北朝鮮に爆弾を投下することを、トランプ政権はなぜ決まった予定のように話すのでしょうか?
民主主義を理解しようとしない大統領トランプの指を、核兵器発射ボタンから早く引きはがして!
レベッカ・ゴードン /ル・モンド・ディプロマティーク 2017年10月31日

これに対し、トランプが起用した民間人のスタッフは褒められたものではありません。
ニッキー・ヘイリー国連大使は9月、CNNの報道番組の中でトランプ政権が
「可能な限りすべての外交的手段を尽くし、まずは北朝鮮に注意を促したい。」と語りました。
しかし、もし外交手段では事態が好転しない場合には
「北朝鮮はマスティス将軍に面倒を見てもらうことになるだろう。」と語りました。
そして放送を聞いている人たちが『面倒を見る』という言葉の意味を取り違えないよう、次のようにダメ押ししました。
「北朝鮮がこれ以上無謀な行動を続けるつもりなら、米国はいかなる手段を使っても国土や同盟国を守らなければならなくなったら、北朝鮮は完全に破壊されることになるだろう。」
確かにレックス・ティラーソン国務長官は毅然とした態度で、北朝鮮との対話の窓口を常に開けておく必要性を繰り返し主張し、トランプ得意のツイッターで
「リトル・ロケットマンと交渉しようとして、時間を無駄にしている」と嘲られています。
テイラーソン長官は10月15日、最初の一発を投下するまで外交努力が続くだろうとCNNに説明しました。

なぜテイラーソン長官は爆弾を投下することを決まった予定のように話すのでしょうか?
最初の一発を投下するのは誰になるのでしょうか?
彼はアメリカ軍による第一撃について話をしているのでしょうか?
あたかもトランプ政権全体が、外交努力がうまくいかない場合には必然的に戦争もあり得るという選択肢受け入れたように見えます。
それが具体的にどういう事かわかりにくい方は、ブッシュ政権が2003年3月20日にバグダッドに最初の一発と巡航ミサイルが発射される直前まで、イラクの独裁者であるサダム・フセインとの交渉を続けるという口実を掲げていたことを思い出してください。
トランプは一方的に命令してものごとを進めたいと考えています。
しかし合衆国憲法の細かな点、法律の定め、そして三権分立という民主主義のルールは、トランプが思っていた以上の障害になっています。
これまで大統領令を濫発して思い通りに進めようとした試みはほとんど失敗しました。
トランプにとっては『三度目の正直』となる、イスラム教徒の入国を禁止する方針は再再度法廷に持ち込まれました。

さらにはオバマ大統領の下で整備された医療制度であるオバマケアを無効にし、国家からの補助金拠出を中止させようという最近の取組もすぐには実現しそうにありません。
事実、トランプの方針に対しては、すでに18もの州が無効を求めて法的手続きを行っています。
トランプはイライラしています。
なぜ自分は映画スタートレックのジャン・リュック・ピカード指揮官のように、手で合図をするだけで周囲の人間たちにおとなしく言う事を聞かせられないのでしょうか?
なんでも思い通りになるなら、トランプは絶対王政の君主のようなものであり、憲法、法制度、そして議会は何の意味も持たなくなります。
トランプが望む通りの体制とは絶対君主制に他なりません。
そうなればトランプ一人で核攻撃を命じることができるようになります。
そうなってしまったら、他の問題では成文法や慣習法によってトランプの恣意的な判断が妨げられる可能性は残されますが、ボブ・コーカー上院議員が警告した通り、トランプ一人のせいで世界は『第三次世界大戦への道』を進むことになり、アメリカは1945年8月9日の長崎への原爆都投下以来初めて、核兵器使用に踏み切ることになるでしょう。

