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【 まだ、原発?】

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廃炉にされる原子力発電所の数が、建設中の原子力発電所の数を上回る時代が到来した

米国は自分たちが始め世界中に混乱を広げてしまった原子力発電の、終息への道筋を示さなければならない

 

マギー・ガンダーセン / ベン・シュルマン・リード/ フェアウィンズ 2017年6月22日


廃炉にされる原子力発電所の数が建設中の原子力発電所の数を上回る時代がやってきました。

現在世界中で稼働している原子炉は1960年代に構想・実現されたものであり、21世紀社会になって急速に進歩した再生可能エネルギーとの競争において大幅な後れを取ることになり、経済的成果が実現不可能となった結果、次々と閉鎖に追い込まれています。

今や世界中の人びとが福島第一原発で発生したのと同じ事故が、その場所に原発がある限り世界中いつどこででも起こり得るという事を理解するようにもなりました。

 

一度はこれからの35年間12日ごとに1基の割合で新しい原子炉を建設し、2050年までに1000基の新しい原子炉を稼働させる計画を夢見た原子力産業界ですが、もはや原子力に依存する必要性がなくなり、誰ももうそんなことを望みもしなければ欲してもいないという厳しい現実に直面しています。

 

世界最多の原子炉が稼働している米国では、マサチューセッツ州ピルグリム、ニューヨーク市郊外のインディアンポイント、ニュージャージー州オイスタークリーク、カリフォルニアのディアブロキャニオン、そして最近ではスリーマイル島ペンシルバニアで、それぞれの原子力発電所が近い将来閉鎖されることになると発表されました。

米国内の原子炉の停止は経済面だけに留まらず地球環境にとっても良い影響が期待できますが、廃炉は高額な費用を要する複雑な工程を持つ作業であり、これまでこれらの巨大施設を支えてきた地元のコミュニティには少なからぬ損害を与えることになります。

原子力発電所の稼動が完全に稼働を停止すれば、地元自治体や地元の経済界は原発の経済的恩恵からの財務体質の転換を円滑かつ確実に実現しなければなりません。

併せてきわめて有害な放射性核廃棄物の長期的な安全保管を可能にしなければなりませんが、米国政府はこれまでそれを実現できていません。

 

さらには発電をやめた原子力発電所はそれそのものが巨大な放射性核廃棄物となるため、物理的に数十年間の安全管理が必要になることに加え、地域社会は今よりももっと健全で持続性の高い方法での電力供給を可能にしなければなりません。

その上で多様なやり方で自給自足できるように経済を再構築していく必要があります。
現時点で原子力発電所が立地する市町村は「ホスト・コミュニティ」と呼ばれていますが、残念なことにその経済規模は小さく、経済的にも原発以外に主だった収入源は無いというのが現実です。

こうした市町村で将来の運営計画が検討される際、原子力発電所からの発言がいつも取り上げられる訳ではありませんが、現実には市町村の命運を握る存在です。

フェアウィンズ・エネルギー・エデュケイションはバーモント・ヤンキー原子力発電所が抱えている問題と欠陥、そして立地自治体であるウィンダム郡が当然受けるべき配慮が欠如していることを継続的に監視し報告しています。

 

2014年バーモント・ヤンキー原子力発電所が閉鎖される時になって、バーモント州の議員と州政府の職員たちはバーモント州の権利とバーモント州のすべての市民の権利を守るためには、自分たちが同原発の運営会社であるエンタジー社と本来国の原子力政策を健全に運営する立場にあるはずの原子力規制委員会、その両方と戦わなければならない立場に置かれていることに気づきました。

 

バーモント州は州内唯一の原子力発電所であるバーモント・ヤンキーの廃炉プロセスの条件について交渉中であり、アメリカ国内で原子力発電事業から撤退するための的確な手続きと、廃炉と解体の作業を円滑に進める方法についてのモデルケースとなっています。

バーモント州は移行に際し、発電所の法人所有者の権利と利益だけでなく、すべての利害関係者の利益を保護するための公正な手続きを模索しています。

 

バーモント州は州内唯一の原子力発電所であるバーモント・ヤンキーの廃炉プロセスの条件について交渉中であり、アメリカ国内で原子力発電事業から撤退するための的確な手続きと、廃炉と解体の作業を円滑に進める方法についてのモデルケースとなっています。

バーモント州は移行に際し、発電所の法人所有者の権利と利益だけでなく、すべての利害関係者の利益を保護するための公正な手続きを模索しています。

 

原子力発電所が立地するすべての市町村の住民にとっての本当の疑問は、地方税をきちんと収めている地元の住民たちの権利を守り、その声を代弁してくれるのはいったい誰なのか、という事です。

廃炉作業の実際の進行状況はどうなのか、地下水の水脈や河川の流域は汚染されていないか、

そして地域経済の健全性を保つための構造転換は順調に進んでいるか、等の問題に住民の立場で取り組んでくれる存在です。

 

ところが停止中の各原子力発電所の放射線量と廃炉作業の進行状況の監視に責任を持つべき原子力規制委員会(NRC)は、上記のような周辺住民の人権問題にはまるで無関心であり、どのような対策も行っていません。

すべての環境を守るため保証されなければならない清浄な空気を吸う権利、安全な水を飲む権利、そして停止した原子力発電所の様々な部品から漏れ出す放射能に汚染されていない食品だけを口にする権利、このような環境問題と人権問題はすべて、米国内の地方自治体と州政府に任せっぱなしにされています。

バーモント州はもっと安全でより透明性の高い廃炉プロセスの実現を求め、高放射性核廃棄物と汚染された原子力発電そのものの安全かつ永続的な廃棄に移行する作業をめざし、自治体として地域社会果たすべき役割の実現をリードしています。

 

わたしたちフェアウィンズもオープンで透明な廃炉プロセスを提唱しながら幅広く対話を行うことにより、米国が始めた原子力発電事業に終止符を打ち、世界中に広がってしまった混乱を収束に向かわせるために指導的役割を果たし得ると信じています。

 

原子力発電から脱却し、経済的にも妥当な費用で、しかも地球上のすべての生き物が健康な状態で生存を続けることができる環境を守ることに貢献する安全なエネルギー社会への転換を、地域社会が協力して実現する、それがフェアウィンズが目指しているものなのです。

 

http://www.fairewinds.org/newsletter-archive//oegf127i8zwvkcg5koxzivdipspzk9

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