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男女平等について日本は『衝撃的』なほどの後進国《前編》

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所要時間 約 8分

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「日本にはふさわしい地位と権力を持つ女性などほとんどいない」変化を要求する日本の働く女性たち
男女間格差を改善するつもりなどない安倍政権の『ウィメノミクス』、怒りを募らせる女性たち

               

                

山森菜々子 / ガーディアン 2019年6月13日

              

「花のデモ隊」が6月11日に東京に集まり、性的暴行の被害者に対し事実上法的保護が存在しないことに抗議しました

          

石川由美さんが職場でハイヒールの着用を余儀なくされることに反対する嘆願書を提出したことが世界中に広まった後、日本国内では石川さんを応援し「現代における纏足」について非難する共感の意見表明から驚きをともなう失望の表明まで、さまざまな反応がありました。
2019年の段階で、民主主義国家である日本において、それでもなお女性の権利の問題はハイヒールに縛られなければならないのでしょうか?

           

しかし『#KuToo』(日本語の『靴』と『苦痛』をかけあわせた造語)ハッシュタグに世界的なスポットライトが集ったものの、これまでは日本で実際に起きていることについては、もう一つはっきりさせられなかったかもしれません。
「実に些細なことに過ぎないのです。」
出版会社の役員を務めるある女性がこう語りましたが、彼女もまた匿名にすることを希望しました。
しかし最終的に東京の路上における女性たちの抗議はただ単に楽な履物を求めることに留まらず、女性にとって本質的な変化を求める動きへと大きくなり続けています。

                

「ハイヒール問題にこれだけ海外メディアの注目が集まったことに驚いています。」
こう語るのは性暴力の被害者団体『SPRING』のメンバーです。
「もっと深刻で根深いものです、日本の性犯罪の問題は。」

                

6月11日の夜には「性犯罪にNo!を突きつけよう」「日本の司法には人権についての再教育が必要だ!」などと書かれたプラカードをかかげた数百人の女性そして男性が集結しました。
この「ザ・フラワー・デモンストレーション』と名付けられた月例の平和的抗議運動は、女性に対する性暴力の裁判で最近立て続けに無罪判決が下されたことがきっかけで始まりました。

                

参加者の中で最も著名な女性の一人が参議院議員で元社民党党首の福島瑞穂氏です。
「問題にされるべきなのは加害者であって、被害者をやり玉に挙げるのをやめさせなければなりません。」
抗議集会の会場で福島氏がこう語りました。

                

こと男女間の不平等という問題については根の深い保守的偏向が強い日本社会にとって、こうした運動が盛り上がっていることは大きな進歩的ステップです。
世界経済フォーラムによれば、日本は男女間の平等に関する国家としての順位が110位という衝撃的とも言える低い位置にとどまり続けています。
つい最近行われた明仁天皇の退位の儀式では女性は会場の中に入ることすら許されず、まして皇位を継承する権利など持っていません。

               

昨年、日本国内の9つの医療系大学が女性志望者を最初から合格者から除外する不正行為を行っていたことを認めました。
相撲の世界では、脳卒中で倒れた人に救急措置を施そうと急ぎ土俵の上に上った女性医療従事者が、土俵には男性しか上がれないと退去を命じられ、激しい抗議が巻き起こりました。

                

しかし日本の女性が往々にして従順で弱々しいと判で押したように評価されてきたとしても、新時代の令和においてはそうではないかもしれません。
『花のデモンストレーション』その中で最も傑出した例であり、この運動は世界的常識からすれば異常ともいうべき冷酷な裁判所の判決によって始まりました。

                 

訴訟では、19歳の娘を繰り返し強姦したとして起訴された父親が被告人でした。
裁判所は被告の父親が同意を得ずに性行為を強要したことを認めていながら、女性が抵抗したという証拠は無いとして父親に無罪の判決を下しました。
この判決に対し全国9都市で一斉に抗議行動が行われ、4万人以上の女性が正しい裁きを求める嘆願書に署名しました。
そして多くの性犯罪被害者の女性たちが、自らの経験について重い口を開くようになりました。

                  

『SPRING』の代表者の山本じゅんさんもその一人です。
「私たちは被害者に対して温かいく町できっぱりと次のように言葉をかけられる社会を創造したいと考えています。『私たちはあなたを信じています。あなたが悪いのではありません。』と被害者をしっかりと支えてくれる社会を。」
山本さんがこう語りました。
「そのためには、まず被害者の立場を大切にする考え方が日本に根付かなければなりません。」

                   

山本さんは日本政府が実に100年ぶりに2017年に書き直した性的暴行法の改正をリードしたロビイストです。
強姦の定義にアナルセックスとオーラルセックスの強制を含め、強姦罪の最低限の懲役期間を3年から5年に引き上げ、被害者の告発がなくても起訴が可能にしました。
しかし山本さんは、被害者への支援を充実させることを含め、やるべきことはまだたくさんあると語りました。

       

もうひとつ、制度的な性差別との戦いがあります。
6月初旬、36人の女性が東京医科大学を相手取って1億4,300万円の損害賠償を求めて東京地方裁判所に訴訟を起こしました。
同大学は入試の際、合格した男性受験者よりも高い点数を取った女性たちを不合格とする不正操作を組織的に行っていた9つの大学のうちの1校です。

                

この事実が露見した後「何割かの女性医師は出産を機に職場を去るため、将来的な医師不足を防ぐためには医師は男性である方が望ましい」という論理を展開し、大学側の対応を弁護しようとした人々もいました。
しかしこのスキャンダルは政府による調査に発展し、今回訴訟に踏み切った原告の女性たちは将来こうした性差別が起きないようにする足がかりにしたいと語っています。

               

しかし『#KuToo』に対し、安倍政権の根元厚生労働大臣は議会の場で、職場でハイヒールを履くことを要求することは完全に受け入れられるべきことだと語りました。

                  

これに対し安倍政権が掲げる「ウィメノミクス」政策はただ単に多くの女性を労働力として利用しようというだけのものだとして、多くの女性たちから一層の怒りを買うことになりました。

               

《後編》に続く
https://www.theguardian.com/cities/2019/jun/13/there-are-almost-no-women-in-power-tokyos-female-workers-demand-change
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