「核兵器発射ボタンからトランプの指を引きはがして!」
アメリカ議会にもしその気があれば、トランプの狂気を止めるための時間はまだ残されています。
たとえば核兵器の先制攻撃を行うためには、国務長官や国防長官、上下両院の院内総務など指名された人々の全会一致の決議を必要とするとする法案を可決成立させ、大統領の専行を防ぐなど数多くの対策がとれるはずです。
さらに良いことに、アメリカ議会はこれまで長い間放棄されてきた宣戦布告するための憲法上の権利をまだ有しており、カリフォルニアのテッド・リュー下院議員によって1月に提案された簡単な法案を承認すればそのことを再確認することが可能です。
議会調査部によれば、この下院決議案669号法案『2017年核兵器先制使用禁止令』は大統領が核兵器を先制使用することを禁止し、議会の宣戦布告の後、核兵器については議会が承認しなければ使用できないことになっています。

まだ時間があるうちに議会は行動を起こさなければなりません。
一方的に核兵器攻撃を命令する権限をトランプから取り上げれば、北朝鮮政府関係者の不安をひとつ取り除く結果につながるかもしれません。
でもそれ以上に私たちが夜安心して眠りに就くために、是非にも実現しなければならないことのはずなのです。
〈 完 〉
https://mondediplo.com/openpage/trump-s-nuclear-dreams
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最も知性に優れた人間が一国の指導者に就くという事は、別に保証されているわけではない。
それはアメリカでも実際私たちが目にしているし、日本に於いてもそうだと思います。
しかしその事に一番責任を持たなければならないのは自分たち自身であり、現実を変えるために何かをしなければなりません。
核兵器使用への日本国民の憂慮に対し、トランプは作った以上使う事も選択肢の一つだと返答していた
これまでさらけ出してきた無分別・無知蒙昧さの一体どれを指して、トランプは『馬鹿』と言われたのか
レベッカ・ゴードン /ル・モンド・ディプロマティーク 2017年10月31日

いつでも核兵器の発射ボタンに手をかけるぞという脅しは、広く知られているトランプの『交渉術』のひとつの実例かもしれません。
トランプの交渉術なるものはただ単に攻撃的な手法を合理的な話し合いのように外観を取り繕うため、他が『えっ?』と思うような着手点から交渉プロセスを開始するものです。
過去に核兵器の保有への途模索していた可能性のあるイランのような米国の敵性国家であっても、これまでトランプはこうまで破壊的ではありませんでした。
トランプはオバマ大統領が中心になって交渉をまとめ上げたイランとの6カ国協定にずっと反対し続け、度々協定の一方的破棄を口にしてきましたが、実際にはそうはしていません。
イランは協定の内容を順守しているとの国際原子力機関(IAEA)の保証の受け入れを拒否しただけで、判断を議会に委ねるというだけの対応に終りました。
トランプが本音では独裁力を発揮したいと考えていることは明らかです。
本来採らなければならない政策をないがしろにしながらそうした衝動を隠し、政権基盤に対する信頼性を手に入れようとしているやり方には驚くべきものがあります。
こうしたことは先々に多少の希望が持てるという兆候かもしれませんが、現在のアメリカ大統領の発言の中に世界にとって多少なりとも希望が持てる状況を見出せるかどうかは、占いでもしないと解りません。
残念ながら私たちは、トランプが大統領執務室にいる限り、核兵器使用の可能性の方が高まるだろうという事を懸念しなければなりません。

トランプは核兵器に対して個人的に愛着を持っていることを繰り返し表明してきましたが、実際に使用してしまったらその先に何が待っているのかを真剣に考えている様子はありません。
事実2016年3月、ビル・オライリーがホストを務めるアメリカのFOXニュースの報道番組で、ヨーロッパにおける核兵器の使用を検討することになるかもしれないと語りました。
そしてヨーロッパを『広大な場所』と表現し、そこに明確な目標を定めて核兵器を使用することについて、あたかも理に適った事のように語っていたのです。
そしてさらに同じ月、今度はMSNBCのタウンホールで「私は勝負を降りるつもりはない」と語り、イスラム国(ISIL)の『カリフがいる首都』に対する核兵器攻撃を提案したのです。
少人数であちこちに隠れているゲリラ戦闘員に対する核兵器攻撃?
そんなことは無意味なだけでなく、最悪の結果をもたらすことになるでしょう。
NBCニュースのコメンテーターのクリス・マシューズ氏が、トランプが核兵器使用も辞さないという態度を表明していることについて、日本の国民が憂慮しているようだと告げると、彼はこう語りました返答しました。
「じゃなぜ私たちは核兵器を作ってるんだ?我々は使うために核兵器を作ってるんじゃないのか?」
マシューズ氏の質問はドナルド・トランプ以外の別の人間に向けられていたなら、意味のあるものになったかもかもしれません。

