utmx=-&__utmz=14933801.1347953721.58.4.utmcsr=kobajun.biz|utmccn=%28referral%29|utmcmd=referral|utmcct=/&__utmv=14933801.|8=Earned%20By=msnbc|cover=1^12=Landing%20Content=Mixed=1^13=Landing%20Hostname=www.nbcnews.com=1^30=Visit%20Type%20to%20Content=Earned%20to%20Mixed=1&__utmk=110260869

【大阪市長の急進的な呼びかけ、疲れてしまった日本人の心をとらえる〈後編〉】[ニューヨーク・タイムズ]

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小泉前首相をしのぐポピュリスト、そして『決断の人』

マーティン・ファクラー / ニューヨークタイムズ 2012年9月27日
※この記事の印刷版は、28日付のニューヨーク版に掲載されました。


橋下氏の支持者は橋下氏自身、2000年代初頭に経済の自由化を主唱し、根本改革を行うとして大衆向けのパフォーマンスを行った、テレビ向きの小泉純一郎首相のパターンを追い始めている、と語りました。

橋下氏のやり方は小泉元首相のホピュリスト・スタイルをしのぐものがあります。
橋下氏は「責任は私がとる」という即決スタイルをとりますが、合意形成を旨とし、練り上げられた政策ですらそれが無ければ実現しない日本社会では珍しいものです。
日本では首都のメイン空港の処理能力を拡大するにも、数十年という月日がかかりました。
橋下氏はさらに、「敵を作らない」ことを信条する日本の政界において、あえてそのことに挑戦しています。
彼は最近、国民一般に対する『受け』をよくするため、橋下氏の運動に加わろうとした6名ほどの国会議員に対し、審査団を前に離党する権利に関する議論を行い、その結果既成政党から離党させました。
橋本氏の主張のある部分は、彼の特殊な出身が背景になっています。
彼はヤクザの父親を持つ弁護士であり、中世以来「部落民」と呼ばれ、未だに差別問題と向き合わなければならない人々が暮らす、大阪市内の地区の出身です(橋下氏自身は自分がその階級に属するのかどうか判然としない、と語っています)。

彼はまた1990年代初頭のバブル崩壊の後成年に達した『失われた世代』の中から初めて政治家になった人間の一人であり、政治の世界、ビジネスの世界で若い人々の台頭を許さない仕組みを破壊することを訴え、都市部における若い有権者たちの心を捉えました。
「利益団体の要求に対し、はっきりノーと言える、そして国全体のための決断ができる政治家が日本には必要なのです。」
最近の記者会見で、橋下氏はこう述べました。

彼は、いつもそうしているように、とある記者会見の求めを断りました。
彼はむしろツイッターで直接有権者にメッセージを送ることの方を好んでいるようです。
彼は日本で最もフォロワー数の多い政治家です。

彼の好戦的なスタイルは、記者会見の場でも際立っています。
ある全国紙の記者が質問に立った際、彼はその新聞が最近、第一面の記事の中で橋下氏に対し『独裁者』という名称を使ったとして、その新聞をしかりつけました。
「あなたは私を独裁者だと思いますか?」
彼はおどおどしながら愛想笑いを浮かべる記者に向け、答えを要求しました。
「ここは大阪なのです。私は有権者に約束した通りの事に取り組み続けるだけです。この点についてどう思っているか、有権者に尋ねてみてください。」

さらに橋下氏は謙虚さが評価される日本においては珍しいことに、しばしば自画自賛することをはばかりません。
大阪城など歴史ある都市でオートバイレースの開催の決定に関しては、迷っていた市職員を無視して決定したと橋下氏は記者団に語りました。

こうした決断力が900万人近い住民が暮らし、工場閉鎖による打撃が続く大阪での、彼の人気を不動のものにしました。
2008年、大阪市を含む大阪府の知事選挙で勝利を収めた後、彼は最も人気の高かった大阪府の予算を大幅に削減するという公約を実現するために、児童図書館の費用も含めた福祉予算も容赦なく削減したことで、多くの人々を驚かせました。
昨年の大阪市長選挙では、すべての大政党によって支持された現職の市長を破って当選したことで、これまで権力を握ってきた人々を再び唖然とさせたのです。

「橋下氏は既得権と戦い、無駄な出費を削減するというドラマを演じてみせることで、人々の期待を掴み取ったのです。」
大阪市立大学大学院教授砂原庸介(すなはら・ようすけ)氏がこう語りました。

福島第一原発の大災害が発生し、彼が国内の原子力発電所を再稼働する前に、原子力産業界から独立した、より透明性の高い監督・監査を行うよう要求した時、彼の評価はさらに上がりました。

砂原教授をはじめとする人々は、衝動的言動が目立つ橋下氏はさらなる衝撃的行動に走る可能性がある、と指摘しました。
彼の行動の中で最も論議の的となったのは、国家を謳わなかったことで教師を処罰した高校の校長を支持したことでした。
そして『ファシズム』をもじって、『橋イズム』すなわち『ハシズム』と揶揄されたのです。

彼はまた右翼的先導者と、とられかねない発言も行いました。
彼が率いる維新の会はこの国の平和憲法を改定し、今よりさらに大規模な軍備を行うように主張し、その是非を国民投票により決するべきだと求めていますが、この面での保守主義的傾向を隠そうともしません。
先月橋下氏は韓国政府に対し、第二次世界大戦中、日本帝国の軍隊が韓国人女性を従軍慰安婦、すなわち性的奴隷として扱ったという証拠を提示するよう要求しました。
この点において、戦前の日本の軍隊においてそうした事実はあったとする、日本政府の公式見解と決別したのです。

多くの大阪市民が、市政を着実に改革してくれる限り、橋下市長の過激発言のことはあまり気にしていない、と語りました。

「確かに橋下市長は素早い決断ができる政治家です。」
62歳のバスの運転手である本間亮一さんがこう語りました。
「大阪には決断力のあるリーダーが必要なのです。しかし国政のリーダーに求められるのは、それだけではないでしょう。」
〈完〉


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この【星の金貨】でも数多く記事をご紹介している英国のガーディアン紙が、以下のような指摘を行った事があるそうです。
「権力側にあまりに理不尽な仕打ちをされると、人間は最初は猛烈な怒りを感じる。しかしそれを繰り返されると怒りはやがて疲れやあきらめに変わり、従順な住民が出来上がる」。
これも広義の意味での『愚民化』政策でしょう。
日本の民主・自民の政治はまさに、それを狙っているのではないか、と思ってしまいます。

特に福島第一原発の事故後の民主・自民の政治は「あまりに理不尽」だと感じている方は、大勢いらっしゃるでしょう。
多くの人々が日本の政治の現実に幻滅し、選挙から足が遠のいてしまいました。
その結果どうなったでしょうか?
組織票が本来以上に力を発揮、国民ひとり一人の人間として当たり前のはずの意見が、通らない政治がまかり通るようになってしまいました。

その事に対する怒りを、時間の経過とともに疲れやあきらめに変えてしまわないよう、ツイッターやフェイスブックを活用するなどして、地道にこの日本を変える努力を、できるだけ多くの方々が続けてくださることを願ってやみません。

