ホーム » エッセイ » 【 日本政府に問題の解決能力はあるのか?福島第一原発の汚染水 】《後篇》[ドイツ国際放送]
世界各国からの提案はすべて却下、そして泥沼にはまり込んだ日本
「何としても事故を解決する」その覚悟も無く、保身を先行させ、愚策の山を築いた東京電力
ジュリアン・ライオール / ドイチェ・べレ(ドイツ国際放送) 9月4日
事態の展開を受け原子力発電の専門家は、日本政府は介入するならもっと早い段階で介入すべきであったと批判しています。
「事故は30ヶ月も前に起きたのです。そして東京電力は政府に対し、充分に対処し得ると返答したのでしょうが、それはあまりに楽観的過ぎました。あるいは、これから何をしなければならなくなるのか、理解できていなかったのかもしれません。」
アメリカ、メリーランド大学のトム・スニッチ教授が、ドイチェ・べレの取材にこう答えました。
「不幸なことに、政府は彼らを信じてしまったのです。」
「世界中の原子力関係機関や企業から様々提案がありましたが、そのほとんどが実施計画から除外されてしまったのです。」
スニッチ教授がこう続けました。
「福島の問題を解決するための具体策は存在します。ただし、いずれもが技術的に高度なものであり、いずれも高度な技術を持つ世界各国の専門機関、あるいは企業が直接行うべきものです。」
「問題は、日本政府がこれらの解決手段を実行する、そのための政治決断ができないということなのです。」
同教授によると日本の政府関係者は、アメリカの企業には福島の事故収束・廃炉作業を行うためのふさわしい技術は無いと主張しています。
彼らは、米国企業はかつては核兵器工場であった施設での作業経験、それしかないと主張しているのです。
しかしスニッチ教授はこうした主張は、アメリカとイギリスの原子力関連機関・企業を締め出すための、言いがかりに過ぎないと語りました。
「利用される場所に関わりなく、原子力工学の中身は世界共通なのです。」
▽非現実的願望を抱かせることは、かえって残酷である
スニッチ教授は、日本政府は苦しくはあっても正しい決断をしなければならないと語ります。
日本の国民、そして世界中の関係者に対し、ありのままを伝えなければなりません。
日本政府は漁業関係者に対し、汚染水が福島第一原発の内港に留まるなどと言う事はあり得ない、外洋に向け拡散していくことは避けられないと伝えるべきである。
さらには20キロ圏内の立ち入り禁止区域の住民の帰還は、半永久的に実現できないと正直につげるべきである。
スニッチ教授がこう付け加えました。
「福島第一原発の周辺で生活していた人々は、事故から2年半も過ぎれば、2011年3月10日以前と変わらない生活ができるようになる、そうした誤った見解を信じ込まされてきました。
それはあまりに非現実的な戯言であり、現実になるはずの無いものです。」
さらには複数の専門家が、1,533本の使用済み核燃料を取り出していったいどこに保管するのか、これまでに大量に使用された放射線防護服、防護マスク、ゴム手袋やその他の装備が放射性物質によって汚染され、作りだされた大量の『核廃棄物』をどう処分するのか、一刻も早く議論を始める必要があると指摘しています。
スニッチ教授は次のような見解を持っています。
日本が始めから事故の解決だけに専念していれば、結局は役立たずだったアレバ社のフィルターなど購入することは無かっただろう。
購入して間もなく問題が見つかった、62種類の放射性物質を取り除くとのうたい文句のALPS(アルプス – 放射性物質除去設備)などという、高価な機械を購入することも無かっただろう。
品質がバラバラのボルト止めの、結局は多数の汚染水漏れ事故を起こした汚染水タンクを、何百基も急造することも無かっただろう。
「人生において危機に直面した時、人はまず最初に問題を抱えてしまったことを素直に認め、謙虚になる必要があります。」
スニッチ教授が最後にこう語りました。
「そうして初めて、本当に役に立つ援助の手が差し伸べられることになるのです。」
〈 完 〉
http://www.dw.de/can-tokyo-stop-the-fukushima-crisis/a-17066352
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日本の首相がブエノスアイレスでついた、あの『大ウソ』が頭を離れません。
あの発言で、福島を始めどれ程多くの人々の心が傷ついたか…