レックス・ティラーソン国務長官がトランプを「馬鹿だ」と呼んでいたことが最初に明るみに出た時、トランプがこれまでさらけ出してきた無知蒙昧さの一体どれを指して馬鹿といったのか、私たちは疑問に思っていました。
今はもう誰もが理由を解っています。
2017年7月の国家安全保障ブリーフィングの席上、トランプはアメリカがすでに保有している4,000基の核弾頭を10倍に増やすべきだとの提案を行っていたのです。
トランプが最も敬意を払っている顧問は現役の将官あるいは退役した将軍たちですが、ジョン・ケリー参謀総長、ジェームズ・マティス国防長官、H.R.マックマスター国家安全保最高障顧問を含む、リベラル派とは対極にある人物たちです。
まるで軍人の同窓会のような顔ぶれですが、それでもトランプの大統領執務室にあってはまだしも『成熟した』人間に分類されます。
別に確信している訳ではありませんが、気質上彼らの方がアメリカ合衆国のかじ取りに向いているとしても、事実その傾向が見えていますが、顔ぶれを見れば外交問題の解決手段として軍事力の行使が最初のアプローチになる可能性があります。
実際にマティス国防長官は、米国やその同盟国に対して北朝鮮が脅威を与えれば「大規模な軍事的報復」行う可能性があると、2017年9月に警告しています。
「私たちは、北朝鮮という国家の全滅を目指しているわけではない。ただし、我々には多くの選択肢がある。」

同様にABCのジョージ・ステファノプーロスに取材を受けた際、マックマスター国家安全保最高障顧問はこう答えました。
「はっきりしていることは、脅威だけでアメリカ軍が実際に行動を起こすことは無い、そうだろう?諸君。」
「脅しだけなら、結果は必然的にそうなる。そうだろう?」
そしてマックマスターは特に次の点を強調しました。
「キム・ジョンウンはすでに親族を殺し、北朝鮮国民を冷酷に扱っている。核兵器を使用すれば、『相互確証[確実]破壊 - MAD』という冷戦時代の核兵器戦略がどう機能するのか、そこまで頭が回らないのかもしれない。」
奇妙な話ですが、史上名高いもう一人の共産主義者の独裁者であるヨシフ・スターリンは血で血を洗うような党内の粛清を行い、数百万人ものソビエト市民を死に至らしめましたが、核兵器についてはそれを使えばどういう結果を招くか充分理解していたようです。
当たり前の人間にとってこの二人のアジア人を理解することには困難が伴いますが、その中身はまったく異なっているようです。
CNNによれば退役将官であるケリー氏ですら、記者団に次のようにそっと耳打ちしました。
「核兵器を搭載したミサイルをアメリカ本土の目標に到達させるだけの能力は、北朝鮮にはありません。」
「もし彼らがすでにその能力を手に入れており、アメリカにとっての脅威が増しているとすれば、外交がうまくいくことを祈りましょう。」
《4》に続く
https://mondediplo.com/openpage/trump-s-nuclear-dreams
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核兵器使用のトランプの基準はあまりにも曖昧で、その決断条件は誰も理解できない
核兵器を用いた戦争が始まる危険性を現実の世界に持ち込んでしまったトランプ
レベッカ・ゴードン /ル・モンド・ディプロマティーク 2017年10月31日

