ホーム » エッセイ » 突出する軍事費 : 安倍内閣、8年連続で記録的な金額に上る防衛予算案を承認
第二次安倍政権誕生時と比較し、日本の防衛費は13パーセント上昇
兵器開発が本格的に始まる : 日本独自の次世代戦闘機の開発研究を開始
山口真理 / AP通信 2019年12月20日
安倍内閣は、米国のステルス戦闘機数機の購入と日本独自の戦闘機を開発するための研究予算を含む、記録的な金額の防衛予算案を承認しました。
2020年度の5兆3,100億円の防衛予算は議会の承認の後成立する予定ですが、今年予算より1.1%の増額になります。
日本の防衛費は安倍氏が首相に就任した翌年の2013年以降、中国と北朝鮮からの脅威に対し防衛体制を強化しなければならないと主張し、7年連続で累計で13%増加しました。
予算案で最も高額な購入品目にロッキードマーティン社のF-35ステルス戦闘機があります。
2020年の予算計画の下で日本は793億円の費用をかけ短距離離陸および垂直着陸が可能な6機のF-35Bステルス戦闘機を購入する予定です。
この6機は日本が今後数年間で米国から購入する予定の42機のF-35Bのうちの第一回目として納入されます。
高額な米国製兵器を購入することは、米国とランプ政権が争点にしている米国に対する日本の貿易黒字を減らすのには役立ちますが、一方で日本国内で成長の途に就いたばかりの防衛産業の逆風になるという懸念を提起こするものです。
2020年の放映予算案には2030年代に引退予定の老朽化したF-2戦闘機に代わる次世代戦闘機の開発に関する研究を開始するための280億円が含まれています。
日本は独自のエンジンの開発を計画していますが、互換性を高めるために米国および英国と他の部品の共同開発も検討していると防衛省の当局者が語り、その詳細は来年決定される予定だとつけ加えました。
日本はまた3機のF-35Aを部品として937億円で購入して日本国内で組み立てる予定ですが、完成品として購入するよりも多少は経費の節減になります。
それより大きいのは、日本が最新鋭戦闘機の専門知識を獲得できることにあります。
これらのF-35Bを収容するために、防衛省は31億円を費やして、来年から2隻のヘリコプター空母のうち出雲に耐熱フライトデッキと誘導灯を再艤装します。
もう1隻の飛行甲板を有する加賀も引き続き再艤装されることになっています。
ストックホルム国際平和研究所によると、日本は平和憲法により『戦力を保持しない』と定めされているにもかかわらず、その防衛費は世界のトップ10にランクされています。
安倍首相は自衛隊が同盟国アメリカ軍との協力関係を強化するとともに米国製兵器の互換性を高めることにより、国際的な役割と戦闘能力の拡充を求めています。
安倍首相は2015年に日本国憲法の解釈変更を行い、日本が同盟国を援護するために武力を行使することを容認しました。
写真 : 2019年5月28日、横須賀港に係留中の海上自衛隊のヘリコプター空母DDH-184加賀の館内で、ドナルド・トランプ大統領とともに自衛隊員と米軍兵士を前に演説を行う安倍首相。
日本は現在、緊張が続く中東の海域に原油を運搬している日本の船舶を保護するため、中東に海上自衛隊の艦艇を派遣する予定であることを公表しました。
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現代における巨大な軍備は本当に国民や国土を守るために必要か?
全てがコンピュータ化された現代、最強の兵器は敵のコンピュータやネットワークシステムを破壊できる装置だということは、今や常識です。
これを破壊されてしまえば、現代の軍組織は全く機能できません。
なのに、相変わらず殺人と破壊を目的とする兵器が生産され続けています。
特にアメリカで…
アメリカでは軍産複合体という巨大な仕組みが出来上がり、その存在を正当化するために『定期的に戦争をする』ようになりました。
ベトナム、カンボジア、イラク、アフガニスタン。
このうちベトナム戦争ではアメリカ軍が使用した枯葉剤により、ベトナムの人々が深刻な後遺症に苦しめられました。
イラク戦争では超小型核爆弾ともいうべき『劣化ウラン弾』が使われましたが、その爆弾が使われた一帯では『この地区の女性は子供を産むな』という活動が行われるほど、悲惨な後遺症が人々を苦しめています。
装備といえば1960年代に開発されたソ連製のT-55、戦闘機もせいぜいがソ連製ミグ19という国を相手に『劣化ウラン弾』などを使う必要はあったでしょうか?
アメリカの軍産複合体は実際の戦場でその威力を実験したかったのに違いない、私はそう思っています。
巨大化した軍組織は自己保存のために動くようになります。
国民を守るなどということは、もはや看板だけの話になります。
必要なら大統領の暗殺だってやりかねない。
安倍政権は国内の研究開発予算・文教予算などを削って、軍事費を増やし続けていますが、それが真の意味の国の発展に貢献するかといえば、答えは NO! です。
そんな国に未来はない、旧大日本帝国も旧ソビエト連邦もそれで崩壊しました。
出会いがあり、望んだ時に結婚ができる。
子供を産みやすく育てやすい。
学校のいじめも家庭での虐待も引きこもりも、根絶は無理だとしても減少を続けている。
70歳まで働きづめに働かなくともちゃんと生きていける。
国のお金はそんな社会をつくるために使われるべきです。