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サリン爆弾、アサド、自国民に向け投下準備

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【シリア政府軍、化学薬品を航空機爆弾に装填】

ジム・ミクラスジュースキー、アレックス・ジョンソン / アメリカNBCニュース 12月5日

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アメリカ軍の高官は5日水曜日、シリア政府軍が自国民に対し化学兵器を使用する準備を始めており、アサド大統領の命令があり次第、使用に踏み切る恐れがあると、NBCニュースに語りました。
すでに政府軍は極めて高い殺傷能力を持つ、サリンの前駆体化学薬品(化学反応を起こせば、猛毒のサリンに変わる)を装填した爆弾を、いつでも数十機の戦闘機に装着し、自国民の上にこれを投下できるようにしています。

前日の火曜日までアメリカ軍当局は、この『前駆体化学薬品』がすでに準備されているという証拠ないと語っていましたが、水曜日になって、最悪の恐れが現実になったと語りました。
サリンの前駆体薬品が、航空機の爆弾内に装填されてしまったのです。

サリンは致死性がきわめて高い化学薬品です。
1988年、サダム・フセイン政権時のイラク政府軍がクルド人反乱勢力に対しサリンを使いましたが、たった1発の攻撃で5,000人が死亡しました。

ただし、米軍当局者が強調しましたが、サリンが爆弾内に装着されてはいるものの、戦闘機にこの爆弾が装着はされておらず、最終的な使用命令も出ていないと語りました。
しかしいったんアサドがその使用を決断してしまえば、それを止められる力はシリア国外にはほとんどないと語りました。

ヒラリー・クリントン米国国務長官は、化学兵器を使わないよう、米国として繰り返しアサドへの警告を行ってきました。
もし化学兵器の使用に踏み切るようなことになれば、その時は『超えてはならない一線』を超えたことになる、と。

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5日水曜日、ブリュッセルのNATO本部における会見で、クリントン国務長官は、破れかぶれになったアサド政権が化学兵器使用に踏み切る危険性、あるいはこの類の使用禁止兵器が政権崩壊の混乱の際、第三者の手に渡る危険性があるとも警告しました。
同じ会見でシリア政府が、崩壊に瀕しているとも指摘しました。
「最終的に私たちが検討しなければならないのは、『アサド後』のシリアの政治体制をどうするか、という事です。このための対応は早ければ早い程よい、そう考えています。」
「もはやアサド政権の崩壊は避けられません。問題は崩壊までに、いったいどれだけの人間が死ななければならないか、という事です。」

クリントン国務長官の側近が、同長官が来週モロッコで『シリア革命国民連合』と『反政府軍』のふたつのシリアの反政府勢力と会談することになっており、その際この二つをシリア代表として公式に認める予定になっています。
イギリス、フランス、トルコ、そして主要アラブ諸国はすでに公式に認知しています。

21ヵ月間の内戦ですでに40,000人以上が死亡しましたが、5日も激しい戦闘が行われました。
国連は現地の状況があまりにも危険だとして、職員の撤収を行いました。

オバマ大統領が化学兵器の使用について、『一切、認められない』と直接警告した後、シリア政府は今週、自国民に対し化学兵器を使用するつもりは無いと声明を発しました。

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NBCニュース[化学兵器の使用について警告を行うオバマ大統領]12月3日

しかしアメリカ当局はシリア政府が、化学兵器部隊に対し戦闘準備命令を発したことをつかんでいます。
これはシリア軍が化学兵器を使用するための装置・装備を、一か所に集積し始めたことにより判明しました。

サリンを化学兵器として使用するには、『前駆体化学薬品』を増せ合わせる必要がありますが、これを砲弾に装填することで、サリン攻撃が可能になります。しかし米当局は、その作業が始められたという証拠はまだ無いと強調しました。

アメリカ政府は、シリア政府が禁じられている化学兵器を密かに備蓄していると疑ってきましたが、この夏、それが事実であったことが明らかになりました。


NBCニュースは7月に、シリア政権がサリンに加え、タブン(ナチスドイツが開発・大量生産した有機リン酸系の神経ガス)、マスタードガス、シアン化水素などの毒ガスを入手したと、アメリカの諜報機関が判断している、と伝えました。
各国の諜報機関はこの時点では、シリア政府が国際条約で使用を禁止されているこれらの化学兵器を、極秘に移動させている模様だが、その決定的証拠まではつかめずにいました。

シリアは、化学兵器の生産、備蓄、そして使用を禁じた1992年の化学兵器禁止条約を批准しなかった7か国の中のひとつです。

サリンを装填した爆弾を搭載し、戦闘行動を行う予定になっているのは、ソ連製のスホーイ22/20、同ミグ23、そしてスホーイ24戦闘機です。

さらに、無誘導の短フロッグ7短距離ミサイルにも、化学弾頭を装着可能であることを指摘するいくつかの報告があります。

より遠い攻撃目標に対する攻撃手段として、シリアは最大射程距離115キロのSS-21中距離弾道ミサイル、同300キロ以上のスカッド-Bs、そして射程距離300キロ弱のスカッド-Csを、それぞれ移動式発射装置とともに装備していることを、アメリカの情報機関はつかんでいます。

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NBCニュース[NATO軍、トルコにパトリオット・ミサイル迎撃システムを配備]12月4日
http://worldnews.nbcnews.com/_news/2012/12/05/15706380-syria-loads-chemical-weapons-into-bombs-military-awaits-assads-order?lite
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シリアがアラブ世界でエジプトに次ぐ軍事大国になった理由はやはり、隣国レバノンをはさんだ、イスラエルの存在、イスラエルの『脅威』です。
軍事力の拡大は、『脅威』を喧伝することにより進められるのが常です。