実際、「核シェルターに関するモラル」は当時、好んで取り上げられた倫理問題のひとつになりました。この問題の中身は次のようなものでした。
万が一に備えて核シェルターを準備しておいた人々が実際に核攻撃が行なわれ自分たちが助かった場合、準備する事無く攻撃で犠牲になった人々に対し責任はあるのか?
ライフ・マガジンは1962年発行の号に巻頭記事で、核攻撃に備え『持てる者』と『持たざる者』に格差が生じないように政府に対し、核シェルターの大量建設を求めました。
フィレンツェ・エルガン夫人によるこの記事の中で、彼女は「私は核シェルターに関するモラルに失望しています。」と述べ、次のように続けました。
「自分の家族を守りたいというのは人間として当然のことですが、私の中の倫理観は隣人をも守るための姿勢をもとめています。」
今日でも大学の政治学やビジネス倫理学を学んでいる学生が「核シェルターに関するモラル」の課題を与えられることがありますが、これはもう間違いなく古代史の一項目のようなものであり、やらされている学生たちは困惑気味です。
この課題では限られたスペースと乏しい食料しかない核シェルターの中に、ラテン系の娼婦とその幼い息子という親子、白人男性の生物学者、等々が留まり続けることを許すべきかどうかということを考えなければなりません。
スマートフォンの画面に描き出されるこれらの人物は1950年代に制作された、核戦争に備えるよう求める映画の3人の短いスカートを身に着けた女性たちに比べれば、明らかに多様化しています。

思春期、私は皮肉屋として知られたトム・レーラーの『次は誰?』の全文をほとんどそらんじていました。
『まずは核兵器を手に入れること。それでもう大丈夫、なぜなら私たちは平和を愛しているし、母性の大切さをちゃんと認識しているから…』。
そして核戦争に関わるフィクションも読みました。
『フェイルセーフ』、核戦争の結果地球上の生物が全滅に向かう様子を描いた『渚にて』など、どれもぞっとする内容でしたが、中でも最悪だったのは核戦争と人種差別の二重の恐怖を描いたロバート・ハインラインの『ファーンハム・フリーホールド』でした。
この物語では核爆発によって作者の分身とも言うべき自由主義者の主人公が、異次元世界にあるアメリカに送り込まれます。
そこで主人公が目にするのは、若い白人女性が『珍味』として扱われるほど、黒人と白人の人口割合が逆転している世界でした。
そしてこの作家は『異星の客』を発表、この本は直感と物事の深層を理解し『共感』し合う事を説き、後にヒッピーの経典とされ大切にされました。
ハインラインは1960年代の快適な白人社会のモラルを完全否定し、別種の完璧な調和をフィクション化した作家でした。
核兵器が持つ瞬時に大量殺戮を行う能力や潜在的脅威、つまり自分の人生の中で核戦争の危険性がどの程度現実味を帯びてくる可能性があるかということについて説明することは難しいことですが、1991年のソビエト連邦崩壊の後に生まれ育った人たちに理解してもらうのはなおさら難しいことです。
例えば夜中サイレンの音にたたき起こされて、すべての人が地球最後の日が訪れたことを知らされるような世界で生きていることを説明することは、とても困難なことです。
当時眠れなくなった私はトランジスタラジオを枕の下に置いて、普段は馬鹿にしていたポップスやロック・ミュージックを専門に流していた放送局にチャンネルを合わせ、当時のトップ40のヒット曲を聞きながら、そんな事態はやってこないと繰り返し自分に言い聞かせていました。

現代から見れば病的としか言いようがないこうした恐怖感は、当時は珍しいものではありませんでした。
核戦争に対する絶えざる恐怖は、この時代に子どもだったすべての世代の背景を形作りました。
私の友人たちの両親の多くはアメリカ合衆国政府の職員として働いていましたが、私と同じ恐怖に脅かされていました。
私たちは電話でおやすみを言い合いましたが、高校のボーイフレンドと私は時々、明日自分たちは生きていられることができるかどうかという疑問を口にすることがありました。
私たちの青春時代は常に死という問題と向かい合い、それは人間という種の絶滅によるものでした。
中には少しおかしくなってしまう人すらいました。
私たちは他に例のない戦時意識の中で暮らしており、そんな中で自分たちの将来について計画することは何の意味も無いように感じていたのです。
▽21世紀の私たちの現実
ベビーブーマー世代の恐怖は現実のものにはなりませんでした。
しかしドナルド・トランプはその恐怖を復活させただけではなく、2017年に北朝鮮との間で核兵器を用いた戦争が始まる危険性を現実の世界に持ち込みました。
世界の各所で行われている調査や分析の結果は、そうした危険が現実のものになる可能性は低いという事を示唆しています。

