暴力が肯定される時代となった今、メディアはその価値観と原則を定義しなおさなければならない
自由を守る、そして自由の価値を不朽のものにする、それが報道の真の価値
一般の人々が力を合わせて既成の権力に立ち向かい勝利するという、常識を覆すアイディアを世界に示したフランス革命
キャサリン・ヴィナー / ガーディアン 2017年12月8日

約200年前、イギリスのマンチェスターで発行された新聞にはこう書かれていました。
「報道がただ単に一般市民の興味を集めるというより、問題の本質に対するもっと重要な疑問をかきたてることを求められるようになった、そうした時代に変わったということが明確にされたことは、この国にあっては過去ありませんでした。」
と前置きしたうえで、
「政治的な疑問に対する活発な議論」と「事実に関する正確な詳細」が
「現在のような時代の転換点において特に重要なこと」
であると宣言しました。
そして現在、私たちは歴史上もうひとつの極めて特殊な時代の中を生きています。
ひとつはまばゆいばかりの政治的ショックによって定義されており、もうひとつは私たちの生活全般に及んでいる技術革新による破壊的影響です。
これまでの20年間に一般社会に起きた変化は、それ以前の200年間を上回るスピードで急激に変化しており、ガーディアンを含む報道機関はその変化に追いつくために必死になってきました。
しかし今私たちが生きている時代の混乱は、我々に対し適応能力以上のことを要求しているかもしれません。
私たちがニュースを取材、制作、配信、入手する環境はきわめて劇的に変化してしまいました。
そのために何をしなぜそうするのかを、現在ほど厳しく問われている時代はありません。

ガーディアンを所有しているスコット・トラストが1936年に設立されたとき、その目的をきわめて明快に表現していました。
「ガーディアンの財政的および編集上の独立性を永久に確保し、ガーディアンの報道の自由と自由の精神を商業的干渉と政治的干渉から完全に独立させる」
編集者のひとりとしてこれ以上の使命を見つけることは困難な程、報道機関の所有者としてその使命は明快なものでした。
こうしてガーディアンの唯一の株主は、ジャーナリズムの自由と長期的な生き残りだけに関与することになりました。
しかしスコット・トラストの使命がガーディアンの報道機関としての健全性を永遠に担保する事である一方、ジャーナリズムの使命が何であるかを定義することは現実に編集を行う私たちに任されています。
私たちが取り組む仕事の意義と目的は何でしょうか?
私たちは社会でどのような役割を果たすべきなのでしょうか?
20年間働いてきて、私はガーディアンの存在意義というものを無意識のうちに理解できたと感じています。
私たちジャーナリスト、そして大半の読者が報道に価値を感じている理由は、自由を守るための一つの方法として、そして自由の価値を不朽のものにするという点にあります。
そして私たちは、ガーディアン的ストーリーを定義するもの、それはガーディアン独自の視点によって形成され、良くも悪くも『きわめてガーディアン的なもの』にする要因を熟知しています。

オーストラリアのガーディアンの編集者、次に米国のガーディアンの編集者として過ごしてきた私は、ガーディアンのジャーナリズムの本質を特定し、それとは別の際立つ特徴を作りだすことを常に念頭に置きながら、新たなガーディアンの読者を獲得しようとしてきました。
そして今私はガーディアンとオブザーバーの編集長として、現在はさらに深い洞察が必要だと感じています。
私たちの根本的使命とは何でしょうか?
私たちの過去、現在そして未来、それがこの質問に対する答えです。
混乱が大きくなり続けている現代と深くかかわりながら、自分たちの過去を振り返りつつ永遠に持続可能な方法で、私はガーディアンの方向性を作っていきたいと考えています。
ガーディアンの歴史は1819年8月16日、英国のジャーナリスト、当時28歳だったジョン・エドワード・テイラーが、マンチェスターでの議会改革のための大規模なデモに参加したときから始まりました。セントピーターズ広場では、当時人気の急進的改革派の論客であるヘンリー・ハント(Henry Hunt)が、マンチェスター地区の人口の半数以上にあたる6万人の群衆に対し、夏の日曜日の正装をして帽子を触りながら演説を行っていました。

