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【 21世紀社会が抱える深刻な課題 : ノーム・チョムスキー 】《2》

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所要時間 約 10分

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北朝鮮がこれほど執拗に軍事的挑発を繰り返している理由が、世界的識者により解き明かされる

人類への貢献を考えることなどカネと時間のムダ!金と権力の追及こそトランプ政治の基本姿勢

何か深刻な問題が明らかになったら、そんな問題は存在しないという法律を作ることが共和党式解決法

 

デモクラシー・ナウ 2017年5月29日

 

ノーム・チョムキー:

昨年2016年11月8日、地球温暖化防止のため約200カ国が参加して行われていた会議は、トランプ新大統領の誕生によって実質的に前に進めなくなってしまいました。

質疑は続いていましたが、会議の課題はまったく変質してしまっていました。

アメリカの離脱が現実味を帯び実質的に意義を失ってしまうかもしれないこの温暖化防止のための取り組みについて、どうすれば救済することができるのか、という事です。

そして実に驚くべきことに、世界の国々は別の国、すなわち中国へ救いを求める方向に向かいだしたのです。

そうです、世界はあの中国に地球温暖化防止のための望みを託そうとしているのです。

一方米国はといえば、人類史上最も危険な組織の支配下に置かれた政府自身の手で、地球温暖化に取り組みを続けてきた3つの政府機関の体制が、今まさに破壊されようとしているのです。

 

その後起きたことをここでいちいち詳しくお話するつもりはありませんが、トランプ政権における閣僚人事はアメリカに富をもたらすか国力を増大させる以外の余計なもの、つまり地球上の人類すべてに貢献するという類いの政府機関についてはすべて破壊する必要があるという信念を持つ人々にポストを与えているように見えます。

そしてトランプ政権の閣僚たちは、そうした破壊活動を秩序正しく(?)進めています。

環境保護局(EPA)の組織は急速に縮小されつつあります。

そしてエネルギー省の中で環境問題に取り組む部門も大幅に縮小され、様々な計画も中止になりました。

さらにこのことは紛れもない事実ですが、こうしたことが行なわれていることに関する情報や資料の公開や投稿を禁止することさえ行なわれているのです。

そしてこうしたことは国家レベルだけで行われているのではないのです。

共和党、呼び方が何であれ、あらゆるレベルでこうしたことを実行しています。

ノースカロライナ州では数年前、主にゲリマンダー(自分たちに都合よく選挙区の線引きを行う事)のおかげで共和党が州議会の支配下にはいりましたが、ある調査が行なわれていました。

この時ノースカロライナ州は、地球温暖化による海面上昇がノースカロライナ州の沿岸地区にどのような影響を及ぼす可能性があるか、その調査研究を行っていました。

 

精密な科学的検証が行なわれた結果、正確に何年後にそうなるかは忘れましたがそれ程長くは無い年数の後、海面が約1メートル上昇し、ノースカロライナ州東部に甚大な被害を及ぼす可能性が明らかになりました。

この事実に対し、共和党が支配する州議会は気候変動に関連する市民運動や議論を禁止する法律を制定することで応じたのです。

驚くべき事ですが、こうした政治のやり方について、著名なコメディアンであり、警抜な発言をすることで有名なスティーブン・コルベールの言葉を引用することにしましょう。

「社会で何か深刻な問題があることが明らかになったら、解決方法はそんな問題は存在しないという法律を作ることである。」

そして実際、アメリカでは至る所でこうした方法が採られているのです。

 

そして問題は気候変動に留まりません、さらに悪い事態が進行中です。

私たち人類は現在、非常に禍々(まがまが)しいものの下で何とか生き延びようとしています。

それは核戦争です。

これはまったく別次元の話です。

この問題についてはオバマ政権も責任を免れることはできませんが、トランプ政権になってその危険は急拡大しています。

 