トランプは今年8月9日に北朝鮮に対し、もしアメリカを脅迫するようなことを再度行ったら「世界がかつて見たことの業火と怒り」によって国土を焼き払うといった類いの脅しを口にしなくなりました。
あるいは、アメリカ本国や同盟国を北朝鮮の攻撃から防衛しなければならない事態に立ち至った場合には躊躇無く北朝鮮の全土を破壊するという、周囲を唖然とさせた国連での約束も実行してはいません。
どちらの場合についても政治学者のスティーヴン・ブラムス氏が指摘していますが、トランプの言い方では核兵器の使用に踏み切る基準をあまりにも曖昧にしているため、どのような事態になれば一線を超えることになるのか理解できません。
2017年10月13日のニューヨークタイムズ紙によると、北朝鮮の政府当局者から次のような情報を入手したと伝えています。(https://www.nytimes.com/2017/10/13/...)
「西太平洋におけるアメリカ軍の軍事的領域であるグアム周辺に、北朝鮮が弾道ミサイルを撃ち込む脅威が再燃している。」
現時点でトランプからは何の反応もなく、北朝鮮の脅威が何を意味するものであろうと核兵器を使った報復などは考えられないということだけは言えます。
人類にとって幸いなことに、トランプは当初の過激な発言については後に撤回するか、あるいは別の対応を選択するしか無い状況に置かれているようです。
《3》に続く
https://mondediplo.com/openpage/trump-s-nuclear-dreams
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トランプはアメリカ国内で共和党の議員に、北朝鮮は未だアメリカ国内に目標を設定できるだけのミサイル技術を持っていないという前提で、
「戦争になっても、今度は死ぬのはアメリカ人ではなく、朝鮮半島と日本列島の人間たちだ。」
という意味の発言を行ったと一部で伝えられました。
こんなアメリカ大統領はおそらく史上初めてであり、『アメリカ・ファースト』というキャッチフレーズの持つ意味が
「そこまでのものなのか…」
と、絶句せざるを得ません。
根底にそんな考えを隠し持つ大統領の国から、
「さあ、やるぞ!」
とばかりに、進んで高額な兵器を大量に買い入れる現政権の姿勢には強烈な違和感を感じます。
幼稚な頭脳構造を持った無知で無分別な大統領が、世界に再び恐怖の時代をもたらす
終わったはずの悪夢を再び世界の人々に押しつけるアメリカ大統領
レベッカ・ゴードン /ル・モンド・ディプロマティーク 2017年10月31日

北朝鮮は今、世界が直面している最も緊急に解決を要する課題かもしれません。
私たちの、幼稚な頭脳構造の無知で無能な大統領は、私たち全員、特にアジアの人々を大災害に一層近づけようとしています。
北朝鮮は米国本土に核弾頭を打ち込むためのミサイルをおそらくはまだ開発していないでしょうが、韓国や日本など近距離の国家に対しては、目標を確実にとらえる能力を有しています。
しかし一般市民はこんな状況にどう対処したら良いのでしょうか?
核ミサイルの発射ボタンは私たち一般市民の手の届かない場所に置かれています。
私たち第二次世界大戦後すぐに生まれた世代が『最終ボタン』と呼ぶ装置を操作することになっているのは、ホワイトハウスと呼ばれる場所にいる一握りの人間たちです。
そして今その場所にいるのは、大統領執務室よりは介護施設にいるべき人間たちです。
それでもなお、議会で現在棚上げにされたままの軍縮に関する法案も含め、この世界を武器が支配する状況に変えさせないように、ブレーキを踏みこむ時間は残されているかもしれません。
一方、第二次世界大戦後に生まれた私たちの多くは現在はもう安全な世界に暮らしていると思っていたのに、過去のものになっていたはずの悪夢を再体験させられることになっています。