当時、英国内には既成権力に反抗する気分が充満していました。
30年前のフランス革命は、一般の人々が力を合わせて既成の権力に立ち向かい勝利するという、それまでの常識を覆すアイディアを世界中に広げました。
それは民衆の覚醒であり、既成の権力の座にあったものにとっては恐怖以外の何ものでもありませんでした。
英国がワーテルローで勝利することによりナポレオン戦争が終わった後、英国は景気の落ち込みと失業率の高さに苦しんでいました。
穀物法や大陸封鎖令によって高騰した穀物価格はナポレオン戦争後も人為的に高いままにされ、庶民は飢餓状態にありました。
当時英国では国内至る所で抗議行動や暴動が頻発していました。
それは当時始まりつつあった産業革命の流れの中で新しく発明された工場用の機械を破壊するラッダイト運動から奴隷制度に反対する人々の砂糖をボイコットする運動まで、全国であらゆる種類の抗議行動と暴動が巻き起こっていました。
そして選挙投票権を求める運動も拡大していました。
当時すでに大都市であり人口密度の高いマンチェスター市でしたが、国会には一人の議員もいませんでした。
イングランド南部の豊かな村であるオールド・サラムには有権者は1人しかいませんでしたが、国会には2人の議員を送り込んでいたのです。
大都市で新たに台頭した実業家たちなどは、この腐敗したシステムの改革を要求していました。
そして労働者階級も、さらには歴史上初めて女性も選挙の投票権を求めて立ち上がっていました。

経済的な苦境、政治的な抑圧、経済的な問題を抱えた労働者の状況は政治問題化し、一触即発の状況にありました。
エッセイストのウィリアム・ハズリットはこの1年前、こう書いていました。
「すでに確立されたすべてのものが、我慢できないものになっていた…世界は混乱の極みに達してしまった…」
《2》に続く
https://www.theguardian.com/news/2017/nov/16/a-mission-for-journalism-in-a-time-of-crisis
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新年明けましておめでとうございます。
2018年最初の掲載は『真のジャーナリズムとは何か?』ということを問う大部のガーディアンの記事です。
ひるがえってこの国では安倍政権以降、権力を握る者の強みを見せつけるような政治が行われていることに対し、NHKをはじめとする日本の大手メディアの多くは迎合するような報道を続け、市民にとっての公正と正義が見えにくくなってしまっています。
まさに今回の掲載にある通り、『自由を守るための一つの方法として、そして自由の価値を不朽のものにするという点に報道の価値を感じている』人間の一人として、この記事からご紹介していきます。
なお、1月第1週のみ
第1回 1月1日掲載
第2回 1月4日掲載
第3回 1月7日掲載
とさせていただきます。
以降は従来通り、月・水・金の週3回掲載してまいります。
本年もよろしくお願いいいたします。
トランプのように、敵性国家に対しあからさまな脅迫を行う大統領は史上初めて
アメリカ政府の安全保障担当の高官に内部告発に踏み切る勇気を求める!
核兵器はいざとなったら使った方が勝ち - 狂気に支配されている北朝鮮、そしてアメリカ
デモクラシー・ナウ 2017年12月5日

ホアン・ゴンザレス :
さて現在の北朝鮮の脅威とそれに対するトランプ大統領の対応についてのニュースを聞いていると、大統領は北朝鮮を火の海にしてやるとさかんに脅迫していますが、彼らの議論に対するあなたの正直な感想をお聞かせください。
私はアメリカ国内では現在よりも1980年代の方が、『核の冬』に対する恐怖感や核兵器に対する危機意識は切実だったように思うのですが。
ダニエル・エルスバーグ:
これまでお話してきたように、アメリカの歴代大統領は核兵器の使用に関して実質的には脅迫ともとれる発言や行動を行ってきました。
しかしトランプのように、あからさまな脅迫を行う大統領は史上初めてです。
そして核兵器保有国に対してこうした威嚇を行うのは、キューバのミサイル危機以降初めてになります。
ハリー・トルーマン大統領は67年前の朝鮮戦争当時、北朝鮮に対して核兵器の使用をちらつかせたことがありますが、当時の北朝鮮は核兵器保有国ではありませんでした。
そして、東京とドレスデン、ハンブルグを除けば、敵国を世界が見たことも無いような火炎地獄につき押さすために核兵器は必要ありませんでした。
朝鮮戦争当時、アメリカは核兵器を使わずに北朝鮮を文字通り火の海にし、人間が作ったものは柱一本残さないような攻撃を行いました。
したがってトランプと同年齢以上の北朝鮮のすべての人びとにとって、アメリカが作り出す『火の海』は現実に体験させられたものなのです。
トランプは朝鮮戦争当時4歳だったはずですが、朝鮮半島の人びとにとっては消し難い記憶です。
従ってトランプの脅迫を聞いた朝鮮半島の人びとは、「アメリカはまたあれをやるつもりなのだ」という恐怖にとりつかれて当然なのです。