その軍事力を「自分に刃向う者には容赦しない」とばかり、最初はデモ行進をしただけの民衆に対し、アサドが発砲を命じたのが『内戦』の始まりでした。
父親の軍事政権を『世襲』して、決して国民の信任を得ているとは言えないその権力を守るため、最初は小銃程度であったものが、装甲車になり、戦車になり、戦闘ヘリになり、ジェット戦闘機になり、そして最後には化学兵器までエスカレートしてしまいました。

軍備・軍隊という強大な力を、手にするべきでない人間が手にした時、どれ程の悲劇が生まれるものなのか、歴史は終わることなく繰り返しています。

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【 かつてのミサイル格納庫でキノコ栽培 : ベラルーシ 】

アメリカNBCニュース 12月5日
(写真をクリックして、大きな画像をご覧ください)

かつてのソビエト連邦のミサイル基地を再利用し、キノコを栽培して急成長するベラルーシ共和国、ミノイティの個人経営農場。



「常に権力の側に立ってしか、ものを考えない、日本の報道各社」

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【『福島の50人のサムライに会いたい?! 残念ながら、それは…』】
「心ある人々」に背を向け、権力におもねる日本のマスコミ
自分も権力の側にいるつもり?! だから正しい現実認識の役には立たない、日本の大手各社の報道

エコノミスト 10月8日


かつて『フクシマの50人(のサムライ)』として、制御を失い暴走を続ける原子力発電所を相手に、命を危険にさらしながら事故に立ち向かった福島第一原発の緊急作業要員に対し、日本政府が感謝の意を表明するまで、18ヶ月という時間がかかりました。

しかし10月7日、野田首相が遅ればせながら改めて正式に感謝の意を伝えたとき、一方では何か奇妙な空気があたりを支配していました。

その場にいた8人の緊急要員のうち、6人までが取材のためその場にいたテレビカメラに背を向け、写真に撮られることを拒否しました。
そして誰に対しても、野田首相に対してすら、一切自分たちの名を明かすことをしませんでした。

これら緊急時に働いた人々は、福島第一原発の事故に関わり合ったことで、その子供たちや孫たちなどがいじめの対象になることを恐れ、自分たちの名を明かしたくなかったのだという事を、政府側も東京電力側も暗に認めました。

しかし、別の推察も成り立ちます。
国有化されたばかりの東京電力が、これ以上評判を落とすことを恐れて、彼らの口を封じている可能性があります。
私が自分の名刺を差し出しながら作業要員の人たちの口から直接、彼らなりの見方について話が聞けるかどうか尋ねたところ、明らかにいらだった様子の東京電力の社員が強い口調でこう答えました。
「できません!」

福島第一原発の事故について様々に検証を受けることにより、これ以上不都合な事実が次々に明らかになったのでは、日本政府も、東京電力もたまったものではありません。

まず挙げなければならないのは、事故発生後、第一線で事故処理に取り組んだ作業員の献身的姿勢と、経営を担当していた役員層の偽善的姿勢との、あまりに明らかな違いです。
当時東京電力の会長だった勝俣恒久氏のことを(日本にとって幸いなことに、今は退任していますが)思い出してください。
今年始め、勝俣会長は国会の証言の場で、自分は悪くない、悪いのは自分以外の全員であると、誰かまわず冷然と批判しました。

勝俣会長が経営する会社に忠誠を誓い、命がけで事故と戦った人々は、事故を起こし、その収束が進まないことを恥じて、その身を隠そうとしているのに、です。


日本政府の一部の人間が、現場で命がけで敢然と働いた人々と、後方にあって私利私欲のことばかりを考えていた、臆病な人間とをきちんと区別して扱わなかったことで、現場で戦った人々は著しく不利な位置に追いやられてしまいました。

公平な市民目線において、この2者を混同すべきではありません。

2010年にチリで起きた、33人の鉱山労働者が行動に閉じ込められた事件では、両者の違いははっきりしていました。
すなわち、仲間同士支え合いながら闘った英雄と、安全対策を怠っていた避難されるべき経営層。
しかし、日本では両者を切り離して評価することはありませんでした。
この点について、日本政府のある職員がこう語りました。
「これがアメリカだったら、『フクシマの50人』は大統領によって直接、ローズガーデン(ホワイトハウスにある庭園)に招待されたことだろう。」

しかし日本の現実は違います。
野田首相の訪問の後ですら、命がけで働いた男たちがふさわしい扱いを受けることはありませんでした。
日本の共同通信社は彼らが語ったあらゆる話を、汚染の除去に関するありきたりな、どうでもいいような退屈な話にしてしまったのです。


しかし日本ではたった一紙、英字新聞のジャパン・タイムスが、8人のうち2人にしか話を聴くことが出来なかったことについて言及はしませんでしたが、当時の恐怖に満ちた彼らの体験の一部を今日に伝えています。
野田首相に話したときと同様、彼らは決して自分たちを英雄扱いはしませんでした。
語るところは、とにかく恐怖に苛まれていたことだけのようにも受け取れます。

一人は2011年3月11日、津波によって全電源喪失に陥った際、
「これでもう、すべてが終わりだ…」と思ったと語りました。

もう一人は、メルトダウン寸前の原子炉一基の電源を何とか回復させるため、高圧電量の感電の危険を押して、真っ暗な現場にスタッフを送り込んだ際のことについて話してくれました。
彼は部下の一人に、作業向かう人間が生きて戻れると思っているのか、と尋ねられたと言います。