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『挑み続ける』パレスチナの車いすのフリーカメラマン

アメリカNBCニュース 10月1日


25歳のフリーカメラマン、モアメン・クレイキアは2008年、パレスチナ・ガザ地区の東部で写真撮影中に、イスラエル軍の空爆により両脚を失いました。
2人の子供の父親でもある彼は、障害者ではあってもカメラマンとしての仕事を続けるべく、あらゆる努力を惜しみません。

ガザ地区の自宅で娘を撮影するモアメン



【大阪市長の急進的な呼びかけ、疲れてしまった日本人の心をとらえる〈前篇〉】[ニューヨーク・タイムズ]

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半世紀もの間原子力業界に勝手放題を許し、福島第一原発の被害を巨大なものにした自民党、透明な政治、『民主主義の復活』の公約を反故にした民主党

マーティン・ファクラー / ニューヨークタイムズ 2012年9月27日
※この記事の印刷版は、28日付のニューヨーク版に掲載されました。


日本の大阪をご存知ですか?
ここ最近20年間の経済停滞期も含め、日本の有権者がそれまで長期独裁政権を続けてきた政府与党を政権の座から追い、真の二大政党制を実現するまでに、実に60年という年月がかかりました。
それから3年、今度は多くの有権者が、政府の思い切った改革を約束する、当たるべからざる勢いの若い指導者が率いる、これまで無名であった政党に心惹かれ始めています。

その政党の名は『維新の会』。
舌鋒鋭い橋下徹大阪市長により、この9月、正式に国政政党としてのスタートを切りました。まだ童顔が残る43歳のかつてのテレビのコメンテーターは、数年前どこからともなく登場し、およそ日本らしくない押しの強いスタイルで、このズブズブの商業都市に喝をいれました。
そんな彼は、かつての数少ない真の国家的指導者だけが持つ、優れた能力を身に着けているかのように見えました。
つまりは困難な改革を成し遂げられる…
橋下市長は大阪府や市の職員組合と戦いを繰り広げて赤字財政を削減し、学校の教師に対しては厳しい規律を用いて服従を強いました。

今や彼は350人の政治の初心者を自らが主宰する「にわか仕込みの学校」でつめこみ訓練を行い、早ければ11月にも実施される国政選挙に立候補させ、その既成体制打破を国政レベルにまで広げようとしているのです。
橋下氏のカリスマ性により、維新の会は一夜にして恐るべき力を持つ政治集団と化した観がありました。

正式には2週間前に全国政党として発足した維新の会は、世論調査において野党の中で第2位の票を集め、しかもその支持率は与党民主党を上回るものでした。

さらに一部のアナリストは、橋本氏のグループが全国1位の支持率を獲得するのも不可能ではない程の接戦であったことを認めました。

政治評論家や議員によれば、橋下氏の台頭は彼自身の個人的な主張が評価されたというよりは、慢性的な経済の停滞、2大政党におけるリーダーシップの欠如に飽き飽きした国民が、思い切った変化を望んでいることが背景にあります。
また、橋下氏の評価が上がったのは、昨年発生した福島第一原発の事故が、世襲や官僚からの転身ばかりが目立つ政治的エリートを信用しなくなった一般国民に、この国が一番に大切にしなければならないものは何か、という点について改めて考え直すよう促したからでもあります。

こうした新しい形の政治不信は、現政権の野田首相が誰も支持しない原発再稼働をこの夏やってのけた後、頂点に達した観がありました。
これは日本国内で多数の原発が稼働する、事故以前の状態に戻す口火を切ったとして、国民の大多数から非難されました。
この点でも橋下氏は、原子力産業界によって支配されてしまっている原子力安全・保安院の機構改革を、早くから主張していました。

昨年、与党である民主党を離党し、現在は維新の会への加盟を希望する横粂勝仁(よこくめかつひと)衆議院議員がこう語りました。
「日本の閉鎖的な政治社会に対する不満が爆発寸前になったタイミングで、橋下氏が登場したのです。
「日本の人々は、既成政党にはすっかり裏切られたと感じています。」

橋本氏が提案する変化は、根本的なものに他ならなりません。
かつては日本の強さの源とされたものの、現在は社会改革の最大の障害とみなされている、過剰なほど中央集権化が進んだ日本の政治構造、それを解体することです。

維新の会が目指すのは、アメリカの連邦制度に倣った、地方がより大きな自治権を持つ道州制の導入です。そして現在は国会議員によって選出される首相を、直接選挙により選出することです。

政治評論家は、橋下氏の維新の会が政権をとるためには、2つの点を改める必要があると指摘しています。
日本人の多くが、彼の反抗を許さない断固とした姿勢、そして右翼的挑発的な考え方に不安を感じているのです。
そして、彼自身が国政選挙の候補者として選挙に臨むことが、おそらくは最も大切な点でしょう。
これまでは橋下氏は国政選挙に打って出るつもりも無く、自身首相になる器ではない、と語っています。
政治費用論家の多くはいずれ彼は態度を変えるだろうと菅前首相゛得ていますが、彼自身は大阪にはまだやり残した仕事があると語っています。
この点について評論家は、橋下氏のこうした姿勢により、維新の会は若干ではあるが勢いを削がれることになった、と指摘しました。
当面は農村部でしっかりした組織を握っている野党第一党の自民党が、名前が売れていることもあり、維新の会に比べ僅差で維新の会をリードしているようです。
しかし自民党の将来について、楽観的にとらえている有権者は多くはありません。
自民党はほぼ半世紀にわたり、日本の原子力業界に勝手放題を許し、その結果今回の災害の被害を巨大なものにしてしまった責任があると、多くの有権者は非難しています。

一方の野田首相率いる民主党も、2009年の選挙の際、官僚による政治支配を終わらせ、日本に民主主義をよみがえらせ、透明性の高い政治を実現するとする公約を保護にしてしまったとして、国民全体から非難されています。
〈つづく〉


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兵庫県の日本触媒の火災、世界規模でおむつの生産に打撃

アメリカNBCニュース 9月30日


9月29日土曜日、兵庫県の化学プラントで発生した爆発と火災により、消防士1人が死亡、数自由人が地涌合う軽傷を負ったと、地元消防および警察の発表があったとジャパンタイムズが報じました。
この化学プラントでは使い捨ておむつに使われる主要な成分が生産されていたため、世界的におむつの生産が影響を受ける恐れがあると、日本のメディアが報じました。

火災は午後2時ごろ、兵庫県姫路市にある日本触媒の工場で発生しました。

最初の爆発は午後2時40分、消防士がアクリル酸の入ったタンクに放水中に発生し、その後立て続けに爆発が起きました。
爆発により、消防車一台が炎上しました。
28歳の消防士1名が死亡、少なくとも30人が負傷したと伝えられています。

日本触媒はアクリル酸の世界最大のメーカーのひとつですが、その主要成分はSAP(多量の水を吸収してゲル化する成分)と呼ばれ、使い捨ておむつに使われています。

日本触媒の工場は世界のSAPの20%を生産し、また世界で生産されるアクリル酸の10%を生産しています。


この事故のため日本触媒の工場は長期間の操業停止においま来れざるを得ず、またSAP樹脂を生産している他のメーカーはいずれもフル操業の状態で、不足する分を補うだけの増産は不可能と見られていると、30日日曜日、日経ビジネスが報じました。

http://worldnews.nbcnews.com/_news/2012/09/29/14154759-chemical-plant-explosions-in-japan-kill-one-may-cripple-global-diaper-output?lite

