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星の金貨 東日本大震災や音楽、語学、ゴルフについて語るブログです。

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【 日本と韓国の将来に垂れ込める暗雲、背後にうごめく戦争中の亡霊たち 】

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真実の勇気を持つ政治指導者だけが、本当の融和に向け国家間の争いを収めさせることができる
日韓の関係を一層悪化させているものは、両国の首相・大統領の個人的背景?
たかが握手を交わしただけのことが外交上の成果として報じられる程、日韓関係は悪化している

フレッド・ハイアット(ワシントンポスト論説委員)/ ワシントンポスト 4月5日

憲法第9条01
太平洋を舞台にした第二次世界大戦は、まだ終わっていないのでしょうか?

第二次世界大戦(太平洋戦争)におけるアメリカ軍が主導した連合軍の勝利の70周年を祝う意味も込めて、日本と韓国のリーダーがそれぞれにアメリカを訪問するという年にこんな質問をするのはばかげているかもしれません。

しかし最近アジアを専門とする学者マイケル・オースリンが語ったように、日本と韓国の外交関係はこの半世紀でかつてない程緊張した状態を迎えています。
第一次オバマ政権で国務省のアジア局長を務めたカート・キャンベル氏もこの点に同意し、次のように語りました。
「日韓関係がどこまで悪化するのか、予断を許さない状況となっています。」
「全対の状況は日韓両国にとってきわめて有害です。そしてさらに重要な事は、アメリカにとっても極めて有害だという事です。」

ジョージ・W・ブッシュ大統領の下でアジア政策担当としてホワイトハウスの上級官僚を務めたヴィクター・チャ氏は、次のように語りました。
「アメリカ軍は日本、韓国、その両方の拠点があって初めてアジア地区に展開することができるのです。」
「現在の日韓関係を見る限り、アメリカのアジア地区への展開は難しいものになっています。」

憲法解釈05
こうした状況全てが、先月アメリカ・エンタープライズ研究所の委員会で委員の一人、ニコラス・エバーシュタットをして、次のような質問をさせることになりました。
「現在が第二次世界大戦が終わった後の『戦後』の時代なのか、それとも大きな戦争と戦争の間の『狭間』の時代なのか、判断できる方はいらっしゃいますか?」

エバーシュタットは次のように語りました。
1940年代後半から1950年代にかけてヨーロッパの勇気あるリーダーたちは、ドイツとフランスの真の融和に命題を定め、そのために歴史の再検証を行いました。
その結果、NATOという結束力において世界でも有数の同盟関係が成立し、あるいは最初は欧州石炭鉄鋼共同体としてスタートした国家間連合がEUにまで成長し、ヨーロッパ大陸の融和が実現したのです。

しかし北東アジアでは、安全保障の上でも、経済の上でも、そうした構造は見当たりません。
そして朝鮮半島は韓国と北朝鮮に分断され、地図上には二つの中国(中華人民共和国と中華民国)があります。
日本は中国、韓国、さらにはロシアとも領土問題を抱えています。

反日本
そして韓国人と中国人、あるいは少なくとも両国の政府は、その一世代前の人々が体験した日本の第二次世界大戦(太平洋戦争)前、戦中の行為に対する現在の日本政府の姿勢について、怒りを抑えかねているように見受けられます。

第二次世界大戦において主戦場となったヨーロッパ大陸とアジアにおいて、きわめて対照的な事実が認められる、カート・キャンベル氏がこう語りました。

ヨーロッパはいわば手入れの行き届いた墓苑です。
この地で何が起きたのか、人々の間で適切な歴史認識の共有化が実現し、誰もが無益な争いを再現させるべきではないという意識を共有しています。
しかしパラオ共和国のペリリューの戦場を始めとする太平洋戦争の戦場となった島々では、たった今戦闘が終わったかのように、武器の残骸がそこここに散らばっています。」
「戦闘は終わったものの、まだ戦争は終わっていないかのような印象を受けます。」
だからと言って、アジア各国が臨戦態勢になっているという訳ではありません。

ペリリューの戦い
しかし状況は数日前にシンガポールで行われたリー・クアンユー元首相の国葬の席上、日本の安倍晋三首相と韓国の朴槿恵大統領が握手を交わしたことを、日本の新聞が外交上の重要な成果として報道しなければならない程、両国関係の悪化は著しいものがあります。

