ホーム » エッセイ » 居並ぶ巨大な汚染水タンク、東京電力による福島第一原発の事故収束作業の『失敗』を象徴
【 福島第一原発、汚染水くみ上げを開始 】
『ワラにもすがる』類いの愚策を繰り返す東京電力
最早打つ手がない、そう表現すべきかもしれない
福島第一原発の敷地内にずらりと立ち並ぶ巨大な、ものすごい数の汚染水タンクは、東京電力のこれまでの事故処理が全く不適切なものであった、まさにその事を象徴するモニュメント
Visit NBCNews.com for breaking news, world news, and news about the economy
アメリカNBCニュース 8月9日
レスター・ホルツ : 危険な状況に陥った福島第一原発の緊急事態についてお伝えします。
事故発生から2年半が経過した福島第一原発で、驚くべき新たな事態が明るみに出ました。
同発電所が放射能に汚染された水を海洋中に漏らし続けていることが今週明らかになり、今この瞬間にも放射能汚染水が海洋中に放出されています。
NBCの環境問題特派員のアン・トンプソンが、どのような危険がそこにはあるのか検証します。
アン・トンプソン : 福島第一原発の敷地内にずらりと立ち並ぶ、ものすごい数の巨大な汚染水タンクは、東京電力のこれまでの事故処理が全く不適切なものであった、まさにその事を象徴するモニュメントです。
その東京電力が、汚染水をこのタンク内に送り込む絶望的作業をまた始めました。
福島第一原発は巨大地震と津波により壊滅的被害を受けてから2年半、未だに放射性物質を環境中にばらまくようにして放出し、地下水を汚染し続けています。
福島第一原発は現在も『活動中』の、環境にとって極めて危険な存在なのです。
毎日毎日、山地の方から流れ込む地下水が、漏出が続く使用済み核燃料プールや汚染された土壌に含まれる放射性物質をその中に取り込んで、放射能汚染水が作られて行きます。
その期間たるや、実に882日間という長きにわたり、毎日72,000ガロン(272,160リットル)の汚染水が海洋中に流出してしまったのです。
例を挙げれば、9日ごとにオリンピックプールをいっぱいにするだけの汚染水が海洋中に漏れ出していたことになります。
今週に入り日本政府は、現状が緊急事態であることを認め、東京電力とともに直接この問題の解決にあたることを表明しました。
アメリカには3.11のがれきなどが流れ着く事態となっていますが、海洋科学者は現在アメリカ沿岸では放射性物質は検出されておらず、米国西海岸に差し迫った危険は無いと語っています。
その中の一人は、太平洋の規模を考えると、アメリカまでの放射性物質の到達はまずは無いだろうと語っています。
ほんとうに危険なのは福島の人々です。
未だに多数の人々が、3基の原子炉がメルトダウンを起こした福島第一原発の近くで生活を続けています。
そして福島沖合で漁獲にも大きな脅威があります。
漁業は140億ドル(約1兆3,500億円)産業ですが、ウッズホール海洋科学財団の専門家は、ヒラメなどの一部の魚類には、未だに危険な値の放射性物質が含まれていると語っています。
その原因となっているのは、福島第一原発から汚染物質が継続的に流入しているからとしか考えようがありません。
今日、福島ではほとんど漁業は行われていません。
伝えられるところでは東京電力は現在、原子炉建屋がある付近の土壌を凍結させ、地下水がこの辺りに入り込まないようにする対策を検討しています。
地下に数マイルに及ぶ『壁』を建設しようとしているのですが、水の浸入を防ぐためにこれまでこのような対策が実施されたことはありません。。
私が取材をした科学者の一人は、この対策も『ワラにもすがる』類いの愚策のひとつだと酷評しました。
その証拠に、東京電力は今日この問題が発生することを予測すらできなかった、そう指摘しました。
最早打つ手がない、そう表現すべきかもしれません。
レスター・ホルツ : 控えめに言っても、非常に気がかりな状況です。アン、ありがとう。
http://www.nbcnews.com/video/nightly-news/52718251#52718251
+ – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +
福島第一原発の事故発生以来世界各国の報道を見てきましたが、アメリカNBCニュースがここまで福島第一原発の事故収束作業について、ここまで厳しく『非難』するのは初めてだと思います。
福島第一原発の現状については『控えめに言っても、非常に気がかりな状況』である。
そのことをアメリカ人に教えられなければならない日本人に、原子力発電を扱う資格はあるのでしょうか?