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【 日本の六ヶ所村再処理工場、脅かされる日本の原子力関連施設 】〈3〉

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所要時間 約 11分

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結局日本の原子力行政は、電力会社・原子力関連企業のなすがままを追認しているに過ぎない
幹部の大量逮捕後も、日本の原子力関連施設の『調査・研究』を続けていたオウム真理教
数年間、東京がアルカイダの攻撃目標のひとつになっていたことを知らなかった日本当局
六ヶ所におけるプルトニウム製造を間近に控え、原子力(核)関連施設の防衛体制の見直しは急務

 

ダグラス・バーチ、ジェフリー・スミス、ジェイク・アデルスタイン、センター・フォア・パブリック・インテグリティ(公正中立の社会正義) / アメリカNBCニュース 2014年3月11日

六ヶ所村
現在の日本の原子力発電所の警備体制も10年前のものと大差はないと、オバマ政権の担当者が匿名を条件に(外交上のやり取りは微妙な問題であるため)インタビューに応えました。
彼は福島で発生した壊滅的な事態は、何の装備も持たない民間警備会社程では無かったものの、日本の警察と軽装備の海上保安庁は、二義的な役割しか果たすことが出来なかったと語りました。

結局日本の原子力行政というものは、電力会社や原子力関連企業のなすがままを追認しているに過ぎない、彼はそう指摘しました。

日本では最近、六ヶ所村再処理工場を含む原子力関連施設で、テロ攻撃を想定した訓練を実施し、一部のアメリカ人がその様子を見学しましたが、アメリカ側がその訓練が
「事前に準備された、マニュアル通りの展開だった」と語り、あれではどんな侵入者も撃退できないと語りました。
「原子力関連施設であまりに本格的な訓練を行なえば、一般国民の不安と懸念をかきたてることになることを、何より恐れているのです。」

ジョン・トーマス・シーファー氏は2005~2009年駐日大使を務めました。
彼は原子力関連施設の警備について日本がなぜ武器を携帯しないことにこだわるのか、その歴史を振り返ることで説明できるかもしれないと語りました。

第二次世界大戦中、大日本帝国政府は国民の監視を目的に、世界的に悪名高い憲兵隊を含む大規模な国内諜報網を作り上げ、その行動や思想について事細かに調べ上げました。
「日本人には、戦争中の警察国家に後戻りしたくないという強烈な思いがあるのです。」
シーファー元駐日大使がこう語りました。
「戦争中、日本人は国家とはどうあるべきかという事などを口にしただけで、死刑や死に至るまで拷問されるなどの悲惨な目を強いられる、そんな時代を経験させられたのです。」

もんじゅ02
2000年代に東京で勤務したもう一人の元アメリカ国務省の官僚は、
「彼らの考え方の根底にあるのは、国家の秩序が問題なく保たれているという見方です。かられは島国に住み、敵対勢力などと呼ぶべきものも国内には存在しません。」
「原発その他の原子力関連施設についても、我々アメリカ人とは全く別の観点でとらえているのです。」

▽ 平和主義的文化

しかし、日本もテロと無縁であったわけではありません。
1970年代、日本赤軍を名乗るグループは何度か大型旅客機のハイジャックを行い、1972年には3人の実行犯がイスラエル、テル・アビブのロッド空港で攻撃を無差別発砲事件を引き起こし、26人を殺害しました。
別の好戦的なグループは、1984年、実質的に日本を支配する自由民主党の東京本部に向け手製の火炎放射器を発射しました。
その1年後には東京の羽田空港に対し迫撃砲を発射しました。
1997年に先進7カ国蔵相会議が東京で開催された時には、皇居と米大使館に対して自家製のミサイルを発射しました。

しかし史上最も危険であったのは、核兵器の所有すら目指した、終末論を唱える宗教団体、オウム真理の脅威の長期にわたる存在でした。
教団の導師麻原彰晃を信奉する信者たちは、旧ソビエト連邦の核兵器を購入し、武器開発に携わった科学者を金で仲間に引き入れるべくロシアに旅立ちました。
この件の調査報告書は、オウム真理教が核弾頭購入のために、当時の金額で15億円を用意していたことを明らかにしています。
1993年にはオーストラリアで羊牧場を購入し、そこで25人の信者は核爆弾を製造するためウランを採掘しようとしました。

Japan Plutonium
これらの計画はすべて失敗に終わると、麻原は生物・化学兵器の製造に方針を変更しました。
1995年最終的に麻原は13人を殺害、6,000人以上を傷つけた東京の地下鉄内でのサリン神経ガス攻撃を命じました。
麻原は現在、刑務所内で処刑を待つ身です。