4月に訪米することになっている安倍首相と、6月に訪米するものと見られている朴槿恵大統領は両国の関係改善に前向きに取り組んでいる姿勢を強調しています。
両者とも政治的立場は保守であり、米国との同盟関係については強化していくという姿勢を取っています。
しかし朴大統領は、安倍首相との関係改善より、中国共産党の指導者たちや北朝鮮の首脳との関係強化に重き置く姿勢を見せてきました。

何が起きているのでしょうか?
いくつかの点において、安倍首相も朴大統領も自分たちの経歴に自由を奪われているという事が出来ます。
安倍首相の祖父は第二次世界大戦(太平洋戦争)中の大日本帝国の指導者のひとりであり、戦後は首相を務めました。
そのせいかどうか、安倍首相は中国や韓国が求めているレベルまで、日本の戦争中の事歴について検証・批判されることを望まないようです。

軍国主義 1
一方朴大統領の父親は、戦争中韓国を植民地支配していた日本軍の将校を務め、戦後韓国の大統領に就任しました。
1965年、日本との国交を正常化する条約を締結しましたが、後にその補償内容が日本に対して寛大すぎるとの批判を受けたため、娘の朴槿恵大統領は日本に甘い顔をすれば、直ちに批判を招きかねないとの懸念を強く持っている可能性があります。
こうした個人的な背景が、韓国に対する謝罪と補償はもう終わっているはずだという日本人の感情を、日本が行なった謝罪には誠意がなく、きちんとした補償をさらに行うべきだとする韓国人の感情を、一層かきたてているのかもしれません。

隣接する国同士の紛争によく見られる事ですが、日本と韓国が歴史認識について争っている背景には、中国の台頭とアメリカの影響力の相対的な低下に対する懸念があります。

日本も韓国も中国との貿易と投資に経済的に依存する一方で、安全保障についてはアメリカ合衆国の力に大きく期待しています。
日韓両国とも、オバマ大統領がアメリカは現在内政に重きを置くべき時に来ていると語り、その海軍を縮小させていることを注意深く見守っています。
そのような状況の中で、オバマ大統領が一線と考えていた状況を超えてシリア情勢が悪化していること、そしてロシアがウクライナで西側諸国との対決姿勢を強めていることについて、日韓両国は懸念を深めています。

year27
こうした状況の中、たまたまですが、現在は承認をためらっている米国議会の承認が得られれば、オバマ大統領の手に日韓関係改善のための決め手となるカードが渡されることになる可能性があります。
日本、ベトナム、カナダ、メキシコを含む太平洋岸12カ国が交渉を行っているTPP(環太平洋パートナーシップ)です。
順調に進めば、韓国の参加への動きも早まるものと考えられます。
第二次世界大戦後ヨーロッパで実現しアジアでは実現しなかった融和のための枠組み作りが、TPPによって始まる可能性があります。
TPPには長期に渡る関係の安定化が織り込み済みであり、順調に進めばアジアでも本当の意味で第二次世界大戦(太平洋戦争)が終息する可能性があります。

http://www.washingtonpost.com/opinions/wartime-ghosts/2015/04/05/994bd176-da12-11e4-ba28-f2a685dc7f89_story.html
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誤解をいただかないよう記しますが、翻訳した記事については「海外にはこのような意見がある」「指摘がある」と言う趣旨での掲載のつもりです。
従いまして結論部分にあるTPPが日韓関係を改善するための有力なツールに成り得る、というのは飽くまでワシントンポスト紙の主張であり、翻訳者はその見解が正しい・正しくないという判断をする立場にはありません。
皆さんに関心を持っていただき、議論のきっかけのようなものになれば、と思っています。

【 正しい表現とは何か?第二次世界大戦(太平洋戦争)当時の事実を検証しなければならない日本 】

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過去について再検証するという行為は、和解を進めるためのものであるべきである
謙虚に過去を検証し、戦争を知らない世代に悲惨な体験や歴史が正しく伝えられていくべきである