世界の経済、そして生産活動に打撃を与え続ける気候変動[ガーディアン]

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フィオーナ・ハーヴェイ ザ・ガーディアン(英国) 9月26日

バングラデシュの海面上昇と沿岸部の水没
2009年に発生した巨大サイクロン『アイラ』が破壊した、堤防を作り直すバングラデシュの村民。


地球温暖化による経済的影響は、世界で1年につき1兆2000億ドル(96兆円)以上の金額に上っています。
そして、世界的のGDPから毎年1.6%を奪い去っています。

気候変動は世界中で、すでに1年につきほぼ400,000の人々の死亡原因となっており、世界のGDPから1.6%を奪い、1兆2000億ドル以上にのぼる損害を与えていることを、新たな研究結果が明らかにしました。

気候変動による異常気象は農業生産に大きなダメージを与え、その結果発展途上国では栄養失調、貧困とそれに伴う困窮死などが蔓延している、とこの研究は伝えています。
そして化石燃料の使用による大気汚染が原因で、地球上で毎年450万人が死亡している、としています。

『気候変動に傷つく地球に関する調査 : 熱い地球の冷たい現実』と題する、331ページのこの研究は26日水曜日、公表されました。
ヨーロッパに拠点を置く非政府組織であるDARAグループと、気候変動被害フォーラムによって発表されました。
この研究は20か国の政府の依頼を受け、50人の科学者、経済学者、そして政治問題の専門家により行われました。

スペイン・ビジャヌエバ・デル・トラデコを襲った豪雨の被害。9月28日


2030年までに気候変動によるGDPの損害は3.2%にまで拡大しますが、数少ない先進国の被害が最も大きくなる可能性があり、被害は最大11%にまで拡大する恐れがあります。

バングラデシュ首相のシェイク・ハシナが以下のように述べました。
「地球の平均気温は19世紀と比較してすでに0.7度上昇していますが、1度上昇するごとに農業生産に10%の損失が生じると言われています。
バングラデシュにとってそれは、年間約400万トンの農産物が失われることを意味します。金額に直すと約25億ドル(約2,000億円)になり、この国のGDPの2%になります。
農業生産以外の異常気象による損害も加算すると、その被害額はGDPの3.4%にまで拡大します。
このような損害が無ければ、この国の経済はもっと順調な成長をとげることができるはずなのです。」

しかし規模の大きな経済もまた、気候変動がもたらす異常気象により損害を被ることになるでしょうか?
干ばつ、洪水、あるいはさらに深刻な災害によって。
2030年にはアメリカはこうした被害により、GDPの2%の損害を被る可能性があります。
中国でも同じ時期、1兆2,000億ドル(約96兆円)の損害が発生する可能性があるのです。

ブラジル・リオデジャネイロを襲った時ならぬ寒波。9月26日


これまで各国政府は気候変動は長期的な課題だと考えていましたが、ここにきてその影響はすでに現実のものになっているという認識に変わってきています。
科学者たちは北極の氷の溶解の早さに驚いていますが、今年は凍結面積が最小を記録し、このまま溶解が続けは2020年までは、夏場北極には氷が無くなる可能性がある、と予測しています。
この氷の溶解がこの夏、ヨーロッパの一部で見られた低温と曇天が続き、雨量の多かった天候に関係している、とする研究結果も発表されています。
英国ではこの6年間、このような天候不順が続いているのです。

アメリカでは今年発生した大干ばつにより食料品価格が高騰し、インドではモンスーンが引き起こした様々な被害が広範囲にわたり、農民に被害を与えました。

欧州連合の気候問題の責任者であるコニー・ヘデガーは、気候が変動してしまったことにより、異常気象が常態化していると、警告しています。
「気候変動とそれによる異常気象の多発は、遠い将来の話ではありません。」
彼女はガーディアンの取材に対し、こう回答しました。
「これまでは一回だ発生した異常気象が、現在は常態化しつつあるように見受けられます。」

水没した英国北部、ヨークの街


かつて国連の気候変動対策協議会の事務局長を務めた、ミカエル・ザミット・クタハー
が、以下のように語りました。
「気候変動ははるか遠くにある脅威でなく、現在の危険なのか、ですって?その経済的な打撃は、すでに現実のものになっているのではありませんか。」

http://www.guardian.co.uk/environment/2012/sep/26/climate-change-damaging-global-economy
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【星の金貨】で時々気候変動に関する記事を掲載するのは、一時代前とは異なり、地球規模での「危機」が発生しやすい時代に入ってしまっているようだ、という事について皆さんと一緒に考えたいからです。
温暖化により異常気象の極端化が懸念され始めて少し経ちますが、今年はなんと言ってもアメリカの大干ばつが世界的話題になりました。
日本でも竜巻などの被害が目立ち始めていますが、幸い広範囲に農作物などが被害を受ける事はありませんでした。
これからは大規模自然災害の発生を念頭に置き、国はリスクを減らす政策を進めなければならないはずです。

ところが日本の状況はどうでしょうか?
福島第一原発の事故により、日本には耕作できない市町村が出来てしまいました。
福島第一原発の事故は終息の見通しが立たず、影響は徐々に拡大しつつあります。
その上、『地震の巣』の上の原発群が復活しようとしています。
他の先進各国は気候変動のリスクだけで済むかもしれませんが、日本だけは『地震の巣』の上、あるいは活断層の上の原発群によるリスクを抱え込む事になります。

これすべて日本の『政治』と『経済』のせいなのですが、私が声を大にして問いたいのは、日本の『政治』と『経済』は一般国民の所有物ではないのか?!ということです。
そして経世済民、経済とは文字通りには「世を經(おさ)め、民を濟(すく)う」の意味なのです。

経済は財界や世襲国会議員(例外的に河野太郎さんのような立派な方もいらっしゃいますが)たちの持ち物ではありません。
一般国民が額に汗して働けば、家族共々安心して暮らせるシステムの事なのです。
そうでない日本の方が異常だという事を、私たちは肝に銘じなければなりません。

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【アフガニスタン、山の上で暮らす人々】

アメリカNBCニュース 9月27日

建設作業員として暮らしを営むアフマド・タジムが2歳と5歳の息子とともに、カブール郊外の山の上、ジャマルミーナ高地に立つ。


AFP通信の報道によれば、人口約500万人のアフガニスタンの首都カブールでは、約2割の人々が都市部を取り囲む急峻な山の上で暮らしています。
最近やっと水道が設備されましたが、下水の方はそのまま山を流れ落ちていきます。
世界銀行によれば、アフガニスタンでは全人口の3割以上が、貧困層に属します。そして半数以上が明日にも貧困層に転落しそうな状況の中で暮らしています。




日本関係書籍、北京の書店の売り場から撤去 [ガーディアン]&【海賊たちの没落】[米国NBC]