そのような状況の下、彼らは作業に向かったのです。

この会見について伝えた日本の報道において、見出しに現れたのは『フクシマの50人』ではなく、野田首相だけでした。
こうした報道のおかげで、野田首相は現場で戦った人々について通り一遍の認識しか持っていなかったにもかかわらず、国民の側からある程度の評価を得ることになりました。
「あなた方の献身的取り組みに感謝します。おかげで『私たちは』日本を危機から救い出すことが出来ました。」

これこそ現代日本の、悲劇的側面の一つです。

日本の報道は常に権力の側に立ってものを考え、ほとんどの場合、正しい現実認識の役には立ちません。

フクシマの最前線で懸命に働いた男たちは、頭を垂れさせられたまま、事件の片隅に追いやられようとしています。
彼らの懸命の作業については、そこに誰がいたのかも明らかにされる事が無いまま「その他大勢」として扱われ、最後には忘れ去られる運命にあります。

http://www.economist.com/blogs/banyan/2012/10/japans-nuclear-disaster
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『わが意を得たり!』というのが、この記事を読み終えた、いや、翻訳し終えた後の感想です。

世界標準の『報道』とは、権力からも、市民感情からも一定の距離を置き、『知』を代表する立場で冷静な、しかし良心的な情報伝達をすることです。
しかし日本国内の報道、特に一部の大手テレビ局や新聞社の報道は、『権力者の腰巾着との謗り』を免れないと、英国の『知』を代表する良心的報道機関が批判しています。

今回の総選挙に関する、上記マスコミの報道には、良心どころか『大衆扇動』の臭いすら感じられます。

軍備の増強、憲法の改編、原発の是非、これらの問題は国民の生活の根幹にかかわる重要なことです。
それがまるで政党間ののレース予想の判断材料程度の扱いであり、これでは本当に『正しい現実認識の役には立たない』、まったくその通りです。

『猛省を求める』、そんな表現がありました。
しかし、彼らは反省するつもりなど無いでしょう。

本当の政治はどこにあるのか?!

それと同時に私たちは、

本当の報道はどこにあるのか?!

見極める必要があると思います。

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【 冬景色 】

アメリカNBCニュース 12月4日
(写真をクリックして、大きな画像をご覧ください)

スイスのサンモリッツ郊外。12月1日。

(訳者)私が住んでいるのは仙台市ですが、男のくせに冷え性で、12月~2月の季節は要らない、とまで思う事があります。
と言っても仙台の冬は、盛岡市や北海道と比べて『厳寒』というほどではなく、仙台市内に限って言えば、あたり一面が雪に覆われる様な日は、一年を通じて数日に過ぎません。
しかし、寒がりの私にとっては、やはり快適な季節とは言えません。

という訳で、実は冬景色については感覚的には苦手なのですが、それでもここに掲載した写真には思わず見入ってしまいます。


ドイツ西部のフロイデンベルク。12月2日。


ドイツ中部のタバルツ。12月3日。


ウクライナの首都キエフ。12月3日。


スイスのウンターヴァーツ。12月2日。

福島第一原発の事故調査、これ以上日本人任せにはできない?!

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【 福島第一原発事故、アメリカ科学アカデミーが本格調査に着手 】

山口まり / AP / ハフィントン・ポスト 11月27日

アメリカ学アカデミー、ノーマン・ニューライター氏


フクシマの事故を検証すれば、アメリカ国内の原子力発電所の安全性を高めることが出来るのではないかとの思いから、27日火曜日、アメリカの科学者たちが東京で会合しました。
アメリカ科学アカデミーの22名のメンバーによって構成される委員会を率いるノーマン・ニューライター氏は、津波によって引き起こされた福島第一原発の事故と次々に明らかになる被害は、原子力発電の安全性についてあらゆる分野の懸念を引き起こした、と語りました。
「私たちは起きたことすべてについて可能な限りの検証を行い、そこから今後原子力発電の安全性を高めるための教訓を引き出したいと考えています。」
ニューライター氏は技術的問題について討議するための会議の休憩時間、AP通信の取材にこう答えました。

ニューライター氏によれば、委員会は現在原子力関連の政府関係者からの聞き取りを行っており、その後独自の調査を開始する予定であると語りました。
この調査結果は、世界の原子力発電所の安全性を高めるため、役に立つだろと語っています。

2011年3月11日、強力な地震によって引き起こされた津波が福島第一原発に襲いかかり、原子炉冷却装置が破壊され、このために3基の原子炉でメルトダウンが起きました
避難させられた福島県内の100,000人以上の周辺住民は、放射線に対する懸念から、未だに自宅に戻ることが出来ずにいます。

マグニチュード9.0の地震、そして引き続いて起きた津波により、東北地方太平洋岸の19,000以上の人々が死亡、または行方不明になりました。
しかし放射線被ばくによる死亡例は、まだ報告されていません。
「現在ここ日本で起きているあらゆる出来事、損害、人的被害、そして終わらない放射能汚染、その他ありとあらゆることを見て、世界の人々は原子力発電に対し、ますます疑問を抱くようになるでしょう。
そこで私たちは、いかなる場所においても二度とこのような事故を引き起こさないように、世界中の原子力発電所の安全を確保するために役立つ結論を導き出そうとしているのです。」