マーティン・フリッツ / ドイチェ・べレ(ドイツ国際放送) 3月16日

DW Finding the right words

安倍晋三首相はこれまで、歴史認識を変更することによって日本の「国家の名誉」を復活させようとしてきました。
国家主義者である安倍首相は、日本が第二次世界大戦(太平洋戦争)で全面降伏を行ってから70周年を迎える2015年8月も、この姿勢を貫くと見られています。
2015年3月9~10日訪日したドイツのアンゲラ・メルケル首相は、対立を煽るのではなく和解に向け歩み出すよう間接的に促す会見を行いました。
この中でメルケル首相は第二次世界大戦中のドイツ軍が行なった犯罪行為をドイツが進んで認めた一方、フランスは友好関係の構築に前向きに取り組んだ点に言及しました。
「過去の再評価というものは、和解を進めるためのものでなければなりません。」

メルケル首相のこの発言は、安部首相との会談の後の共同記者会見で行われたものです。
この発言にもかかわらず、メルケル首相はいかなるアドバイスもするつもりは無いとも語りました。
メルケル首相がこの発言をしている間、脇にいた安倍首相は終始表情を変えることはありませんでした。

メルケル首相
メルケル首相が帰国の途に就くほんの数時間前、日本の岸田文男外務相がドイツと日本の第二次世界大戦中の行動について比較するのは適切でないとコメントしているのが聞こえてきました。
岸田外相は、ドイツと日本では戦争中に被った被害の程度が違い過ぎると語りました。
岸田外相のコメントは日本国内の都市と言う都市が空襲によって甚大な被害を受けたことは別にしても、広島と長崎に原子爆弾が投下されたことを指したものと思われます。
さらに岸田外相は詳しく言及することはしませんでしたが、当時の隣国との関係がドイツ日本では性質が異なっていたと付け加えました。

▽終戦記念日70年目の声明

折しも日本国内では戦後70年目を迎えるのを機会に、日本の戦争中の事歴をどう評価するのが正しいのか熱心な議論が続いている最中であり、メルケル首相の会見が意図していたことが明らかであった分、発言に対する反応もすぐに現れました。

戦争終了後10年の節目を迎えるごと、1945年に天皇陛下が無条件降伏の受け入れを宣言した8月15日に、日本政府が第二次世界大戦(太平洋戦争)における日本の事歴について声明文を公表することは慣例化しています。

大日本帝国陸軍(1940)
1995年には、社会党の村山富市首相が日本の「植民地支配と侵略」に対する「心からの」謝罪を表明しました。
保守的であった小泉純一郎首相も、2005年8月、この声明に関しては村山首相の声明をほとんどそのまま踏襲しました。

しかし戦後70周年を迎える今年、現在の首相を務める安倍晋三氏は、「全体としては」村山首相の声明を引き継ぐものの、最も強調することは別のものになると見られています。

何をどう表現すべきか、歴史学者、ジャーナリスト、知識人などからなる70周年声明の内容について検討する委員会が立ち上げられ、2月25日に初めて会合が開かれました。
宣言の内容について委員会は、戦後日本が近隣諸国と和解し友好関係を樹立したこと、その関係は将来も引き継がれていくことがふくまれたものでなければならないとする一方、第二次世界大戦(太平洋戦争)中の事歴について必ずしも触れる必要は無いとされました。

▽隣国、そして同盟国からの圧力

安倍首相に対しては、国際社会から様々な圧力がかかっています。
アメリカ合衆国やドイツなどは、70周年の声明文においても日本政府が従来の立場を引き継ぎ、第二次世界大戦(太平洋戦争)中に戦争犯罪を犯した事実を認める事を期待しています。
隣国も同様の立場を取っています。

東京裁判02
中国の李克強首相は、日本政府が「過去に罪を犯した」と言う事実を受け入れ、その責任を認識しなければならないと語りました。
韓国のパクキョンヒ大統領は、日本が戦争中の事歴と誠実に向かい合うよう求めました。
大統領は特にかつての大日本帝国の軍隊が組織的に韓国人女性を売春婦として使役した従軍慰安婦問題に言及し、日本はその責任をとらなければならないと語りました。
この問題については、安倍政権は真っ向から否定する態度をとってきました。

特に、日本は韓国の女性の性的搾取の責任を日本軍によって認めなければならないと、公園は言いました。 日本は、現在まで正反対をしていました。
10月の末に向け、安倍政権は「従軍慰安婦問題を正面から取り上げ、日本の名誉を回復するための具体的手順」に着手すると宣言していました。

従軍慰安婦は、第二次世界大戦(太平洋戦争)中の日本兵相手の売春宿の売春婦として働くことを強制された最大で200,000人とされるの韓国人女性について、今日まで日本国内で使われてきた婉曲的表現法です。