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「外交問題に関連する指示は概ね短命だが…」

アリソン・フラッド / ザ・ガーディアン(英国) 9月25日


尖閣諸島をめぐる外交的な紛争は文学の分野にまで飛び火し、中国の出版社は日本に関連するタイトルのついた本を売り場から撤去するよう命じられました。

東シナ海の尖閣諸島をめぐる外交紛争は悪化の一途をたどり、北京では書店の売り場から日本の小説が撤去されたと、地元のメディアが伝えました。

中国と台湾では魚釣島、日本では尖閣諸島として知られるこれらの島々に対し、日中両国とも領有権を主張しています。
紛争はこの9月初め、日本政府が個人の所有者からこの島を購入したことから一気に表面化、中国国内で大規模な抗議行動が発生し、中国に進出している日本企業は次々に業務を停止し、日中の外交行事も中止に追い込まれました。

紛争の余波は今や文学の分野にまで波及してきました。
報道によれば、北京市内の書店では日本人が執筆した書籍が売り場から撤去されました。
北京市内の有名な書店、王府井書店は村上春樹の著書『1Q84』の中国語訳書籍を他の日本人作家の書籍とともに、売り場から撤去したとジャパンタイムズが伝えました。
「私たちは日本の書籍を販売しません。」
書店の店員はこう話し、次のように付け加えました。
「理由についてはよくわかりませんが、多分中日関係が今、うまく行っていないからでしょう。」


北京市内の別の大きな書店も日本人作家の著作と関連する書籍を売り場から撤去したと日本の朝日新聞が報じました。
この書店の関係者は以下のように語りました。
「悪化する中日関係のせいで、こんなことになってしまいました。」

朝日新聞は同時に北京の報道・出版を監督する部局が、出版社に日本の関連する書籍の刊行を止めるよう指導したと伝えましたが、該当する部局はこれを否定しました。

北京政府の関係者はガーディアンの取材に対し、政治的緊張が高まって来ると、関係当局が書籍に関し何を売ってはいけないか、何なら売ってもよいのか、小売業者を指導することはよくあることだと語りました。
「こうした指示が行われるのはよくあることですが、今回のような外交問題については、その指示は短期間に終了する場合がほとんどです。」

http://www.guardian.co.uk/books/2012/sep/25/japanese-books-removed-sale-china-row-islands?INTCMP=SRCH
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【海賊たちの没落】

アメリカNBCニュース 9月26日


写真1 : かつては活気を呈していた海賊の根拠地の一つ、ソマリアのホビョーで、台湾の漁船の脇に立つソマリアの海賊、ハッサン。
海岸に打ちあげられ打ち捨てられたこの台湾の漁船の乗組員たちは、身代金の支払いの後解放されました。
「ここの所何もすることが無いんだ。海賊業に再び活気が戻る見込みも、今のところ無いよ。」
ハイスクールを卒業した後、私立学校で英語を教えていたハッサンは、2009年に海賊になりました。

2012年、襲撃された船舶数が激減したことにより、ソマリア沿岸での海賊行為を防止させるための国際的な取り組みは成功したものと見られています。
しかし一部の専門家は、そう判断するのは早計だと見ています。

欧州連合海軍局によれば、ソマリアの海賊は2009年には46隻の船舶を、2010年には47隻の船舶を乗っ取りました。
2011年には176隻と記録的な数の海賊による攻撃が行われましたが、乗っ取りに成功したのは25隻にとどまりました。
これはこの付近の海域を航行する船舶側が、自衛能力を向上させたためと思われます。
そして今年2012年、これまで乗っ取られた船の数は5隻にとどまっています。
最後は5月10日に『MVスミルナ』号が襲撃され、乗組員26名が連れ去られた事件でした。
彼らは現在もまだ海賊に拘束されたままです。

空のウィスキーボトルが散乱し、砂に埋もれた小型ボートが放置された海岸線の眺めは、ソマリアの海賊たちの黄金期が終わってしまったことを象徴しているのかもしれません。
たくさんいた売春婦たちの姿ももう見られず、高級車は再び売りに出されています。
海賊たちは貨物船の襲撃より、エビをつかまえる算段をしています。

写真2 : ホビョーの海岸に打ち捨てられた海賊用のボートのあたりを巡回する、ソマリア政府軍の兵士。

写真3 : 海賊の根拠地の一つ、ソマリアのガルカヨで顧客だった海賊たちの景気が良かった時代を懐かしみながら、タバコをふかす売春婦のファドゥマ・アリ。
「もういい時代は終わったわ。あんた、あたしに1,000ドル払ってくれる?」
この値段がかつて彼女が一晩に稼いだ金額だったのです。
「払う気が無いなら、あっちへ行ってよ。」

写真4 : 海賊の根拠地の一つ、ソマリアのガルカヨに国内の別の場所から移り住み、間に合わせの店で生計を立ててきた一家のこども。

写真5 : 金属加工を生業にする人々の露店。ガルカヨ。鋭利なナイフが売られている。

日本・中国、ともに『弱腰』は見せられない政治指導者 – 世界はセンカクをどう見ているか?[米国CNN]

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【紛争の海】
東シナ海・南シナ海には、サウジ油田と並ぶほど莫大な石油資源が眠っている

ケヴィン・ヴォイト / アメリカCNNニュース 9月24日

中国の習近平国家副主席は、ここ数週間中国国内で通りを埋め尽くし、中国の領有権を主張する群衆の感情に呼応するように、現在紛争の的となっている東シナ海の島々の領有権を主張していることについて、『猿芝居』と切り捨てました。
「日本はその行動を慎まなければならず、一切の言い訳を止め、中国の主権と領有権に対する侵害を止めるべきである。」
10月に中国の新たしい国家主席に就任予定の同氏は、9月19日のリオン・バネッタ米国防長官との会談の際にこう述べたと、中国のメディアが報道しました。


消息筋によれば次世代の指導者に就任予定の同副主席がこの日中の紛争について言及したのは、国家の政策や経済的利益をねらっての事では無く、むしろ国家主義的感情の盛り上がりにより、この問題を解決した場合の見返りは大きくなり続けている、そう判断した上の事だ、と分析しています。
従って通常はこのような領土紛争が一定期間を経て鎮静に向かう例が多いのに対し、10月に予定されている主席交代後も、状況がどうなるか、予断を許さないと指摘しました。

「さらに一層危険な状況になる可能性があります。」
ニューサウスウェールズ大学の防衛問題の専門家であるアラン・デュポンが、こう語りました。
「中国の新たな指導者が、領土問題において弱腰であると判断されるわけにはいかないのです。」
24日月曜日、日本の海上保安庁によれば、中国の調査船2隻が日本の領海に侵入、この間10隻の中国艦艇が付近をパトロールしていたと報告しました。
一方中国側は23日日曜日、今月予定されていた日中国交正常化40周年の記念式典を延期する、と発表しました。

国内で繰り返される好戦的とも取れるスローガンは中国政府の態度を一層硬化させ、アジア大洋地区における政治的・軍事的バランスを一変させ、さらには中国では魚釣島、日本では尖閣列島として知られる一連の無人島に関する問題も、一層こじれる可能性があります。
「中国は法的にも政治的にも、領有権について有利な立場を手にいれたものと確信しています。」
アメリカ国立アジア研究機構の研究員で、南シナ海の領有権問題に詳しいマーク・バレンシアがこう語りました。
「中国のナショナリズムはかつてない程盛り上がりを見せ、今や国政にまで影響を及ぼすようになっています。」

