ホーム » エッセイ » 行政の疑獄事件に首相夫人が関与の疑い、安倍首相の政治生命は?
2017年夏の政権支持率の急落を『乗り越え』、衆議院解散総選挙で一方的勝利を手にした安倍首相の計算は?
安部首相が今回の疑惑から素早く脱出し、その姿をくらますための『煙幕装置』はもう存在しない
ダニエル・ハースト/ ガーディアン 2018年3月12日
日本の安部首相と夫人が関わったとされ悪循環に陥った便宜供与疑惑は、財務省が記録を改ざんして安倍首相夫妻への言及をすべて削除するという改ざんを認めたことにより、他方面からの批判に火をつけました。
安倍晋三首相は新たな事実が暴露されたことについて、「行政全体の信頼を揺るがしかねない」と事実関係を認め、「国民に深くおわびする」と謝罪を口にしました。
安部首相は以前、大阪の国家主義者の学校経営者に売却された国有地の価格を大幅に引き下げることに、自身あるいは夫人が関与していることが関わっていたことが証明されれば、首相を辞任すると語っていました。
日本の財務省は3月12日、問題の国有地の査定額を85%引き下げる決定を行ったことに関係する複数の公式文書を改ざんしたと認めました。
文書のうちの1点は、改ざん前は教育機関の森友学園に言及したものであり、安部昭恵夫人は小学校建設について「良い土地ですから前に進めてください」と勧めていたとの記述がありました。
しかしこうした記述は国有地売却問題を調査していた議員に提出された段階では削除されていました。
共同通信社によると、この時提出された文書には、「学校の教育方針に涙が出るほど感動した」と恵夫人が語ったという記述も抹消されていました。
さらに財務省の当局者は、森友学園のトップも加盟していた保守派のロビー団体である日本会議を安倍首相が支持しているという記述も削除しました。
森友学園が経営していた幼稚園では、園児たちに皇室の肖像写真の前で深々とお辞儀をさせ、君が代を毎日歌い、国のために自分の身を犠牲することの崇高さを称える1890年公布の教育勅語を学ばせていることで注目を集めていました。
安部昭恵夫人は森友学園が新設する小学校の名誉校長を務めることになっていましたが、昨年2月国有地の不正売却疑惑が持ち上がった段階で辞任しました。
安倍政権は先に、昭恵夫人が森友学園の幼稚園を訪問した際、首相に代わって現金100万円が入った封筒を学園の経営者に与えたという主張を否定しています。
学校関係者への不正な便宜供与スキャンダルが繰り返された昨年、政権の支持率は急落しましたが、安部首相はそれを乗り越えたかのように10月に行われた衆議院の突然の解散総選挙では一方的な勝利を手にしました。
しかし今回の暴露により、安倍首相と麻生太郎財務大臣に対する政治的圧力は強まっています。
麻生外相は12日午後、辞任の意思がないことを改めて表明しましたが、改ざんについては謝罪しました。
今年9月には自民党の総裁選挙が予定されており、安倍首相は自民党党首として3期目を確保すると同時に、首相の職に留まり続けることを希望しています。
しかし顧問会社のテネオ・インテリジェンスのトビアス・ハリス副社長は次のように語りました。
「安倍首相を今回の疑惑からいち早く脱出させるべく、その姿をくらますための『煙幕装置』はもはや存在しないと思います。」
「そして自民党のベテラン議員たちに、さらに3年間総裁の任期をこなすことを納得させるのは非常に難しいと思います。」
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12日以降の安部首相の対応を見ていると、ここはもう無理スジでも何でも強引にすべて否定してやり過ごそうという底意が透けて見えます。
そのために官僚が何人犠牲になっても、アベ・アソウさえ生き残れば良いのだと言っているかのようです。
今回の事件を財務省の一部の官僚に押しつけようという動きがあからさまですが、前川喜平氏に対する文部科学省の省ぐるみの嫌がらせを見ても、打ち続く官僚の腐敗と暴走を止めるには、火の元凶である安部政権を止めることこそ必要なのではないでしょうか?
安倍政権の誕生以降これまで各国各紙の記事を翻訳しご紹介してきた通り、先進各国のメディアは実に6年間に渡り『日本の民主主義は危機的状況に陥っている』と繰り返してきました。
この状況を見て、私たちはどんな行動をとるべきなのでしょうか?
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【 日本の財務省、安倍首相の昭恵夫人に関する記述のある公文書を改ざん 】
国民の8割が「安倍政権は一連の疑惑に適切な対応を行っていない」
ドイチェ・ヴェレ 2018年3月12日
国有地を自分の支持者に法外に安い価格で払い下げた問題について、関連する公文書から安倍首相本人、昭恵夫人、麻生財務大臣の3人の名前を削除したことを日本の財務省が認めました。
安倍首相はこの件で支持者に対し職権によって便宜を図ったという疑惑を持たれており、批判が高まっています。
昨年、大阪府内の国有地を首相夫人の昭恵氏とつながりがある国家主義者の学校運営者に市場鑑定価格を大幅に下回る価格で売却したことが報じられ、一挙に問題化しました。
麻生太郎財務大臣は同省の職員が14通の公式文書を改ざんしたことを認めましたが、その目的は安倍晋三を擁護するためだったとは考えていないと語りました。
野党の議員らは3月12日月曜日、安部首相自身の名前に加え、昭恵夫人、麻生財務大臣の名前が削除されたことを明らかにするため、改ざんされる前と改ざん後の両方の文書を公開しました。
「公式文書の改ざんは非常に重大な問題であり、誠に遺憾。陳謝いたします。」
記者会見で麻生財務大臣がこう語りました。
「重要なのはこうしたことが二度と起こらないようにすることであり、我々は調査に全面的に協力しています。」
▽国税庁長官の辞任
麻生財務大臣は、佐川宣寿国税庁長官が6日金曜日辞任したことについて問われると、一連の事件の責任をとって辞任する意思のないことを強調しました。
佐川氏は事件が明るみに出た当時、国有地売却を担当する財務省理財局の責任者を務めていましたが、事件の最中に国税庁長官に抜擢されました。
一方、今回のスキャンダルに関係していたとみられる財務省職員が3月初旬自殺しました。
麻生財務大臣は問題とされている文書は佐川氏の国会における答弁と整合性がとれるように内容が書き換えられたと語りました。
野党側は、問題の渦中にいる私立学校経営者の籠池康則氏が国有地の払い下げ価格を引き下げるために、安倍首相と昭恵夫人との関係を利用したものだと非難しています。
安倍昭恵首相夫人は問題の土地に建設される予定だった小学校の名誉校長の地位に就いていましたが、スキャンダルが発覚すると辞任しました。
安部首相は国有地が不当に安く払い下げられた問題に、自身あるいは夫人が関わっていた証拠が示されれば首相を辞任すると語っていましたが、今回の公文書の書き換え疑惑は安倍政権にダメージを与える可能性があります。
月曜日に発表された世論調査では、安倍首相への支持率は先月から6ポイント低下し48%に下がりました。
回答者のうち80%の人々が安倍政権は一連の疑惑に適切に対応していないと答えました。
安倍晋三首相は9月に行われる自民党総裁選挙で3期目の就任を目指しています。