26日月曜日から3日間の会議で、この委員会では独自に各種の情報や技術的見解を精査するため、日本国内での調査を担当した専門家、福島第一原発を運営してきた東京電力の各職員などからの聞き取り調査を行いました。

同委員会は東京での作業にいったん区切りをつけた後、28日水曜日に福島第一原発の現地を訪れる予定です。

ニューライター氏は『原子力ムラ』として知られる原子力産業界と規制当局の癒着について言及し、このことが日本国民に抜きがたい不信を植えつけたと語りました。
日本国内で行われた調査でもこの点が問題とされ、何より安全を確保することを軽視する姿勢が、今回の危機を引き起こしたとの指摘を行いました。

27日火曜日に行われた聴き取り調査で、原子力規制委員会の委員である更田豊志(ふけたとよし)氏は安全性強化のための対策について検討することの必要性を認めてはいますが、原子力規制委員会の新たな安全基準と放射線被ばくを予防するための基準作りなどで極度に忙しく、手が回りきらないと答えました。
「安全確保を大切にする考え方を学ぶ必要は認めますが、率直に言って現時点では、予算も、時間も、人手も不足しています。」

アメリカ人科学者による報告書は2014年4月までにまとめられ、公表される予定です。
ニューライター氏は同委員会はまだ『調査段階』にあり、これから長い時間をかけて結論を導き出すことになるだろうと語りました。

http://www.huffingtonpost.com/2012/11/27/fukushima-nuclear-accident_n_2198060.html
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アメリカ科学アカデミーという世界的にも名の通った科学者の団体であれば、日本の「健康調査」がそうであったような、結論が先にあって、その証明に向けた証拠集めをする、といった類いの千代宇佐にはならないと思います。
インタビューの中で、余談に類する話が一切無い、という事にもそのことがうかがわれます。

それに比べると、日本側の「調査」は、少しでもこの事故に関心がある人なら、いとも簡単に予想できた答えしか出さなかった、つまりは
「あまり心配する必要性は認められない」
「それほど深刻なものでは無い」
という見え透いた「結論ありきの調査」であった点において、科学者としてお粗末な姿をさらしました。

この記事を書いた山口まりさんが先週、国連の特別調査官が日本側の調査と対策について、この点について厳しく批判したことを伝えていました( http://kobajun.biz/?p=6530 )。

こうした現実に無関心であった、あるいは無関心を装っていた一部政治家が、選挙の公示当日に、福島や宮城で選挙の『第一声を挙げた』ことに、被災した人間の一人として複雑な思いを抱かずにはいられません。

古の聖賢、帝堯(ぎょう)、帝舜(しゅん)、「中国古代の伝説上の帝王、尭と舜。徳をもって理想的な仁政を行ったことで、後世の帝王の模範とされた。」とYahoo辞書にあります。
私が知っているエピソードの一つは、多分堯の方だったと思いますが、以下のようなものです。

黄河の氾濫によって人民が塗炭の苦しみの中にあった時、国王であった堯は、復旧が果たされるまで夜は直接地面の上で寝て、人民の苦しみを片時も忘れないように努めた。

12月4日、福島や宮城を演説の場に選んだ政治家たちにこれに似た気持ちはあったのかどうか?
今度こそ、私たちは見極める必要があると思うのですが…

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【 宇宙からの視線 】

アメリカNBCニュース 12月2日
(写真をクリックして、大きな画像をご覧ください)

この広大な扇状地は、中国西部の崑崙山脈とアルトゥン山脈の間に広がる荒涼とした地域です。
写真の右下から左上に向かって扇型に広がり、やがて砂漠の中に姿を消す鮮やかな青。
もちろん河川です。
写真の右下にある銀色の筋、今は枯れてしまっている川筋でしょうか?
この写真は2002年5月2日、NASAのTERRA衛星が撮影したものです。


2011年7月14日、TERRA衛星が撮影したアメリカ、グランドキャニオンの東側。


『炎を噴き上げる炎』10月14日、NASAのステレオ班が確認した太陽のプラズマ放出。太陽は今、11年周期の活動期の活発期の頂点に近づきつつあり、これから磁気嵐が増えるものと見られています。


『南半球の日食』
2012年11月14日、オーストラリアで観測された日食の様子。


『最後の輝き』
11月6日に欧州南天文台が発表したのは、ケンタウルス座フレミング1第一惑星の写真です。
写真にとらえらているのは、死に絶えようとする惑星がガスを噴射している様子です。
欧州の巨大な望遠鏡がとらえた画像の中心にある、まばゆい光の中には2つの惑星があります。

http://slideshow.nbcnews.com/slideshow/news/month-in-space-november-2012-49996958/

「新エネルギー政策における原子力発電の役割、もはや期待は無い」アル・ゴア元副大統領

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アル・ゴア(元アメリカ合衆国副大統領)
「原子力発電のコストの高さはもはや異常、しかも今後も高騰を続ける」
「再生可能エネルギーへの移行を、できるだけ早く実現しなければならない」

アダム・ヴォーン / ザ・ガーディアン(英国) 11月16日

フォーラム会場で演説をする、ゴア元副大統領。


2012年10月に、米国の元副大統領であり、環境活動家であるアル・ゴアは、ジブラルタルの環境フォーラムで演説を行い、原子力発電はその「不合理に高過ぎる」コストのため、将来のエネルギー政策において子力発電が果たすべき役割は、極めて限られたものになると語りました。