▽ 紛争の海と化す中国近海

東シナ海だけが、中国とその隣国にとっての紛争地点ではありません。
南シナ海には何百という無人島、サンゴ環礁が点在しています。
そしてその一つ一つについて中国、ベトナム、フィリピン、マレーシア、ブルネイ、そして台湾がそれぞれ領有権を主張しあっています。


日本との紛争同様、中国は領有権を争い、緊張が高まる中、事件が多発するようになりました。
2011年には、この海域でベトナムの油田調査船が、中国の巡視艇によってケーブルを切断されたと抗議しました。
これに対し中国側がベトナムの船が中国の領海内で調査を行い、漁船の操業を妨害していたと主張しました。
同じ年、フィリピンの調査船も中国の巡視艇にケーブルを切断され、体当たりをすると脅される事件がありました。
「中国が領有権の主張に関し、より強硬にならなければ、これほど多くの事件は起きなかったと思います。そして重要な点は、なぜ今になってこうした問題が顕著になって来たか、という事なのです。」
デュポン氏はこう語りました。



東シナ海の紛争が南シナ海のそれと違うのは、世界第2位と第3位の経済大国同士のぶつかり合いだという点です。
「この2つの大国がぶつかり合うという点において、南シナ海よりはるかに状況は危険なのです。」
デュポン氏はこう懸念しています。

▽ 国家主義のうねり

9月11日に日本政府が中国側の抗議を振り切る形で、20億5000万円(2620万米ドル)で個人の所有だった尖閣諸島を購入した直後から、南部の広州から北は青島まで、中国国内数十か所で反日デモが頂点に達し、一部では暴徒化しました。
日本ブランドの車両がひっくり返され、数か所では日本の店舗で略奪が行われたため、多数の日本企業、日本の店舗が一時的な閉鎖に追い込まれました。

領有権に関わる紛争は世紀をまたいで続いており、争いが表面化したのは1996年、2005年、そしてごく最近、2010年には中国の漁船が日本の巡視船に体当たりし、中国船の船長や船員が日本側に逮捕され、外交紛争が頂点に達しました。

「中国側の反応がこれほど大きく、そしてこれ程暴力的なものになるとは、想像もしていませんでした。特に過去の反応と比べると、今回の暴動は異常です。」
カナダのワーテルローにあるバルシリー国際関係研究所の海事紛争の専門家であるジェームズ・マニコム氏がこのように感想を述べました。

尖閣諸島の「国有化」は中国人を激怒させることになりました。
しかし日本政府の動きは、尖閣諸島の購入についてインターネットを使って宣言した石原東京都知事が率いる日本の国家主義者に、この問題を預けたままにしておけば、紛争は拡大する一方になると危惧したからだと言われています。
石原都知事の宣言に対しては多額の寄付が流れ込み、日本政府をして紛争の焦点となっている、島の購入に踏み切らざるを得ない状況を作り出し、ひいては中国側の強硬な非難を招く結果になりました。
「会えて紛争を深刻にしないためには、この手の国家主義者の手に委ねるよりは、日本政府が所有した方がましだと言えます。国家主義者たちが一体どこまで関係を悪化させるかなど、想像のしようもないからです。」
マニコム氏はこのように語り、次のように付け加えました。
「野田首相は、短期的は紛争が激化しても、長期的には関係は改善していく、そう計算しているのです。」

▽ 経済的利益

日中両国の国家主義的な盛り上がりが現在の状況をよりエスカレートさせている一面、この地域問題に関する紛争の原因の一つを1969年に国連が行った地質学調査の結果に求めることができます。
「台湾と日本の間の大陸棚には世界有数の石油資源が眠っている可能性が高い。」


さらには南シナ海にも膨大な量の、天然ガス・石油資源が眠っている可能性があります。
中国の試算によれば2,130億バレルの石油資源が南シナ海の海底に眠っていますが、もしこれが事実なら、米国エネルギー情報局はサウジアラビアの油田地帯を除けば、世界最大の石油資源であることになります。

中国近海で多発するこの領土紛争の核心は『排他的経済水域』という、その国の海岸線から200海里以内では、その国だけに漁業権・資源採掘権が認められるとする、国際法上の権利です。
この権利を根拠に、各国は実効支配している無人島や、場合によっては岩に毛が生えた程度の岩礁を根拠に、この『排他的経済水域』の拡大を図ってきました。
「尖閣諸島はアラスカに似ています。一見すれば何の価値も無い荒蕪の土地ですが、しかし独占的な漁業権・資源採掘権を手に入れるためには、欠くべからざる国際法上の根拠となり得るのです。」
アメリカ国立アジア研究機構のバレンシア研究員が、こう指摘しました。


しかし国際紛争の舞台となってしまった今は、日中いずれの政府も、資源開発などに着手するわけにはいかなくなってしまいました。
今回の騒動がここ数年の衝突の延長線上にあるのであれば、両国の高官による折衝を待たず、二、三カ月のうちには収束に向かうでしょう。
しかし中国は指導部の交代を翌月に控え、日本では二大政党の党首選が行われ、いずれも立場を守るためにはここで引き下がるわけにはいかず、当分は緊張状態が続くと見られています。
「今日本では、中国に対して軟弱な政治家だとみなされるわけにはいかないのです。」
バルシリー国際関係研究所のマニコム氏がこう語りました。

中国国内では第二次世界大戦当時の日本に対する敵意が再燃していますが、日本国内の中国への感情も変わりつつあります。
「その結果日本では、保守陣営には属さない人々も、中国の真意を疑い始めています。この感情が拡大すれば、中国政府も意外の念を持つことになるでしょう。」

9月25日、日本の海上保安庁の巡視艇と台湾の漁船


http://edition.cnn.com/2012/09/24/world/asia/china-japan-dispute-explainer/index.html?hpt=hp_c4

政府が通したのは財界の要求、しかもその費用負担は国民へ[ウォールストリート・ジャーナル]

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【 撤回されてしまった日本の原子力発電・廃止計画 】

エリノア・ワーノック / ウォールストリート・ジャーナル 9月19日

原子力発電の無い日本をつくる、という方針が撤回されました。

原子力発電を支持する財界から厳しい批判を突きつけられ、2040年までに原子力発電を段階的に廃止するという計画に対し、内閣として完全な承認を与えることを拒絶したのです。


古川元久内閣府特命担当大臣(経済財政政策・科学技術政策担当)は取材に対し、前の週に諮問委員会が作成した、段階的な原子力発電の廃止を盛り込んだ計画に、日本政府として完全な承認を与えることはせず、『参考意見として考慮に入れる』にとどめることになった、と語りました。
同大臣が読み上げた内閣の声明の内容は以下の通りです。
「将来のエネルギー政策及び環境政策に関して、我々は革新的なエネルギー・環境戦略を考慮に入れ、関連する地方自治体と懸念している国際社会と責任ある議論を行う」
そして、こうつけ加えられていました。
「柔軟性を維持し、継続的に国民の理解を求めながら、不断の検証と見直しを行いながら政策を実行していく」