▽防御姿勢
私はアメリカが広島と長崎に原子爆弾を投下してから7年後に生まれました。
同世代のアメリカ人が皆そうであったように、私も核戦争の影が常にちらつく、もっとはっきり表現すれば核爆弾の恐怖が日常的に存在する世界で成長しました。
この当時、その恐怖は私たちにとって今では考えられない程身近なものだったのです。
小学校2年生だった当時、私は学校でみんながきちんと整列させられ、ある訓練を課されていたことを覚えています。
私たちは膝と肘がくっつく程姿勢を低くし、首の後ろを両手で覆い、廊下の頑丈なコンクリートの壁に体をもたせ掛けるよう指示され、みんなおとなしく言われた通りにしていました。
私は家に帰り、その碑にあったことを母に話したところ、母は嘔吐するためにトイレに走って行きました。
母の反応は、自分の娘が学校で勉強や運動ではなく、地球が消滅する日に備えた訓練をさせられていたことに驚き大きなショックを受けたためのものでした。
小学校の授業では、当時の米国政府が作った『一般市民』は核戦争にどう備えるべきかという映画を見せられました。
自宅の庭に作った簡易型の核シェルターには、緊急時の食料として少量で良いから缶詰食品を備えておくようにといった類いの内容です。
映画は若く美しい白人の母親らしい女性が、シェルター内の食器棚に缶詰をしまう様子を映し出しながら、ナレーターが缶詰は放射能汚染から食料を守ってくれると説明していました。
しかし少量の缶詰を食べ尽くした後、その後どうやって生きのびることかできるのかについては、説明はありませんでした。
別の映画は、最寄りの地下核シェルターの場所について常々確認しておくようにとか、爆弾が投下された際の防御姿勢について具体的に説明する内容のものでした。

1961年までに私たち家族はニューヨーク州の農村地帯からワシントンに引っ越していました。
私の母親は新しく誕生した平和部隊で仕事をしていました。
ワシントンは私にとって初めての街でしたが、街中至る所に黄色を黒で縁取った核シェルターの表示が掲げられていました。
私が通っていたアリス・ディール中学校は、校舎内で核爆弾に対する避難訓練を行うには生徒数が多すぎました。
代わりに私たちは指示された時間に、私たちはすべて『秘密の』地下核シェルターに見立てた体育館に集合させられました。
校長先生はソビエト連邦が核攻撃を仕掛けてきても、この体育館が生徒全員の命を救ってくれるだろうと真剣そのものの表情で話しました。
でした。
担任の教師が私に怒りの目を向けていましたが、私は校長先生の話に思わず爆笑してしまったことを覚えています。
あの校長先生の話は冗談だったのでしょうか?
私たちが暮らしていたのはアメリカの首都ワシントンであり、ソ連が核兵器による攻撃を行う可能性のある政治的目標としてトップにあります。
宗である以上、私たちはソ連が核攻撃を仕掛けてくれば、地上に居れば瞬時に焼き殺され、地下に居て直接の被害を免れても、その後の放射線被ばくによって死ぬしかないという事が解り過ぎるほど解っていました。