従軍慰安婦01
独立した立場で歴史の検証を行っている研究者たちは日本軍のために使役された女性の多くが売春行為を強いられたという記録を確認していますが、日本国内で歴史認識を変えようとしている国家主義者や右翼系の人間たちは、女性たちが自主的に売春婦になったのだと主張しています。
日本の外務省は、こうした主張に沿った米国の教科書の記述の変更を、すでにアメリカ側に要求しています。

▽ 後退する『従軍慰安婦』に関する認識

かつての内閣官房長官であった河野洋平氏は1993年、日本軍当局に代理権限を与えられた民間の仲介者たちが女性たちを徴募し、従軍慰安婦として各地に送り込んだ事実を公式に認めました。
しかし短命に終わった安倍首相が率いる政権は2007年当時、すでに日本軍がこうした作業に関わったとする証拠はないと主張していました。
そして河野談話の内容について、以後の内閣はその主旨を引き継ぎませんでした。

そして現在の安倍政権は2014年、河野談話は16人の韓国人女性の宣誓証言に基づくものであるが、いずれの証言も公式には未確認であると断定しました。
その上、こうした証言が出された背景には韓国政府の後押しがあったとしています。

日本政府がことさらに河野談話の内容を否定しようとしている事実は、今年夏に公表される予定の戦後70年の節目に出される首相声明が、修正主義的立場に沿ったものになるであろうことを予見させるものです。

広島平和記念資料館内
こうした状況には、本来なら憲法により政治的発言を許されない立場の日本の皇室ですら、反応を示さざるを得なくなりました。
日本の皇太子は、第二次世界大戦(太平洋戦争)中の日本の事歴について、正しい認識を行うよう求めました。

「戦争の記憶が薄れようとしている今日、謙虚に過去を振り返るとともに、戦争を体験した世代から戦争を知らない世代に、悲惨な体験や日本がたどった歴史が正しく伝えられていくことが大切です。」
将来天皇になられる身である皇太子は2015年2月23日、ご自身の55回目の誕生日の時にこう述べられたのです。

http://www.dw.de/finding-the-right-words-japan-debates-its-martial-past/a-18318949
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【 福島第一原発のメルトダウン、終わらない悲劇の実相 】《5》

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現在の食品管理体制で、人々の二次被ばくを防ぎきれるのか
今回の事故も、事故収束・廃炉作業も、すべてが金に支配された展開となってしまっている
原子力産業とそれを支える官僚組織、それを第一に守ろうとした結果が眼前に展開されている

 

フェアウィンズ 3月3日

金子 : この放射性廃棄物の焼却処分というのは、非常に問題だと思います。そしてこれは福島だけに留まる問題ではないと思います。
私は福島から200~240キロ北の岩手の出身ですが、岩手県内にも福島第一原発の事故によって発生した低レベル放射性廃棄物が処分できずに残されています。
さらには放射能に汚染された草、牧草、シイタケ栽培用のほだ木、しいたけなども汚染されまま残っています。
もし政府が設定した基準を超える放射性物質が検出されれば、これらのものも低レベル放射性廃棄物とされることになります。
現在環境省はこれらを焼却処分してしまうことにより、全体の質量を減らそうと考えています。
その根拠として環境省は焼却処分設備のフィルターが99.99%のセシウムを吸着し、環境中に放出されることは無いとしていますが、今のガンダーセン氏のご発言からすると、実際にはどういうことになるのでしょうか?
この点に関し、今や市民の側には焼却処分の際、すべての放射性物質の環境中への放出を防ぐことは不可能であり、実施されれば不必要な二次的な被害が発生するとして、反対する意見が強まっています。

台湾02
アーニー・ガンダーセン :
市民の方々が低レベル放射性廃棄物の焼却処分に反対する、その立場を私は完全に支持します。
セシウム粒子の直径と比較した場合、フィルターの『目』が大きすぎます。
結局はセシウムの粒子はフィルターを通過して再び環境中に放出されることになってしまいます。
このセシウムが汚染することになるのはキノコ類に限りません。
これまであなたが触れてこられたように、水田のコメも、海中の魚類も、そして陸上にいる食肉牛や乳牛の類まで、すべて汚染されることになってしまいます。
こうした環境の中で収穫された食品を食べるということについて、日本の人々はとどのように考えているでしょうか?