昨年発生した福島第一原発の事故以前、必要とする電力の約3分の1を原子力発電によって賄ってきました。事故後原子力発電所の安全性に対する国民の不安は増大し、現在、2基を除くすべての原子炉が停止しています。

古川閣府特命担当大臣は記者団に対し、2030年代(2040年まで)に原子力発電の廃止が可能かどうか判断するのは、早計に過ぎると語りました。

昨年福島第一原発の事故が発生し、一般国民の原子力発電に対する懸念が大きく膨らんだことにより、14日金曜日、日本政府は原子力発電の段階的廃止を盛り込んだ、長期エネルギー政策を発表したはずでした。


原子力発電所の廃止は電力料金を高騰させ、電力記要求を不安定にし、日本の経済活動の障害になると主張する、ところが財界からの激しい反発を受けることになったのです。
「産業界はこのような政策は、全く受け入れることができない。」
日本最大の経済界の政治団体である経団連の米倉会長が18日火曜日、日本政府に詰め寄りました。
「こんな計画は白紙に戻し、もっと現実的なエネルギー政策を採用するように求める。」

中部電力の美津濃社長は
「日本のような資源がほとんどない国では、安定した電力供給のためには地熱発電、原子力発電、そして水力発電をバランスよく組み合わせたエネルギー政策を採用することが重要である。したがって電力業界は、今後も原子力発電を重要な発電手段と位置づけ、継続して行くつもりである。」


3基の原子炉が現在停止中している原子力発電所1か所を、中部電力は管理しています。
しかしこの浜岡原子力発電所は、東海地震の予想震源域にある上、活断層が直下にあるとされ、地元住民は廃炉を求めています。

今回の政府の決定に対しては、原子力発電に反対する人々、そして環境問題に取り組む人々から批判が集中しました。
この夏日本政府が行った意見聴取会において、大多数の参加者から日本の将来のエネルギー政策においては原子力発電への依存をゼロにすべきである、との意見が出されたにもかかわらず、この原発ゼロの政策を『参考意見にとどめ置く』とされてしまったことについて、国民はまさに『裏切られた』と感じることになるだろう。
こう語るのはグリーンピース・ジャパンで反原発の運動を行っている鈴木かずえさんです。
「国家予算の総額を上回る程の損害をもたらす巨大地震が再び日本を襲うかどうか、それは解りません。しかしそうなれば、電力会社が損害賠償を行うことなど不可能になります。結局その分はすべて、国民が負担させられることになるのです。」
彼女は2030年代に(2040年までに)原子力発電を段階的に廃止した場合の、経済面での影響についての問いに、このように答えました。
そして長期的観点に立てば、再生可能エネルギーを増やしていくことが、日本全体のエネルギーコストの低下につながるとつけ加えました。

http://online.wsj.com/article/SB10000872396390444165804578005882519607670.html
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「将来のエネルギー政策及び環境政策に関して、我々は革新的なエネルギー・環境戦略を考慮に入れ、関連する地方自治体と懸念している国際社会と責任ある議論を行う」
「柔軟性を維持し、継続的に国民の理解を求めながら、不断の検証と見直しを行いながら政策を実行していく」

まさにこれを官僚的作文というのでしょうが、大切な部分を読み解いてみましょう。
まず将来のエネルギー手段を再生可能エネルギーとせず『革新的なエネルギー』とした点ですが、アメリカで実用化がすすめられている小型原子炉も、ここには含まれているでしょう。

そして『関連する地方自治体と懸念している国際社会と責任ある議論を行う』という部分。まず国民という文字が無い点から、国民との議論はもう行わない、そう宣言しているのではないでしょうか?
これは続く文章で「国民の理解を得た上で」ではなく『継続的に国民の理解を求めながら』とされた表現が、「理解を求めはするが、必ずしも合意を取り付ける必要は無い」と解釈できることからも、そのように類推できます。
そして懸念している国際社会とは、日本が核廃棄物の中間処理を委託しているフランス、イギリスの利害、そしてアメリカの原子力産官複合体のことが念頭にあっての表現と考えられます。

こうして読み解いた結果、政府見解の『あり得るシナリオ』は、以下のようになると思います。

「将来のエネルギー政策及び環境政策に関しては、日本政府は原子力発電の新技術も考慮に入れ、原発が立地し国の補助金を受け取っている地方自治体と、米英仏の原子力産官複合体の意見を聴き、その両方の意向に逆らわないように方針を立てていく。この議論に一般国民は参加させない。」
「いつでも原子力発電所の廃止路線を完全放棄できるようにしておき、その際、国民の理解を求めはするが、必ずしも合意を取り付ける必要は無い。国民の抵抗が思ったより少なければ、原子力ルネッサンスの復活も考えてよいのではないか。」

これを見てどうお感じになるでしょうか?
私は『公憤』という言葉を、久しぶりに思い出しました。

しかしだからとって、また自民党が政権をとれば、今度こそ白昼堂々脱原発の願いが捨て去られる危険性大です。
昨日も大江健三郎氏らが自民党総裁候補全員に送付した脱原発アンケートに対し、全員が黙殺をもって応えた旨報じられていました。
中でも最大の原発推進派と見られる人物が総裁に選ばれ、自民党の本音ははっきりした観があります。

脱原発を願う人々にとっては、まさに前門の虎、後門のオオカミの状況です。
さらには徴兵制の復活、軍備増強を言ってはばからない維新の会も控えています。財政が窮迫している上に、すでに福島第一原発の事故によりただ生活することにすら危険がつきまとうようになってしまった日本で、戦争をする能力拡大のために予算をつぎ込むことに、どんな意味があるのでしょうか?

これに対し敢然と民主党を離党した平智之議員のような政治家や、『国民の生活が第一』、共産党、社民党などは、例によって日本の大手マスコミが民主党総裁選、自民党総裁選にかこつけて黙殺を続けているため、苦しい戦いを強いられています。
しかしこんな時こそ国民一人一人に語りかけ、危機的状況にあるこの国の『脱原発への願い』を救い出して欲しいものです。

ロシア革命の『ヴ・ナロード(民衆の中へ)』、反帝政派の活動家は民衆の中に入っていき、地道に支持を拡大して行きました。
今多くの人々が行き場の無い怒りと、脱原発へのひたむきな思いを抱いたまま、立ちすくむことを強いられています。
一方で今ほど大勢の国民が、自分たちの思いが政治の場で力を持つことを、切望している時はないのです。

脱原発を支持する政治家の皆さんには、どうしたら議席を手に入れることができるのか冷徹に計算し、「善戦した」「一定の成果はあった」などという中途半端な評価に終わらないよう、勝利への方程式をしっかりと組み上げていただきたいものです。

またも国民の安全を、健康を、暮らしを、危険にさらす日本政府[ガーディアン]

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【 原発の段階的廃止計画・捨ててしまった日本 】
経済界の圧力により、国民との合意を廃棄

ジャスティン・マッカリー / ザ・ガーディアン(英国)9月19日


日本政府は財界の圧力を受け、閣僚間の合意により、数日前に内閣の委嘱を受けた委員会が提出した、2040年までに原子力発電を廃止するという方針を実質的に放棄してしまいました。

18日火曜日、野田内閣は前週の金曜日に提出された原子力発電の段階的廃止ブランに漠然とした支持を表明しただけで、2030年代(2040年まで)に原子力発電を廃止するための、あらゆる具体的プランを放棄しました。

