ホーム » エッセイ » 米国の核戦争実施計画、その立案者が告発する!《6》
フィクション映画で登場した『地球を終わりに向かわせる装置 』は実在し、アメリカはそれを20年間知らなかった
自動的に爆発して放射性物質をばらまき、地球上の全生物を絶滅させる皆殺し装置 - 最悪の最終兵器
デモクラシー・ナウ 2017年12月5日
ホアン・ゴンザレス :
私たちは1971年にペンタゴン文書を暴露したダニエル・エルスバーグ氏にいろいろお話をうかがっています。
エルスバーグ氏の最新の著作は『地球を終わりに向かわせる装置 : 核戦争計画制作者の告白』です。
エルスバーグ氏はかつてアメリカの核兵器計画の機密文書についての内部告発を行ったこともあります。
私はスタンリー・キューブリック監督の映画作品『博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』のシーンを思い浮かべるのですが…
エルスバーグさんはこの映画はドキュメンタリーかもしれないと冗談をおっしゃっていました。
このブラックコメディは、キューバのミサイル危機発生からわずか2年後の1964年に公開されました。
エイミー・グッドマン:
この映画は核兵器を搭載した米国の爆撃機が、ソ連との国境付近のあらかじめ決められた巡航ルートを提示飛行中に「ウィング・アタック・プランR」の実行命令を受けた時から始まる米ソ間の核戦争の危機に主題にしています。
この命令は精神に異常をきたした空軍基地の司令官ジャック・リッパー准将が発したもので、彼はアメリカの首都ワシントンが攻撃された場合に直ちに対応できるよう予め付与されていた権限を使って攻撃命令を出してしまいました。
この映画の大部分はアメリカ政府の作戦司令室が舞台になっています。
作戦司令室で大統領とペンタゴンの最高顧問は打ち合わせを重ね、大統領自身のためらいにもかかわらず、軍の最高幹部たちはこのままソ連を攻撃しようとします。
しかし大統領のもとに呼ばれたソビエト駐米大使がソ連側が装備している新兵器について思想を明かすと、アメリカ側は予想もしなかった困難な問題を突きつけられることになりました。
それはソ連が攻撃を受けた場合に自動的に爆発し、地球上の全生物を放射性降下物で絶滅させる皆殺し装置、つまり最悪の兵器が実戦配備されているという事実でした。
この映画では大統領科学顧問のストレンジラヴ博士が、彼自身も関わったブランド(BLAND)コーポレーションという名の機関の調査に基づき、作戦司令室で大統領から対しソ連の新兵器について説明を求められます。
[映画の中で]
マフリー大統領(ピーター・セラーズ):
しかし、どんなやり方をすれば全て自動でそんなことが可能になるのだ?何とかそれを止める方法は無いのか?
ストレンジラヴ博士:
大統領、それはただ単に可能だというだけではなく最も重要な部分です。
この装置のすべてを表すものです。
ご存知のように『抑止力』というのは、相手の心の中に攻撃に対する恐怖心を作りだす技術です。
したがって人間の干渉を排除する、しかも人間の手で取り消すことが不可能な完全自動化された意思決定プロセスを持った最終兵器は人間にとって最大の脅威です。
これ程解りやすいものは無く、しかも機械としての信頼性も高く、有無を言わせない存在です。
『バック』タージッドソン将軍(アメリカ軍高級幕僚・ジョージC.スコット)
我々にも一基でいいからそんな装置が欲しいものだ。
エイミー・グッドマン :
これは1964年の映画スタンリー・キューブリック監督の映画作品『博士の異常な愛情』 の一場面ですが、今回のゲストであるエルスバーグ氏の最新の著作『地球を終わりに向かわせる装置 : 核戦争計画制作者の告白』の主題でもあります。
映画の中にブランド(BLAND)コーポレーションという組織が登場しますが、これは実在のランド(RAND)コーポレーションの事だと思いますがキューバ危機当時のあなたの同僚が『地球を終わりに向かわせる装置(Doomsday Machine)』という言葉を作ったのですね?
ダニエル・エルスバーグ:
ハーマン・カーンがその言葉の発明者です。
彼はこう言いました。
「ところで君、この『地球を終わりに向かわせる装置(Doomsday Machine)』は実に多くの人間を殺すことになるんだよ、実際、誰もかれもが殺される…。」
しかし彼はそんな装置は実在しないと言いました。
かれがこう語ったのは1959年、そして1960年です。
そして私たちが知る限り、そんな装置は存在しませんでした。
しかし彼は間違っていました。
『地球を終わりに向かわせる装置(Doomsday Machine)』は実際にはその時から実在し、その状況は現在も続いているのです。
私たち一般市民はその存在をその後20年間は知らないままに過ごしました。
私たち市民はソ連と中国のすべての主要都市を一瞬で破壊できる装置をアメリカがすでに装備済みだなどという事はまったく知りませんでした。
そしてその事実に驚いた私は、マクナマラ国務長官の下でそんなシステムの維持継続をやめるよう主張しました。
「仮想敵国のすべての都市を攻撃目標に設定するなどという行為は自制すべきです。報復攻撃であっても先制攻撃であっても、それをすれば敵国の国民を皆殺しにすることになりますよね?なぜそこまでしなければならないのですか?
そんなことをすれば敵側も絶対に報復攻撃を行うでしょう。そして我々がやったのと同じように、我が国のすべての都市に核ミサイルを撃ち込むように追いつめてしまう。
彼らはどんな手段を使ってでも、全面的な報復攻撃を行うにきまっている。
そもそもなぜモスクワを破壊してしまうのですか?敵の戦略中枢を破壊してしまったら、誰が戦争の中止を命令するのですか?降伏すると誰が決めるのですか?どうやって戦争を終わらせるのですか?」
私は自分の言っていることは正論だと思っていました。
しかし私が進言したことが取り上げられることは、一切なかったのです。
それから何十年も過ぎチェイニー国防長官が就任しました。
数年後、彼はモスクワに照準を合わせたままになっている核兵器の数の多さに驚くことになりました。
その数は数百という単位です。
まさにキチガイじみている、そうとしか思えませんでした。
《7》に続く
https://www.democracynow.org/2017/12/6/doomsday_machine_daniel_ellsberg_reveals_he