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【 原子力発電は廃止しなければならない、その理由 】〈前編〉[ザ・ガーディアン]

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所要時間 約 9分

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「福島ではこれから生まれてくる世代まで、放射能汚染の脅威に苦しまなければならない」
「福島第一原発が放出したセシウム137は、 広島原爆の168倍の量」
「放射線被爆が原因の死者は数万人に上る恐れがある」
「数多く対策を実施するドイツは2030年には電力需要の100%を再生可能エネルギーが賄う」

キャロライン・ルーカス/レベッカ・ハームズ/ダニー・コーン・ベンディット / ザ・ガーディアン 2012年2月17日


写真:2007年4月、ブシェール原子力発電所の内部機器を点検する技術者。

昨年3月11日、日本を巨大地震と津波が襲い数万人が犠牲者となり、そして福 島の原子力大災害が発生しました。
世界の関心は他の問題に移りつつありますが、福島の事故そのものは解決には程遠い状況にあります。
そしてこれは原子力災害の宿命ですが、福島の事故はいつまでも続く放射性物質の影響をその地にきざみつけました。

1年を過ぎでも、状況はまだ安定などしていません。
政府が行った『冷温停止状態』宣言は、この事故の影響を受けた国民の怒りを買い、原子力専門家からの不信を集めました。
2月中旬に始まった原子炉2号機の温度上昇が示すように、福島第一原発の状態は不安定であり、再び大地震が起きれば大事故を繰り返す恐れが残っています。
この状況を克服し、真に安定した状態を取り戻すには、数千人の作業員を毎日動員しても数十年を要すると見られています。

そして原子炉周辺から20km圏内の避難区域に目を転じれば、これらの地域、そして隣接する地域においては、これから生まれてくる世代まで放射能汚染の脅威に苦しむこと になってしまいました。

具体例を挙げましょう:福島第一原発がこれまでに放出した放射性セシウム137(約30年の半減期を持っている)の量は、広島に投下された原爆が放出した量の168倍なのです。
このことにより、この地区で放射線被ばくに関連して死亡する人は数万人に達する恐れがあります。

福島も25年前のチェルノブイリと同じように、原子力事故の発生割合は高くは無いかもしれないものの、いったん事故が起きれば途方もない被害が発生する危険性があることを、私たちに教えました。

原子力発電の利用を継続することは原子力技術の拡大につながりますが、結果的には取り返しのつかない結果をもたらすことにもなります。
このような悲惨な結果を生まないようにするには、世界で一斉に原子力発電を段階的に廃止する以外、途は無いのです。

一部の国々はこの事実に気がついているようです。
ドイツでは福島第一原発の事故を受けて、政府がいち早く方針変更を行い、すでに合意済みであった原子力発電の段階的廃止を実行に移すことになりました。
数多くの対策を実施することにより、2030年にはドイツは電力需要の100%を再生可能エネルギーによって賄う見通しが立ちました。
そしてイタリアでは、国民の大多数を占める90%が原子力発電反対の国民投票を行いました。

しかし日本では同じようなことはまだ起きていません。
54基ある原子炉のうち、現在は3基だけが稼働し発電を続けていますが、原子力安全保安院をはじめとする政府機関が『ストレステスト』の陣頭指揮を行っています。
そして政府は大部分の原子炉の再稼働を目論み、さらには40年とされる原子炉の寿命を60年にまで延長させようとしています。

しかしこれには日本国民は強く反対しています。
各種の世論調査は、今や日本国民の多数が一貫して原子力発電に反対していることを示しています。
原子力発電に反対する各地方の草の根運動は、日本中で盛り上がりを見せています。
信念を持って原子力発電に反対している県知事や市町村長は多くはありませんが、それでも選挙で票を失う事を恐れ、とりあえず市民の意見に追随する動きを見せています。
〈つづく〉

http://www.guardian.co.uk/environment/2012/feb/17/phase-out-nuclear-power?INTCMP=SRCH
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「国民は原発再稼働に強く反対している・政府はそれを無視した政策を進めている」
たったこれだけのことすら言わない日本のマスコミ、断言する英国のメディア。

そしてもっともショッキングなのが、
「福島第一原発が放出したセシウム137は、 広島に投下された原爆の168倍の量」という記述です。

私たちは何となく、根拠もなく、「福島は広島や長崎程ひどい事はあるまい」と考えていた節があります。
しかし私自身、何本も何本も世界各国の福島第一原発の事故に関する記事を翻訳するうち、疑問がわき、疑問が疑念に変わり、そして疑念は確信に変わって来ました。
「原子力業界は常習的に不正表示を行い、自分たちに都合の良い解釈を広め、疑惑はすべて否定し、ときにはあからさまに他人をだます。」( http://kobajun.biz/?p=1606 )という記事がありましたが、日本の場合、「日本では原子力業界だけでなく、政府機関までが常習的に不正表示を行い…以下同」とならなければなりません。

それにしても、
「信念を持って原子力発電に反対している県知事や市町村長は多くはありませんが、それでも選挙で票を失う事を恐れ、とりあえず市民の意見に追随する動きを見せています。」
なんて日本のマスコミなら書けないイギリス流の表現、皮肉たっぷりに真実をついています。
しかし、大切な部分です。

今、反原発の姿勢を「見せて」いる地方の首長や政治家の何割かは、一般市民の怒りの凄まじさに「迎合」しているだけの可能性が高い。
ということは、市民の感情がおさまったり、関心が薄れてくれば再び態度を変える可能性が高い、という事です。

この手は2002年、時の政府と東京電力が原発再稼働の際に使った手なのです。
2002年8月、東京電力のあまりにずさんな原子力発電所の管理・運営の実態が明らかになり、17基全部の原子炉の停止が命じられましたが、国民の怒りと関心が低下したと見た政府は翌年には早くも、すべての再稼働を許可しました( http://kobajun.biz/?p=927 )。

現在50基以上の原子炉が「停止」中ですが、廃炉が決まっているのは福島第一原発1~4号機の4基だけなのです。

下の画像に出てくる子どもたちの笑顔、こんな笑顔を日本中に取り戻すためには「停止」ではなく「廃止」が必要です。

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【 はがしてから食べますか? 】

アメリカNBCニュース 3月4日

今週、たっぷりミルクを練りこんで作られたクッキーとして知られる古典的なアメリカのスナック、『オレオ』が100回目の誕生日を迎えました。
当時は国立だったビスケット会社は、1912年 にニューヨークにあるベーカリーからオレオ・クッキーの第一号を売り出しました。
今日、クリームで一杯のチョコレート・サンドイッチは100か国で販売され、年間15億ドルの売り上げを誇っています。
ところで、オレオ・ブランドを持っているクラフト社によれば、オレオの愛好者の中では、食べる前に二枚重ねのクッキーを2つにはがしてから食べる人が半数に上る、ということです。
どうです、覚えがありませんか?

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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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