枝野経済産業大臣は、2030年代(2040年まで)の廃止を不可能としたことを認めました。
「2030年代(2040年まで)の廃止は、政策決定者が決めたからと言って達成できるものではありません。」
「電力利用者の意思、技術の進歩、そして今後10年ないし20年間の世界の電力事情によって決まるものなのです。」

財界・産業界の指導者が、原油と天然ガスの輸入コストの増大により、企業はその活動拠点を海外に移転せざるを得ない、という圧力を政府にかけた結果、この方針転換が行われました。


内閣が捨てた原子力発電の廃止案は、2カ月間にわたって行われた将来のエネルギー政策に関する国民の意見聴取会において、原子力発電所は全廃すべきであるとする意見が、一部廃止や現状維持の意見をはるかに上回った結果、政府がまとめたものでした。
内閣はこの案を捨てる一方、「参考程度に」はとどめ置き、今度は国民一般、原子力産業界、実業界、そして原子力発電に経済を依存する自治体の見解を取りまとめた上で、今後の方針を決定すると語りました。

2011年3月の福島第一原発の事故で3基の原子炉がメルトダウンを引き起こし、これまでの日本の原子力政策に対する信頼を大きくゆるがせた結果、この度のエネルギー政策の見直しは行われました。

岡田克也副首相は2040年の最終期限を捨てたことイコール原子力発電の廃止路線を捨てたことにはならない、と語りました。

「我々は2030年代に原子力発電所がゼロになるよう努力を行うとは言いましたが、期限内に原子力発電所をゼロにするとは言っていません。」
岡田副首相は一群のヨーロッパのジャーナリストに話しました。
一方で彼は段階的な原子力発電の廃止が、「大多数の日本人の願望」であると認めました。

8月に公表されたデータは、前述の公聴会において集められた意見の中、日本国民の実に90%が原子力発電の廃止を支持していることを明らかにしました。
将来の発電手段の中に原子力発電を残すべきであるとする意見は、わずか4%でした。


これに対し岡田副首相は、原子力発電を停めて石油・天然ガスに発電手段を切り替えた場合の増大するエネルギーコスト、そとて気候変動に対する日本が果たすべき役割についても、政府は考慮しなけければならないのだと語りました。

日本は1990年と比較し、20%温室効果ガスを削減し、エネルギーの効率化により10%のエネルギー資源節約を行うことになっています。
同時にこの計画では将来再生可能エネルギーと、化石燃料の持続可能な利用による発電割合を30%にまで高めることを求めています。

昨年3月、福島第一原発がこの四半世紀の中で世界最悪の原発事故を起こし、2基を除く日本国内のすべての原子炉が点検のため停止中です。

一方で今回、日本政府は建設中の2か所の原子力発電所の工事再開を承認しました。
原子炉の寿命を40年とする規定が適用されれば、この工事再開により日本では2050年になっても原子力発電所が稼働していることになります。


日本は福島第一原発の事故以前、発電量の30%を原子力発電に依存していましたが、それを2030年までに50%に拡大させる計画を持っていました。

19日には新たに原子力規制委員会が発足しましたが、その委員の大半が福島第一原発の事故原因を作り出した日本の原子力ムラ出身者で占められており、他脱原発運動を展開する人々から避難されています。
グリーンピース・ジャパンの鈴木かずえさんは、以下のように指摘しました。
これまでの原子力行政に深く関与してきた人間を委員として指名したことにより、
「日本政府は、再び信用してはならない原子力規制機関を作り出したことにより、またもや国民の健康と安全、そして日本の経済を危険にさらしてしまったのです。」

http://www.guardian.co.uk/world/2012/sep/19/japan-2040-nuclear-power-exit?INTCMP=SRCH
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これ程に各国各紙の同内容の報道を掲載するのは、日本の一人でも多くの方に、真実を知っていただきたいからです。
今回の日本政府の原子力発電の段階的廃止の『見送り』について、日本のマスコミの報道を見ていると「当面の間、決定を見送った」と誤解してしまう恐れがあります。

それは違います。

真実は、昨日までご紹介したニューヨークタイムズやFOXニュース、そして今日のザ・ガーディアンの記事にあるように、『実質的に放棄してしまった』のです。
この『事実』を一人でも多くの方に、きちんと認識していただきたい、その一心で掲載を継続しています。

それにしても、ドイツ・メルケル首相の『2022年までの全原発の廃止』が如何に英断だったかが、今さらながら身につまされます。
ドイツにも『実業界』は厳然として存在するはずなのですが、国そのものの安全という問題に対し、経済界だけの意見を通すわけにはいかないという『矜持』がそこにはありました。

ひるがえって私たちの日本。
枝野経済産業大臣は、原子力発電所の新規計画・着工すら「その判断は地元に任せる」旨の発言を行いました。
これは裏返せば、原子力発電所の建設予定地がある自治体に対し、「新規建設を強行に要求しなさい」と言っているようなものだと思います。
さらには記事中の
『今度は国民一般、原子力産業界、実業界、そして原子力発電に経済を依存する自治体の見解を取りまとめた上で、今後の方針を決定する』
というくだりですが、もし多数決を以下の形で行ったら、どうなるでしょうか?

国民一般 : 1票
原子力産業界 : 1票
実業界 : 1票
原子力発電に経済を依存する自治体 : 1票

「はい、3対1で、原子力発電の推進が支持されました」

「まさか…」とお思いでしょうか?
日本の人々はすでにもう何度も、その「まさか…」という煮え湯を飲まされている、私はそう思うのですが…

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【 回る回る、酔いも回る - 『オクトーバーフェスト開幕』】

アメリカNBCニュース 9月23日
(写真をクリックして、大きな画像をご覧ください)


9月23日、ドイツ・バイエルン地方にて




処理の目処が立たない核廃棄物を、再び貯めこむ路線に向かう日本政府[FOXニュース]

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【日本政府、原子力発電の段階的廃止から後退 / 原子力規制委員会、新たに発足】

AP通信 / FOXニュース 9月19日


19日水曜日、日本政府は段階的に原子力発電を廃止するとする諮問委員会が提出した提案を採用せず、実質的に原子力発電の廃止を棚上げにしました。
日本政府は原子力発電の廃止に強力に反対する経済界の一部、そして原子力発電所が立地する地方自治体の圧力に屈したのです。

昨年の福島第一原発事故の発生原因を作った原子力安全・保安院に代わり、日本の原子力発電事業を管理監督する原子力規制委員会の発足と同時に、政府の決定は行われました。
諮問委員会が提出したプランを採用せずに、各閣僚はただ漠然と脱原発依存の方向性を認めただけでした。

福島第一原発の事故発生以来、国民の間に高まり続ける反原発意識を認識している内閣は、今後30年間、再生可能エネルギーの大規模開発と化石燃料の持続可能な利用により、脱原発は可能だと主張しています。


政府は原子力発電所の廃止に関する政策を「参考にする」程度にとどめ、国民の理解と支持を求めるつもりであると語りました。
この場合の国民という表現には一般国民と併せて、原子力産業に従事する人々、原子力産業に利害関係がある企業関係者、そして原子力発電所が立地し経済的に依存している地方自治体を含みます。