現在米国、英国、そして中国を含む数カ国が、積極的に新たな原子炉建設を計画していますが、元アメリカ副大統領であるゴア氏は、原子力発電の経済性を考えると、将来のエネルギー政策の一端を担えるものでは無いと語りました。
「それは一定の役割を果たすことにはなるでしょう。しかしそれは限られたものでしかありません。私は核廃棄物の問題は、多分解決されることになるだろうと思います。そして、福島の問題はまだ解決されてはいませんが、原子力発電所の安全の確保も達成されるものと考えています。」
「しかし、原子力発電のコストの高さはもはや不合理というべきであり、しかも今後も高騰を続けることになるでしょう。」
Reddit( http://ja.reddit.com/ )の中で繰り広げられた、ゴア氏のインターネット番組『気候変動に関する24時間の真実(24-hour Climate Reality)』の、化石燃料と異常気象に関する考え方のプレゼンテーション、それに対する一般の人々からの質問、それに対しまた彼が答えるという繰り返しの中で、こうした考えが明らかにされました。

ゴア氏の発言は、彼の見解が明らかに一変したことを表すものです。
2009年、気候変動に対応するエネルギー対策について、二酸化炭素排出削減のために原子力発電が果たすべき役割には、『大いに期待している』とゴア氏は発言していました。
「私は何が何でも原子力発電に反対する、という訳ではありません。かつて私は原子力発電の推進に積極的な立場をとっていました。しかし、私は今や原子力発電に対しては、懐疑的にならざるを得ません。」
フォーラムの会場でのガーディアンの取材に対し、ゴア氏はこう答えました。


ゴア氏はRedditの会話の中で、原子力発電のコストが上昇する一方なのに対し、再生可能エネルギーの発電コストが予想を超えた速さで下がり続けていると語りました。
「今や太陽光発電システムの進歩は、ムーアの法則ジュニア(訳者注 : ムーアの法則はコンピュータ技術に関する用語で、端的に言えば性能が3年で4倍に向上すること。『ジュニア』がついたものは公には存在しないことから、費用低減が著しく進んでいることを表現するための、ゴア氏の造語かもしれません。)のコスト低下曲線の上に乗っています。風力発電のコストも、再生可能エネルギーの電力供給コストも、太陽光ほど著しくはありませんが、同様に低下しています。」
ゴア氏はこう強調しました。
「私たちは再生可能エネルギー開発に、もっと力を注ぐ必要があります。そして再生可能エネルギーへの移行を、できるだけ早く実現しなければなりません。」

ゴア氏は気候変動が進行しているという彼の見解について、こう尋ねられました。
「気候変動、すなわち地球温暖化が進行しているという事を証明する科学的根拠は、どの程度強いものですか?」
これに対しゴア氏は、気候変動が人間が作り出した問題であることを認める、全米科学アカデミーの科学者たちの名前を列挙した後で、こう付け加えました。
「地球には引力が存在しない可能性がある、という説を否定するのと同じくらい強固なコンセンサスが、科学界に存在することにお気づきいただける事と思います。」

バラク・オバマがアメリカ合宿国大統領として2期目に入りましたが、ゴア氏はガーディアンとのインタビューの中で、ゴア氏がオバマ大統領に対し、気候変動対策を優先課題の一つとするよう、繰り返し進言したことを明らかにしました。


「オバマ大統領は、それを人類から託されています。そしてそれを実現するための機会を手に入れました。そしてオバマ大統領には卓抜したリーダーシップもあります。有効な温暖化対策の実施を、ぜひ実現させてほしいものです。彼ならできる、心からそう信じています。」

ゴア氏はさらにフィスカル・クリフ『財政の崖』と言われる予算危機に対応するため、二酸化炭素排出税の導入を進言しています。

11月13日水曜日、オバマ大統領は2期目の任期の間に、気候変動の問題解決に向け行動を起こすべく、個人的にも最大限の努力を行うことを表明しました。

http://www.guardian.co.uk/environment/2012/nov/16/al-gore-nuclear-power?INTCMP=SRCH

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【世界の原発世論2012第1巻】制作・販売のご案内

A4版 60ページ 配布価格500円


この【世界の原発世論2012】は、主に日本に関連する世界の報道について、毎日記事を選び翻訳の上ご紹介している【星の金貨】の中から、原発に関連する報道だけを選び出し、その記事の解説をまとめたものです。
記事本体については掲載されているURLから、【星の金貨】のページに飛んで、お読みいただくようになっています。

【星の金貨】の掲載記事については、
「量が膨大で、目的の記事をどう探せばよいのやら…」
「ほぼ毎日更新されるので、一度読んだ記事をもう一度読もうと思っても、なかなか探し出せない」
などのご意見をいただき、見やすい索引の作成の必要を感じておりました。
加えて、記事の掲載順序が必ずしも元の記事の掲載日時通りにはなっていないという問題点もありました。

そこでまず、【星の金貨】の中でも皆さんの関心が最も高い原発の問題について、解説書とも言うべき【世界の原発世論2012】を作成することにいたしました。

2011年、2012年それぞれに、一年分をまとめて制作・ご紹介するつもりでおりましたが、折からの国政選挙の実施に、2012年1月から4月まで世界の代表的メディアに掲載された、福島第一原発関連記事を選び出し、急きょご紹介することにさせていただきました。
市民の側に立たず、政府や電力会社の発表を検証もせず、体制側が持つ権力にともすれば頭を垂れる日本の大手メディアの報道だけを、判断材料にしていただきたくない、という思いがあります。

世界は事故後1年が過ぎた福島第一原発について、どのように見て、どう考えていたのか?
2012年12月16日、大切な選択の前に改めて参考にしていただきたいと考えました。