金子 : この点につき私はありのままをお伝えしなければならないと思います。
一部にはその食品の産地を厳密に調べ、福島県産および周辺地区の産品は一切口にしないという人もいることはいますが、日本の人々は4年前の事故発生当時と比較すると、食品に関してはほとんどもう気にしなくなっています。
しかしこの問題は実は複雑な側面を持っています。

113005
食品検査は福島県内はもちろん、福島第一原発から200キロ以上離れた岩手県内でも実施されています。
私の出身地でも学校給食の食材の検査を行っています。
しかし政府が定めた食品1キログラム当たり100ベクレル以下の放射線量であれば、放射性物質の存在が確認されていても、市場での流通が認められています。
従ってこれらの食品を口にすることにより、たとえ微量ではあってもセシウムやストロンチウム90などの放射性物質が食べた人の体内に取り込まれ、そのまま体内に留まり放射線を出し続ける可能性があります。
これによってDNAが損傷する危険性があります。
そうです、内部被ばくが起きる可能性があります。
これは懸念しなければならない事態であり、実際に小さなお子さんたちを持つ母親などの懸念を深める結果になっています。

アーニー・ガンダーセン :
ここに多くの人が知らない思いがけない事実があります。
実はアメリカの食品としての魚の放射線量の基準値は、日本の12倍も高い設定になっているのです。
日本人なら口にしない魚も、アメリカに持って来れば堂々と売ることができるのです。
実に恐ろしいダブルスタンダードです。

01ドイツ・反原発
金子 : そんなことがあるとは考えたくもありませんが、事実そうなのでしょうか?

アーニー・ガンダーセン :
残念ながら事実です。
そしてもうひとつの問題は米をブレンドしているという事です。
基準値を超えて汚染されていると判断されたコメでも、他の汚染されていないコメと混ぜ合わせることにより1キログラム当たりの放射線量を下げることができ、基準値を下回れば販売も可能になります。

金子 : 汚染されたコメとそうでないコメを混ぜ合わせることにより、何種類かの放射性物質の汚染度を下げることができる、そうすれば包装し直して販売することができるという事ですね?

アーニー・ガンダーセン :
保健物理学的見地から判断する限り、それを行うことによりガンを発症する人の数は最終的に同じになる可能性があります。
汚染された米だけが詰め込まれ袋のコメを食べれば、その人のガン発症率は高くなる可能性があります。
一方で汚染米を他のコメと混ぜて数多くの袋を作れば、今度は1人当たりの被ばく線量は下がりますが汚染米を食べる人の数は多くなります。

第三世界05
この場合、人間全体が摂取した汚染米の総量は等しくなり、統計的にはガンの発症割合は同じ数値になります。
ただ、後者の場合福島から遠く離れた場所にも汚染米が拡散する恐れがあり、その場合には統計的にもガン発症の事実の確認なども困難になってしまうという事になります。

金子 : 結果的には 「統計的にガン発症割合が低下した」ということになりますが、その辺りが真実かもしれません。

アーニー・ガンダーセン :
そろそろ冒頭にお話した、今回の本題に戻らなければならない時間が来たようです。
今回の事故も、その後の事故収束・廃炉作業も、すべてが金に支配された展開となってしまっています。
ゲンパツ難民となってしまった人々や周辺で暮らす人々の事を顧みることなく、原子力産業とそれを支える官僚組織、それだけを守ろうとした結果が眼前に展開されることになりました。

anti-nuclear01
金子 :
最後につけ加えさせていただきたいことがあります。
それは私がこの4年間に見聞きし、体験したことは、いったん原子力発電所の事故が発生してしまったら、誰も、どんな組織も、一国の政府ですら状況をコントロールすることなどできなくなってしまうという事です。
被害はどこまで広がるのか、いつになったら収束させられるのが、どれだけのコミュニティが破壊されてしまうのか、コントロールできることなど一つも無く、誰もコントロールすることなどできないのです。

