ホーム » エッセイ » 水陸両用部隊を創設した日本、第二次世界大戦以降初めて
日本国憲法による各種の制約があるにもかかわらず、日本の軍事力は世界で最も強力なもののひとつ
『北朝鮮情勢』を口実に、国民の意向とは無関係に日本の軍事力の強化と憲法改定を急ぐ安倍首相
ヨウコ・ワカツキ、ベン・ウェスコット、ブラッド・レンドン アメリカCNNニュース 2018年4月9日
日本の新しい水陸両用部隊の緊急出動訓練(写真)
離島に対する侵略を撃退するためとして日本の自衛隊が水陸両用特別部隊(水陸機動団)を創設したことに、中国政府が警戒感を示しました。
日本と中国は東シナ海の島々、特に中国側の呼称・釣魚島、日本側の呼称では尖閣諸島の名で知られる無人諸島をめぐり歴史的に長い間領土紛争が続いてきました。
自衛隊は九州の佐世保市近郊で行われた記念行事で、4月7日に新たに編成された水陸機動団(ARDB)を正式に公開しました。
侵略してきた敵の軍隊から島を取り戻すことを想定して、カーキ色の迷彩で偽装された新しい部隊の約1,500人の隊員が公式の演習を行いました。
この部隊の創設により、日本は第二次世界大戦以降初めて米国の海兵隊同様の部隊を保有することになりました。
中国国営メディアの英字紙グローバルタイムズは、その翌日日曜日の紙面でアジア各国は日本の『軍国主義の復活』について注視し続ける必要があると書きました。
「領土の保全を口実にして、日本政府が軍事主義を復活させる動きを強めているのではないかという疑問を拭い去ることができない。近隣諸国はこうした動きについて、強い危機感を持続させるべきである。」
2017年に中国の沿岸警備艦3隻が尖閣諸島付近を航海するなど、東シナ海では日中間の緊張関係が目に見えて高まっており、両国間の紛争の原因になっています。
中国外務省の報道官は日本の軍事活動については「歴史的な理由から」、近隣のアジア各国として様々な意味で注視せざるを得ないと語りました。
第二次世界大戦の終結以来中国と日本の外交関係は、日中戦争のさなか日本軍が占領中の中国各地で行った様々な行為が原因となり、ずっとぎくしゃくしてきました。
▽ 日本の水陸両用部隊
3月31日に国防総省の小野寺防衛大臣が、2,100人の隊員で構成される自衛隊の新しい水陸両用部隊の設立を発表しました。
「離島を侵略された場合に、速やかに島に上陸し、奪回し、確保することが水陸両用部隊の任務です。」
小野寺防衛大臣は記者会見でこう語りました。
自衛隊の公式発表によると「海上機動が可能な水陸両用車を装備する2つの水陸機動連隊によって形成され、米軍との連携を強化することになります。
小野寺防衛相は、この部隊はヘリコプターのように垂直の離着陸が可能な上、航続距離の長い米国製軍用機V-22オスプレイを使った訓練を続けるとつけ加えました。
日本の海上自衛隊はヘリコプターを搭載した駆逐艦を含め水陸両方での作戦が可能な軍用艦を保有しており、このうち4隻の艦艇は過去10年間に就航したものです。
小さな航空母艦のように見えるこの船は垂直に着陸できるステルスF-35B戦闘機を運ぶように構成することができ、V-22オスプレイ搭載に対応した構造も持っています。
装備の充実を図り編成も新たにした日本の水陸両用部隊ですが、日本戦略研究フォーラムの上級研究員であるグラント・ニューシャム氏は実践における戦闘能力は充分とは言えないと語ります。
ニューシャム氏はそのブログの中で、日本の陸上自衛隊の水陸両用部隊を航空自衛隊並びに海上自衛隊と協働させる必要があると述べています。
ニューシャム氏は日本戦略研究フォーラムのウェブサイトで次のように述べています。
「水陸両用部隊の任務内容は複雑であり、海上、陸上、そして空中での作業が伴い、3次元的な作戦展開が必要です。上陸する部隊には海上自衛隊と航空自衛隊の援護が必要であり、それなしで任務の達成は不可能です。
中国政府は東シナ海において止むを得ず軍事力の行使することになれば、ためらいなく自国の領土を守る用意があると繰り返し主張しています。
3月31日新華社通信は、中国外務省のスポークスマンが尖閣諸島を日本の領土とする教科書の採用を日本政府が承認したことについて、「歴史的見解について正しい見解を持つよう」日本側に呼びかけたと伝えました。
「中国は領土主権を断固として擁護しり、釣魚島に対する中国の主権を侵害しようとする試みは無駄に終わるでしょう。」
▽ 安倍政権による日本の軍国主義の復活
安倍晋三首相は第二次世界大戦後に採択された日本の平和主義憲法の改変をライフワークとしてきました。
安倍氏は2017年5月、2020年までに憲法を改変し新しい憲法が施行されることをを望んでいると語りました。
「2020年に生まれ変わった日本が、新たなスタートを切ることを強く望んでいます。」
近年、北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記が発射したミサイルが日本の領海内を通過するなど軍事的活動を活発化させている状況が、安倍首相による現行憲法批判を後押ししています。
現在日本は自衛隊の名称で世界的に知られている実質的な軍隊を保有していますが、現行憲法は「国際紛争を解決する手段としての戦力の保持」を禁止しています。
しかし軍事アナリストによれば日本国憲法による各種の制約があるにもかかわらず、日本の軍事力は世界で最も強力なもののひとつです。
しかし日本が軍事能力を復活させることには、第二次世界大戦において日本が過去に行った行為について生々しい記憶があり、アジア各国、特に中国と韓国が抱く警戒感には根強いものがあります。
安倍首相とライバル関係にある自民党内の有力者は、地方メディアの取材に対し、安倍首相は憲法の改定を急ぎすぎており、与党はその「政治的エネルギーをどのように配分するか」を検討する必要があると警告しました。
https://edition.cnn.com/2018/04/09/asia/china-japan-island-drill-intl/index.html
+ – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +
考えてみれば安倍氏が首相を務めていた6年間、誠意がにじむ発言など一度も聞いたことがありません。
軽躁、浅慮、軽薄、虚言、詐欺漢…
この人を考えていると、思い浮かぶ言葉はこんなものばかり。
そのような人間が軍事という巨額の国家予算を要求し、場合によっては多数の国民が血を流さなければならない課題について、思いつくまま好き勝手に弄り回しているのが今の日本です。
これ程危険なことはありません。
だからこそ自衛隊員が国会議員を『非国民』呼ばわりして罵倒するという、軽挙妄動をするのだと思います。
私と似た感想を持っている半数以上の国民がいて『安倍政権の下での改憲には反対』しているのだと思い、そのことに少しほっとしてもいるのですが、やはり半数以上の国民は聞かれたから答えるのではなく、聞かれなくともそれぞれが自分ができる形で発信すべきだと思います。
私は安倍政権の下での改憲には絶対に反対です。