幹部の大量逮捕後も、残ったオウム真理教の幹部が日本の原子力産業の調査・研究を続けていたことが解っています。

2000年に警視庁が明らかにしたところでは、オウム真理教はハッカーと手を結び、各原子力発電所の核燃料搬入のスケジュールを手に入れ、高速増殖炉もんじゅの冷却システムの研究を行い、原子力関連事業に携わった75人の研究者の人事ファイルを作っていました。

前の海軍省長官で現在は4名で構成されるオバマ大統領の情報顧問委員会のひとりであるリチャード・ダンツィヒ氏が2011年に作成した1通の報告書に次の記述があります。
「オウム真理教の資源に関する警察の追求は、著しく不十分なものであった。」
この狂信者の集団は、日本のプライバシーと信教の自由を保護する法律により詳細な捜査を免れ、警察当局は逮捕された幹部以外は、オウムの信者について単に無害な変人の集団に過ぎないと結論したのです。

2003年5月にアメリカ当局に逮捕されたテロリストのハーリド・シーク・モハメドは、成田空港で大型旅客機をハイジャックし過密都市東京の中心部にあるアメリカ大使館に自爆テロを行う計画のため、実行犯の獲得に動いたことがある事を自白しました。
シーファー元駐日大使は、機密情報の取扱い規則により、この情報はハーリドの自白調書が公開される2007年3月まで、東京がアルカイダの攻撃目標のひとつであることを日本側には伝えていなかったと語りました。
「初めてその事実を知った時、日本人は大いに動揺することになったのです。」

廃炉01
アメリカ側の度重なる余生にもかかわらず、日本は長い間、原子力発電所に迫る脅威に関する機密情報を共有するために必要な国内での手続きを進めることに抵抗を示していました。
これはウィキリークスが暴露した別の外交文書により、原子力発電に対する一般国民の抵抗が大きくなることを日本側が恐れていたためだったことが明らかになりました。

日本の外務相の核拡散防止担当の小溝康義氏は、2008年に訪日した米国エネルギー省の代表団に対し、日本側が懸念している点について次のように語ったことが本国への電報で伝えられました。
「たとえば、原子力関連施設に対する脅威が国内に存在すると公表した場合、一部の人々の存在そのものが問題なのだと、とられかねないのです。」

日本では昨年12月、安倍首相が強く主張して特定秘密保護法が議会で可決されました。
しかしアメリカ側の懸念が払しょくされることにはなりませんでした。

この10年間アメリカ政府は日本政府に対し、決して脅すような調子では無く『極めてフレンドリーに』日本国内の原子力関連施設の警備を強化するように助言を続けてきたと、オバマ政権の当局者幹部が語りました。
「日本の原子力(核)関連施設には、米国のそれにあるような武器防衛システムがあるでしょうか?確信をもって言えますが、日本にはありません。そこにいるのは全員が一般人であり、準軍事的行動をするのではなく、求められているのは法の執行者としての任務です。」
「これまでのところ、日本のこうしたやり方が誤りであることを証明する事件等は起きてはいません。」

「しかし、私たちはあえて尋ねる必要があります。『本当にこのままの状態で、危険を回避できるのか?』と…」

特定秘密 2
六ヶ所村再処理工場におけるプルトニウムの製造を間近に控え、日本の原子力(核)関連施設の防衛体制の見直しは急務となっているはずなのです。

 

〈第4回に続く〉

http://www.nbcnews.com/storyline/fukushima-anniversary/japan-producing-huge-lightly-guarded-stockpile-plutonium-n49376
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『姑息』『卑怯』などと言う言葉は日常ではまず使うことが少ない言葉ですが、日本の原子力行政を取り上げた海外の記事を読むと、毎回これらの言葉が思い浮かびます。
国家の枢要を担わなければならない行政の中身が、『姑息』『卑怯』である事こそが私たち日本人のつらいところです。

しかし一方でそれは、行政を官僚任せ、政治家任せにしてきた私たちの責任でもあります。
私もその一人ですが、福島第一原発の事故以降、より良い社会・より良い国家を築くためには市民自身が行動しなければならないことを、多くの日本人が学びました。

その積み重ねが無ければ、国家は官僚や政治家の『狩場』のままで終わってしまうでしょう。
ひとり一人の人間の大切な生活を積み上げたものが国家であることを、全員が思うべきです。

ここの所個人的に多用が続き、明日6日(日)は掲載をお休みさせていただきます。
この稿の第4回は7日月曜日に掲載いたしますので、よろしくお願いいたします。

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