ホーム » エッセイ » 安倍政権vs.地方自治体のクラッシュ : 新型コロナウイルス
この期に及んで尚、各自治体に『様子を見るよう』指示する安倍政権の新型コロナウイルス『対策』
感染拡大がもはや制御不能に陥っていることを認めざるを得なくなった安倍政権
新型コロナウイルスから命を守る、日本ではそれは自己責任
ジャスティン・マッカリー / ガーディアン 2020年4月9日
小池百合子東京知事は、新型コロナウイルスの感染拡大を阻止するために業務の停止を求める業種を拡大したい意向を明らかにし、安倍首相との衝突が避けられない状況になってきました。
4月初旬、東京では新型コロナウイルスに感染した人の数が記録的な勢いで増加し、1,400万人の住民が自宅待機を求められる中、緊急事態宣言の具体的適用内容をめぐる小池都知事と安倍首相の間の見解の相違が急速にエスカレートしています。
安倍首相が今週緊急事態を宣言した直後、小池知事は「住民に自制と自宅待機を求めるだけでは十分ではない」と語りました。
「レストランやカラオケ店など、クラスターを引き起こす可能性の高い施設の使用も制限すべきです。」
小池知事は10日金曜日に、都の新型コロナウイルスとの戦いのため、業務停止が必要な業種と日常生活のために不可欠ではない業種の一覧を発表するとみられています。
東京都と日本政府は企業に対し比較的緩やかな制限しか課さないという方針をめぐって対立し、東京都民は他人と接触する機会を70~80%削減してほしいという安倍首相の依頼を実行するべく苦闘しています。
4月7日に宣言された緊急事態は、東京と他の6つの都府県の約5,600万人が対象となり、知事がレストランや重要でない商店に対し閉鎖を求めることを可能にしますが、国内のメディアは日本政府の当局者はウイルス対策として厳格な制限を課した場合に経済が深刻な不況に陥ることを恐れ、ためらっていると伝えました。
4月7日の時点で日本は4,257人の感染者と92人の死者を出し、中国、米国、ヨーロッパの一部で起きている広範囲な感染爆発には至っていませんが、最近に成って感染者が急増している東京では1,339件の感染例が報告され、他の主要都市も新型コロナウイルス対策に決定的な対策を打ち出そうとしない安倍首相に緊急宣言を要求しています。
国民一人一人は3つの『密』、すなわち密閉された空間、人々が密集する場所、密接な接触を回避するように求められていますが、安倍首相は中小企業は営業を続けるべきだと語り、レストランなどに対しては換気の改善などの『予防策』を講じるよう求めています。
日経アジア・レビューやその他のメディアによると、コロナウイルス対策を監督している西村経済再生担当大臣は、小池都知事や各都府県の知事に対し、人と人とが十分な距離を保って行動することが感染ペースの減少に貢献するかどうかを判断するため、2週間様子を見るよう伝えました。
一部のレストラン、バー、カフェ、ホステスクラブ、パチンコ店、カラオケ店は閉店しましたが、損失を被った業者に直接営業補償をすることは「非現実的だ」とする安倍首相の否定的態度を懸念し、まだ営業を続けている店舗もあります。
「安倍首相が目指す他の人と接触する機会を70%~80%近く削減する、とてもそこまではできないと思います。」
自分が働いている東京の中心部にある区役所の前を行き交う人々を眺めながら、古澤良彦さんがこう語りました。
「最一番大切なことは、仕事帰りに人々が飲み屋に行くのを止めることだと思います。」
宣言の後、東京都内の繁華街がある幾つかの通りはいつもと違って静かでしたが、在宅勤務を許すことを多くの企業が躊躇したため、通勤する人は混み合った電車に乗り込まなければならず、Covid-19の感染拡大を2週間後には減少に向かわせるという安倍首相の見通しには多くの人が疑問を抱いています。
東京中心部を周回する山手線の乗客数は、ここ数週間の平日の朝に約40%減少していますが、それでも政府の目標にはまだ十分達していません。
地下鉄の各路線は約30%の利用客数の減少を報告しています。
神戸大学病院の感染症専門医である岩田健太郎氏によれば、人と人との接触機会を減らすことは感染率を低下させるために不可欠であると広く考えられていますが、その成否は部分的には各企業が従業員を公共交通機関からできるだけ遠ざけることができるかどうかにかかっています。
「日本人は概して権威に従順であり規則に従った行動をとりますが、それは自分が働いている会社や組織が今後どのような対応を取るかにかかっています。今回の件については日本の各組織が伝統的な働き方を放棄して従業員に在宅勤務を奨励することができるかどうかが成否のカギになります。」
安倍首相は世界で3番目に大きな規模を持つ経済に影響が及ぶ事を恐れ、国内の各企業、とりわけ日本の国内総生産の約5分の1を生み出している東京都内の企業に圧力をかける事をためらっており、そのために緊急事態宣言が現実的に効果を発揮できていないという批判が起きています。
「安倍首相は自分の仕事は一部まだ生き残っているアベノミクスの残骸の救済に集中することだと考えているようです。」
上智大学で政治学を専攻する中野晃一教授がこう語りました。
「安倍首相は日本経済をさらに悪化させる恐れから緊急事態宣言の発令に消極的であり、新型コロナウイルス対策にはずっと及腰でした。しかしここに来て新型コロナウイルスの感染拡大がもはや制御不能に陥っていることを認めざるを得なくなったのです。 」
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事ここに至れば、安倍政権の新型コロナウイルス対策の主眼がどこにあるか見えてきたように感じます。
第一に守りたいのは日本経済の優位性であって、人命ではないという事です。
新型コロナウイルスの自覚症状があるだけでは、治療の前段の検査すらしてもらえないという現状は、『有事』における日本の医療態勢が非常に脆弱であるという現実を白日のもとにさらしました。
今や日本における新型コロナウイルス禍の最大の懸念は医療崩壊です。
そしてこの医療態勢の脆弱さこそは[アベ政治]7年間の決算事項のひとつです。
高額な米国製兵器、さらにはアメリカ大統領夫人の個人事業に国の予算を気前良くつぎ込む姿勢を見せる一方で、日本の医療態勢をいざという時に国民を守れない状態に追い込んだのです。
しかし、新型コロナウイルスに感染し命が危険にさらされても助けてもらえるかどうかわからないという医療態勢を導きだした[アベ政治]、その継続を許してきたのは私たち国民自身です。
このような政権の継続を許してきた以上、私たち日本国民はいざという時に命を守ってはもらえません。
苦しい生活の中からどれだけ税金を支払っても、いざとなったら自分の身は自分で守らなければならないのです。
大きな痛みを伴う実物教育になりました。