本来であれば無料とすべきなのかもしれませんが、【星の金貨】の活動資金等々、有料販売についてのご理解をお願い申し上げます。
制作を急いだため、細部に不具合もあるかもしれませんが、ご購入についてぜひご検討くださいますよう、ご案内申し上げます。

なお、決済方法はPayPalとさせていただきました。
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私自身、ニューヨークでシティバンクに勤務していたアメリカ人の友人に勧められ、10年ほど前から利用しています。
今月もUSPGAツアー・オフィシャルサイトから、ゴルフ用品を購入する際に利用しました。
一度クレジット・カードを登録すれば、世界中で買い物する事ができるようになります。

セキュリティ機能も強力で、売買のトラブルの調停も行ってくれます。
私は過去にeBayのオークションでトラブルになった際、アメリカの売り主から代金をそっくり回収してもらった事があります。
まだご利用経験の無い方も、安心してご利用いただけると思います。


12月4日 PDF版 発売開始


星の金貨プロジェクト

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【 心が和むクリスマスの飾りつけ 】

アメリカNBCニュース 11月29日
(写真をクリックすれば、大きな画像をご覧いただけます)

『世界で最も有名なクリスマスツリー』、ニューヨーク、ロックフェラーセンターのクリスマスツリーの点灯式。


ロックフェラーセンターのクリスマスツリーの前に居並ぶ天使たち。


『エル・ディアブロ(スペイン語で悪魔の意味)』として知られるドイツ人の自転車デザイナー、ディディ・ゼンフト氏の新しい作品。
旧東ドイツのシュトルコーにて。


ドイツ、ドレスデン、シュトライツェル・マーケット。


ドイツ、ベルリンの毎年の恒例行事、クリスマス市場。ジャンダーマンマルクト(護衛官市場)にて。


ベルギーの首都ブリュッセルのグラン・パレ(大広場)に登場した電灯製のクリスマスツリー。


フランス、ストラスブール大聖堂前で1570年から続く、『キリストの子供たちのマーケット』

【 地震の恐怖と暮らす一人の英国人・イン・東京 】〈後編〉

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「まるで悪い夢を見ているよう、でも確かに現実…」「涙が止まらない…」

デイヴィド・マクニール / ザ・インデペンダント(英国)11月23日
(写真をクリックすれば、大きな画像をご覧いただけます)

宮城県南三陸町、2011年3月15日。


福島第一原発の原子炉のうちの一基の炉心が、メルトダウンした可能性があるとアナウンサーが伝えました。
爆発があり、1号機の原子炉建屋の屋根が吹き飛ばされ、放射性物質が環境中に放出されました。
福島第一原発の周囲10km圏内の約20,000人の住民に避難命令が出されました。
その日の夕方、当時の菅首相が避難区域が原発の周囲20kmにまで拡大されたと、日本の人々に向け発表しました。
私たちが行こうとしていたのは、まさにその場所だったのです。

現地から実況を伝えた日々を通じ、私たちの情報源は携帯電話を経由しての報道でした。
放射能汚染を恐れ、多くの外国人が東京を離れました。
3月17日なると、それまで事態を静観していた英国政府が、「東京及びその北方に居住する英国人」に対し、「離脱を検討するよう」勧告しました。
一方でアメリカ大使館は、90,000人に上るアメリカ市民避難の極秘計画を練り上げていました。
アメリカ太平洋艦隊、第七艦隊は艦船、航空機、人員を、東京周辺から公海上に移動させました。

なぜならアメリカ軍の放射能測定機器が、軒並に高レベルの放射能を検出していたからです。

宮城県気仙沼市役所、2011年3月15日


その時、なな子が書いたメモが残っています。
その中の一枚には、店頭から牛乳と水が消えた、と書かれています。
「まるで悪い夢を見ているよう、でも確かに現実なのだわ。片時も、あなたのことが頭から離れません。」
「すぐに帰ってきて!お願い!!!」「涙が止まらない…」

かすかな望みが、たった一筋だけ残されていました。
翌朝、私は緊急作業員と一緒にヒッチハイクで東京に戻ってきました。

いつもは騒々しくにぎやかな東京が、その日は血の気が失せたようになっていました。
停電が続き、食べ物もガソリンも不足する中、増え続ける死者の数、繰り返される余震と津波が再び襲う事への恐怖が、テレビを通し次々伝えられていました。


自衛隊の航空機が、過熱し暴走する福島第一原発のタングステン製の原子炉めがけ、100m上空から散水を試みました。

何千もの学校が閉鎖され、工場や企業は電気を節約するために、操業時間が短縮されました。
すでに何人もの友人が、無言で東京を去っていました。
大阪や香港、韓国、タイにまで避難した人もいました。

東京で暮らす外国人たちは概ねこうした対応を取りましたが、私の周囲では朝になると会社に出勤するサラリーマンの姿があちこちで見られるようになり、主婦の女性たちは牛乳や水を求めて夜明け前に買い物に出かけて行きました。
こうした危機が続いている間中、私の地元のレンタルビデオショップからは、借りていたDVDの返却が遅れている旨伝える電話が、毎日かかってきていました。

岩手県千厩町のスーパーマーケット、2011年3月18日


日が経つにつれ、月日が過ぎゆくうちに、徐々に気持ちが落ち着いてきました。
ルカは、6月に生まれました。
なな子、ルカの母は短期間の原発難民になりました。
彼女はおなかの中にルカを抱いたまま、大阪に一時避難しました。
幸いなことに、ルカにはどこにも異常が見られません。