そして今日、北朝鮮は核兵器保有国になっています。
もし彼らがまともな頭を持っていれば、自分たちからアメリカを攻撃することは無いでしょう。
なぜならそれは完全に自殺行為だからです。
北朝鮮のすべての男性、女性、そして子供たちは必然的に皆殺しにされてしまうでしょう。
従って北朝鮮の方から先制攻撃を仕掛けて来ることはあり得ないと思います。
ではアメリカ側の先制攻撃に対し、北朝鮮は報復攻撃をしないと考えて良いでしょうか?
少なくとも北朝鮮は韓国に対する核兵器使用に踏み切るでしょう。
アメリカと一緒に軍事演習を繰り返してきた相手に対し、報復することに専念することになると思います。
それは自殺的行為ですが、少なくともそこまでは思い切ることになると思います。
それが核兵器の使用がもたらす必然的な結果であり、回避することは不可能であり、まさに『目には目を』の論理です。
核兵器は報復攻撃よりは先制攻撃の方が効果的であり、報復攻撃はためらうよりも実行する方がましなのです。
こうした考え方は狂っていますが、それは北朝鮮だけのものではなくアメリカも70年間この狂気に支配されてきました。
エイミー・グッドマン:
あなたはかつてもっと多くの内部告発が行なわれるように求めたことがありました。
私はその点を重要視したいと思っています。
陸軍の内部告発者として有名になったチェルシー・マニングさんは現在刑務所を出ることが出来ましたが、彼女は7年間の間収監されていました。

彼女はアメリカの外交政策、イラク戦争とアフガニスタンの戦争に関する70万件以上の機密ファイルとビデオをウィキリークスに漏えいした罪に問われました。
マニングは、第一次世界大戦の際に制定された諜報活動取締法のもとで有罪判決を受け、2013年に35年の刑期の有罪判決を受けました。
今年 1月に、離任直前のオバマ大統領が彼女の減刑を行ない、やっと自由の身になりました。
しかし結局彼女は内部告発者として米国史上最も長い間刑務所に収監されたことになります。
刑務所から解放された後、マニングは米国ABCニュースなぜ内部告発者になる決心をしたのか、心の内を話しました。
チェルシー・マンニング:
当時私はすべての情報を総覧する立場にありました。
そこにあったのは、ただただ死、破壊、暴力ばかりでした。
結局私はそれ以上、報告と統計だけをまとめる作業を止めることにしました。
代わりに人間として人間を見ることにしたのです。
米国ABCキャスター:
アメリカ国民が広く正しい情報を共有することを可能にしたとあなたを賞賛する人々もいますが、一方では敵側に漏らしてはいけない情報を提供してしまったかもしれませんよね?
チルシー・マニング:そうかもしれませんが、私が責任を持つべきなのはアメリカ国民に対してだと思っています。
それだけではありません、ご存じのとおり政府職員には責任があります。

息子の遺体をかいいだいて泣き崩れる男性。
10月3日、アレッポ。
エイミー・グッドマン:これがチェルシー・マニングさんの本音だったと思います。
ダン・エルスバーグさん、あなたは最新の著作の随所でアメリカの核兵器政策に携わっている人々に、本当の危険性について警告する内部告発を行うよう呼びかけていらっしゃいます。
あなたは亡命中のエドワード・スノーデン氏にも面会されましたね。
どのような情報を今すぐ公開したいと思っていらっしゃいますか?
ダニエル・エルスバーグ:
始めに申し上げたいのは、チェルシー・マニングさんとエドワード・スノーデン氏は私にとって英雄だということです。
と同時に私にとっては同じようなプロセスを経て同じ信念を持って決断し、内部告発を行ったという点で地球上の他の誰よりも、共有するものが多い、という事です。
現在チェルシー・マニングさんとエドワード・スノーデン氏と同じような立場にいる人々、特に政府機関などで重要な立場にいる人々に伝えたいことがあります。
トランプ大統領が核保有国である北朝鮮に対しどのような武力行使を行うつもりなのか、結果としてどれ程悲惨な状況が作られるのか、どれ程の規模の破壊が行なわれるのか、これらを分析しまとめた文書が存在するはずです。
エイミー・グッドマン:
相手は北朝鮮になるのでしょうか?ロシアという可能性もあると思われますか?どうなのでしょう…
ダニエル・エルスバーグ:
そうですね、違いは…
エイミー・グッドマン:
イランという可能性も…