アーニー・ガンダーセン :
そう、誰にも止めることはできないのです…

〈 完 〉

http://www.fairewinds.org/fukushima-meltdown-4-years-later/#sthash.cS4E7Xtk.0cl8vZ9P.dpbs
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今日ご紹介するもうひとつのニュースは『<楢葉準備宿泊>「帰る家がない」厳しい現実』という被災地の地元紙、河北新報の記事です。
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201504/20150403_63012.html
今回の事故では、自宅に住めなくなった人々に対し当然ながら『その家の資産価値に応じて応分の補償をする』ということになっていますが、もしあなたが住んでいた家を破壊された上で「金銭的価値についてだけ補償する」と言われて、納得できるでしょうか?
人が長年にわたり住み暮らしてきた以上、家には数限りない金銭以外の価値が積み上がっていたはずです。
その点については当然のように無視され、しかも支払われるべきとされている金銭価値に対する補償すら満足に行われてはいないようです。
その点を考えると、私などの理解はまだまだ不足していると反省せざるを得ません。

【 福島第一原発のメルトダウン、終わらない悲劇の実相 】《4》

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耐用年数3年のゴミ袋の中身は、300年放射能を出し続ける放射性廃棄物
雨ざらしの放射性廃棄物を詰め込んだゴミ袋の山、危険な状況の放置に募る現地の失望と苛立ち
放射能汚染の二次的被害を拡散する恐れのある、放射性廃棄物の焼却処分

 

フェアウィンズ 3月3日

アーニー・ガンダーセン :
原子力発電所の事故は2度と起きないだろう、そういう考え方があることはあなたも経験した通りです。本当に2度と事故が起きないと確信できれば、誰もが原子力発電所を再稼働させて良いと考えるかもしれません。
しかし実際にはこの35年の間に、原子力発電所は5回もメルトダウンの事故を起こしています。
スリーマイル島で1回、チェルノブイリで1回、そして福島の3回です。
平均すれば7年に1度の確立で、原子力発電所の事故が発生しているという事実を示しています。
それでもなお、自分のところの原子力発電所は事故を起こすことは無い、だから再稼働させることに問題は無いと主張する人々がいます。
私はそんなことを言う人の精神構造が理解できません。
私は福島県内全域に放出されたありとあらゆる種類の放射性物質について、少しお話したいと思っています。実際にあなたが目にしたものについて、お話していただけますか?

凍土壁02
金子 : 福島第一原子力発電所周辺で、特に被害が大きく、被災地とされているのは11の自治体です。しかし実際にはその外側の自治体も含め、多くの市町村が被害を受けています。
福島県内では数多くの巨大なゴミ袋を目にします。
道路沿いに無数に並べられたこの巨大なゴミ袋の中身は、汚染された土地の表面を削り取った土砂や草木などの放射性廃棄物です。
仮置きと称し県内至る所にこうした放射性廃棄物を詰め込んだゴミ袋が積み上げられていますが、そのうちのいくつかは耕作が放棄された水田や畑の中にあり、道路からも見ることができます。

アーニー・ガンダーセン :
ここに周知の事実があります。
今お話しいただいた黒いゴミ袋の耐用年数は3年です。
これに対し、中身の放射性廃棄物は300年間放射能を出し続けます。
もしゴミ袋が放置されたままにされれば、破れて中身が漏れ出し、地下水系に入り込む可能性があり、そうなれば除染された市町村が再び放射性物質に汚染されることになってしまいます。

Gorleben貯蔵所
金子 : そのことについては、日本政府はこれらの放射性廃棄物の袋を3年以内に中間貯蔵施設に移動すると、福島県内の市町村に明確に約束しました。
しかし約束したのは3年前です。
現在すでに約束の3年を超える時間が経過してしまっていますが、この放射性廃棄物を詰め込んだゴミ袋はほとんど仮置き場に置かれたままになっており、このため福島県内の市町村長は失望するとともに苛立ちを募らせています。
これらの汚染された土砂やがれきなど、低レベル放射性廃棄物ということになりますが、これらは最終的に福島第一原発の周囲に建設される中間貯蔵施設に運び込まれることになっています。

アーニー・ガンダーセン :
中間貯蔵施設ではこれらの廃棄物をドラム缶に詰め、地中に穴を掘って防水処理を施し、一定間隔で並べていきます。
しかし私たちは2年ほど前に、この地下に掘ったいわばマスに1インチの亀裂があるだけで、ここから年間60,000ガロン(226,800リットル)の水が漏れ出す可能性があるという事をお話しました。
(【 行き場のない放射性核廃棄物の処理計画 – 中間貯蔵、最終処分、その実態 】kobajun.biz/?p=18732、【 核廃棄物処分場、そこで起きている現実 】http://kobajun.biz/?p=18461)
しかし防水処理を施しても、漏水を完全に防ぎきることはできません。
従って放射性廃棄物を詰め込んだドラム缶なり、ゴミ袋を抱え込んだマスに長さわずか1インチの裂け目が出来れば、そこから年間60,000ガロンの放射能汚染水が地下水脈に流れ込んでしまう危険性があるのです。

