ホーム » エッセイ » 〈 放射線による健康被害と食品汚染[2] 〉英国BBC 「遺伝物質(DNA))の損傷は、将来の世代での奇形につながります」
『子供たちには、より大きな危険はありますか?』
私の妻は薬剤師ですが、初めての子を妊娠した時、いっさいの薬を口にしなくなりました。
私はその後別の機会に、妊娠中の女性が『定められた量』の服薬をしても、それがへその緒を通じて胎児にとりこまれた場合、結果的に胎児にとっては『定められた量』どころか、数倍、数十倍の量になってしまう、という事を知りました。
「服薬」が「放射線被ばく」に代わった場合、何が起きるかは「未だ不明」なのです。
仮に人生を25年ずつ三つの期間に分けるとすれば、私の人生の第二期の25年間では、妻とともに子供たちを育て、子供たちがすくすくと成長した事が何よりも大きかったと思います。
いや、それがすべてだったかもしれません。
その時間は人生の何物にも代え難いものでした。
その幸福を与えてもらった私たちは、次に続く世代の父親、母親が、同じように大切に子供たちを育てる事ができるような社会にしていく責任があるでしょう。
とにかく子供たちを守りたい、子供たちこそが未来そのものなのですから。
掲載したBBCの原稿は7月時点の記事のため、現在の状況とは多少異なる点がありますが、ご了承ください。
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【Q&A:放射線被曝の健康への影響 第2回】
リチャード・ウォリー / BBC HEALTH 7月21日
■ 質問 ❷ 『放射線障害はどのように治療されるのですか?』
まず最初にしなければならない事は、それ以上の放射能汚染を免れるため。服と靴を脱いで、石鹸と丹念に皮膚と髪を洗い、水で洗い流すことです。
免疫力を高めるためには白血球数を増やす必要があり、あらゆるケースの骨髄の損傷に対処するため、薬を服用します。これは免疫力の低下による、感染症のリスクを下げるためでもあります。
人体の内部組織の被曝を軽減するため、放射性物質の体外への排出を早めるための、専門の薬もあります。
■ 質問 ❸『どのように、放射線は健康に影響を及ぼしますか?』
放射性物質はイオン化放射を行いながら自ら崩壊していきます。
この崩壊過程で発生する電離放射線は、人体内の化学的結合に大きなダメージを与える能力を持っています。私たちの体内組織を構成している、原子の間と分子の間の化学結合を破壊してしまうのです。
細胞内のDNAに損傷を与える事は、特に深刻な問題です。
体はこうした損傷を修復しようと反応します、しかし多量の被曝をしてしまうと、人体の自然治癒力では追いつかず、結果的に重篤な症状を引き起こすことになります。
自然治癒によるDNAの修復過程においても、誤りが発生する危険性があり、それは長期的にはガン発生確率を高めることにつながります。
急性放射線障害に最も傷つきやすい体の部位は、腸と胃の内側を覆っている細胞と骨髄内の造血細胞です。
引き起こされる障害の程度は、その人がどれくらい長く、どのぐらいの強さの放射線にさらされていたのかによって決まります。
▼ 放射線とガン
▽ 専門家の多くは、イオン化放射線は低レベルであっても発ガンの危険性を増大させる、という点では一致した見解を持っています - この危険は、100ミリシーベルトを上回る被曝では明らかですが - しかし、非常に少ない量によっても、あり得るのです。
▽ 一般的に、放射線の量が増加すれば、ガンのリスクも増大します。時間の経過とともに拡大する1シーベルトの放射線への被曝は、生涯で致命的なガンを発症する危険性を、5%程度増加させると考えられています。
▽ 特に子供たちにおいて、甲状腺と骨髄が放射線のイオン化に、敏感に反応します。
▽ 白血病は、放射線障害性によって引き起こされるガンの中で、最も発症確率の高いものです。
白血病は、放射線被曝の2、3年後という、早い時期に現れる可能性があります。
▽ 他のガンは被爆によって発症する事になりますが、少なくとも10年の間発症しないかもしれません。これらには、肺、皮膚、甲状腺、胸と胃ガンを含みます。
■ 質問 ❹ 『いちばんに考えられる、健康への影響は何ですか?』
ガンが、長期的には最大の危険因子です。
健康な細胞がその「交代周期」に達すると、その細胞は自ら消滅します。
細胞がこの能力を失って、結果的に「不死」になるとき、ガンが発生します。そして、本来の正しい形ではない細胞の増殖が繰り返されるのです。
人体は、細胞がガンにならないように防御するための、そして、損害を受けた組織を交換・修復するためのさまざまな免疫機能を持っています。
しかし、放射線被爆に起因する人体の損傷は、これらの制御プロセスを完全に中断させることができます。そして、ガン発症の危険性を上げます。
さらに放射線被爆に起因する免疫力低下は、人体の変異を引き起こす可能性があります - 突然変異 - 人体にとって、遺伝物質(DNA)(それはガンと関係しているだけでなく、子供たちにも世代を超えて引き継がれてしまうかもしれません)の損傷は、将来の世代での奇形につながります。
この中には、小頭症や無脳症、正常な形状・機能を持たない目、発達遅延と重度の学習障害を含むことがあります。
■ 質問 ❺ 『子供たちには、より大きな危険がありますか?』
基本的にはその通りです。
彼らの成長は早く、細胞分裂も活発です。そのため、いったん体内で何らかの障害が発生すれば、その進行は早まります。
1986年のウクライナでのチェルノブイリ原子炉事故の結果、世界保健機構は周辺地区で、子供たちの間に甲状腺ガンの劇的な増加を確認しました。
これは、事故の間に放出される放射性物質が、甲状腺にたまりやすい高水準の放射性ヨウ素を含んでいたためでした。
加えて子供たちは、例えばミルクのような、かなり汚染された食品を飲食し続けたのです。
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動画【チェルノブイリ 終わりなき人体汚染】
昨日ご紹介した動画の続編です。昨日もお断りしましたが、出典が明らかでないのが残念ですが、まじめに作られた番組ですので、ご紹介させていただきます。