ダニエル・エルスバーグ:
もちろんどこが相手であっても、もしトランプが核戦争を起こす準備を進めていることが明らかにされた時点で、おそらくイランではこれまでの国際合意をを取り消し、核兵器開発計画を再開することになるでしょう。
半世紀前、私はランド研究所とペンタゴンにいましたが、その時と同じようにイランとの戦争はすぐに現実になる可能性があります。
当時アメリカ側はイランとの軍事衝突は不可避だと考え、その際に核兵器を使うまでの状況に発展した場合の対応を常に検討していました。
原因のひとつとして今日ほどロシアとの間のやり取りとりが円滑では無かった事が挙げられます。
もしこうした事実をつかんでいても、それを議会に報告したり報道機関に明らかにすることには、個人的に大きなリスクをともないということを考えてなければなりません。
私も危うく刑務所行になるところでしたし、チェルシー・マニングに至っては数年の間刑務所に収監されてしまいました。
しかしその事実には人類の生存という、きわめて大きな命題がかかっていました。
そして私が1961年のキューバ危機当時、本当にやりたかったこと、そして1964年にペンタゴンがベトナム戦争に本格的に介入してアメリカが大きな傷を負う前に、私がしておけばよかったと思っていることを考えてみてください。
待っていてはいけないのです。
マーティン・ルーサー・キングが語ったように、時すでに遅し、という事態に陥りかねないことはあるのです。
キング牧師はまさに今私たちが直面させられているような、緊急性の高い事態の事を言っていたのではないでしょうか?

現在私たちが直面している危機は、長年ひた隠しにされてきた本当の危険をペンタゴンの人間たちと私たち一般市民に思い知らせることになるのではないでしょうか?
エイミー・グッドマン:
残念ながら問題は未解決のままです。
ダン・エルスバーグさん、本当にありがとうございました。
エルスバーグさんの新しい著作『地球を終末に向かわせる装置 : 核兵器の戦争計画立案者の告白』は、アメリカ合衆国の核兵器戦争計画の最高機密文書のコピーに基づき、これまで隠されていた事実を明らかにしています。
《完結》
https://www.democracynow.org/2017/12/6/doomsday_machine_daniel_ellsberg_reveals_he
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今年最後の投稿になりました。
アメリカの核軍事政策の中枢にいたことのあるダニエル・エルスバーグ氏の長いシリーズも年内に終らせることが出来ました。
2018年1月からは新たな掲載を始めさせていただきます。
皆さんが穏やかな年末年始を過ごすことが出来るよう願っております。
アジア・ヨーロッパの周辺国で発生する『戦争関連死』は信じられない程多数に上る…それが核兵器を使った戦争の恐ろしさ
核戦争が始まってしまった場合全人類の3分の1が死滅するという予測 - 実際には3分の3になる
デモクラシー・ナウ 2017年12月5日

ダニエル・エルスバーグ:
さて、繰り返しお話した通り、『地球を終わりに向かわせる装置(Doomsday Machine)』は実際に場実在し、私はアメリカがソ連・中国のすべての都市を短時間で破壊し尽くすだけの核兵器を装備していることを知ることになりました。
そしてその『核兵器戦略』では6億人以上の人間が殺されることになっていました。
そしてその数字には何万発という核爆弾が爆発することにより放出される放射性物質や延焼により、ヨーロッパ・アジアの周辺国で死亡する数億人分の『戦争関連死』は含まれていませんでした。
当時のレベルでは天候が被害の拡散にどう影響するか、核爆発の延焼がどこまで及ぶかなど、副次的要因の計算はできなかったので、今日のような精密な予測は不可能でした。
しかしこうした間接的被害者の数が信じられない程多数に上るのが核兵器を使った戦争なのです。
アメリカの核攻撃によって死亡する人間の数が億という単位になるとお話しましたが、当然そこにソ連の報復攻撃による死者の数か加わります。
従ってその数は10億を超えるものになりますが、当時の地球の人口は約30億人です。
つまり核兵器による攻撃とその報復攻撃により、当時の地球人口の3分の1が殺されてしまうことになります。
私は映画作品『博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』の重要人物ストレンジラヴ博士のモデルのひとり、「水爆の父」エドワード・テラー博士から直接話を聞いたことがあります。
「熱核兵器を使用した戦争が起きれば、最大で人類の3分の1が死滅することになるでしょう。」
この数値はアメリカ軍の統合参謀長の見解とほぼ同じです。
私はその話を聞いた時、3分の2まで水が入ったコップを思い浮かべました。