私たち家族の中では核シェルターがよく冗談の種にされていました。
家族の誰もが、核戦争が始まってしまったら誰も生き残ることはできないと解っていました。
だからこそ私は1960年代初め、母親の友人であるヤモリンスキーという苗字を持つ家庭を訪問した時衝撃を受けたことを覚えています。
ヴァージニア州郊外にあるその家で、私たち子供は外で遊ぶように家から出されました。
私と兄はその家の後ろの森の中に、大きなドーム状の構造物があることに気がつき、新しく友だちになったヤモリンスキー家の兄弟に、
「あれは何?」
と尋ねました。
「ああ、あれは私たち家族のための地下退避豪よ。」
と答えが帰ってきました。
私は唖然としました。
ヤモリンスキー家の人びとはワシントンからほんの数マイルのところに住んでいましたが、彼らは自分たち家族のための地下退避豪を持っていたのです。
彼らは狂っていました。
私が知らなかったのは、この家の課長であるアダム・ヤモリンスキーは当時のロバート・マクナマラ国務長官の特別補佐官であり、同長官に格別に気に入られ、アメリカ中の家庭に地下退避豪を作らせるという政策を立案し、国内を混乱に落として入れていた人物だったという事でした。
《2》に続く
https://mondediplo.com/openpage/trump-s-nuclear-dreams
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この稿が教えてくれる大切なことは、今生きている私たちがトランプが世界をどちらに向け動かそうとしているのか、厳しい目で監視しなければならないという事ではないでしょうか?
日本の現政権は例によって北朝鮮の脅威を現実以上に強調し、トランプに追随して軍備をもっともっと拡大しなければならないと繰り返し宣伝しています。
それはとりもなおさず、世界が破滅と隣り合わせにいた冷戦時代へと逆行する論理であり、互いの危険が拡大し続ける選択でもあります。
わが国ではいつの間にか『専守防衛』という言葉が死語になりつつあります。
日本では大正デモクラシー国家がいつの間にか軍国主義国家に変貌し、ドイツでは当時世界で一番民主主義的と言われていたワイマール共和国がヒトラー率いるナチスの独裁国家に変わってしまい、すさまじい数の国民と周辺国の人びとを殺す時代がやってきた。
その歴史と今と何が違うのか、見つめ続ける必要があります。
対中国・対北朝鮮 - 対立・緊張状態を煽り続けることで、日本は自民党一党支配を継続させてきた
安倍政権の存在理由と利害のため、必要不可欠な東アジア地区の『冷戦』構造
堀田江理 / アメリカCNNニュース 2017年11月6日

※堀田江理氏はその著作『1941決意なき開戦―現代日本の起源』で2016年アジア・太平洋賞特別賞を受賞しました。
東京大学大学院政策学研究科客員教授。
ここに掲載された評論は堀田氏自身の見解です。
米国とロシアの関係が悪化している状況が新たな冷戦へとつながるものであるかどうか、そのすべての議論に対しトランプ大統領が13日に渡り現在行っているアジア5カ国歴訪によって、すでに何ごとかが明らかになっているはずです。
特定の場所において、本当の意味で冷戦は決して終わってはいないのです。
ある意味ではわたしたちがある時点で立ち往生したまま、現在に至っているという表現が適切かもしれません。
最終的にトランプは、11月初旬の東京における安部首相との会談のはるか以前からよく言われているところの、日米の貿易不均衡という手あかのついた議論をむしかえしました。
実際、日本側の立場から振り返ってみると、アメリカ大統領選挙運動中に日本をひどく困惑させたのはトランプが日本バッシングを復活させたことでした。
日本バッシングすなわち日本叩きは短い期間ではあったものの、日本が経済大国として世界最大とも言える繁栄を謳歌した1980年代アメリカ中で巻き起こったネガティヴ・キャンペーンでしたが、同時期トランプは取引をまとめ上げる達人という触れ込みでアクの強い大物実業家として頭角を現しつつありました。

選挙期間中、トランプは日米安保条約においてアメリカ側の負担が一方的に大きくなっていると日本を非難し、日米同盟の中身は『不公平な取引だ』と主張しました。
トランプは日本をアメリカの国益を脅かし続ける脅威だと位置づけ、ひと昔もふた昔も前の位置に押し戻そうとしました。
2016年の大統領選挙期間中の発言を聞いて、多くの日本人がトランプは時代を間違っているのではないかという疑念を抱かざるを得ませんでした。
日本経済の停滞はすでに数十年に及び、今さらアメリカが脅威と感じなければならない何があるというのでしょうか?
しかし今回トランプの歴訪によって誰の目にも明らかになったのは、すでにベルリンの壁が崩壊し、核軍縮も実現し、そしてソビエト連邦が崩壊したにもかかわらず、東アジア地区においては未だに冷戦が終わっていないという事実です。
そして登場人物だけは交代したものの、依然として核抑止力と拮抗する軍事力による均衡という冷戦の概念を、アメリカ大統領も東アジア各国の政治指導者も外交の原則の中心に置いているのです。
世界ではっきりとそれとわかる共産主義体制は、この地域にだけ残っています。
言うまでも無く中国と北朝鮮です。
それを考えると、東アジア地区に冷戦構造が残っていることは特に驚くべき事ではないのかもしれません。