汚染水タンク
金子 : ゴミ袋に入った放射性廃棄物は安全に中間貯蔵施設に運び込む必要がありますが、途中の輸送を安全確実に行う方法はあるのでしょうか?
いきなり放射性廃棄物の輸送を始めてしまう事は、実験も兼ねた取り組みだと考えざるを得ません。

アーニー・ガンダーセン :
もう一つ懸念材料があります。
低レベル放射性廃棄物を焼却処分しているという事実です。
木の枝や枯草、ホコリなどの低レベル放射性廃棄物がゴミ袋に詰め込まれて福島県内を始め、各所に存在すること自体問題ですが、もっと問題なのはそれを日本各所の焼却施設で燃やしているという事実です。
もちろん放射性物質は燃やしても無くなることはありません。
私たちは約3年前、日本国内で低レベル放射性廃棄物を焼却処分していることの危険性を指摘しました。
危険であることについては、2つの理由があります。
ひとつ目の問題は、焼却施設の排煙設備にはフィルターがついていますが、すべての放射性物質を取り除くことはできないという事です。

NBC 4
1個1個のセシウムの直径はフィルターが吸着できる粒子よりも小さいため、結局はフィルター越しに外に漏れ出してしまいます。
低レベル放射性廃棄物は環境中の表土を削り取ったものなどですが、それを焼却することにより排煙設備を通して除染が終わったはずの場所に再び放射性物質がふりまかれることになってしまいます。

《第5回に続く》

http://www.fairewinds.org/fukushima-meltdown-4-years-later/#sthash.cS4E7Xtk.0cl8vZ9P.dpbs
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この翻訳記事の掲載とタイミングを合わせるように、東北の地元紙河北新報に
『<指定廃棄物>福島でも処理見通し立たず』
と題する記事が掲載されました。
これを見ても福島第一原発の事故がまだまったく終わっていないことを実感させられます。
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201504/20150402_63017.html

【 福島第一原発のメルトダウン、終わらない悲劇の実相 】《3》

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福島第一原発の事故後、被災地では家庭の崩壊が数多く発生してしまった
原子力発電所が稼働を続ける限り、2度と事故は起きない、起こさないなどいう事は誰も保証できない

 

フェアウィンズ 3月3日

アーニー・ガンダーセン :
私が理解している限り、日本の人々にとって祖先を祀ることは非常に大切なことです。
少なくとも年に数回、祖先を祀るための日があり、その日は国民の休日になっています。
しかし福島の事故は、そうした祖先との深いつながりすら破壊してしまったのではありませんか?

金子 : 日本の人々がその土地を愛するという場合、そこには山や川、その場所の自然、そして四季折々の美しい風物までが含まれ、今日であってもその思いは変わりません。
そして人々の望郷の思いはきわめて深く、切実なものがあります。

そして地元のコミュニティ、具体的には地方自治体のようなものですが、その一員であるという意識を強くもっています。
しかし福島の被災地ではそれも、福島第一原発の事故が破壊してしまいました。
物理的にその場所に住むことができないという事実に加え、町にしても村にしても自治体が組織としても機能することができず、気持ちの上でも帰属意識は失われてしまいました。

岡原7
さらにはこれら地方自治体の首長、つまり町長や村長、あるいはコミュニティの責任者と言った立場の人と、その住民たちとの関係も悪化しています。
これらの首長たちが人びとの生活より自治体の組織を温存することの方を優先しているのではないかという不満が、住民側にたまっているためです。

事故以来、こうしたコミュニティの崩壊は常時見られるようになりました。
そして家庭の崩壊も数多く見られるようになりました。
人びとが家庭を壊そうとしている訳ではありません。
事故の結果、誰も望まぬ家庭の崩壊が恒常的に見られるようになってしまったのです。

私は川内村で息子さんと一緒にガソリンスタンドを経営していた一人の女性と話をしました。
彼女は事故後ほどなく、避難を強制された自宅に息子さんと一緒に戻りました。
娘さんが飼っていた猫に餌を与えるためです。
すでに避難命令が出されていましたが、ちょうどその時点では村に戻ることも可能に見えたようです。
そして息子さんがかつて暮らしていた沿岸の富岡町にも行きましたが、これは福島第一原子力発電所が爆発を起こしていたことを知った人々が、とるものもとりあえず生活に必要な類いのものも置き捨てて避難することを最優先にしたため、必要なものを回収することが目的でした。