古川元久内閣府特命担当大臣(経済財政政策・科学技術政策担当)は、時間はかかるが日本のエネルギー政策の焦点は、原子力を段階的に廃止することであり続けると語りました。
同大臣は二酸化炭素排出量の削減のためにも、グリーン・エネルギー政策を推進すると誓いました。

原子力発電の廃止に対するあいまいではっきりしない態度は、数か月以内には実施の可能性のある総選挙で有利な立場を得るために、内閣は方針転換を行ったのだという批判を高めることになりました。

一方、財界の指導者は、内閣が原子力発電所の廃止案を引っ込めたことを称賛しています。

「内閣が2030年代(2040年まで)の原子力発電の段階的廃止という、具体的目標について言及しなかったことは、これを取り下げたものと解釈します。したがって、当面原子力発電の廃止は回避できたものと考えます。」
政治に対し常に強い影響力を発揮する、経団連の米倉会長がこう語りました。
米倉会長は18日火曜日、もし原子力発電の段階的廃止の方針は何もかも受け入れられないとして、採用の暁には政府の委員会の委員を辞任する、と迫ったのです。


つい最近まで原子力発電の発電割合を、2030年代を通し25%台を維持することを目指してきた日本政府である以上、方針転換はいつでもあり得ます。
「少なくとも今回の政策は、私たちが目指すべき方向だけは見せることができたと言えます。」
民間の核問題・原子力発電の監視組織である、原子力資料情報室( http://cnic.jp/ )の共同代表である伴英幸氏がこう語りました。
「しかし廃止への方向性は弱められ、いくつもの抜け道があります。財界から相当の圧力がかかったことは明らかです。」

日本は3月11日に襲った巨大地震と巨大津波がきっかけとなり、福島第一原発の3基の原子炉がメルトダウンを引き起こし、大量の放射性物質を環境中に放出する前までは国内に54基の原子炉を持ち、発電量の30%を原子力発電に依存し、その割合を50%にまで高める計画を持っていました。
現在は原子力発電に対する国民の懸念が高まり、2基を除いてすべて停止しています。

新たな原子力発電監視機関である原子力規制委員会は、19日水曜日に発足しましたが、5人の委員の中に原子力発電推進派と見られる人間が複数含まれていたため、機関の独立性を求める野党の国会議員の批判を浴び、数カ月間スタートが遅れました。
原子力規制委員会を率いるのは核物理学者で福島県福島市出身の田中俊一氏ですが、田中氏は旧原子力委員会の委員を務め、原子力発電の拡大路線を進めてきた人物です。

67歳になる田中氏は、放射能によって汚染されてしまった福島第一原発周辺の除染作業を手伝いました。
しかし住民の一部は、同氏が低線量被ばくの潜在的な危険性を軽視する発言を繰り返したとして、批判しています。


4人の他の委員は、国会による福島第一原発の事故調査委員会にも参加した元日本原子力研究開発機構職員、放射線の専門家、地震学者と元外交官です。
委員会の9月26日の発足の最終期限に間に合わせるため、必要とされる議会承認を得ることなく、野田佳彦首相は自らの権限による指名によって原子力規制委員会をスタートさせました。
この事もまた、広く批判を招くことになりました。
新しい機関は、旧監査機関である原子力安全・保安院、原子力委員会、その他の原子力関連の政府機関を統合したものです。
そして原子力政策の推進機関から距離を置くため、環境省の下に置かれます。
旧原子力安全・保安院は経済産業省の一部門であり、同省は日本の原子力政策を推進してきた当事者でした。

繰り返された事故調査の結果、原子力安全・保安院などの規制機関と東京電力の癒着が、チェルノブイリ以来最悪となる福島第一原発の事故の発生原因を作ったことが明らかになりました。

「私たちの目下の課題は、日本の原子力行政の立て直しと、完全に失われてしまった国民の信頼を回復することです。」
田中氏が初めて開かれた委員会でこうあいさつしました。

内閣諮問委員会によって先週金曜日にまとめられた新エネルギー政策は、2040年までに原子力発電が廃止された社会を求めています。
耐用年数を過ぎた原子炉を廃炉にし、代替の原子炉を設置しないことにより、段階的に原子力発電が廃止されることになっていました。
原子炉については稼働期間を一律に40年と制限されることになっていますが、例外的に20年の期間延長が認められる規定があります。
この廃止への段取りは一般国民から歓迎されましたが、力を持つ実業家たちの強い反発を招きました。
また原子力発電所が立地する地方自治体は、巨額の政府助成金が打ち切られてしまうことに強い抵抗を示しました。


のしかかるように迫る反対圧力をかわすため、日本政府は使用済み核燃料と放射性廃棄物の処理を含め、これから原子力政策の詳細について、すべてを曖昧にしてしまいました。
このため北日本の青森県での核燃料サイクルの継続を容認する事になり、日本は核不拡散条約の違反を続けながら、使用済みプルトニウムを溜め込んでいかざるを得なくなってしまったのです。

http://www.foxnews.com/world/2012/09/19/japan-gets-cold-feet-on-total-nuclear-phase-out/
  + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +

尖閣諸島の問題に絡み、自民党総裁選挙の候補者が異口同音に
「日米同盟の強化」
を謳っています。

皆さんはアメリカの『産軍複合体』が世界の戦争を作っている、そう指摘する論評があるのはご存知でしょうか?
『産』は軍需産業、『軍』はもちろん軍隊です。
『産軍複合体』は米ソの冷戦状態が火を噴いた1960年代から急速に拡大し、冷戦後は自分たちの体がしぼんでしまう事を何よりも恐れ、世界で次々と戦争を『作り出している』と言われています。

そして今、もうひとつ『日米原発産官複合体』がこの国を侵そうとしていると言われます。
この複合体は日本では『軍』ではなく、『官』すなわち官僚である事が特徴的のようですが…
ここも自分たちの体がしぼむ事を恐れ、互いに日米の反原発、脱原発の動きに目を光らせているようです。
自民党は原子力発電所の廃止について一切言及しておらず、もし政権をとれば『日米原発産官複合体』とともに原発ルネッサンスを再開してしまう可能性があります。

ところで皆さんは、湾岸戦争の際、総戦費610億ドルのうちアメリカが支出した戦費が70億ドルだったのに対し、日本の支出が90億ドル(当時1ドル=100円として9,000億円)だった事はご存知でしょうか?(他の大部分は湾岸産油国が負担。田中宇著『イラクとバレスチナ、アメリカの戦略』光文社文庫)

中国の傍若無人の態度も見過ごせませんが、だからといって単純にアメリカを頼れば、『日米原発産官複合体』が勢力を増し、アメリカの『産軍複合体』に日本が利用される可能性もあります。

私はこれほど中国が強硬な態度を取るのは、日本政府、そして日本の政治が完全に国民から見放されている、そこをすっかり見透かされている、それが最大の理由だと考えています。
自国民の支持をすっかり失っている政府、外交上これほど『怖くも何ともない』相手は無いからです。

安易に外国に頼る、そんな事より誠実に自国民に向き合う政府が存在する国には、中国・ロシアといえど好き勝手は出来ないと思うのですが…

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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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