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サリン爆弾、アサド、自国民に向け投下準備

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【シリア政府軍、化学薬品を航空機爆弾に装填】

ジム・ミクラスジュースキー、アレックス・ジョンソン / アメリカNBCニュース 12月5日

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アメリカ軍の高官は5日水曜日、シリア政府軍が自国民に対し化学兵器を使用する準備を始めており、アサド大統領の命令があり次第、使用に踏み切る恐れがあると、NBCニュースに語りました。
すでに政府軍は極めて高い殺傷能力を持つ、サリンの前駆体化学薬品(化学反応を起こせば、猛毒のサリンに変わる)を装填した爆弾を、いつでも数十機の戦闘機に装着し、自国民の上にこれを投下できるようにしています。

前日の火曜日までアメリカ軍当局は、この『前駆体化学薬品』がすでに準備されているという証拠ないと語っていましたが、水曜日になって、最悪の恐れが現実になったと語りました。
サリンの前駆体薬品が、航空機の爆弾内に装填されてしまったのです。

サリンは致死性がきわめて高い化学薬品です。
1988年、サダム・フセイン政権時のイラク政府軍がクルド人反乱勢力に対しサリンを使いましたが、たった1発の攻撃で5,000人が死亡しました。

ただし、米軍当局者が強調しましたが、サリンが爆弾内に装着されてはいるものの、戦闘機にこの爆弾が装着はされておらず、最終的な使用命令も出ていないと語りました。
しかしいったんアサドがその使用を決断してしまえば、それを止められる力はシリア国外にはほとんどないと語りました。

ヒラリー・クリントン米国国務長官は、化学兵器を使わないよう、米国として繰り返しアサドへの警告を行ってきました。
もし化学兵器の使用に踏み切るようなことになれば、その時は『超えてはならない一線』を超えたことになる、と。

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5日水曜日、ブリュッセルのNATO本部における会見で、クリントン国務長官は、破れかぶれになったアサド政権が化学兵器使用に踏み切る危険性、あるいはこの類の使用禁止兵器が政権崩壊の混乱の際、第三者の手に渡る危険性があるとも警告しました。
同じ会見でシリア政府が、崩壊に瀕しているとも指摘しました。
「最終的に私たちが検討しなければならないのは、『アサド後』のシリアの政治体制をどうするか、という事です。このための対応は早ければ早い程よい、そう考えています。」
「もはやアサド政権の崩壊は避けられません。問題は崩壊までに、いったいどれだけの人間が死ななければならないか、という事です。」

クリントン国務長官の側近が、同長官が来週モロッコで『シリア革命国民連合』と『反政府軍』のふたつのシリアの反政府勢力と会談することになっており、その際この二つをシリア代表として公式に認める予定になっています。
イギリス、フランス、トルコ、そして主要アラブ諸国はすでに公式に認知しています。

21ヵ月間の内戦ですでに40,000人以上が死亡しましたが、5日も激しい戦闘が行われました。
国連は現地の状況があまりにも危険だとして、職員の撤収を行いました。

オバマ大統領が化学兵器の使用について、『一切、認められない』と直接警告した後、シリア政府は今週、自国民に対し化学兵器を使用するつもりは無いと声明を発しました。

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NBCニュース[化学兵器の使用について警告を行うオバマ大統領]12月3日

しかしアメリカ当局はシリア政府が、化学兵器部隊に対し戦闘準備命令を発したことをつかんでいます。
これはシリア軍が化学兵器を使用するための装置・装備を、一か所に集積し始めたことにより判明しました。

サリンを化学兵器として使用するには、『前駆体化学薬品』を増せ合わせる必要がありますが、これを砲弾に装填することで、サリン攻撃が可能になります。しかし米当局は、その作業が始められたという証拠はまだ無いと強調しました。

アメリカ政府は、シリア政府が禁じられている化学兵器を密かに備蓄していると疑ってきましたが、この夏、それが事実であったことが明らかになりました。


NBCニュースは7月に、シリア政権がサリンに加え、タブン(ナチスドイツが開発・大量生産した有機リン酸系の神経ガス)、マスタードガス、シアン化水素などの毒ガスを入手したと、アメリカの諜報機関が判断している、と伝えました。
各国の諜報機関はこの時点では、シリア政府が国際条約で使用を禁止されているこれらの化学兵器を、極秘に移動させている模様だが、その決定的証拠まではつかめずにいました。

シリアは、化学兵器の生産、備蓄、そして使用を禁じた1992年の化学兵器禁止条約を批准しなかった7か国の中のひとつです。

サリンを装填した爆弾を搭載し、戦闘行動を行う予定になっているのは、ソ連製のスホーイ22/20、同ミグ23、そしてスホーイ24戦闘機です。

さらに、無誘導の短フロッグ7短距離ミサイルにも、化学弾頭を装着可能であることを指摘するいくつかの報告があります。

より遠い攻撃目標に対する攻撃手段として、シリアは最大射程距離115キロのSS-21中距離弾道ミサイル、同300キロ以上のスカッド-Bs、そして射程距離300キロ弱のスカッド-Csを、それぞれ移動式発射装置とともに装備していることを、アメリカの情報機関はつかんでいます。

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NBCニュース[NATO軍、トルコにパトリオット・ミサイル迎撃システムを配備]12月4日
http://worldnews.nbcnews.com/_news/2012/12/05/15706380-syria-loads-chemical-weapons-into-bombs-military-awaits-assads-order?lite
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シリアがアラブ世界でエジプトに次ぐ軍事大国になった理由はやはり、隣国レバノンをはさんだ、イスラエルの存在、イスラエルの『脅威』です。
軍事力の拡大は、『脅威』を喧伝することにより進められるのが常です。

その軍事力を「自分に刃向う者には容赦しない」とばかり、最初はデモ行進をしただけの民衆に対し、アサドが発砲を命じたのが『内戦』の始まりでした。
父親の軍事政権を『世襲』して、決して国民の信任を得ているとは言えないその権力を守るため、最初は小銃程度であったものが、装甲車になり、戦車になり、戦闘ヘリになり、ジェット戦闘機になり、そして最後には化学兵器までエスカレートしてしまいました。

軍備・軍隊という強大な力を、手にするべきでない人間が手にした時、どれ程の悲劇が生まれるものなのか、歴史は終わることなく繰り返しています。

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【 かつてのミサイル格納庫でキノコ栽培 : ベラルーシ 】

アメリカNBCニュース 12月5日
(写真をクリックして、大きな画像をご覧ください)

かつてのソビエト連邦のミサイル基地を再利用し、キノコを栽培して急成長するベラルーシ共和国、ミノイティの個人経営農場。



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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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