NBC25
驚くべきことに、こうして彼女は放射線量が極めて高い場所に入っていきました。
こうしたことが起きたこと自体、驚くべき事と言わなければなりません。
しかし私が言いたいのは、彼女と息子さんが川内村で経営していたガソリンスタンドに実際に戻ったという事実です。
なぜでしょうか?
息子さんは当時村に留まっていた高齢者の方々の事が気がかりで、その世話をしたかったのです。
当時、そのために川内村に行ける適当な人が見つかりませんでした。
息子さんは高齢者の方々が凍えたりしないよう、充分なケアをしなければならないと考えていました。

彼がとったこうした行動、そして人々の故郷に対する愛着について考えるとき、当然のことながらそこにあったのは自治体とかそういう事ではなく、コミュニティとそこに暮らす人々を大切にしたいという思いであったはずです。

これ程に自分が生まれ育ったコミュニティに対し愛着を持っていた息子さんですが、残念ながら奥さんと小学校3年生の子供さんは現在東京の近郊で暮らしています。
放射線被害は特に低年齢の女の子に対して著しく有害であると言われている以上、被害を未然に防ぐために、娘さんを汚染された地域に置いたままには出来なかったのです。

NBC13
これほど厳しい現実が他にあるでしょうか。。
奥さんと娘さんは年に2、3回しか父親のところに戻ることができません。
そして別れる時には、みんなが涙を流します。
愛し合っている家族であり、娘さんはお父さんのことが大好きなのです。
私があって話をした川内村の女性は、そうした彼らの様子を見る時が一番つらいと語りました。
私は彼女にこの世で最も大切なものは何かと尋ねました。
家族以外にありません、それが彼女の答えでした。

そして彼女は現在、日本政府が原子力発電所を再稼働させるべく準備を進めていることについて、全く不当な行為だと語りました。
問題外です。
彼女は自分たちが苦しんでいる状況が、また別の場所で再現されることを望んでいません。
二度と福島第一原発の事故のような災害が発生することを許してはならないのです。
しかし原子力発電所が稼働を続ける限り、2度と事故は起きないなどいう事は誰も保証はできないのです。
誰も保証する事などできないはずなのです。

FOX News
アーニー・ガンダーセン :
そうです、そんなことは不可能です。
3年前に日本を訪問した際、私もその事を言いました。
原子力の時代は日本において、最も不幸な形で始まりました。
ヒロシマ、ナガサキと立て続けに原子爆弾が投下された時です。
そして締めくくりもまた、日本である可能性が出てきました。
福島第一原子力発電所です。
原子力の時代は日本で始まり、日本で終わる可能性もあります。
しかし今日本の人々に対し、国内の原子力発電所の再稼働を認めるよう圧力がかけられています。
そうした現実を目の当たりにすることは、私にとっては非常に悲しいことです。

金子 : それを裏書きするような事実がありました。
川内村でガソリンスタンドを経営していたこの女性は、ある現実について語りました。テレビが伝えた少年の言葉に非常な衝撃を得たと語りました。

Jビレッジへのバス待ちの列
福島第一原発が立地していた大熊町出身の中学生程の男子生徒が、福島第一原発と東京電力は自分たち家族に生活の糧を与えていたと語り、再稼働されれば、彼の家族はまた福島第一原発で働くかもしれないと語ったのです。
これを見る限り、日本には原子力発電所の再稼働が安定した生活と経済的繁栄をもたらすという期待が存在すると思わざるを得ないのです。

《第4回に続く》

http://www.fairewinds.org/fukushima-meltdown-4-years-later/#sthash.cS4E7Xtk.0cl8vZ9P.dpbs
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東北の地元紙、河北新報に『<福島廃炉への道>トラブル続発、処理に遅れ』と題し、「東京電力福島第1原発の廃炉工程は最長40年かかるとみられ、前例のない険しい道のりが続く。廃炉に向けた動きを月ごとにまとめ、解説する。」という記事が掲載されています。
福島第一原発の原子力発電所所のご確認に、ご利用ください。
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201503/20150331_63030.html

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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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