しかし実際には、テラー博士は間違っていました。
ランド研究所のカーン氏も間違っていました。
誰もがちゃんとした答えを出すことが出来ませんでした。
実際に核兵器を使った戦争が起きてしまったら、殺害されるのは全人類の3分の3になるでしょう。
現在もアメリカの核兵器は多数の都市に照準を合わせたままになっています。
人類はもうこうした状態を続けることを終わらせることを願っているはずですが、多数の都市が軍事目標にされたままになっています。
これらの都市はいずれ徹底的に焼き払われることになっているのです。
そしてすでに計算済みの核兵器攻撃の被害だけでなく、その先には計算外のさらに憂慮すべき結末が待っているはずです。
第二次世界大戦末期の1945年3月9日と10日に行われた東京大空襲による大火災では、一都市内で複数の大火災が発生することによる火炎旋風が発生しました。
この現象がこれまで確認されているのは第2次世界大戦中のハンブルク、ドレスデン、そして東京の3例しかありません。
一面に広がった大火災が空気柱をはるか成層圏の高さにまで上昇させたことが解っています。
そして1983年以前には解らなかったことについても精密な予測ができるようになりました。
これだけの核兵器が使用されれば、約1億トンの煤煙が成層圏に吹き上げられ、長期間地表に届くはずの太陽光がさえぎられることになるだろうということです。
成層圏では雨が降ることも無く、これらの煤煙はまるで地球を覆い隠すようにして広がったままの状態に陥ります。

それによってまたは太陽光の70パーセントが地表への到達がブロックされ、植物の成長が阻害され、地球上のすべての人々、基本的にという意味に訂正させてください、基本的にすべての人間を飢えさせることになります。
カール・セーガン博士が今から約30年前の1983年に初めてこの考え方を公表しましたが、その際人類の絶滅という事態は現実になり得ると発言していました。
最新の計算では『絶滅』まで至ることは無いだろうということになっています。
人間という種は優れた順応性を持っており、ニュージーランドの端っこの方で暮らす数百万人は軟体動物を食べながら生存を続けることが可能だという、新たな見解が示されています。
しかし地球上の人類の98〜99%は絶滅の危機に見舞われることは間違いがなく、核兵器の全面使用が『地球を終わりに向かわせる』ことは間違いありません。
米国とロシアの両国が依然として今すぐにでも核兵器攻撃を始められる態勢を維持したままであるという事、そして発射を命令できる権限を持つ人間が複数存在し、警告が発せられれば直ちに核ミサイルが発射される可能性があること、大陸間弾道ミサイル・システムは敵の攻撃にさらされれば直ちに報復措置に出るよう設計されていること、さらには自国に対する攻撃が確認されれば核兵器を使うか否かの判断を求められるシステムが存在する以上、核戦争の危機は常に身近にあると考えなければなりません。
さて、これまでこうした警告は両陣営で何回も繰り返し誤って発せられ、何度も核戦争の一歩手前まで行ったことがあります。
1995年、冷戦終結から7年後、エリツィン大統領は両陣営で初めて、核戦争を開始するためのブリーフケースとボタンを公開しました。