新たな核兵器開発の脅威については、核兵器が開発されていた初期に、原子工学の科学者たちによってシンプルながらも非常に効率的に核実験の様子をモニタリングできる計測技術が確立されていました。

実現させたのはアメリカの科学雑誌『ブレティン・オブ・ジ・アトミックサイエンティスツ』に参加している科学者たちです。

 

みなさんもすでにご存じだと思いますが、ここに参加しているのは科学者、政治アナリスト、そして社会問題に常に真剣な取り組みを行っている一般市民などであり、現在世界が置かれている状況がどのようなものであるかを明らかにしようとしています。

そして人類はいつ滅亡してしまうのか、という究極の疑問を提示しています。

ここで世界的に注目を集めているのが『終末時計』です。これは地球最後の日まで、残り時間が何分あるかを示すもので、針が深夜零時を指した瞬間、地球が滅亡するとされています。

そして毎年話題になるのが、今年この時計は残り何分を示しているのか?ということです。

 

この時計が考案されたのは1947年、核兵器自体に入ったこの年に終末時計の残り時間は7分間に設定されました。

この時計の針が地球滅亡の瞬間に最も近付いたのは1953年でした。

1953年、米国とロシアはともに水素爆弾の実験を行い成功させましたが、これは人類の生存にとって深刻な脅威です。

 

そして大陸間弾道ミサイルの実験も成功し、当時のソ連はいつでもアメリカに水爆を積んだミサイルを撃ち込むことが可能になり、米国は史上初めて安全保障に対する重大な脅威が存在することを認識せざるを得なくなりました。

この問題の背景にはさらに興味深い話があるのですが、ここでお話している時間はないので、またの機会に取っておきましょう。

とにかく水爆と大陸間弾道ミサイルの誕生により、終末時計が標す人類滅亡までの時間は残り2分にな

そしてそれ以来、終末時計の針は行ったり来たりを繰り返しているのです。

 

たしか2014年だったと思いますが、アナリストたちは自分たち鳴らす警鐘が無視されるという、初めての経験をしました。

彼らは核時代の始まりが地政学上の新たな時代の幕開け、いわゆるアンスロポシーン(人新世 / 人間が地球の生態系や気候に大きな影響を及ぼすようになった、18世紀後半の産業革命以降の時期を指す言葉。そのはるか前、農業の起こった時代以降を指す場合もある。/【語源】ノーベル賞を受けた大気化学者Paul Crutzenの2000年の造語。anthropo(人間)+ cene(新しい)- アルク http://eow.alc.co.jp/ より)の始まりと時を同じくするという概念を提唱しました。

この人間の活動が地球全体の環境に大きく影響しているということについては、若干の議論があります。

さらにはそれがいつ始まったのかという議論もあります。

 

しかし世界地質学連盟(World Geological Organization)はつい最近、核兵器時代とアンスロポシーン(人新世)はほぼ同じ時期に始まったと結論づけました。

ですから私たちは、人類の生存に対して重大な脅威が二重に存在する時代に生きていることになります。もちろん絶滅させられるのは私たち人間だけではなく、この地球上のほとんどの生命が人間の活動によって非常に深刻な脅威にさらされているのです。

私の記憶では2014年だったはずですが『ブレティン・オブ・ジ・アトミックサイエンティスツ』の人びとはこうしたことを考慮に入れ、真夜中まで残り3分の位置まで週末時計の針を動かしたのです。

 

《3》へ続く

https://www.democracynow.org/2017/5/29/noam_chomsky_in_conversation_with_amy

+ – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +

 

「北朝鮮がこれほど執拗に軍事的挑発を繰り返している理由が、世界的識者により解き明かされる」

その理由については次回の《3》で明らかにされます。

現状、狂気に支配される体制を作りだした根本原因が、朝鮮戦争当時のアメリカ軍の戦闘日誌に記されているというチョムスキー氏の卓抜な指摘が行なわれています。

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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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