東アジアでは西側社会が冷戦に『完全勝利していない』という事実は、今や中国が西側社会の経済構造に密接に組みこまれているため、見過ごされやすいという事なのかもしれません。
深刻な安全保障上の問題がこの地域の経済活動にまで暗い影を落とすような事態に対至って初めて、この地区の不安定さを改めて認識することになります。
金正恩(キム・ジョンウン)の発言や行動が、西側社会の私たち全員と東アジアの自由主義諸国にこの単純な事実を思いださせています。
実際、日本の貿易慣行についてのいくつかの不平不満があらためて取り上げられたことを除けば、現在トランプが抱えている最大の懸念は北朝鮮の脅威であり、その深刻さは他の問題に対する欲求不満を忘れてしまうほどのものです。
これは間違いなく、日本との同盟関係についてトランプの関心が高まり続けていることによるものです。
安部首相は日本の外務省も動員し、歴代アメリカ大統領同様にトランプも日本を東アジア地区の安全保障の要塞と位置付ける日米同盟の重要さを理解するよう、積極的に働きかけました。
一方、選挙後に初めてトランプと会談した初めての海外の政治指導者である安倍首相は、週末に埼玉県にあるゴルフ場でともにラウンドする際、大統領に対し忠実にそして喜んで付き従うというメッセージを込めたゴルフ・キャップを贈りました。
そこには『ドナルドと晋三、同盟関係をいっそうグレートにする』と大きな刺繍が施されていました。

これまで日本叩きの先頭に立ってきたようなトランプのような人物であっても、こんな這いつくばるような外交的姿勢を見せられれば、日本びいきに変わるのは当然のことかもしれません。
19世紀後半ペリー提督が艦隊を率いてやって来て日本を強制的に開放した後、日本は真珠湾を強襲して艦隊を撃破、その後日本が第二次世界大戦後に敗戦して連合軍の占領下に置かれた歴史を振り返ると、日米関係というものが決して平たんではなかったことが解ります。
しかし第二次世界大戦後は一転、日米関係は全体として相互補完的に機能してきました。
そして現在、トランプは東アジア地域における冷戦状態の中で日米両国を結びつけているものを理解し、1980年代以来続いてきた経済面における日本に対する古い疑念は消滅させたようにも見受けられます。
日本は、これまで同様の東西の冷戦状態が続くことの方が望ましいのです。
それによって日本は何十年もの間続いてきた自民党の一党支配も含め、戦後の体制がそのまま続くことを可能にしてきたのです。
唯一異なるのは、恐らくはご自身は望んではいない、戦前同様の天皇を中心とする帝国制度の復活を願う超保守主義政策を自ら推し進める安部首相の下での、タカ派的外交政策です。
最終的にはこれまで以上に緊密になる、あるいは『いっそうグレートな』日米の同盟関係が、東アジアに限って未だに冷戦が終わっていないという事実を証明するものになるでしょう。

トランプは日本に続いて韓国へとアジア諸国の訪問を続けますが、東アジアにおける冷戦のドラマは変わらなく続き、そして今のところはそれ程目立たなくはなっていますが、周囲にとって理解しがたいトランプの行動はこれからも続くことになるでしょう。
http://edition.cnn.com/2017/11/06/opinions/east-asia-stuck-cold-war-hotta/index.html
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周囲にとって理解しがたいトランプの行動とはすなわち、人類が1945年以降せっかく築き上げてきた平和秩序を、なぜ再び壊すのか?という事でしょう。
この問題は前回ご紹介した、エコノミスト誌の【 70年間世界戦争の無い時代を作った秩序が脅かされている 】の記事にもある通りです。
ヨーロッパの政治指導者たちも、同地でせっかく解消された冷戦を、アジアの地で継続させようとするトランプの姿勢に眉をひそめているにちがいありません。
それより問題なのは、自国の国民の命がかかっているのに、一緒になって『戦』の方向に進もうとしている日本の政権担当者たちです。