一例としてノルウェーの気象予報ロケットがロシアの首都モスクワを壊滅させる可能性のある核ミサイルに誤認されたことがあります。
その際エリツィンは、ミサイルであれば着弾する寸前まで『報復攻撃』を命令する事を躊躇しました。
そして最終的にロシアはそれが誤った警告であると判断しました。
もし当時エリツィンが違う判断をそうでなければ、今頃私たちはこうして生きてはいられなかった可能性があります。
なぜなら一方の側、あるいは両陣営の攻撃から作りだされる核の冬が、ずっと前に私たち人類を飢えさせてしまっていただろうからです。
《8》に続く
https://www.democracynow.org/2017/12/6/doomsday_machine_daniel_ellsberg_reveals_he
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核兵器を『持つな!持たせるな!』
という反戦スローガンがありますが、ここまで読み進むと核兵器の真実とはまさにその言葉通りだという事を実感します。
国土の防衛というと多少聞こえが良く感じるかもしれませんが、核兵器とはまさに人類史上最も愚かな発明だという事を痛感します。
フィクション映画で登場した『地球を終わりに向かわせる装置 』は実在し、アメリカはそれを20年間知らなかった
自動的に爆発して放射性物質をばらまき、地球上の全生物を絶滅させる皆殺し装置 - 最悪の最終兵器
デモクラシー・ナウ 2017年12月5日

ホアン・ゴンザレス :
私たちは1971年にペンタゴン文書を暴露したダニエル・エルスバーグ氏にいろいろお話をうかがっています。
エルスバーグ氏の最新の著作は『地球を終わりに向かわせる装置 : 核戦争計画制作者の告白』です。
エルスバーグ氏はかつてアメリカの核兵器計画の機密文書についての内部告発を行ったこともあります。
私はスタンリー・キューブリック監督の映画作品『博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』のシーンを思い浮かべるのですが…
エルスバーグさんはこの映画はドキュメンタリーかもしれないと冗談をおっしゃっていました。
このブラックコメディは、キューバのミサイル危機発生からわずか2年後の1964年に公開されました。
エイミー・グッドマン:
この映画は核兵器を搭載した米国の爆撃機が、ソ連との国境付近のあらかじめ決められた巡航ルートを提示飛行中に「ウィング・アタック・プランR」の実行命令を受けた時から始まる米ソ間の核戦争の危機に主題にしています。
この命令は精神に異常をきたした空軍基地の司令官ジャック・リッパー准将が発したもので、彼はアメリカの首都ワシントンが攻撃された場合に直ちに対応できるよう予め付与されていた権限を使って攻撃命令を出してしまいました。

この映画の大部分はアメリカ政府の作戦司令室が舞台になっています。
作戦司令室で大統領とペンタゴンの最高顧問は打ち合わせを重ね、大統領自身のためらいにもかかわらず、軍の最高幹部たちはこのままソ連を攻撃しようとします。
しかし大統領のもとに呼ばれたソビエト駐米大使がソ連側が装備している新兵器について思想を明かすと、アメリカ側は予想もしなかった困難な問題を突きつけられることになりました。
それはソ連が攻撃を受けた場合に自動的に爆発し、地球上の全生物を放射性降下物で絶滅させる皆殺し装置、つまり最悪の兵器が実戦配備されているという事実でした。
この映画では大統領科学顧問のストレンジラヴ博士が、彼自身も関わったブランド(BLAND)コーポレーションという名の機関の調査に基づき、作戦司令室で大統領から対しソ連の新兵器について説明を求められます。
[映画の中で]
マフリー大統領(ピーター・セラーズ):
しかし、どんなやり方をすれば全て自動でそんなことが可能になるのだ?何とかそれを止める方法は無いのか?

ストレンジラヴ博士:
大統領、それはただ単に可能だというだけではなく最も重要な部分です。
この装置のすべてを表すものです。
ご存知のように『抑止力』というのは、相手の心の中に攻撃に対する恐怖心を作りだす技術です。
したがって人間の干渉を排除する、しかも人間の手で取り消すことが不可能な完全自動化された意思決定プロセスを持った最終兵器は人間にとって最大の脅威です。
これ程解りやすいものは無く、しかも機械としての信頼性も高く、有無を言わせない存在です。
『バック』タージッドソン将軍(アメリカ軍高級幕僚・ジョージC.スコット)
我々にも一基でいいからそんな装置が欲しいものだ。
エイミー・グッドマン :
これは1964年の映画スタンリー・キューブリック監督の映画作品『博士の異常な愛情』 の一場面ですが、今回のゲストであるエルスバーグ氏の最新の著作『地球を終わりに向かわせる装置 : 核戦争計画制作者の告白』の主題でもあります。
映画の中にブランド(BLAND)コーポレーションという組織が登場しますが、これは実在のランド(RAND)コーポレーションの事だと思いますがキューバ危機当時のあなたの同僚が『地球を終わりに向かわせる装置(Doomsday Machine)』という言葉を作ったのですね?