ルカが生まれる前に起きた、いくつもの驚くべき、そして恐るべき出来事の痕跡は少しずつ視界から消えつつあります。

しかしルカはいつの日か、これらの出来事が引き起こした無残な結末を目にするかもしれません。
その時、私たちはまるで深い穴に落ち込むようだったその時の体験について、彼に話そうと思っています。
〈完〉

※「逆境の中のたくましさ」(Strong in the Rain)ルーシー・バーギンガム、デイヴィド・マクニール共著は11月30日、ポールグレーブ・マクミラン社より発売の予定です。
http://www.independent.co.uk/news/world/asia/a-tokyo-resident-on-facing-his-fear-and-living-with-earthquakes-8347583.html?origin=internalSearch
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【 武器、軍隊…その銃口が国民に向けられた時[Ⅱ] 】

アメリカNBCニュース 11月27日
(写真をクリックすれば、大きな画像をご覧いただけます)

2012年11月19日シリア、ホムス近郊。政府軍の攻撃で徹底的に破壊された市街。


2012年10月10日シリア。国境にあるオロンテ川を渡り、隣国トルコに脱出するシリア人の一家。


2012年9月20日シリア、アレッポ。政府軍の攻撃で負傷し病院で治療を受けたものの、ショックで動けなくなった女性。


2012年9月13日シリア、アレッポ。政府軍の空爆の後、娘を抱えたまま恐怖のため泣き出した女性。


2012年9月5日、政府軍の攻撃を逃れ、隣国ヨルダンの首都、アンマンに向け脱出を図る人々。


2012年7月25日シリア、アレッポ。政府軍の攻撃で重傷を負った5歳の男の子を病院に運ぶ男性。男の子はこの後死亡した。

【 地震の恐怖と暮らす一人の英国人・イン・東京 】〈前篇〉

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所要時間 約 12分

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岩手県大槌町、2011年3月13日


(写真をクリックすれば、大きな画像をご覧いただけます)

デイヴィド・マクニールは、覚悟も準備もできているつもりでした。
しかし自らが著したこの本を読み返してみて、実際に起きたことは、彼の想像をはるかに超えるものであったことに改めて気がついたのです。

デイヴィド・マクニール / ザ・インデペンダント(英国)11月23日

東京の住人なら誰でも、もしこの場所で巨大地震が起きたらどうするか、ということを考えます。

学生の時初めて東京を訪れた私は、東京のビジネス街の地下に網の目のように広がる、混雑している天井の低いショッピングセンターを歩いていた時、ふと黙示録について考えている自分に気がつきました。

黙示録の内容と東京は決して無関係ではありません。
東京の歴史は、一面では聖書に記されている破壊の歴史であるともいえます。
1923年、マグニチュード7.9の地震、そして津波が東京と横浜を壊滅に近い状態に追い込み、100,000人もの人々が焼死、溺死、圧死しました。
さらには約100km弱ほど離れた場所にある、日本の象徴である富士山ですら、世界最大の都市である東京に何百万トンという火山灰を振らせる危険性を持っているのです。

宮城県名取市、2011年3月11日


英国内で私は質問を受けることがしばしばあります。
1,000年の間に繰り返された自然災害の記録があれ程あるのに、東京で暮らしている人々は、どうやってその恐怖を封じ込めて暮らしているのか?

答えの一つ、それは日本人は恐怖を封じ込めてはいない、という事です。

地震、津波、そして火山の爆発を心から恐れる気持ちは、ほとんどの日本人が持っています。
2011年3月11日以降、地震が始まった瞬間に、家や会社から飛び出し、海岸近くの場所から高台などに避難し、本能の命ずるままの脱出をしたおかげで、命が助かった人々の話を繰り返し聞かされました。
しかし一方で、古代から続く自然災害の際には、どう行動したらよいのかという教訓を無視した人々もいました。
その結果、東北3県で合わせて19,000人が死亡、あるいは行方不明となりました。
そして福島県の広大な田園地帯には、福島第一原発が引き起こした3基の原子炉のメルトダウンにより、深刻な汚染が広がってしまいました。

岩手県大船渡市、2011年3月26日


岩手県大船渡市は、甚大な津波被害を何度も受けた歴史を持っています。
この地の工場労働者である小向昭雄さんは、巨大地震に見舞われた後、急いで逃げ出し、途中で学校から家に帰ろうとしていた子供たちと出会った時の様子を、こう語りました。
「子供たちは自宅のある、海岸方向に向かって歩いていました。私は車のウィンドウを降ろし、こう叫んだのです。『津波が来るぞ!早く逃げろ!』
子供たちはこう叫んだ61歳の男性の方を振り返り、「大丈夫、解ってるよ。」と答えましたが、歩くのを止めようとはしませんでした。」

ひとつの言い伝えが何世紀もの時を超えて、繰り返されてきました。
「しかし私たちはそれを忘れて、海の近くに町を作ってしまったのです。」
小向さんがこう語りました。
「その挙句、津波が襲ってきて何もかも押し流してしまいます。そうなって改めて思い知るのです。言い伝えがあった、ということを。」

都会人は別に根拠も無く、自分たちが天災からからは守られていると考える傾向があります。
しかしそれは過去と比べれは、というだけの話です。
都会で暮らす人々も、巨大地震による破壊が原始時代も今もそれほど変わるものでは無く、洗練された都市で暮らしてはいても、人間の命というものが相変わらずはかないものなのだという事を、折に触れ思い知らさせれることになります。
1995年に起きた阪神大震災では6,400人が犠牲となり、400,000人が重軽傷を負い、日本のGDPの2.5%を奪い去ったあげく、多数の子供たちが親を失ってしまいました。

