ホーム » エッセイ » 記録的猛暑にあえぐ日本、2020年東京オリンピック開催に懸念が高まる
競技開始時間を早めても、選手たちは許容限度を遥かに超えたストレスに直面させられることになる
真夏の東京で競技を行う限り、あらゆる手段を積み重ねても安全を確保することは不可能
ダニエル・ハースト / ガーディアン 2018年7月23日
7月23日月曜日、東京の北西部の都市で気温が41.1℃にまで上昇し、日本の猛烈な熱波が2020年に開催される東京オリンピックの参加選手や観客にとって危険な状態を作り出す恐れがあるという懸念が高まっています。
日本の気象庁は埼玉県熊谷市で、2013年8月に高知県西部で観測された41℃ちょうどを超える41.1℃に達したと発表しました。
熊谷市の最高気温は1896年から記録されていますが、多くの都市で最高気温の記録が塗り替えられました。
7月下旬は東京オリンピック開催までちょうど2年のカウントダウンが始まるため、様々なイベントが企画されていますが、日本国内各地で異常な高温状態が続き、熱中症の危険性に対しこれまでにない懸念が生じています。
同じ23日東京都心の最高気温は39度でしたが、湿度が高いために「まるで43度と変わらないように感じる」という声が聞かれました。
日本全国では過去2週間に数十人が熱中症などで亡くなり、数千人が病院に運ばれました。
国際オリンピック委員会(IOC)はこの前週に東京オリンピックの競技スケジュールを承認したばかりですが、マラソン競技は午前7時と早いスタート時刻が設定されました。
2020年東京オリンピック大会のマラソン競技で選手が直面しなければならない熱ストレスのリスクについて研究している東京大学の横張真教授は、スタート時間を早めに設定するのは多少の改善にはなるものの、許容限度を遥かに超えたストレスに直面させられることになると語りました。
最近発表した論文の中で横張教授は、現在提案されているマラソンコースは晴天の日には危険、または非常に危険であると評価しています。
横張教授は、マラソン会場を北海道北部に移動させたり、スタート時刻を午前2時に設定するなど大胆な対策を検討し、状況を改善するためあらゆる手段を取るべきだと述べています。
他の選択肢として、ランナーたちを通りの東側を走らせることにより直射日光を遮る方法が提案されています。
しかしガーディアンの取材に対し、横張教授は次のように語りました。
「真夏の東京で競技を行う限り、あらゆる手段を積み重ねても安全を確保することは不可能です。」
小池百合子東京都知事は、7月下旬の数日間について「まるでサウナに住んでいるようだ。」と語りました。
小池知事は猛暑の問題に対処することが「2020年のオリンピックの成否を左右する重要な柱のひとつ」だと語りました。
2020年東京オリンピックの広報担当者は、主催者側はアスリートのための冷却ミストシャワーの設置などの猛暑対策をすでに検討していると語りました。
スケジュールについては「アスリートと観客を猛暑から守る必要性について考慮の上」最終決定されるとしています。
広報担当者はまた、「2019年7月にテスト・イベントを行う予定になっており、その結果を検証した後に具体的な対策を準備する」予定であると語り、次のように続けました。
「私たちの目標はすべてのアスリートが安全な条件のもとでベストパフォーマンスを発揮できるゲームを開催することです。」
状況がきわめて悪い状態になった場合には観客に警告を発する可能性があり、各会場には温度モニターが設置されることになっています。
東京オリンピックは2020年7月24日から8月9日まで、引き続きパラリンピックが8月25日から9月6日の2週間開催されます。
前回東京が1964年に夏季オリンピックを開催したとき、開催時期は真夏ではなくもっと涼しい10月に開催されました。
https://www.theguardian.com/world/2018/jul/23/japan-heatwave-prompts-concern-over-conditions-for-2020-olympics