ダニエル・エルスバーグ:
ハーマン・カーンがその言葉の発明者です。
彼はこう言いました。
「ところで君、この『地球を終わりに向かわせる装置(Doomsday Machine)』は実に多くの人間を殺すことになるんだよ、実際、誰もかれもが殺される…。」
しかし彼はそんな装置は実在しないと言いました。
かれがこう語ったのは1959年、そして1960年です。
そして私たちが知る限り、そんな装置は存在しませんでした。
しかし彼は間違っていました。
『地球を終わりに向かわせる装置(Doomsday Machine)』は実際にはその時から実在し、その状況は現在も続いているのです。
私たち一般市民はその存在をその後20年間は知らないままに過ごしました。
私たち市民はソ連と中国のすべての主要都市を一瞬で破壊できる装置をアメリカがすでに装備済みだなどという事はまったく知りませんでした。
そしてその事実に驚いた私は、マクナマラ国務長官の下でそんなシステムの維持継続をやめるよう主張しました。
「仮想敵国のすべての都市を攻撃目標に設定するなどという行為は自制すべきです。報復攻撃であっても先制攻撃であっても、それをすれば敵国の国民を皆殺しにすることになりますよね?なぜそこまでしなければならないのですか?
そんなことをすれば敵側も絶対に報復攻撃を行うでしょう。そして我々がやったのと同じように、我が国のすべての都市に核ミサイルを撃ち込むように追いつめてしまう。
彼らはどんな手段を使ってでも、全面的な報復攻撃を行うにきまっている。
そもそもなぜモスクワを破壊してしまうのですか?敵の戦略中枢を破壊してしまったら、誰が戦争の中止を命令するのですか?降伏すると誰が決めるのですか?どうやって戦争を終わらせるのですか?」
私は自分の言っていることは正論だと思っていました。

しかし私が進言したことが取り上げられることは、一切なかったのです。
それから何十年も過ぎチェイニー国防長官が就任しました。
数年後、彼はモスクワに照準を合わせたままになっている核兵器の数の多さに驚くことになりました。
その数は数百という単位です。
まさにキチガイじみている、そうとしか思えませんでした。
《7》に続く
https://www.democracynow.org/2017/12/6/doomsday_machine_daniel_ellsberg_reveals_he
核戦争によって西側同盟国が壊滅することを、アメリカは自分たちへの直接的脅威とは考えていなかった
北朝鮮の『限定戦争構想』とアメリカの『全面先制攻撃構想』、共通するのは『狂気』
デモクラシー・ナウ 2017年12月5日

ホアン・ゴンサレス :
エルスバーグさん、あなたは数年後になってはじめてフルシチョフ自身の手によってアメリカの領海内にいた潜水艦隊の指令や司令官に戦争を開始できる権限を委譲していたことが解ったとおっしゃいましたが…
ダニエル・エルスバーグ:
比較的最近の1990年代にそれは明らかになり、最終的に確認できたのは21世紀に入ってからの事でしたが、フルシチョフがやったことはキューバに核弾頭を搭載した中距離弾道ミサイルを配置しただけではありませんでした。
それはまさに今、北朝鮮のキム・ジョンウンがやっていることとまったく同じです。
フルシチョフはヨーロッパに配置した移動型の中距離核ミサイル発射装置によって、アメリカと同盟関係にある西欧諸国を破壊できると考えていました。
移動型のミサイル発射装置を発見するのは困難であり、その攻撃によって死亡するのは西ヨーロッパの市民約1億人であるとソ連側は試算していました。