宮城県仙台市、2011年3月12日


このような事態がもし東京を襲ったらいったいどうなるのだろうか?!
それは想像することすら不可能です。

2011年3月11日、日本最大の交通の要衝のひとつである東京の品川駅のホームに、私は妻のなか子と並んで立っていました。
春の訪れが近く、東京は一年で最も喜びにあふれた季節の中にあり、実際太陽の光にあふれた気持ちの良い午後でした。
そして私たちをさらに幸せにする理由が、もうひとつありました。
もうすぐ私たちの息子、ルカが生まれることになっていたのです。

その時地震が始まりました。
普通の地震と違い、最初に訪れたのは振動ではなく、強い衝撃でした。
続いて振動が徐々に徐々に強くなっていき、辺り一帯の構造物が激しく揺れ始め、駅舎の屋根が凶暴な音を立てながらガタつき、プラットフォームにガラスが落下し、散乱しました。
女性の叫び声がどこからか聞こえました。
別の女性は夫にしがみつき、たくさんの人が妻や子供たちを抱え込んでいました。
一人の男性が出口に向って駆け出し、自動改札機に躓きました。

東京でこうしたパニックを目にすることはまず無いことであり、私の恐怖はいやがうえにも高まりました。
私たちは凍りついたようになってその場に立ちつくし、激しく波打つ心臓の音を意識しながら、上を見上げました。
耳をつんざくような音を立てながら揺れ続ける屋根が自分たちの上に落ちてこないよう、それだけを無言で祈り続けていたのです。
揺れは永遠に続くかと思われるほど長く続きました。
阪神大震災では、揺れは20秒間続きました。
これは後から聞いた話ですが、東北太平洋沖地震の揺れは約6分近くも続いたという事です。

宮城県気仙沼市、2011年3月12日


午後2時46分に私たちが感じたこの爆発的威力は、東北地方太平洋岸の30km程沖合にある、日本最大の活断層の一つが引き起こしたものです。
地球を覆っている地殻は8つの大きなプレートにより構成されていますが、これらは互いに圧力を加えあいながら、数百万年の間動き続けて来ました。
そして日本で最も大きな島が載っている岩盤を構成する太平洋プレートは、この活断層の部分から地球内部に向かってもぐりこんでいきます。
最終的にこうして蓄積されたエネルギーは定期的に放出されることになり、めったにある事ではありませんが、3月11日のような巨大地震につながるのです。

科学者はその際の威力について、TNT火薬に換算し、100万キロトン以上と推定しました。1945年広島に投下された原子爆弾の威力は、後に15キロトンと発表されています。
翌朝私は、インディペンデントに掲載する記事の取材のため、2人の同僚と壊滅してしまった東北太平洋岸に向け出発しました。
高速道路は緊急車両と自衛隊車両のみ通行を許され、一般車両は通行することが出来なかったため、私たちは一般道を北上しました。
その時、後に誰にとっても最大の問題となることになる、6基の原子炉がある福島第一原発で火災が発生しているというニュース速報をラジオで聴きました。

福島第一原発、福島県大熊町、2011年3月14日


アナウンサーの一切形容詞を使わずに、起きた事実だけを淡々と伝える事務的な口調には、緊急性の高い事件が発生したという印象は感じられませんでした。
しかし伝えられた内容に、戦慄せずにはいられませんでした。
〈つづく〉

http://www.independent.co.uk/news/world/asia/a-tokyo-resident-on-facing-his-fear-and-living-with-earthquakes-8347583.html?origin=internalSearch
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昨日掲載したユーロニュースの【東京電力・柏崎刈羽原子力発電所、2013年4月に再稼働を予定】という記事について、世界の代表紙を片っ端から探し、この記事の裏付けをとろうと思いましたが、今日探した中では見つかりませんでした。
掲載元のサイトにある動画の内容を見ても、いい加減な報道とは思えませんが、せめてもう一本探し出したいと思っているのですが。

しかし映し出された工事の規模を見ても、かなりの経費をつぎ込んでの工事のようです。
成るか成らぬか解らない再稼働のために、財政が窮迫している東京電力がこれだけの工事に踏み切るか、という疑問もあります。
だとすれば、誰かが再稼働を認可する『内諾』を与えたのではないか?という疑念もわき上がります。

吉井英勝氏の著書【原発抜き・地域再生の温暖化対策】(新日本出版社)には、「柏崎刈羽原子力発電所は世界一危険な原発」という記述があります。その理由は複数の活断層の存在ですが、いずれにしても大きな懸念が急浮上してきた思いです。

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【 ホワイトハウスのクリスマス・デコレーション2012 】
招待されたのは出役軍人の留守家族

アメリカNBCニュース 11月29日
(写真をクリックして、大きな画像をご覧ください)

出役中の軍人の留守家族のこどもたちがホワイトハウスに招かれ、今年初めて公開されたクリスマス・デコレーションを楽しみました。


陶器の間


重さ130キロもある、ジンジャーブレッドで作られたホワイトハウス


居間


子どもたちとクリスマスの飾りつけに興じる、ミッシェル・オバマ大統領夫人。


招待した留守家族に、歓迎のあいさつをする大統領夫人。


大統領の愛犬ボーのレプリカ

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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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