フルシチョフは、MELと呼ばれるアメリカが発見することも破壊することもできない中距離ミサイルを装備して、NATO加盟国の西ヨーロッパ同盟国を破壊し、1億人以上を殺す能力を整備する決心をしていました。
それでも西ベルリンにいたアメリカを動揺させることも、追い出すこともできそうにありませんでした。
ソ連側が西ヨーロッパを軒並み破壊する能力を持てば東西の核戦争を誘発する可能性がありましたが、それはアメリカが西ベルリンの地位を維持することにこだわった理由ではありません。
いずれにしても西ヨーロッパに核兵器を突きつけてもアメリカが動揺しないと判断したフルシチョフは
「我々は米国を射程に入れる範囲内にミサイルを装備しなければならない。」
と語り、中距離ミサイルをキューバに移動させたのです。
これに対し、北朝鮮のキム・ジョンウンにはソ連にとってのキューバのような同盟国はありません。
ソ連が西ヨーロッパを破壊すると脅してもアメリカが動揺しなかったように、北朝鮮はすでに韓国や日本を破壊できるミサイルを保有しているにもかかわらず、アメリカ本土を直接攻撃できるICBM(大陸間弾道弾)の開発を急いでいるのです。
キム・ジョンウンはフルシチョフの先例に倣っているのです。
フルシチョフのキューバが極めて危険であったと同様の事態です。

当時のキューバは世界史上最も厳しい監視対象になった島でした。
U2偵察機、偵察衛星、低空偵察飛行機、アメリカは考えられる限りの偵察行動を行いましたが、フルシチョフがキューバに中戦術核兵器として短距離ミサイルを装備していた事実を発見・確認することはできませんでした。
ソ連のミサイル部隊がいたことすら把握していませんでした。
そしてフルシチョフは当時の絶対的中央集権主義のソ連の独裁者としては考えられない判断をしていました。
もしアメリカがキューバ侵攻のための艦隊を派遣した事実を確認したら、これらの戦術核兵器を使用するか否かの判断を現地の指揮官に委ねたのです。
目の前にアメリカ艦隊が現れたことを確認したら、いちいちモスクワに指示を仰ぐ暇はありません。
これに対しアメリカ側は、フルシチョフがそこまで思いきった対応を取っているとは夢にも思っていませんでした。
フルシチョフの理論も、そしてフルシチョフ自身も非常に賢明でした。
ソ連がキューバに装備したミサイルはアメリカ本土の南の外れ、マイアミまでも到達する能力は持っていませんでした。

これらはすべて戦術核ミサイルであり、短距離ミサイルでした。
目の前に現れたアメリカ艦隊を完全に吹き飛ばし、100,000人の将兵を殺す能力は持っていましたが、それでおしまいです。
それ以上事態をエスカレートさせるだけの威力は持っていませんでした。
実質的にそれ以上はやらないと宣言しているのと同じでした。
30年後、その事実を知ったマクナマラ元国務長官はこう語りました。
「馬鹿げている。アメリカが100,000人もの将兵を失ったのに、ソ連に全面報復できないなんて…」
馬鹿げているのはマクナマラの方です。
金正恩(キム・ジョンウン)もフルシチョフと非常に似通った見通しを持っているのかもしれません。
すなわち韓国に駐留しているアメリカ軍との限定戦争が可能だと。
馬鹿げています。
しかしソ連と中国に25,000発の核ミサイルを打ち込み、何億もの世界中の人々を巻き添えにして殺してしまうという冷戦当時のアメリカの『核兵器戦略』と比較すれば、まだしもまともだと言えるかもしれません。
《6》に続く
https://www.democracynow.org/2017/12/6/doomsday_machine_daniel_ellsberg_reveals_he
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ここまで読み進むと(私の場合は翻訳を進めると)、核兵器というものが所有するだけで大変リスクの高い物だという事を強く感じます。
物理的に管理保管することに最大限の配慮が必要なことは当然の話で、そこにどのような人間がいて誰が関わるのかという事が、時には致命的な事態に発展する危険性があるようです。
しかも攻撃する報復するという行為には、報復をされないようにするためにやるならとことん破壊し尽くすという、恐怖の裏側の究極の残虐性がついて回るようです。
それが生きるという事が、社会や国家が平和であるという事が大前提である世界のほとんどの人びとの考え方と決定的に異なる点だとおもいます。
[星の金貨new]では【 世界でただ一カ所、未だに核兵器を突きつけ合う場所 】(米国CNN / http://kobajun.biz/?p=32547)というタイトルで堀田絵里さんがお書きになった論説をご紹介しましたが、アメリカを仮想敵国として核兵器開発を進める北朝鮮に対し、
「こっちも危ないんだ!」
と主張して多額の軍事費を投入し、あげく核兵器の保有の意思まで見え隠れし始めた日本に、本当の意味での『安全保障』の実現はあるとは到底考えられません。
一度書いたように思いますが、戦争や核兵器についての考え方がきわめて雑で安易な政治家が日本には多すぎます。